インタビュー

【特別企画】「FFXV WINDOWS EDITION」推奨PCのこだわりをメーカーに聞いてみた!

第3回:ゲーム制作者の意図を汲みとりながらゲーミングPCを作る。サードウェーブ「GALLERIA ZZ」

1月16日 発売

価格:279,980円(税別)※価格は掲載時点

 プレイステーション 4で「ファイナルファンタジーXV」(FFXV)が発売されたのが2016年11月のこと。発売後も単なるダウンロードコンテンツの配信だけではなく、システム面でも進化を続けている「FFXV」。そして遂に3月6日に大型アップデート「FFXV ロイヤルエディション」のリリースと同時に待望の「FFXV WINDOWS EDITION」が発売となった。

 「FFXV WINDOWS EDITION」は、グラフィックス面ではNVIDIAと共同でゲーム用ライブラリ「GameWorks」を導入しゲームエンジンを強化。Native 4Kはもちろん、最大8K、HDR10、DOLBY ATMOSにまで対応し、究極の「FFXV」が楽しめる。また、Windows版ならではの楽しみとして、MODへの対応も予定されている。

 そんな「FFXV WINDOWS EDITION」の発売に先駆けて各社から一斉に推奨PCが発売された。基本的に推奨PCはメーカー検証のもと、該当するゲームを楽しめるスペックを有しているPCとして発売される。だが、もちろん各メーカーとも、価格が違うのはもちろん、CPU、GPUをはじめ、採用パーツが全く違っていて千差万別。そこにはゲームへの思いと共に、こだわりが詰まっているはずだ。ということで、今回は「FFXV WINDOWS EDITION」を発売する各メーカーにインタビューを行なった。

 第2回目は、多数のゲーミングPCを発売し、安定した動作と安心感でゲーマーから定評のあるサードウェーブにお話を伺った。サードウェーブはCPUにCore i7-8700K、ビデオカードにGeForce GTX 1080 Tiを採用したパワフルなモデルを用意している。この商品について、同社のマーケティング本部ゲーミング事業部シニアスペシャリスト桑園 勉氏とデジノス事業部マーケティング本部のゲーミング部門スペシャリスト・プロダクトマネージャーの瀧吉佑介氏に伺ってみた。

ファイナルファンタジーXV WINDOWS EDITION 推奨パソコン GALLERIA ZZ

GALLERIA ZZ

【スペック】
・CPU:Core i7-8700K
・GPU:NVIDIA GeForce GTX 1080 Ti 11GB
・チップセット:インテル Z370
・メインメモリ:DDR4 SDRAM 16GB PC4-21300
・ストレージ:500GB SSD/3TB HDD
・光学ドライブ:DVDスーパーマルチドライブ
・電源:800W 静音電源 80 PLUS Gold
・OS:Windows 10 Home
・価格:279,980円(税別)~ ※価格は掲載時点

http://www.dospara.co.jp/5shopping/detail_prime/13/733/7549/0/

ゲームメーカーさんのゲーム制作者の意図を汲みとりながらゲーミングPCは制作されている

マーケティング本部ゲーミング事業部シニアスペシャリスト桑園 勉氏(右)とデジノス事業部マーケティング本部のゲーミング部門スペシャリスト・プロダクトマネージャーの瀧吉佑介氏(左)

――まず最初に「ファイナルファンタジーXV WINDOWS EDITION」の推奨パソコンを企画するにあたって、タワー型と小型のものと2つご用意されていると思うのですが、なぜ2つに分けられたのか、その理由からお伺いできますか?

桑園氏: ゲーミングPCは(グラフィックスなどのパワーを必要とすることから)普通に作ると大型の筐体になってしまうのが当たり前ですし、お客様から求められているのもハイパワーなPCが多く、まずはベースとして大型のハイスペックモデルを設計しました。その上で、その性能を極力落とさないようにしながら、実際に机の上や側のスペースに置けるマイクロモデルや、最近ではそれ以上に小型のものも出してはいるのですが、そういった形で実際に使われる方の環境に合わせて、いくつかサイズを作っています。

 高性能であることが前提ではありますから、まずはATXのタワーモデルを出し、そのタワーモデルから性能をいかに落とさないで、実際に置いてもらいやすい、使ってもらいやすいモデルに小型化するというところです。あとは性能的に満たせれば、今回のようにラインナップ上に2つのモデルを用意させていただくとか、そういう形で対応しています。

――では、技術優先で高性能モデルを用意してマーケティング的に小型化されたモデルも用意すると言うことですね。

瀧吉氏: そうです。「GALLERIA」というブランドは、弊社の3つのブランドの中でも「最新であること」と「最速であること」という役目を担っています。「最新」、「最速」というのは、ゲームユーザーさんからも非常に求められているところではあるので、技術優先でモデルを用意するという側面が強いです。

――今回の推奨PCでCPUとGPUの選択肢が色々とあるかとは思うのですが、なぜCPUにCore i7-8700K、ビデオカードにGeForce GTX 1080 Tiを採用されたのでしょうか? 組み合わせは他にもあったかと思うのですが、今回の選択の理由を教えてください。

瀧吉氏: 「FFXV」の推奨になっている「GALLERIA ZZ」という型番の製品が、もともとラインナップ上のハイエンドにあたる位置にありますので、CPUとGPUに関しては必然的にコンシューマ向け製品の1番上のパーツを選択しています。

――これがあれば、「FFXV WINDOWS EDITION」を4Kでプレイできるようになると。

桑園氏: たとえば、よりハイエンドな製品として当然Core i9といった製品もありますし、実際に我々もウルトラハイエンドと称する製品ラインナップを用意しているのですが、一般的な価格帯を越えてくるので、そういう意味では「GALLERIA ZZ」は技術優先ではありますが、実際に使っていただくお客様の想定されている価格に合わせて、ウルトラハイエンドとは違い、ハイエンドなモデルを用意しています。

 「FFXV」をプレイされるのはあくまで一般のユーザー様が想定されているので、ハイエンドな製品の中では、Core i7-8700KとGeForce GTX 1080 Tiという組み合わせはもう絶対という感じですね。

――ちなみに、GeForce GTX 1080 TiのSLI構成などは考えられなかったのでしょうか?

桑園氏: SLI構成という条件自体は、スクウェア・エニックス様の仕様書には明文化されていないですが、選択肢としてはありえました。ですが、さっき言った通り、高価な価格帯に入ってしまうので、我々としては製品ラインナップ化を見送りました。

瀧吉氏: Core i7にGeForce GTX 1080 TiのSLI構成にしてしまうと、10万円くらい高価になってしまいます。そうなってしまうと40万近いパソコンになってしまって、ゲームの目的としてはもう越えているのではないかと。売れるか売れないかでいうと実は意外と売れるのですが、大半の方は買えないモデルになってしまいます。ゲームをプレイしたいという方が実際に買えることが重要だと思っています。

――ちなみにゲーマーのハイエンドの設定を御社ではどれくらいの金額だと考えておられますか?

桑園氏: 実際に買っていただいている金額でいくと20万円前後です。我々が設定しているモデルでいうと、「ZV」から「ZZ」はハイエンドととらえていて、金額で言うと18万円から25万円くらいです。ですので、20万円前後に集約されていく感じです。

瀧吉氏: そういった価格帯を超える、CPUがCore i9でビデオカードをSLI構成で搭載したモデルを購入される方達は、想定ではゲームを純粋に楽しむと方達いうよりは、例えばベンチマークであるとかハードウェアに興味を持っておいでの方々のようです。そうすると、そこにゲームタイトルの「推奨」という冠を付けて販売をさせていただいたとしても、それは一般のゲームユーザーさん向けではなくなってしまうのかなというイメージではありますね。

――特に「推奨」を付けた商品ですと、ゲームタイトルが冠されるということですから、きちんとそのゲームが遊べるという意味では、むやみにスペックが高ければ良いということではないということですね

瀧吉氏: いわゆるゲームタイトルの知名度を借りて、我々の技術力をPRするという目的であれば、それでもいいと思うのですが、あくまで実際にゲームを楽しんでいただくためのプラットフォームとしてPCを販売させていただくという意味では、きちんと実勢価格に沿った範囲の価格であることが、お客様も我々も幸せなのかなと思っています。

桑園氏: 今回の「FFXV WINDOWS EDITION」で、スクウェア・エニックス様がアピールされている技術を本当にストレスなく動かそうとすると、先ほど申し上げた40万円代のウルトラハイエンドのPCのほうが快適ではあるんです。

 しかし、そういったハイエンドのPCハードしかなければ、多くのお客様はPCを購入できず、ゲームを体験できるのは店頭のデモ機だけといった状況になってしまいます。それはソフトウェアメーカーさん含めて、誰もが思ってないところになってしまうと思うのです。技術展示をするわけではないので、実際に「買える」ということが重要かと思います。

瀧吉氏: ただし、「FFXV WINDOWS EDITION」の最低動作環境を見れば、フルHDをターゲットにした15万円程度のPCでもたぶんそんなにストレスなく動くはずなんです。しかし、今回スクウェア・エニックスさんが大きく打ち出している「ネイティブ4K」に対して、これが動くPCをユーザーさんが探したときに、「フルHDで動きます」と言ってもゲーミングPCは売れないと思うんです。

 そういったところは、やはり長くやってきている中で、ゲームメーカーさんがリリースするゲームでどういうものをユーザーさんに感じてもらいたいのかをきちんとくみ取って、そこに対して適切なものを商品として用意しなければなりません。

桑園氏: 一般論として、ゲーム会社さんからは「推奨PCのラインナップに、あまりスペックが高いものを加えないで欲しい」というリクエストを頂く場合があります。これは、ゲームタイトルを遊ぶのには高いPCが必要なんだというイメージを持たれたくないのが、ゲーム会社さんの本音なんですよ。

 ただし我々はそれに対して推奨PCを複数ある程度ラインナップさせることでカバーさせていただいています。それはお客様がどれくらいゲームを楽しみたいかの幅によるじゃないですか。ライトに楽しみたい方はちゃんと推奨の認定をとっているコストが安いものをお求めになります。でも、ゲームをプレイしながら、実況配信もするとか、ボイスチャットしながらゲームをするとか、ゲームの楽しみ方そのものは幅広くあるものなので、お客様のご予算の中で買えるように、我々はたくさんラインナップさせていただきたいので「上のモデルも出させてください」という話をするんですね。

 ネイティブ4Kで「FFXV WINDOWS EDITION」を1番楽しんでいただくためには、「ZZ」、Core i7-8700KでGeForce GTX 1080 Tiが最適だろうと思っています。

瀧吉氏: 「FFXV WINDOWS EDITION」の推奨スペックは、最低動作環境と推奨動作環境と4K動作環境という3つに分かれているので、そういった意味ではフルHD前提のところがターゲットになってきますから、追加モデルはGeForce GTX 1060やGeForce GTX 1070 Tiを搭載したフルHDをターゲットにしたモデルだったりするのですが、まず最初に出すのはやはり「ネイティブ4K」だと思いますので、そこにあわせたラインナップを用意しました。

――ゲームメーカーさんのゲーム制作者の意図を汲みとりながらゲーミングPCは制作されているんですね。

瀧吉氏: 我々としては、やはりゲーム会社さんが意図した表現をきちんと楽しめるようなゲーミングPCを用意しなければと思います。あくまでもゲーミングPCをやっている我々としては、ゲームがないと成立しないので、それを作りだすゲームメーカーさんの思惑を受け取れるだけ受け取らなければいけないというスタンスはやはり強いですね。

電源や各種パーツ構成にも一家言あり!

――去年の夏、ドイツで開催されたGamescomで「FFXV WINDOWS EDITION」の必要スペックが発表され、最新映像や技術仕様などが発表されましたが、その時にはどんな感想を持たれましたか?

瀧吉氏: それはすごくシンプルに、「SLIモデルが売れるかな」というのは思いました(笑)。

――なるほど(笑)。グラフィックスも美しいし、PCとしてのパワーも必要だから、SLIモデルが必要だと?

桑園氏: コンシューマから「FFXV WINDOWS EDITION」というPCの市場に向けて移植される際に、NVIDIAの最新の技術を使ったAnselであったりとか、もっとPCとして楽しめる部分が増えてくるので、それを本当に追及したいと思う人には、より高性能なモデルを発売しても購入いただけるとは思うんですよ。

 でも、冒頭の話に戻りますけど、ではその本当にその少ないユーザー層を狙って製品をリリースするというのが、今回のこの推奨PCに取り組まさせていただく目的とはちょっとズレるかなと思っていますので。

 あとはPCの話題からは離れますが、8Kのモニターをどうするんだろうとは思いました。

――当時、スクウェア・エニックスさんに取材した時に「8Kのモニターがあれば動くのですか?」と聞いたのですが、「いや、今のPCでは少し厳しいですねよね」と返答されましたね。

瀧吉氏: もともと1番初めにいただいたスクウェア・エニックス様の仕様では、GeForce GTX 1070以上と言われていたのですが、次に頂いた仕様書では、GeForce GTX 1060まで落ちたんですね。それはおそらくソフトウェアが最適化された結果、低スペックの製品でも動作するようになったと思うんです。

 そういった意味で、自分のPCで重いと言われているタイトルがどれだけ快適に動くのか? それって指標みたいな部分があるじゃないですか。そういったことを試してみたいと思うので、もう少しハードもソフトも進化して、4K映像や8K映像でもある程度フレームレートが出るようになったという技術検証などが出始めると、皆さん結構興味を持たれるとは思いますね。

桑園氏: 我々も、「ZZ」は「ネイティブ4K」をターゲットにしている部分はあります。8Kのモニターを用意することを考えたら、ネイティブ4Kのモニターは入手は簡単ですので、ネイティブ4Kの環境を揃えてゲームを動かせるとしたら、そこはまず「ZZ」みたいなクラスのPCが必要になってくるだろうと。今あるPCで動かしたらどんなふうになるのかというところは指標というか、どれくらい動くかで、自分のPCの性能が不足しているかどうかを判断頂けると思います。

――それが購入動機に繋がりますね。CPU、GPUはPCを構成する大きなパーツですが、そのほかのパーツの選定基準ですとか、ストレージ系の採用ポイントですとかいろいろあると思うのですが、そのあたりのバランスなどはどのように考えられていますか?

瀧吉氏: これはGALLERIAシリーズすべて、特にハイエンド系のGALLERIAでは間違いないのですが、基本的にSSDとHDDをセットで構成するようにしているんです。価格帯を少し下げたいがために、SSDのみになっていたり、HDDのみになっているモデルもラインナップ上は存在するのですが、基本的にはGALLERIAはSSDとHDDセットで搭載するようにしています。

 SSDはOSやゲームの起動が早くなるという利点がありますが、ゲームはローディング時間が非常にかかりやすいものなので、ゲームにおいては起動が早くなるというよりは、ローディング時間が短くなるという効果がすごく大きいので、まずメインドライブにSSDを入れるというのはGALLERIAの基幹部品のこだわりとしてあります。

 ではなぜHDDを付けるのかというと、PCとしての使い方を想定したときに、いまSSDの容量は500GBでしたり、最近は600GBというのを使い始めているのですが、おおむね1TBの無い状態です。これはPCとして使っていただく上で、動画や音楽、写真などデータを保管するという部分に関しては足りないんですね。そうなってくるとHDDが絶対に必要なので、もうこの2つは最初からセットでつけようと考えています。

 ですが、ラインナップ上、下の方にいくと価格が優先になりますので、速さを取るか容量をとるかという選択をお客様に選んでいただいたりとか、足りない部分は我々の得意分野であるカスタマイズとしてご提供させていただくと。

 ただ、ハイエンドのGALLERIAに関しては、足りなければ容量を増やしていただければよいのですが、最初から用意させていただくものも、メインドライブは早く、サブドライブとして保存用としてきちんと役割を分けたものを用意するようにしています。

 もう1つ地味な存在ですが、電源周りなどは、基本的に80PLUSという認証電源を必ず採用するようにしていますし、「ZZ」ですとGOLD認証を取っているものを入れています。カスタマイズの選択肢だと最高のチタニウムなどをを入れたりするので、基本的には長く使っていただけるように、電源やケースのエアフローなど、あまりスペックに出てこないところが重要と考えています。

桑園氏: 特に電源はそうですよね。安定供給されているというのが大きい。

瀧吉氏: 性能追及するとき忘れがちなのは、電源が不安定なものではそもそもPCの性能が出ないということですよね。あとは、ビデオカードは補助電源もかなり使いますが、補助電源まで必要になるようなビデオカードは電源供給が不安定になればパフォーマンスがどんどん落ちていきますから。例えばベンチマークなどにも影響が出てきますし、そういったところは実は手を抜けないのですが、意外と価格を優先すると電源周りが手薄になりがちですので。

――どうしても、SILVER認証やBRONZE認証にランクが落ちてしまいますよね。

瀧吉氏: 我々もSILVERとかBRONZEを使わないわけではないのですが、やはりそれはトータルのバランスとしてその電源でも問題がないという判断をしていますし、逆にハイエンドクラスのPCでパワーを必要とするコンテンツを常時プレイすることを想定すると、相当負荷がかかることが前提となってきますので、きちんとした認証をとっている電源など、あまりスペックとして出てこないところが重要なんですね。

――ハイエンドだからこそ、そういう部分が重要であり、そこはきちんと押さえられているということですね。

瀧吉氏: あとは、先ほど言ったようにBTOのカスタマイズで選択肢としてはずっと提供し続けているのですが、ユーザーの方のリテラシーというところで、「80PLUS」と言っても電源の変換効率など普通はわからないのが当たり前ですから、そういった部分に対して我々がノウハウとして最初から入れています。

 我々は、ゲーミングPCの日本BTOメーカーとしては1番古いので、そういった意味ではノウハウもあり、どれくらいの性能が必要かは経験則的にわかります。また、我々が所属しているゲーミング部は基本的に全員ゲーマーなので、ゲームに対しての要求スペックとかの勘所は、もともと備えています。

 そういった意味では、今回はNVIDIAのGame Worksなど今まで影に隠れがちだった部分に対して日の目が当たるというところとかに興味津々だったりするので、どちらかと言えば、この重いソフトをPCパーツを組み合わせることで動かして、何が起きるのかというところに興味がありますね。ベンチマークソフトのスコアが低ければどうやったら上げられるのかということですね。

「ベンチマーク」は重いが、Anselで様々な要素が明らかに?

――「FFXV WINDOWS EDITION」のベンチマークソフトが2月の頭に出ましたが、実際に回されたていかがですか?

瀧吉氏: 重いです。

――思ったより重いですか?

桑園氏: 1つ驚いたのは、ベンチマークでAnselが動くのがすごいと感じました。これは「FFXV WINDOWS EDITION」にすごく期待しているところでもあるのですが、ゲームをプレイする楽しみは、当然コンテンツを消化していくことにつながるじゃないですか。でも一部のユーザーさんは、毎日ゲームで用意されたデイリーのミッションをクリアすることだけに重点を置いていないんです。いわゆるロビーで他のプレーヤーさんとチャットしたり、ベストな撮影ポジションを見つけて撮影するなど、違った楽しみ方をされている方も多いのです。

 ユーザーさんから実際に聞いたのは、自分の家のPCのスペックが高画質に対応していないから、わざわざネットカフェに行き撮影をするというユーザーさんもいらっしゃいます。「FFXV WINDOWS EDITION」では、(ゲーム内で)写真撮影を行なうことができますが、Anselで自分のベストなアングルというものを再現できますよね。今までムービー画面が綺麗なのは当たり前でした。でも、ムービー画面で自分の好きなアングルで撮影するには、一瞬を探すか、もしくは妥協しなければならないことがあったと思うんです。

 ですが、Anselが採用されたことによって、本当に自分の好きなアングル……ユーザーさんによって構図からキャラクターに対する角度とか、色々なこだわりのポジションなど再現できるのは本当にびっくりしました。

 実際にベンチマークソフトで一時停止したうえで、キャラクターの一部にすごく寄ったり角度を変えたり、再現できるのが面白かったです。今まで(ただゲームをプレイするだけでは)構図として見えなかったところまでしっかり描画されているため、「この場面で他のキャラクターってここにいたんだ」みたいな部分がわかったりとか、ユーザーさんは「FFXV WINDOWS EDITION」を皮切りに、違う楽しみ方もどんどん普及していくんじゃないかと思います。

――普通のゲームですと、画面に映らない部分は描画を端折ってコストダウンをはかることが重要になすが、映らない部分まで描画されているから、Anselで見ることができるのでしょうね。特に「FFXV」はキャラクターと一緒に旅している感覚が非常に重要なゲームですから、おっしゃる通り、「ここに居る」という感覚は大切ですね。

桑園氏: ベンチマークのほぼラストあたりの戦闘シーンなどは、結構キャラクターがばらけていて、画面外にいるんですね。そのシーンなどで敢えて止めて見ると、きちんとキャラクターが動いているぞということがわかったりするので面白いですね。

 Anselはあまり脚光を浴びてきていない機能でしたし、我々も正直あまり重要視してこなかった部分でもあるのですが、今回「FFXV WINDOWS EDITION」の楽しみ方として、「自分だったらこう撮る」みたいなことが実際にできるようになると、それをシェアするという遊び方もできますよね。

――写真コンテストをメーカーさんと一緒にやるという手もありますね。

桑園氏: そうですよね。

瀧吉氏: 実際、ベンチマークソフトでもAnselの機能を使って撮影はできますから、現実にコンテストをやれたら面白いですね。そもそも高品質で出すにはハイスペックなPCが必要ですしね。

――そこは重要ですよね。

瀧吉氏: それと、NVIDIAのGame Worksに関して、高品質設定の時にほぼすべての機能を使って描画されているというのが、Andelで止めて見ると確認できるんです。ゲームをプレイしているときは熱中しているので、そういった技術的な点について実感できない時もあるのですが、それをしっかり見ることができるという点でもこのベンチマークソフトは今までとは毛色が違うかなと思います。ただ綺麗なだけではなく、バックグラウンドにあるNVIDIAの技術とかが、見ようとしたときにきちんと現われていることがわかりますので。

 普通は自分のPCでベンチマークを回すときは、高品質などの設定でどれくらいの数値が出るのかということしか興味がないんですよ。でもこのベンチマークでは敢えて品質を下げた時と、上げた時で画面上で何が変わるのかというところがわかるという点で、たぶんあまりないベンチマークだと思います。

桑園氏: キャラクターに寄れるというのはすごいですね。

――そういうところも注目ポイントですね。

「GALLERIA ZZ」の「FFXV WINDOWS EDITION」ベンチ結果
(サードウェーブ調べ)

「MODの導入で、ユーザーから長く愛されるタイトルになって欲しい」

桑園氏: もう1つ、「FFXV WINDOWS EDITION」だけの機能として注目しているのはMODですね。

 おそらく国内のデベロッパーさんやパブリッシャーさんの比較的歴史のあるタイトルで、初めてMODが導入されるじゃないですか。公式に公開された映像でNPCをサボテンダーに替えるという映像が出ていましたが、非常に好ましいことだと思います。

 日本ではMODなどが受け入れられないことが多く、海外の一部のタイトルでだけそういうのが流行っていましたから、感度の高い海外のタイトルをよく遊ぶ方のみにMODという文化が定着していました。これを機に、いままでMODというものを聞いたことも触れたこともなかった人が、MODの存在を認識されたと思うんですね。日本の一般の方がMODをプレイして自分も作ってみたいと思われることによって、日本のゲーム開発者さんが増える一因になればいいなと思っています。

 今までは、クリエイターを目指した方がそのままクリエイターになることが多かったのですが、趣味の範囲でMODを作ってらした方がその技術やセンスを買われて、クリエイターになるというパターンが日本でも生まれれば、新しい風土というか流れに繋がっていくんじゃないかなというのは、観た瞬間に思いました。

 我々としては、PC版が出てくれることはものすごく歓迎できると共に、コンソール版とどう違いを付けてもらえるのかという部分は、ソフトウェアメーカーさん頼みになってしまいますので、そういったところにMODなど独自の要素が入っているのはありがたいという一言に尽きますね。

桑園氏: 単なる移植ではなく、PCならではの楽しみ方がそのタイトルに含まれていれば含まれているほど、我々としては一緒に取り組まさせていただく意味というものが見出しやすくなりますから。単なる移植の場合にはゲームメーカー様と取り組まないというわけではないのですが、我々としてもPC版ならではのポイントがたくさんあればあるほど、お客様にハードウェアの優位性をおすすめしやすくなりますので。

――最後に、今後の「FFXV」に関して期待することがありますでしょうか?

桑園氏: 「FFXV WINDOWS EDITION」は、パッケージのソフトとして、いわゆる売り切りではないじゃないですか。今後DLCでしたり、いわゆるコンシューマのゲームとは違う楽しみ方を、おそらくスクウェア・エニックスさんがこの「FFXV」で実現するためだと思っているんですね。

 その1つがMODでしたり、Anselの取り組みだったりだと思うんです。いわゆる新しいゲームが出てクリアして終わりというわけではなく、どんどんコミュニティを形成して、ファンの方にずっと愛されるタイトルというものを目指していらっしゃるんだと思うのです。Anselでのスクリーンショット撮影でしたり、MODだったりを通して新しいファンを獲得していく。「FFXV WINDOWS EDITION」を軸足にどんどんファンの方がコミュニティを作っていくようなタイトルに成長していただければ、我々としても応援のし甲斐があるなと思っています。それが期待する大きな部分です。

瀧吉氏: あとはそれを受け、製品側としては、今回用意した「ZZ」というのはあくまでもスタートラインというか、「FFXV WINDOWS EDITION」がスタートするにあたってできるとされていることはすべてできるようにするつもりで送りだしてますし、今後ゲーム自体が発展していくことによって、増えていく機能や、PCならではの部分というのがよりハイスペックな処理が必要とされてくるのであれば、それに応じられるものを、我々としてもアップデートして応えていくだけです。

 スクウェア・エニックスさんとしてできることを、「FFXV WINDOWS EDITION」に詰め込んでいただければ頂けるほど、クリエイターさんたちが思った通りのことを表現できるようなハードウェアをユーザーの手元に届けられるよう、どんどん世に出していくということが役目ですので、そこにちゃんと応えられるスペックを実現したいと思います。あとはその商品がきちんと買えるというところのバランスをとって送り出していきたいですね。

――ありがとうございました。