【特別企画】

日本のゲームファンをやきもきさせ続ける「Xbox Game Pass」最新動向

「for Console」、「for PC」、そして「Ultimate」まで! その全貌、未来像をご紹介

【Xbox Game Pass】

提供時期未定

価格:未定

 E3 2019でMicrosoftの担当者と情報交換していておもしろかった小話のひとつが、日本の新聞記者からの「Xbox Game Pass Ultimateの1ドルとは、何が1ドルなのか?」という質問だ。

 その質問に答えるためには、Xbox Game Pass Ultimate以前に、その構成要素であるXbox Game Pass、Xbox Live Gold、Xbox Game Pass for PCについて正しく理解する必要があり、その上で初めてXbox Game Passユーザーもしくは、Xbox Live Goldメンバーを対象に、月額14.99ドルのXbox Game Pass Ultimateが、1カ月限定で1ドルでアップグレードできるキャンペーン、ということが説明できる。ただ、日本ではXbox Game Passすらまだサービスしていないため、「対象外ですが」というオチが付く。

【Xbox Game Pass Ultimate 1ドルキャンペーン】
Microsoftはこのキャンペーンを通じて、Xbox Live GoldメンバーやXbox Game Passメンバーに対してXbox Game Pass Ultimateへの移行を強力に推進していく考えだ

 実際問題、これは笑い話ではなく、日本マイクロソフトの担当者は相当焦っている。Xbox Game Passの日本ローンチが2年以上遅れた結果、ゲームプラットフォームとしてのXboxは、日本とグローバルで、サービスレベルに大きな差が生まれているからだ。

 Xbox Game Passのサービスは年々拡大しているため、その差は大きくなる一方だ。2年前にMicrosoftがXbox Game Passを発表した時点で、今の未来は容易に想像ができていた。この2年間で、会員数は数百万レベルまで拡大し、Xboxビジネスの屋台骨を支える存在に成長している。今年は、Windows PCを対象にした「Xbox Game Pass for PC」、そしてXboxとPC向けを融合し、さらにXbox Live Goldの機能まで併せ持つ「Xbox Game Pass Ultimate」まで登場し、Xboxは他のゲームプラットフォーマーに先駆けて、完全なサブスクリプションモデルへと舵を切った。

【Xbox Game Pass for Console】
E3に合わせて「Metro Exodus」などサードパーティー製4タイトルが新たにXbox Game Pass対応タイトルに加わった

 ゲームファンは年間180ドル(約19,500円)払ってXbox Studiosと、有力なサードパーティータイトルをXbox OneとWindows PC、そしてProject Scarlettで遊びまくる。それがMicrosoftが目指しているXboxビジネスの未来だ。E3で正式発表し、gamescomや東京ゲームショウで試遊台を展開し、ホリデーシーズンに売りまくる。そういうゲームビジネスは完全に過去のものになっている。むしろ1月から12月まで、年間を通してゲームファンをつかみ続けるためにコンスタントにAAAタイトルを並べていく。そのためには自由に発売日をコントロールできる子会社が大量に必要で、近年、Xbox Game Studiosの陣容が拡大しているのはそのためだ。実際、今回発表されたXboxの新作はホリデーシーズンの発売にこだわっていない。Xbox Game Passの登場によって、ゲームの販売戦略まで大きく変わっているのだ。

【Xbox Game Pass for PC】
今回もっとも力を入れて紹介されたのは「for PC」。既存の「for Console」とは別軸の有料サービスで、PC独自の新作を揃えていく。単体で月額9.99ドル

 日本でXbox Game Passがスタートしない理由は、過去に何度かお伝えした通り、日本はCESAのレーティングシステムであるCEROの承認が下りないためだ。Xbox Game Passがグローバルで単一のシステムで提供されているため、CERO Zタイトルの表示を避ける仕組みが存在せず、CEROのレギュレーションに適合させるためのシステム開発に時間が掛かっているとされる。

 これはXbox Oneのみならず、今回発表された「for PC」も同一で、日本マイクロソフトがCESAの正会員である以上、CEROの承認を受ける必要があり、Xbox Game Pass for PCだけが先に始まるというシナリオはないようだ。逆に言えば、Xbox Game Passさえスタートすれば、「for PC」、そしてすべてを兼ね備えたXbox Game Pass Ultimateまでの障害は一切なくなる。

【Xbox Game Pass Ultimate】
Xbox Game Pass for Console、Xbox Game Pass for PC、Xbox Live Goldを兼ね備えた最強のサブスクリプションサービスが「Xbox Game Pass Ultimate」。日本でもここまで視野に入れて準備が進められている

 日本でのサービス開始時期の一定の目安となるのは「Gears 5」だ。無事、CEROを通過し、順調にいけば9月10日前後に日本でも発売されるはずだが、この前後数カ月はXbox Game Passのサービスは開始されない。なぜなら、「Gears 5」はXbox Game Pass対応タイトルの1つであり、Xbox Game Passユーザーなら月額9.99ドル(1,100円前後)でプレイする事ができる。この情報を伝えずに、「Gears 5」パッケージ版の予約受付を開始する、あるいは発売直後にXbox Game Passがスタートするのはビジネスとして問題があるからだ。

 このため逆算すると、Xbox Game Passが日本でサービスされる可能性があるのは6月、7月、12月、1月といったところだろうか。追ってレポートするつもりだが、Microsoftは、Xbox Oneそのものをクラウド化するProject xCloud、そしてゲームを次の時代に引き上げるProject Scarlettを準備しており、Xboxによる世界制覇をまったく諦めていない。対象地域には当然日本も含まれており、そのためにもXbox Game Passは是が非でも提供しておかなければならないサービスの1つだ。サービス開始時期は相変わらず不明瞭だが、日本でもサービスされるのは間違いなく、それは意外に近いかもしれないし、まだちょっと遠いかもしれない。正式発表の日を辛抱強く待ちたいところだ。