インタビュー
【特別企画】「FFXV WINDOWS EDITION」推奨PCのこだわりをメーカーに聞いてみた!
第4回:1つ1つ水冷のシステムを手作り。サイコム「FFXV WINDOWS EDITION 推奨パソコン『G-Master Hydro Z370-FFXV』」
2018年3月27日 07:00
2016年11月にプレイステーション 4で「ファイナルファンタジーXV」(FFXV)が発売された。発売後もシステム面で進化を続けている「FFXV」だが、3月6日には遂に大型アップデート「FFXV ROYAL EDITION」のリリースされるとともに、3月7日には待望の「FFXV WINDOWS EDITION」が発売となった。
前述の通り、「FFXV WINDOWS EDITION」は単なる「FFXV」ではない。NVIDIAと共同でゲーム用ライブラリ「GameWorks」を導入しゲームエンジンを強化し、Native 4Kのみならず、最大8K、HDR10などを実現し、環境さえ整えば究極の「FFXV」が楽しめる。
「Ansel」の機能を使えば、その美しい映像をユーザーの好きな角度からスクリーンショットとして撮影することができる。NVIDIAの完全協力の下で開発されているだけあって、海外タイトルに引けを取らない最先端の仕上がりとなっている。
また今後、Windows版ならではの楽しみとして、MODへの対応が予定されており、ユーザーの手によってどんどん広がりをみせていくことが期待される。これまでの「ファイナルファンタジー」シリーズには無い、楽しみ方ができるタイトルとなっている。
そんな「FFXV WINDOWS EDITION」の発売に合わせ、各社から一斉に推奨PCが発売された。基本的に推奨PCはスクウェア・エニックスの検証のもと、ゲームを楽しめるスペックを有しているPCとして発売される。だが、各メーカーとも価格が違うのはもちろん、CPUやGPUなど採用パーツが全く違い、そこにはゲームへの思いと共に、こだわりが詰まっている。ということで、今回は「FFXV WINDOWS EDITION」を発売する各メーカーにインタビューを行なった。
第4回目は、CPUとGPUのデュアル水冷モデルを発売しているサイコムにお話を伺った。推奨PCが生み出されるまでの課程を、同社のプロダクトマネージャー・山田正太郎氏に伺ってみた。
G-Master Hydro Z370-XV
【スペック】
・CPU:Core i7-8700K
・GPU:NVIDIA GeForce GTX 1070 Ti
・チップセット:Intel Z370
・メモリ:16GB DDR4-2400
・ストレージ:500GB SDD
・OS:Windows 10 Home 64bit(DSP版)
・価格:262,270円(税込)~
□http://www.sycom.co.jp/bto/game_pc/FinalFantasyXV.html
「FFXV」のPC版は、「ハイスペックなゲームタイトルが、まさにキタ! と言う感じでした」
――2017年の8月に欧州で開催されたゲームショウ「Gamescom」の時に「FFXV WINDOWS EDITION」の概要が発表されました。初めてスペックなど、ご覧になった時、どういう感想をお持ちになられましたか。
山田氏: ゲーム自体は既に2016年に発売されていたので、インパクトという意味ではあまり衝撃は受けなかったですが、ルミナスエンジンベースのグラフィックに更なる磨きが掛かり、エフェクトやライティング、シャドウなどの表現を⾒ていると、改めて「すごいな」と思いましたね。PCでしか表現が出来ないグラフィックスという事に大きな意義があると思います。
――NVIDIAと協力体制を敷き共同開発されていましたからね。
山田氏: そうですね。さすがだなと思いますし、うちもNVIDIAのグラフィックスに関しては特にハイエンドな製品は結構売れていますので。
――なるほど。今回、水冷の推奨PCを発売されていますが、そのこだわりを伺いたいと思います。
山田氏: 水冷にすることで、パフォーマンスを優先させたということです。とはいえ、価格にそこまで響いてはいません。「Hydro」シリーズでCPUとビデオカードがダブル水冷されることによっての価格差も、普通の空冷よりおそらく1万円程度しか変わりません。
冷却性能は高いですし、静音性についても絶対的な裏付けというのも、サイコムのホームページでも検証結果などで掲載していたりしますので、その結果を見て納得されて買われると思います。お金はかかりますが、メンテナンスフリーですから、デュアル水冷にすることによるメリットは大きいと思います。
――確かにスペック的にハイエンドな構成であることを考えると、こういった高額な商品を購入されるお客さまであれば、水冷を購入される方のほうが多いかもしれませんね。
山田氏: はい、そのほうが多いですね。20万円~30万円近くのゲーミングPCを売るとなると、購入層は限られます。サイコムでは(会社の規模を考えると)数を売る事を考えても、大手メーカーには勝てませんから、他とは違うものということで、デュアル水冷などに力を入れていますし、そういった購入者層については、弊社に来ていただいてると思っています。
――「FFXV」をプレイされる方にも、ハイスペックを求めるのであれば、水冷で安定して動くことをアピールしたいということですね。
山田氏: そうですね。それと、ほとんど無音と言われるくらい静かです。負荷がかかった時でも。
――それは大きなポイントですね。なにせ、負荷が掛かると一気にファン回ってうるさくなってしまいますから。
山田氏: 水冷であれば、ラジエーターファンは、12センチファンで800回転くらいでずっと回っており、ほとんど音が聞こえないレベルなんです。
――例えば、CPUとGPUの選定理由はありますか?
山田氏: 本当にハイパフォーマンスを求めてらっしゃる方ですとか、エンスージアストと呼ばれるお客さんが指名で購入しているので。CPUやGPUもそういったお客さんに合せて採用しています。
今回はGeForce GTX 1070 Tiを採用していますが、GeForce GTX 1070 TiはバランスのいいGPUなんです。実際のところ価格はGeForce GTX 1070とGeForce GTX 1080の中間で、パフォーマンスは限りなくGeForce GTX 1080に近いので、どちらかというとお得だと思います。うちもGeForce GTX 1070 Tiで「FFXV」ベンチマークソフトを回していますが、快適ですよ。
――では、GeForce GTX 1080 Tiにしなかったのは、GeForce GTX 1070 Tiで十分と言うことでしょうか?。
山田氏: そうですね。GeForce GTX 1070 Tiで十分なんですが、お客様のご要望があればGeForce GTX 1080 Tiにアップグレードは可能です。
――ちなみに、「FFXV」のベンチマークソフトが2月にリリースされましたが、実際に回された感想はいかがでしょうか?
山田氏: 回しました。いや、綺麗の一言に尽きます。GPU、CPU、メモリ等システムのリソースを上手く使っているので、システムトータルでのパフォーマンスの指標を探るのには最適なソフトであると思います。
――なるほど。
山田氏: 確かに、「ファイナルファンタジーXIV」ではフルHDで最高画質に設定してもGeForce GTX 1050 Tiでも快適なのですが、「FFXIV」では敷居が上がっているように感じます。それは我々のようなシステムビルダーにしたら、やりがいがあります。最高の画質でプレイするのであれば、お客さんは、やはり高パフォーマンスなビデオカードなどを装着しなければならないということですし。
――他のメーカーさんともお話しをしてると、「(ベンチマークは)思ったより重いと思った」いう方が多いですね。
山田氏: そうですね、はい。
――当然ですけど、ベンチマークソフトが重いことが悪いわけではないですからね。
山田氏: そうですね。
――より技術の進化が求められるという指標ですからね。
山田氏: ありがたいですね、そういう意味では。そういう例でいうと、昨年の「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」なども最適化は進みましたが、リリース当初は非常に重くて、それでお客さまはGeForce GTX 1080とかGeForce GTX 1080 Ti搭載PCが比較的よく売れました。今回も期待できるかと思ってます。
4Kまでは行かなくても、フルHDで最高画質でも、GeForce GTX 1060以上は欲しいですね。
――国産タイトルでそういった最先端のタイトルが出てきたのは大きいですよね。
山田氏: そうですね。NVIDIA GameWorksとか、最適化もかなり進んできていると思うので、プレーヤーはPCに投資すればしただけ、その費用対効果が得られるわけです。「FFXIV」ですと、GeForce GTX 1060とIntel Core i5以上でしたら体感差は少ないですが、「FFXV」ですと、GPUやCPUをアップグレードすることで変化が体感できますから。CPUをアップグレードして、ビデオカードをアップグレードすれば、パフォーマンスやフレームレートが上がるのはいいですね。
――そのほかに、開発にあたってこだわったポイントはありますか。
山田氏: 「Hydro」シリーズに関して言えば、すごく大変でした。ファンの位置からファンの向きまで試行錯誤を繰り返しました。自由度の高いケースなので、CPUのラジエーターやGPUのラジエーターの向きをはじめ、CPUを背面に置くのか、それとも天板に置くのか、それともCPU、GPUふたつとも天板に置くのか……などなど、テストを行ない検討に検討を重ねました。吸気ファンも吸気なのか排気なのかとか、だからもう無数に検討事項はあるわけです。本当に無数のコンビネーションがあるのですが、それを1番冷却性能が良くなおかつファンの回転数も上げない、1番バランスを取るという組み合わせを探るのが大変でしたね。
――それぞれテストされたのですね。
山田氏: はい、もう半年くらいかかりましたね。
水冷ユニットも市販のものではなく、アセテックのOEMなんです。アセテックで作っていただき単体で購入し、ビデオカードもうちの方でバラバラにして、水冷化されたビデオカードをうちで作ってるんですよ、実は。
――丁寧にサイコムさんで1つ1つ手作りなんですね。
山田氏: 社内でヒートシンクを取り払ってグリースを塗り、水冷ユニットを取り付けてるんです。
――かなり手が込んでますね。
山田氏: 手がかかってますね。開発にあたってテストだけでも半年ぐらいかかって、最適解を探ってますし。さらに前述の通り製造にも手間をかけているので、大変です。
また、推奨モデルではありませんが、近日中にはSLIモデルも発売する予定です。これも全部手作りで生産予定です。
――特に上の方を目指している方は、SLIを試してみたいと思われますよね。
山田氏: 50万円や60万円でPCを購入されるお客さんもいらっしゃいますから。
――最後にユーザーさんに向けて一言お願いします。
山田氏: おもしろいゲームをプレイするのであれば、PCもやはりこだわった方がいいと思うので、是非こだわって頂きたいですね。ゲームをするだけのツールではなく、長く使いたいもの、安心して使いたいものは何かということを考えて、選択する時にサイコムを選択の中に入れていただければと。
――それだけこだわって作っていらしゃるって事ですよね。
山田氏: はい、そうです。
――ありがとうございました。
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