インタビュー

“爽快な超能力プレイ”に心血を注ぐ「CONTROL」。Remedy Entertainmentインタビュー

小島秀夫監督のゲスト出演は2018年からの「絆」によって生まれた

12月12日 発売予定

価格:
【パッケージ/ダウンロード版】
6,800円(税別)
【ダウンロード限定デジタルデラックス版】
8,800円(税別)

 「Alan Wake」、「Quantum Break」などで開発で知られるRemedy Entertainmentの最新作であるプレイステーション 4/PC「CONTROL」。海外ではすでに発売済みで評価も高く、待望の日本語版は12月12日に発売予定となっている。販売は505 Gamesで、PS4日本語版の販売はマーベラスが手掛けている。

 今回、東京ゲームショウ 2019に合わせてRemedy Entertainment コミュニケーションディレクターのThomas Puha氏にインタビューできた。Thomas氏によれば、「CONTROL」で最も力を注いだのは「超能力をいかに爽快に操れるか?」だったという。

【『CONTROL(コントロール)』Gameplay Trailer】
Remedy Entertainment コミュニケーションディレクターのThomas Puha氏。1990年代後半のTGSで手に入れたという「聖剣伝説 レジェンド オブ マナ」の名刺入れを普段使いするナイスガイ。ゲームに興味を持ったのはスーパーファミコンで、そこで「スーパーマリオワールド」、「F-ZERO」、「ファイナルファイト」を遊び、プレイステーションでは「メタルギアソリッド」、「鉄拳」、「パラッパラッパー」をプレイしてきたというゴリゴリの日本ゲームファン

 「CONTROL」では、超常現象を研究する施設「the Oldest House」を舞台に、「CIAのミステリー版」であるthe Federal Bureau of Controlの新たな指揮官となったジェシー・フェイデンを操作することとなる。ジェシー自身も超能力の使い手であり、周囲のモノを空中に浮かべて敵に投げつけたり、様々に変形する銃を駆使して敵と戦っていく。

 その手触りについては「超能力者の無敵感が味わえる」と弊誌でも紹介しているが、まさにそこが「CONTROL」開発の上でのキモだったようだ。「特に大変だった」というのは、モノを敵にぶつけるアクション(Launch)が素早く反応しつつ、周りの環境が自然に崩れていく計算処理だったという。

 プレイ中にLaunchを使用すると周りのオブジェクトが何でも掴めて、それに応じてステージもどんどん崩れていくのだが、確かに異様なほど細かく自然な処理がなされている。ゲームプレイを損なわない反応速度と、リアルさを追求した“崩れ感”を両立させるのはRemedyにとっても「チャレンジ」だったそうだが、今ではそこが本作のウリとなっている。

 ゲームシステムとしては、特にアドベンチャーパートは自由に探索できる点が特徴だ。同じ超能力を扱った前作「Quantum Break」はリニア型のゲームデザインだったが、より施設内の冒険を楽しむような作りになっている。

 さらに銃と超能力の攻撃バランスも気をつけた点で、両方を組み合わせても、片方だけを使い続けてもプレイが成立するようなものになっているとした。

 「Remedyらしさとは何か?」と聞くと、「全体の雰囲気」と答えてくれた。少し暗くて、精神性も反映されているような光やムード。それが「Remedyのトレードマークではないか」という。

 特に「CONTROL」はRemedyの拠点があるフィンランドらしい部分があるという。Remedyが開発した「マックスペイン」シリーズではアメリカのポップカルチャーをより意識していたが、「CONTROL」にはフィンランド式サウナが出てきたり、ある登場人物はフィンランド訛りの英語を喋ったりする。フィンランドの文化が見られるところは、Thomas氏個人的に「誇らしく、楽しんでいること」とした。

 「CONTROL」が話題になっていることの1つとして、コジマプロダクションの小島秀夫氏のゲスト出演がある。きっかけは2018年のE3で「CONTROL」のプレイデモを発表したところ、小島氏がブースを訪れ、内容を非常に気にってくれたことが交流の始まりで、その後も小島氏とRemedyクリエイティブディレクターのサム・レイク氏が「独自のゲームを生み出す」という点で意気投合するなど、「とてもいい友達」の関係性にあるとした。

 そんな折、「CONTROL」開発中に、ミッションの1つに日本人キャラクターの音声収録が必要という話になった。そこでダメ元で小島氏にオファーしたところ、まさかの快諾だったという。このコラボが成立したことに、Thomas氏自身、信じられないほど感銘を受けたそうだ。ちなみに「デス・ストランディング」側にRemedyスタッフが出演しているかどうかは、「それは言えない」とのことだった。

 「CONTROL」でもう1つ、話題になっていることに、サイドミッションの世界観が「SCP財団」に似ていると言われていることがある。「SCP財団」は超常現象にまつわる架空の報告書が投稿されている共同創作コミュニティのことだが、SCP報告書の読後感と、「CONTROL」における超常現象調査の味わいに共通点がある、というのがその理由だ。

 しかしこれについては、「よく聞かれるが、ほとんど偶然に近い」とThomas氏は述べた。Remedyのゲーム開発ではまず世界観を作るそうで、「CONTROL」の場合は最初に「the Oldest House」を作り、続いて「the Federal Bureau of Control」の設定を作っていった。具体的なストーリーはその設定に沿うように後から組み立てており、完成してみたらたまたま似てしまったそうだ。

 メインはジェシーの物語となるが、「the Oldest House」に残された多くの謎を見つけていくのがサイドミッションとなる。そこでのポイントは、あまり多くを語らないこと。空白を残すことで、プレーヤーの想像力が刺激されるような幅を持たせているそうだ。

 現在「CONTROL」は不具合の修正やローディング時間の短縮を行ないつつ、日本語版の開発も進行中だ。日本語版ではより洗練されたものがプレイできるようなので、ぜひ楽しみにしておきたい。