インタビュー
【TGS2022】「Wo Long: Fallen Dynasty」開発者インタビュー
コーエーテクモ史上最もダークかつ魅力的な三国志を目指す
2022年9月16日 20:00
- 【Wo Long: Fallen Dynasty】
- 2023年 発売予定
- 価格:未定
コーエーテクモゲームスは、2022年9月15日から19日まで開催されている東京ゲームショウ2022に、三国志をモチーフとしたダークアクション「Wo Long: Fallen Dynasty」の試遊台を展示した。発売は2023年とまだ少々先だが、それに先駆けて短い時間ではあるものの開発メンバーに話を聞くことができたので、気になる部分を中心にお伝えしよう。対応してくれたのは、「Wo Long: Fallen Dynasty」プロデューサーの安田文彦氏と、同開発プロデューサーの山際眞晃氏だ。
――「ウォーロン」という、あまり耳に馴染みのない単語がタイトルですが、その意味を教えてください
安田氏:「ウォーロン」というのは、“臥龍”の中国語読みなんです。臥龍というのは眠っている龍のことを指し、転じて“世に知られていない英雄や大人物”という意味もあります。今回は、主人公が無名の義勇兵であったりとか、後の三国志の英雄となるようなキャラクターたちもたくさん登場するということで、彼らを含めた形でタイトルを「ウォーロン」としました。
――三国志をモチーフにしたのはなぜでしょう?
安田氏:元々、中国を舞台にした三国のゲームは、コーエーテクモからたくさん出ています。ところが、チームニンジャはニンジャやサムライのアクションゲームを作ってきましたが、三国志や中国を舞台にしたゲームを手がけたことはありませんでした。今作で、中国の武将たちの戦いや活躍を描こうというときに、中国武術をアクションゲームとして落とし込めたら「ウォーロン」らしい独自の新しい形がタイトルとして出せるんじゃないか? ということで、今回は三国志をテーマとしました。
――三国志をモチーフにすると、通常は主人公を英傑にすることが多いですが、本作ではそこを名もなき義勇兵にした理由はなんでしょうか?
安田氏:特定の武将にすることで描ける物語も多いですが、そうすると登場できる場面が限られてしまいます。しかし、歴史に残っていない無名の義勇兵であれば“実は歴史の裏で主人公として活躍したかも”や“いろんな場所でさまざまな武将と戦ったり、時に協力したりなどしていたかもしれない”という想像もできます。つまり、三国志として魅力的な部分を制約なしにたくさん描けるというメリットがあることが理由の一つです。もう一つはキャラクタークリエイト、プレイヤーが性別や人種、見た目や髪型などを好きに決めてプレイしてもらうことができます。これら2つの観点から、特定の武将ではなくて無名の義勇兵にしましょうという結論が出ました。
――そのキャラクターメイクですが、かなりカスタマイズができるように作られていますよね。
山際氏:試遊版ではすぐに遊べるよう、いくつかのパターンをあらかじめ用意しましたが、実際の製品版ではたくさんの項目があって、ユーザーの期待に応えられるような箇所のパーツを豊富にいじることができます。中国が題材のタイトルなので、中国らしいメイクもできますし、品質面でもより良いものにしていきたいということで、現在も頑張ってます。
――登場する敵は、三国志をモチーフとしているということであれば、黄巾族なんかも出てくるのでしょうか。
安田氏:TGS体験版で配置されているのは、実は黄巾族だったりします。三国志モチーフなので、ゲームのストーリーとしては、そのあたりにも繋がっていきます。今作が1作目となるので臥龍の英雄たちの話もそうなんですが、三国志の、乱世の幕開というか印象的な出来事が黄巾の乱だと思いますので、そこはシッカリと描こうとおもっています。
――システムでユニークだと思ったのが、特定のポイントに旗を立てていくことですが、陣取りゲームのイメージなんでしょうか?
山際氏:これは士気という要素に絡むのですが、元々は“死にゲーのレベルデザイン”と“三国志の戦場を制圧していくような戦略性のようなもの”を考えていて、それらで新しい体験ができないかというのがアイデアになっていました。士気は、敵にも自分にも設定されていて、それぞれの強さを表してます。自分よりも強い士気の相手を倒すことで、一気にプレイヤーキャラの士気を上げられたり、敵がよりよいアイテムを落とすことがあるんです。とはいえ当然リスクもあるので、敢えて危険を冒すか、安全に行くかを選ぶことになります。
さらに、レベルデザインを広げるものが不屈ランクです。特定のポイントに立てる旗が不屈ランクを上げるものになっていて、士気ランクはやられると下がってしまいますが、それを“これ以上は下がりませんよ”と保険として機能するのが不屈ランクです。なので、フィールドに旗を立てて戦場を制圧していくようなイメージで士気をどんどん自分の中で上げていく、というのと掛け合わせているような感じです。士気ランクが上がれば、本来であればまっすぐ進むところを横道に逸れるというように、ルート選択の幅が広がったりもします。
――士気は、敵に殺されると相手の士気があがり、プレイヤーの士気がさがる。しかし、次の機会に自分を殺した相手を倒せば戻ってくるということで、敵討ちのようなイメージなんですね。
安田氏:そうですね。取り返すと、“リベンジ”という中国語が画面に表示されます。
山際氏:一度取られると、次の挑戦は1回目より難しくはなると思いますが、うまくスキをついて“絶脈”などの技があるのですが、それを決めることで相手の士気を下げることもできます。奪われた士気をどのように取り返すかを考えるのも、本作の面白いところです。
安田氏:ゲームオーバー後の復活地点は旗の近くになるんですが、そこでレベルを上げてみたり装備を見直すなど、一度冷静になって立ち止まって考えてもらうのが良いかもしれません。敵が強化されているということで、まったく同じやり方では通用しないので、別の視点から攻略を考えてみる……そういったきっかけになってもらえればいいなと考えています。
製品版では非常に広いマップなので、別の場所へ移動して敵を倒し士気を上げ直してもいいし、旗を差して不屈ランクを上げるなど、さまざまな方法を用意しています。敵は倒されたときに装備品を落とすので、それを拾って装備を組み替えたり、実は持ち物を見直してみたら強い装備品を拾っていたとか、そういった見直すきっかけとしても良いのかなと思います。今回の試遊台では、世界で初めてプレイアブル出展しているので、初めて触る人向けにシンプルにまとめています。そのため、ちょっとそういったことはできませんが……。
――面白いシステムとして化勁がありますが、これについて教えてください。
安田氏:化勁は、敵の攻撃に合わせて◯ボタンを押すと受け流せるという技です。重要な要素で、使いこなせれば押せ押せで攻められるし、劣勢からの逆転もできる要素です。使えなくても倒せないわけではないですが、敵の攻撃に遭わせて何かのアクションをするというのは、得意な人と苦手な人にハッキリ分かれるので好みもあると思います。
山際氏:化勁を入れた理由は、本作の中国武術をアクションに落とし込むという観点から、中国武術の攻防が激しく入れ替わる様を入れたいなと思っていたところにもあります。流れるようなアクションで攻防が入れ替わるというのが中国武術のイメージにあると思いますが、そういったところでの化勁、防御から攻撃に転じるのを描きたいと思い入れた要素の一つです。基本的に、すべての攻撃を化勁で取れるんですが、プレイヤー敵に化勁で取りやすい攻撃のタイミングというのがあると思うので、すべてに化勁を狙うというわけではなく、プレイヤーがやりやすいタイミングで攻撃を捌いて押していくというプレイスタイルを目指すのも一つです。
安田氏:ボスは、基本的にトライアンドエラーしていくうちに攻撃のパターンを覚えていくので、そうすると化勁しやすくなります。敵の種類によって、やりやすかったりやりにくかったりと得手不得手もあると思うので、まずは臆せず使って、向いてないなという敵の場合は別の方法で攻略するのが良いと思います。そこには、絶対に別の攻略法も用意していますので。
――確かに、敵の攻撃が見えるようになると、一気に面白くなりますよね。
安田氏:そうですね。最初は“この攻撃すごくイヤだな”と思っていたのが化勁できるようになれば、自分が習熟したり上達したということで、その感覚がアクションゲームの醍醐味だと思いますし、それが今回やろうと思えばすべての攻撃に対して化勁で跳ね返したり捌けるので、そんなスーパープレイを目指すのもいいかもしれません。今は動画配信もありますし、そういった見栄えも含めて楽しんでいただけるのではないかなと思います。
――最後に、待っているユーザーにメッセージをお願いします。
安田氏:コーエーテクモは三国志をたくさん作ってきていますが、チームニンジャは今回初めて三国志をアクションゲームとして描きます。コーエーテクモ史上最もダークな、かつ魅力的な三国志として制作できるよう頑張ってますので、発売まで今しばらく期待してお待ちいただければと思います。
山際氏:緊張感と中国武術の華やかさ、高揚感のようなものをうまくミックスできるようなゲームデザインを目指しています。すごくギリギリの死闘なんだけれども自分の動きが華麗で、うまく決めることによって乗り越えた達成感があり、その気持ち良さが更にアグレッシブに高揚するような感じを目指しています。そういったところを感じていただけるように今後調整していきますので、引き続きご期待いただければと思います。
――ありがとうございました。
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