インタビュー
「FFXIV」プロデューサー吉田直樹氏「パッチ3.2」ロングインタビュー
来年には「ザ・フィースト」公式大会も!? ナイトはパッチノートに注目!
(2016/2/22 00:00)
スクウェア・エニックスはPS4/3/WIN/Mac用MMORPG「ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド(以下、『FFXIV』)」の最新アップデート「パッチ3.2 運命の歯車」を2月23日に実装する。
今回のパッチは高難易度のエンドコンテンツ「機工城アレキサンダー:律動編」や、新しい蛮神「三闘神」シリーズの最初を飾る「魔神セフィロト」など高レベル向けのコンテンツが実装される一方で、初心者がジョブの動きを勉強できる「初心者の館」や力試しができるソロコンテンツ「木人討滅戦」、「メンターシステム」などプレーヤー支援のためのコンテンツも実装される。さらにスポーツライクなルールを意識した対人「ザ・フィースト」が実装され、シーズン制のランキングマッチがスタートするなど、新しい遊び方を提案するパッチにもなっている。
今回は、「FFXIV」のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏から、パッチについて話を聞くことができた。「パッチ3.2」だけに収まらない多方面の話を聞くことができたので、ぜひ最後までご一読いただきたい。
バランス調整は全体に上方修正。ナイトはパッチノートに注目!
――今回のパッチでキャラクターのバランス調整が入りますが、まず最初にその方向性や意味合いを教えてください。
吉田氏: 「3.0」から「3.1」の期間を経て、レベル60キャラクターを使う熟練度がかなり上がってきた中で、プレーヤーの皆さんのスキルのバラツキもかなり収まってきて、横並びを考えた時に調整が必要というものが多くなってきたので、このメジャーアップデートで全体を調整しました。もう1つの理由は、かねてからお話してきた通り、タンクの物理攻撃力の依存ステータスをSTRではなくVITに替えたことで、タンクのバランスが今までとは変わるので、それに合わせてDPS側を調整する必要がありました。今回はその2つの理由が大きいです。
――タンクの与ダメージについて、戦士などはDPS並に高いこともありましたが、今後はタンクとDPSの与ダメージ量はどうなるのですか?
吉田氏: 各タンクがST(サブタンク)をやっている時の最大DPSが、DPSジョブと差が付かないぐらい出てしまっていたので、そこはタンクとDPSで差をつける形にはなっています。
タンクの硬さに関しての調整はあまり入れてません。ただ、各タンクジョブの中で、特にナイトがスタンスを切り替えるときのペナルティが大きく、コンボが途切れるということがあったりするので、そのあたりはまとめて調整しました。各タンクのスタンスの切り替えは、上手な人がさらに上手くやれる余地として残してあるので、そこを抑えすぎるとタンクを使うことが面白くなくなると思います。戦士の場合、アタッカースタンスになっても自己回復能力が高く、相対的に硬いよねという部分は気にはなっているのですが、攻撃スタンスの防御ダウンのペナルティを強くして、ペナルティのせいでほとんど使えないということになってしまうと意味がないので、この辺りは据え置きです。
――まずはVITが有効なステータスになっていないところを直すことからということですか。
吉田氏: 最大HPを伸ばすというタンク本来のパラメータとしてVITは今まで通りなのですが、最大HPを削ってヒーラーの負荷を高くしてでも、STRを伸ばしてDPSを上げる、ということの是正です。2つのメインパラメータを要求されるのがタンクロールだけ、という偏りも無くしたいと考えました。今回、防御スタンス中のヘイトボーナスを高くして、しっかりとメインタンクをやっているときのヘイト管理をしやすくもしています。ILの更新でアタッカージョブの最大DPSが上がるので、ヘイトを維持するなら、しっかりディフェンス側のスタンスを使ってくださいねということにはなっています。
――考えなしに外すとヘイトが飛びやすくなるわけですね。
吉田氏: はい。各アクションに敵視調整を入れてしまうと、結局アタッカースタンス時に、高いDPSとアクションの敵視ボーナスでヘイトが管理できてしまうので、スタンス属性のボーナスを引き上げることで、タンクらしくなるようにという意図です。
――新ジョブ3キャラのうち、機工士と占星術師は上方修正ですね。これはこの2ジョブが今あまり使われていないため、てこ入れのニュアンスがあるのですか?
吉田氏: 機工士は、使いこなせている方はかなり高出力ではあるのですが、ただあまりにも操作が難しいのに、それを極限まで突き詰めてもこれだけかという印象はありました。ですので、操作を簡単にするのではなくて、テクニカルなジョブだから上手に操作できるならもう少し最大DPSが伸びてもいいだろうという考え方で調整しました。色々なメインジョブのレベリングが終わって、機工士に手を出し始めている方も多いので、それに合わせての調整というところです。
――占星術師はいかがですか?
吉田氏: 占星術師はとにかくヘイトコントロールが本当に大変で、エンドコンテンツのフェーズ移行の時に全体ヒールをしているとあっという間にヘイトリストの最上位に来てしまったりするので、そこを変えない限りエンドコンテンツでは使いづらいだろうという部分に調整が入っています。あとは、シャッフルしたときに同じカードを連続で引かないようにして欲しいという要望が多かったので、アクションを変えてしまおうということになりました。
――ヘイトは全体的に低くなっているのですか?
吉田氏: 色々議論したのですが、白魔道士と同じ遊び方になっても仕方がないなという話になり、かなり悩んだ末にどちらのスタンスでもヘイトを軽減するボーナスをかけることにしました。ですから、占星術師はガンガン攻撃してもヒールしてもヘイトが上がりづらい、というジョブ特性にしてみました。ある意味管理しなくてもいいので、好きなようにしてくださいという、それが特徴でもいいかなと。
――ほかの既存ジョブで特徴的な調整はありますか?
吉田氏: ある程度は第27回プロデューサーレターLIVEでお伝えしましたが、吟遊詩人の「時神のピーアン」にエスナの効果を追加してあります。ヒーラージョブ以外では初めてエスナと同じ効果が使えることになります。後は本当に細かいジョブの横並び調整で、足りなかったところをアッパー調整しているという感じです。基本的には上方修正ばかりなので、そんなに喧々諤々の議論にはならないのではないかと思います。とにかく、ナイトのパッチノートの項目がすごく多いです。
――その一方で、今はエンドコンテンツで吟遊詩人と機工士不足の状況ですが、そこはどう認識されていますか?
吉田氏: その2つの遠隔物理ジョブは、日本の場合はプレーヤー層が2派に分かれていると思います。すごくカジュアルにある程度楽だから使っている人と、すごく使いこんでいる人との二極化が進んでいて、すごく使いこんでいる人は固定にがっちり囲まれているのだろうなというのが実情という気はします。
――どうしてもMPやTP管理のために吟遊詩人、機工士が欲しいということで、いないと出発できないような雰囲気になっていますが、例えばほかのジョブにパーティのMPとTPの回復手段を持たせるようなことは?
吉田氏: わからなくはないですが、今はそれをやる予定はないです。それをしてしまうと、MPやTP回復能力を持ち、かつ、吟遊詩人や機工士よりもDPSが出るジョブが優遇されるためです。ただ、今回全体的にTPの調整も入っています。「木人討滅戦」が追加されたことで、どのジョブも3分間はきっちりもつようにはなっています。