【特別企画】

モバイル向けMMORPGをワンランク上げる!「黒い砂漠 MOBILE」ファーストインプレッション

美しいグラフィックスや爽快感のあるアクションはもちろん、広がる遊びの幅にも注目

 パールアビスジャパンは1月31日より、今春リリース予定のAndroid/iOS用RPG「黒い砂漠 MOBILE」のクローズドβテストを実施した。

 タイトルに冠されている「黒い砂漠」はパールアビス社が開発したPC用MMORPGで、世界各国でサービス展開されている。日本国内では2015年からゲームオンが日本でのサービスを開始し、国内ではゲームオンとDMMの2社がサービスを展開している。

 パールアビスは「黒い砂漠」をPC以外の様々なデバイスに届けることを構想しており、「黒い砂漠 MOBILE」はその第1弾となるタイトルだという。本作が発表されたプレスカンファレンスではPCのハイエンドタイトルの面白さをモバイルで実現することが目的で、光源処理や霧などの表現のほか、円滑な戦闘シーンにもこだわり、PC版と変わらない没入感やアクションの爽快感を体験できると発表されていた。

 今回はあくまでもゲームバランス調整、サーバー負荷検証を目的に実施されており、プレイできる時間もかなり短かったのだが、そんな短い時間でもPC用MMORPG「黒い砂漠」で見せてくれたパールアビスの技術力の高さが伝わってくる出来映えで、モバイルデバイス向けのゲームの中でもトップクラスの表現力や、アクション性の高さ、遊びの幅の広さを感じることができた。本稿ではそのインプレッションをお届けしたい

【[黒い砂漠MOBILE] トレーラー動画_事前登録開始! (Black Desert Mobile - Official Main Trailer)】

特色あるクラスと、こだわりにこだわれるキャラクターメイクはさすがの一言!

 今回のクローズドβテストでは「ウォリアー」、「ジャイアント」、「ヴァルキリー」、「ウィザード」、「レンジャー」の5クラスがプレイできた。それぞれ性別は固定されているもののキャラクターメイクの幅は広い。

 ウォリアーはその名の通りの男性の戦士的なキャラクターで、片手剣とシールドを持ち、堅実に戦闘を進めていくキャラクターだ。ヴァルキリーも同じく片手剣と盾を持って戦う女性キャラクターなのだが、味方を回復するスキルを持っているのが特徴。同じ片手剣とシールドを持ったクラスでも戦い方が異なってくる。

 一方ジャイアントは両手に持ったアックスを振り回すパワー系の近接キャラクターだ。その体の大きさと両手に持った斧から繰り出されるダイナミックな攻撃がポイントとなっており、レンジャーは弓による遠距離攻撃が得意なエルフのキャラクター。敵に近づかれないように戦うことができる。

 そしてウィッチはクローズドβテストで唯一の魔法職で、多数の魔法スキルを使って敵を倒していくクラス。筆者は今回、魔法クラスが好きというのと、単純にかわいいからという理由でウィッチをメインキャラクターとして選択したのだが、魔法スキルのエフェクトは美しく何より派手で気持ち良い。適正レベルの雑魚モンスターレベルであれば適当にスキルを撃っているだけで周りの敵をなぎ倒せる。個人的にはかなりお気に入りのクラスだ。

クローズドβテストでプレイできたのは5つのクラス。それぞれ見た目も特徴も全く異なる

 本作の特徴の1つがキャラクターメイクだ。PC用の「黒い砂漠」でもそのキャラクターメイクの細かさと、圧倒的なカスマイズの幅は大きな特徴としてユーザーから支持されていた。そのキャラクターメイクの細かさはモバイル版でも健在だ。

 鼻のパーツ1つとっても高さ、大きさ、角度、幅……など調整可能な項目は多岐に渡る。この調整の細かさは顔の他パーツでも同様で目、ほほ、口などなど調整できる部位は幅広く、こだわるプレーヤーであればキャラクタークリエイトだけでも遊び込めるはずだ。

 もちろん自分でガッツリとカスタマイズしても良いが、キャラクタークリエイトはそこそこに冒険に旅立ちたいというプレーヤー向けにバリエーション豊かなプリセットも用意されているし、「ビューティアルバム」という他のプレーヤーが作ったキャラクターを自分のキャラクターに適用する機能もあるので、サッとキャラクターメイクを終わらせて冒険に出ることもできる。

どこまでもこだわれるキャラクターメイクはさすがの一言
「ビューティアルバム」を使って他のプレーヤーが作ったキャラクターを使うこともできる

スタンダードながらもアレンジを加え、面白さがさらに増した戦闘システム

 続いてゲームシステムについて見ていこう。本作は端末を横持ちで左のバーチャルスティックを使って移動、右の親指で通常攻撃やスキルを使用する。横持ちのモバイル向けのゲームではスタンダードな操作方法なので慣れているプレーヤーはもちろん、はじめて操作するというプレーヤーでもすぐに慣れることができるだろう。

 また、本作で特徴的なのは右手親指に位置するスキルスロットだ。これは単純な固定配置ではなく回転式になっており、スロットを回転させながら次々にスキルを繰り出す、という手触りが非常に気持ちいい。スロットには普段は4つのスキルしか表示されていないが、ここをスワイプするとスキルスロットがクルクルと回り、最大で8個のスキルを使うことができるようになっている。もちろんどのスロットにどのスキルを入れるかなどはカスタマイズが可能で、相性の良いスキル連携などもあるので自分なりのカスタマイズで戦闘に挑みたい。

右下にあるボタンをタップするとスキルや通常攻撃が発動する

 ちなみに、スキル以外にも「通常攻撃」と一定距離を回転して回避行動を行なう「回避」のボタンもある。スキルを含めた全てのボタンを完璧に使いこなすにはある程度の熟練が必要だと思うが、これを全て使いこなすことで後述の対人戦などでも活躍することができるだろう。

 また、戦闘ではもちろん手動で戦っても良いのだが、本作には自動戦闘機能も搭載されており、コンピューターに戦闘を任せることもできる。自動戦闘自体は昨今のモバイルRPGではもはや定番中の定番だが、精度の良さはかなりのもので雑魚モンスターはもちろん、ボスモンスターにも通用するほどだ。片手間にプレイすることも多いモバイル向けRPGとしてはこの性能の良さは非常にありがたい。もちろんスキルスロットもグルングルン回るので、見た目にも楽しい。

 一方で対人戦では自動戦闘は一切使えず、キャラクターの強さとプレーヤースキル依存である。筆者も対人戦を何度かプレイしたのだが、そこまで自動戦闘でサボりすぎたせいかプレーヤースキルがキャラクターの強さにまったく追いついておらず、対戦相手にフルボッコにされる結果になってしまった。「バリバリ対人戦をやってやるぜ!」というプレーヤーはもちろんだが、プレーヤースキルを磨いておけば格上とのボス戦などにも役立ちそうなので、操作できる時はある程度意識してプレイしていくのが良いだろう。

1vs1の対人戦も熱い!がプレイヤースキルの差が大きく出るので普段から練習しておきたい

キャラクターの戦闘力を上げていくのが楽しい!どこまでもやりこめそうなボリューム

 キャラクタークリエイトを済ませると意味深なオープニングのあと、記憶喪失の状態で海岸に打ち上げられたところからスタートする。そしてその横には闇の精霊と呼ばれる謎のパートナーがおり、彼(彼女?)のアドバイスに従いながら、住民の依頼などを解決しつつ冒険が進んでいく。

 大きな流れとしては新しいクエストを受ける、一定数以上の敵を倒すなどのクエストの条件が提示される、クエストをクリアすると次のクエストへ……と基本的な進行は王道のクエストドリブン型MMORPGという印象だ。

 もちろんクエストに従わずにブラブラと違うエリアに言っても良いし、サイドクエストなどを進めても良い。また後述する採集や釣りなどに明け暮れても良い。とは言えまずはメインクエストを進めていくのがオススメだ。

釣りや採集など戦闘以外の様々な要素も用意されている

 そうしてクエストを進めていくとキャラクターも成長するし、様々なシステムについてのチュートリアルなどが表示されゲームへの理解を深めていくことができる。正直2日程度のプレイでは把握しきれないほどのゲームシステムなので、1つずつ順番に進めていき、チュートリアルをすべて確認するくらいの気持ちでプレイする方が良いだろう。あまりに急ぐと敵が強すぎて進めないところがでてきてしまうので、装備を強化したり、キャラクターを強化することでじっくりと先に進んでいくほうが結果的に早く先に進めるような印象だ。

 ちなみに、キャラクターの強化手段はかなり多い。キャラクター自身のレベルアップや、スキルの強化、装備の潜在力突破、さらにプレーヤーと行動を共にしている「闇の精霊」を成長させるなど多岐に渡る。

 キャラクターのレベルアップは説明不要だと思うが、敵を倒すと入手できる経験値を一定以上貯めるとレベルアップする。スキルは敵からのドロップやクエストで入手できる「スキル強化書」を使うと強化できる。

 装備の潜在力突破は「ブラックストーン」というアイテムを使用して行なう。潜在力突破は100%ではなくブラックストーンを多く使うと確率を上げられる。潜在力を突破すると+1、2と増えていくのだが、その値が増えていくにつれて潜在力突破の成功確率は下がっていく。とはいえ失敗しても元の装備がなくなるようなリスクもないし、潜在力は他の装備に移すこともできる。とりあえずブラックストーンを入手し次第手持ちの1番強い装備を強化していくのが良さそうだ。

 また、闇の精霊は不要なアイテムを吸収させることで徐々にレベルアップしていく。闇の精霊がレベルアップするとキャラクターの強さにも反映されるので、使わなくなった装備は積極的に闇の精霊の成長に使っていくのが良さそうだ。

キャラクターを強化する方法は様々だ。とはいえ基本的にゲーム内のあらゆる行動がキャラクターの強化になる

 そうしてキャラクターが強くなると「戦闘力」という数字で自分が成長したのがわかる。キャラクターの強さが明確に数値化され、育成することでその数値が伸びていくというのは本作のモチベーションの1つと言えるだろう。

 実際に筆者は画面を見て操作できる時はメインのクエストを進めていき、席を外す時は自動狩りモードでキャラクターに狩りをさせつつという感じで、時間があるときはもちろん、他になにかしているときでも、常に戦闘力の向上を目指して育成に励んでいた。やればやっただけ目に見える成果が出るというのはやはり面白い。

「戦闘力」を上げていくのが本作の目的の1つだ
節電モードでも裏で自動で狩りしてくれる。効率よくキャラクターを成長させていこう

キャラクターを成長させるだけじゃない。「黒い砂漠 MOBILE」ならではの遊び方も!

 「戦闘」や「育成」などに限って言えば、似たようなシステムは他のモバイルオンラインRPGにもある。しかしそこだけでは終わらないのが「黒い砂漠 MOBILE」だ。

 特にユニークだと感じたのは「領地」システムだ。ある程度ゲームを進めるとプレーヤーには領地が与えられる。ここはプレーヤー固有のインスタンスのエリアで、このエリアに建物を建てたり、労働者を働かせることでアイテムが入手できる。プレイヤーごとに用意されている“庭”のようなイメージだろうか。

 例えば先程も登場した武器や防具を強化するブラックストーンというアイテムもこの領地で作成することができる。「精製所」という建物を作ることで一定時間ごとにブラックストーンを入手できるのだ。いくつあっても困らないアイテムなのでこういった形で入手できるのはありがたい。

 領地に建物を建てるためには木材や石などの素材が必要なのだが、これらはプレーヤーがフィールドで入手することもできるし、領地で雇える労働者に採集させてきても良い。領地では他にも様々な建物が建築可能なので、領地を充実させていくのも目標の1つになるだろうし、先程のブラックストーンのように冒険に役立つアイテムなどが入手できるようになっていくものと思われる。

 なお、労働者は報酬を対価にプレーヤーに協力してくれる存在ではあるのだが、時折サボったりもする。妙にリアルなところで人を束ねる「領主」の大変さを実感させられるシステムだが、彼らは「叱る」ことで再び働き出す。CBTの段階ではわからなかったが、「忠誠度」という数値があるあたり、しっかりと領地を管理することで労働者たちからも支持を得られるようになるようだ。

プレーヤーごとのインスタンスエリアの「領地」。発展させることで冒険に役立つ

 他にも「釣り」や「馬の捕獲」など直接的には戦闘に影響しないシステムも確認できた。これらは完全にお遊びの要素というわけではなく、釣りで釣った魚は領地で雇っている労働者たちの食料にしても良いし、魚商人に納品することで通貨を入手できる。馬の捕獲も同様で捕獲した馬を育成し、馬と馬をかけあわせさらに性能の良い馬を作り出していくなど、PC版にもあったコンテンツをアレンジしつつモバイル版向けに落とし込んで「黒い砂漠」ブランドならではの遊び方ができる印象だ。

釣った魚は商人に納品することで多くの通貨を手に入れられる
野生の馬を捕まえて成長させるなど、豊富な遊び方ができるのが魅力だ

 同社がアピールしているように美しいビジュアルと、爽快感のある戦闘、そして圧倒的な自由度のキャラクターメイクが本作の魅力なのは間違いないが、それ以外の部分でもMMORPGとしてスタンダードな部分はスタンダードに、オリジナリティを出す部分はオリジナリティを出すというトータルで見るとかなりバランス感の良い作品だと感じた。繰り返しになるがモバイル向けMMORPGの水準をワンランク上に上げてきたなという印象である。

 本作は2月26日の配信を予定している。まだまだプレイできていないコンテンツも多く、やりこみがいもありそうだ。プレイできる日が待ち遠しい作品である。

【スクリーンショット】