インタビュー
【BFG 2013】「Wolfenstein: The New Order」クリエイティブディレクターJens Matthies氏インタビュー
スウェーデン独自のセンスが楽しい「Wolfenstein」シリーズ復活の経緯を聞く
(2013/5/29 00:00)
プレビュー記事に続いて開発者インタビューをお届けしたい。
ナチスドイツが第2次世界大戦に勝利し、ナチスが地球を支配している世界という壮大なIFシナリオを扱った「Wolfenstein: The New Order」。プレビュー記事でもお伝えしたように科学技術に優れていたナチスドイツを拡大解釈し、人造人間や機械化、ロボット化を推し進めたまさに漫画のようなナチスドイツ軍を相手に、ランボースタイルのゲームプレイを繰り広げる気分爽快なゲームだ。
しかも、「Serious Sam」や「Duke Nukem Forever」のように一種ネタで作ってるわけでは無く、どこまでも真面目に、「Wolfenstein 3D」に対してリスペクトを忘れずに、id Tech 5という最高水準のゲームエンジンを駆使して開発が進められている。今回は、「Wolfenstein: The New Order」の企画者であるクリエイティブディレクターJens Matthies氏に本作誕生の経緯について話を伺った。
古き良きシューターの達成感を現代に蘇らせたい!
――「Wolfenstein: The New Order」はオールドスタイルのスピリットを持つゲームで最高だった(笑)。現代にヘルスとアーマーだけのシンプルなゲームを作るのは非常に勇気のいることだと思う。
Jens Matthies氏:レガシー「Wolfenstein」に敬意を払いつつ、独自のアイデアを盛り込みながら、現代のシューターの良いところも取り入れて最高のものが作りたかった。昔と比較して今のFPSは失われてしまった部分もあるので、それを復活させて新しいゲームを生み出したかった。
――昔のシューターの良い要素とは何か?
Matthies氏:たとえばクリアした時の達成感。最近のゲームだと達成感を感じることが少なくなった。現代のシューターはいろんな体験をさせることは優れているので、達成感を与えつつ、様々な体験を両立させたいと考えている。
――なぜ新作FPSのモチーフに「Wolfenstein」を採用しようと考えたのか?
Matthies氏:我々自身が「Wolfenstein」のゲーマーだし、自分たちが成長する上で、革命的な体験を与えてくれたFPSだったから。同時にidのファンでもあったので、この機会が与えられたことを興奮している。
――このプロジェクトはどのように始まったのか?
Matthies氏:始まりについては若干複雑で長い話になるが、このプロジェクトは2009年から始まった。そこまでの間に色々間違ったことをやってきて、我々はやらなければならないリストを作った。それはどのパブリッシャーと組んで、どのジャンルにするか、どういうゲームにするか、スタジオをどこに作るのかとか。Wishリストの中で、ベセスダの名前があって、話がうまくいってベセスダとやることができた。さらにベセスダはidを買収していたので、「Wolfenstein」のIPを使うことができ、我々の企画にidも賛同してくれた。
――過去の中で1番近いのは?
Matthies氏:「Wolfenstein 3D」だ。メカヒトラーなどは良い例だが、各種ロボットが登場していたのを引き継いでいる。
――ゲームの世界ではナチスが月に行っていて、BJがその展示を見て月に悪態を付いているのがおもしろかった。
Matthies氏:このゲームでひとつユニークな点は、ゲームの世界ではナチスが戦争に勝ったことになっているので、実際の世界で起きたことについて、すべてナチスが行なったことになってるところ。すべての出来事はナチスの視点で起きている。
――このゲームの世界では、ナチスが世界を征服しているのか? 日本はどうなっている?
Matthies氏:アフリカの一部を除いてナチスが世界を支配している世界。同盟国の日本も同じ運命になっている(笑)。アフリカも北から戦線を南下して征服地を広げている。BJ達のレジスタンス活動はヨーロッパで行なわれているためそれとは関係ない。
――プレイ中に新しい要素が登場するたびに、設定資料をゲーム内で読めるのが良いと思ったが、これはどういう発想から入れたものか?
Matthies氏:基本的にはチュートリアル的な意味で使用している。ゲーム開始直後から学んでいけるが、今回は途中から始めたため、頻繁に表示されることになった。本来は序盤にチュートリアル代わりに表示されるものだ。