【特別企画】
【スト6】「CAPCOM CUP11」決勝レポート! リュウ使いBlaz選手の快進撃に公式全国大会始まりの地、両国国技館が興奮の坩堝と化す!!
2025年3月10日 13:19
- 【CAPCOM CUP 11】
- 開催期間:3月5日〜3月9日
- 開催場所:東京・両国国技館
CAPCOM CUP11は2025年3月5日から3月9日まで開催され、会場はなんとスーパーファミコン版「ストリートファイター2 ターボ」にて公式大会が行なわれた地、両国国技館。30年以上の年月を越えて、再び日本で“ストリートファイター世界最強決定戦”が行なわれた。
3月5日~3月7日には、全世界の大会を勝ち抜いてきた48選手によるグループ予選が行なわれた。そして翌日8日には、8グループから構成されるグループ予選の上位2名、計16名による決勝トーナメントが開催された。トップ16に残った選手の中には日本人選手が4名と、ガチくん選手以来遠ざかっていた、カプコンカップ日本人覇者が日本で誕生する可能性も大いに期待できる面子となった。
そして、若干15歳ながら、若さと老獪なテクニックを持ち合わせたチリの神童、Blaz選手も活躍も会場を大きく沸かせた。本稿ではトップ16から優勝者決定までの模様をお届けする。
過酷なサバイバルレースを勝ち抜いた16名を紹介!
両国国技館に集った48名の猛者たちの中から、最終日に駒を進めた16名は以下の通りである。
【ウィナーズサイド】
・Takamura選手(ベルギー):ケン
・NoahTheProdigy選手(アメリカ):ルーク
・翔選手(日本):JP、豪鬼、ベガ
・Blaz選手(チリ):エド、リュウ、ケン
・ふ~ど選手(日本):エド、ディージェイ
・Leshar選手(韓国):エド
・Juicyjoe選手(スウェーデン):JP
・AngryBird選手(アラブ首長国連邦):ケン、豪鬼
【ルーザーズサイド】
・Phenom選手(ノルウェー):ケン、キャミィ
・NL選手(韓国):豪鬼
・ときど選手(日本):ケン
・Broski選手(イギリス):A.K.I.
・MenaRD選手(ドミニカ共和国):ブランカ、ルーク、ザンギエフ
・Xian選手(シンガポール):ディージェイ
・Xiaohai選手(中国):ベガ、キャミィ、ケン
・シュート選手(日本):豪鬼、マリーザ
EVO2024の「ストリートファイター6」部門を制し、戦前予想では優勝候補の呼び声高かったPunk選手がまさかの予選敗退。他のリーグでもPunk選手と並んで優勝候補に名が挙げられているMenaRD選手はルーザーズサイドでの最終日進出と、どの選手も厳しいサバイバルレースを生き残ったことが感じられた。
そんな中、筆者が注目したのは若干15歳でウィナーズサイドへ駆け上がったチリのBlaz選手。若手かつ主にリュウとケンを使用するという、所謂「道着使い」であることは筆者の関心をひき、新たなスター誕生に期待していた。
最初からフルスロットル! 日本とチリの若手対決、世界最強エド決定戦と黄金カードがてんこ盛りのウィナーズクオーターファイナル!
ウィナーズクォーターファイナル1試合目 Takamura選手 VS NoahTheProdigy選手
まずウィナーズクォーターファイナルの様子からお届けする。最終日のオープニングを飾るのはTakamura選手 VS NoahTheProdigy選手、クラシック操作のケンとルークのマッチアップだ。
注目すべきはNoah選手のルークの戦い方である。彼の特徴はドライブゲージを贅沢に放出することだ。本作をプレイしていれば、ドライブゲージが枯渇すると発生するバーンアウト状態は避けたくなるものだ。だが、彼はそのハイリスクな状態すら立ち回りに組み込んでいるような戦法が特徴だ。彼はこの個性的なスタイルで実績を積み重ねてきているので、本試合でもそのような立ち回りが見られるのか? と思ったがその予想は大きく外れた。
オープニングマッチの1ラウンド目はなんと20カウント近くお互い距離を調整し合う、まるで剣道の試合のような立ち上がり。
そこからTakamura選手が積極的にルークへ触りだしてから試合のテンポが加速し1ラウンド目を制す。2ラウンド目ではお互いにSA3をぶっぱなす豪快な切り返しシーンが見られたが、ここでNoah選手は自分のSA3はヒットさせつつ、Takamura選手のSA3はしっかり防御。今日のNoah選手はいつもとイメージが違っていた。むしろTakamura選手の方がアクセルベタ踏みのフルスロットルモードに感じられた。3ラウンド目はNoah選手の受けの選択肢に対して投げが多く機能したTakamura選手が勝利。
しかし、ここからは画面端に追い詰めた相手を落ち着いた様子で巧みにコントロールし、Dゲージでのアドバンテージを活かしたNoah選手が2~4試合目までを3連取して勝利。
敢えての「らしくなさ」が功を奏した形となった。「カルフォルニアの白い暴走列車」と紹介されたNoah選手。本日のカルフォルニア発、両国国技館行き特急列車には高性能ブレーキが搭載されているようだ。
ウィナーズクォーターファイナル2試合目 翔選手 VS Blaz選手
ウィナーズクォーターファイナル2試合目は日本では若手プレイヤーに分類される翔選手と、チリから参戦したBlaz選手の組み合わせである。
両者若手と紹介したが、両者の年齢差は10歳以上ある。それもそのはず、なんとBlaz選手は若干15歳、しかもDay1から行なわれた予選リーグを無敗で突破している。それでいて、使用キャラクターはリュウとケンとまるで古くからの「ストリートファイター」プレイヤーのようなキャラクターの組み合わせである。
一方、翔選手は今や日本を代表する猛者の1人。大会の出場経験も豊富で実際のところは「ベテラン選手」と言っても良いだろう。対称的にBlaz選手はこういったオフラインの大規模大会への出場は数えるほどで、格ゲー歴は4年ほどとのことだ。使用キャラクター、大会出場の経験など「若手」と一括りに出来るようで意外と対極的な両者である。
そんな両者のマッチアップは翔選手は遠距離特化型キャラクターJPを、Blaz選手はケンを選択した。恐らくリュウとケンを比較した場合、機動力に優れるケンの方がJPに対して優位に戦えると判断してのものだろう。
お互いの手の内は知らないであろう両者の試合は翔選手がコントロールする場面が多く見受けられた。要所要所でパリィを用いて間合いを詰めようとするBlaz選手の動きに対して、翔選手は飛び道具をフェイントとして用いてパリィをスカし、徐々にドライブゲージの差を広げていく。これにより1試合目は翔選手が先取した。
これにより2試合目ではBlaz選手は修正を加えた立ち回りへシフトする。パリィを控え、中距離での戦いへ重きを置くようになった。しかし、そこでも翔選手の地上戦スキルの高さが光り、続けざまに2試合を連取。
ここでBlaz選手はキャラクターセレクトを選択。ここで「ストリートファイター」を、いや格闘ゲームを代表するキャラクター・リュウが投入されるか? と思ったがここで登場してきたのはリュウと因縁のあるキャラクター、豪鬼であった!
リュウ・ケンと同じような技を使いつつ、高い攻撃性能や特殊な空中機動を描いて奇襲する技などを持つ、高い機動力を持つ豪鬼。特に空中機動で襲いかかる必殺技「百鬼襲」の対処はJPにとっては苦しいのでは?と筆者には思われた。
その豪鬼の特徴を活かしてか、試合開始直後はBlaz選手がJPへ果敢に攻め込む。百鬼襲だけでなく、大きく移動しながら蹴りを放つ立ち強キックをドライブラッシュから打ち込むことで、大きな推進力を得てJPへ攻め込むきっかけにしていたのが印象的だった。
しかし、要塞のような守りを崩すまでには至らなかった。特に痛恨の一手となったのは、JPが位置を入れ替えるために前ジャンプをしたところを迎撃しようとした豪鬼が、対空には用いにくい滅殺豪波動が発動してしまったことだ。これをガードされてしまい、手痛い反撃を受けてしまうBlaz豪鬼。そのままストレートに2ラウンドを取られ、結果3-0でチリの神童はルーザーズから頂点への道を目指すこととなった。
総じてケンのしゃがみ中キックや立ち強キックのようなリーチに優れる技を多用したところを、翔JPが巧みに捌き切り、それに焦れて豪鬼を投入せざるを得ない状態となったが、初めて披露されたキャラへの変更にもしっかり対応していた翔選手の対応力の高さが光っていた1戦だ。
ウィナーズクォーターファイナル3試合目 ふ~ど選手 VS Leshar選手
3試合目はどちらもボクシングを用いて戦うキャラクター、エドをメインキャラクターとするプレイヤー同士のマッチアップとなった。
2024年の日本での「ストリートファイターリーグ」でも活躍の機会が多かったふ~ど選手とLeshar選手。同じキャラクターを使うことから、交流して攻略を深めていったという両者。所謂「身内対決」といっても差し支えないだろう。
同キャラクターを使用するとは紹介したが、両者の戦い方は対称的。攻撃的なスタイルなのはふ~ど選手、逆に防御的なスタイルなのがLeshar選手と矛と盾のような関係だ。
そしてこの対決では身内対決の予想通り、入れ替わりが激しい試合。普段なら攻め込まないLeshar選手が勇猛果敢に攻め込むシーンや手を変え品を変えという攻防が発生していた。
印象的だったのがエドの必殺技、サイコフリッカーへの対応であった。2試合目辺りからふ~ど選手が相手のサイコフリッカーの溜めモーションへ向けて果敢に突撃。そして発射されたフリッカーへ合わせて回避しながらダメージを与えられるODサイコアッパーで迎撃するという動きを見せた。これが2・3試合目でふ~ど選手の攻め手となっていたが、なんと4試合目ではその動きをそっくりそのままLeshar選手がお返しする展開へ。同キャラ戦は5試合目にまでもつれ込んだ。
最終戦の1ラウンド目を制し、先にマッチポイントを得たLeshar選手。ラウンド2ではLeshar選手がフリッカー対策として繰り出したのはドライブラッシュで踏み込んでからのODサイコアッパー……ではなくドライブインパクト。
連続技を決めてからの起き攻めで選択した投げも命中し、ふ~ど選手を防戦一方に追いやる。最後はガードを解いた動き出しに牽制技からのSA3を絡めた連続技でKO。ハイレベルなボクシング対決はLeshar選手が制した。
ウィナーズクォーターファイナル4試合目 Juicyjoe選手 VS AngryBird選手
4試合目ではスウェーデンのJuicyjoe選手が世界最強プレイヤーにも挙げられることが多い「バード一門」の1人AngryBird選手と対決だ。
Juicyjoe選手はJPをチョイス、対するAngryBird選手はケンを選択。相手と距離を離した状態で強みを発揮するJP。相手に接近し、インファイトを仕掛けたいケンというわかりやすい構図の対決となった。
AngryBird選手はファーストコンタクトではで距離を離したいJPを追いかける展開を見事に制し1ラウンド目を先取した。
しかし、ラウンド2からは選手紹介のニックネームで「白夜のマジシャン」と言われたJuicyjoe選手の魔法が炸裂する。その支えとなったのがJPの必殺技「ヴィーハト」である。上空に空間を生成し、一定時間経過後、そこから氷柱のような攻撃を放つ。また空間へ向けてJPをテレポートさせたり、時間経過を待たずして氷柱の攻撃を発動することも可能なトリッキーな技だ。攻撃を発射してケンの接近を拒んだり、瞬間移動に用いて奇襲をしかけることで試合の流れを変えていく。
しかし、3本先取の試合形式は得意といい、2024年のSFリーグでも大将として無類の強さを見せたAngryBird選手もさるもので、こちらも5試合目までもつれ込む熱戦に。だが、JPの巧みな動きにバーンアウトを起こしてしまうAngryBirdケン。そこに勝負のSA2ラヴーシュカで防御困難な波状攻撃を仕掛けられてしまう。まだ多少体力が残っていたケンを倒し切るために中段と下段攻撃を織り交ぜた連携を使いそれらがすべて命中! 1回のラヴーシュカで一気にケンの体力を奪い去ったJuicyjoe選手が勝ち上がりを決めた。