インタビュー

“歴史”に輝く変形合体! 「超合金 トイ・ストーリー」インタビュー

超・超合体! 「トイ・ストーリー」へのリスペクトを込めた“回答”とは?

【超合金 トイ・ストーリー超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター】

11月25日発売予定

価格:18,900円(税込)

【超合金 トイ・ストーリー超合体 バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ】

2017年1月27日発売予定

価格:18,900円(税込)

2体の「トイ・ストーリー ロボット」が超・超合体して「超・超合体 ガングレートキング」に! 驚きのギミックを実現した商品だ
本商品の企画担当者、バンダイコレクターズ事業部の寺野彰氏

 バンダイコレクターズ事業部がおもちゃショーで電撃的に発表した「超合金 トイ・ストーリー 超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター」。ピクサーの協力による商品で「トイ・ストーリー」のウッディを中心に5体のキャラクターが“超合体”し、「ウッディ ロボ・シェリフスター」となる。

 今回さらにウッディの親友バズ・ライトイヤーを中心とした「超合金 トイ・ストーリー 超合体 バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」も発表された。しかもこの2体の“超合体ロボ”は、“超・超合体(スーパー・ちょうがったい)”し、「超・超合体 ガングレートキング」になるというのだ!

 これまでコレクターズ事業部は「超合金 超合体キングロボ ミッキー&フレンズ」、「超合金 超合体SFロボット 藤子・F・不二雄キャラクターズ」と、2体の超合体ロボを発売しているが、3作目にして、2体の超合体ロボがさらに“超・超合体”するという驚きのギミックを実現した。今回、本商品の企画担当である寺野彰氏に本商品への想いを聞くことができ、試作品を見ることができた。玩具ロボの“新しい挑戦”であり、寺野氏をはじめとした開発スタッフのこだわりの結晶であるこのロボを紹介していきたい。

【超合金 トイ・ストーリー 超合体大作戦 ショートムービー 前編】

シェリフスター、スペースレンジャー ロボ、2つの超合体ロボットが超・超合体する!

ウッディ。フォルムは「トイ・ストーリー」に登場する彼に近く、とても変形するように思えない
今回は試作品を見ることができた。ハムにハッチやエアインテークのような、「ロボットとしての意匠」が盛り込まれている

 「超合金 トイ・ストーリー 超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター」は、「ウッディ」、「ブルズアイ」、「スリンキー・ドッグ」、「ハム」、「レックス」の5体の「トイ・ストーリー」のおなじみのキャラクター達が変形合体する。

 各“ロボット”は、原作のキャラクターにロボット風の意匠でアレンジを施してある。ウッディはテンガロンハットが飛行機になっているし、ハムはメカっぽいダクトやエアインテークのような出っ張りがある。スリンキー・ドッグは足がキャタピラになっており、ロボットっぽい“記号”が取り入れられている。寺野氏が手がけた「超合金 超合体SFロボット 藤子・F・不二雄キャラクターズ」や、「超合金ハローキティ」にも通じる所のあるアレンジだ。

 これらのキャラクターが変形し、合体するのだが、そのアクションはびっくりするほどダイナミックだ。レックスとハムは胴体から大きな金属製の“足”が出てくる。特にハムは胴体から足が出てきて、その空いた空間に頭が入る。レックスはぐいっと体を曲げてまとまる。これらの変形ギミックは公式ページで動画による紹介も予定しているとのことなので、期待して欲しい。

 面白いのは各キャラクターの状態だとどんな変形をするのか想像もつかないところだ。上半身となるブルズアイは特に複雑な上、中心部分にウッディが入るという驚きの合体をする。“変形合体ロボ”を追い求める“超合金”ならではの技術が注ぎ込まれていて、変形ギミックを見ているだけで楽しくなってしまう。

 合体した「超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター」は、あえて合体前の雰囲気を出さない、具体的には合体した各キャラクターの顔が極力見えないデザインになっている。それでいながらスカーフを巻いたような口元や、胸の両脇のチョッキを思わせるエアダクト、ガンベルトを連想させる腰、そして何より胸の中心に輝く保安官のバッジと、ウッディをシリアスなロボットにアレンジしたようなデザインになっている。

 左腕のハサミのような「スター・ワッパー」は敵を捕らえ動けなくさせるという、保安官ならではの武器だ。右腕はブルズアイの胴体に収納されていた馬車型のパーツで、相手をノックアウトする必殺技「バッシャー・パンチ」を放つ。ウッディをモデルとしたスーパーロボット風の設定がきちんと考えられており、デザインに反映されている。親しみやすいデザインのキャラクター達が、合体することでちゃんとヒーローロボットとしてカッコイイ姿になるところが驚かされるところだ。

【試作品をチェック】
原作のキャラクターをきちんと表現しながら、ロボットとしてアレンジされているのが楽しい
超合体! どのように変形しているか、見ていないとわからない部分がある。ダイナミックに姿を変えるのが面白い

【超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター】
ブルズアイ
スリンキー・ドッグ
レックス
ハム
5体が超合体して誕生する「超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター」。各部がどう変形するか想像するのも楽しい
バズを中心にメカとエイリアンが変形合体!
ちょっとずんぐりした体型の、力強さを感じさせるロボット「 超合体 バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」

 加えて、今回発表されたのが「超合金 トイ・ストーリー 超合体 バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」だ。ウッディの“相棒”であるバズ・ライトイヤー、そして2体の「エイリアン」、さらに万能シャトルの「スペースシャトル」、花火ロケットの「ザ・ビッグワン」が変形合体する。

 こちらはスペースシャトルのドームが大きな特徴になる。合体するとこのドームの中にすっぽりとバズがはまるのが面白い。バズは宇宙服を着てヘルメットをかぶってるので、ドームの中ではカバーが2重になったように見える。かわいらしい外見のエイリアンがしっかりした腕になるところも面白い。

 スペースシャトルがギミック満載で大きいためか、「ウッディ ロボ・シェリフスター」に比べると「バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」の合体はわかりやすい。背が少し低いが横に広がったマッシブなデザインも楽しいところだ。ロボットものの“お約束”を当てはめれば、バズ・ザ・スペースレンジャー ロボは“2号ロボ”と呼んでも良いかもしれない。

 「パワー溢れる活躍で1号ロボを助ける2号ロボ」といった想像もできて、楽しくなってしてしまう。茶色が中心のウッディ ロボ・シェリフスターに比べ、色が派手でSF的な雰囲気があるのも、バズのキャラクター性にマッチしている。2つのロボを並べると、“ちょうど実際のウッディとバズの身長差が再現できる”というのが、開発者達のこだわりのポイントだという。

【超合体 バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ】
ウッディの“相棒”バズ・ライトイヤー
バズをサポートするスペースシャトルと、花火ロケットのザ・ビッグワン
2体のエイリアン
全高35cmの超・超合体ロボ「超・超合体 ガングレートキング」
頭部の口の部分からウッディがのぞく。「ゴッドマーズ」のオマージュだという

 さらに、最大の注目ポイントが「ウッディ ロボ・シェリフスター」と、「バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」が“超・超合体”で、「超・超合体 ガングレートキング」になるところだろう。合体したガングレートキングは全高約35cm。2リットルペットボトルの高さが約31cmというところで、その巨大さが伝わるだろうか。

 1号ロボと、2号ロボの合体というのは、アニメの「勇者シリーズ」や特撮の「スーパー戦隊シリーズ」では何度か見られた。その場合は、1号ロボをコアに2号ロボはバラバラになって、1号ロボの足を延長したり、肩に乗っかるなど“強化パーツ”の様になる合体パターンが多かった。しかし、「ガングレートキング」は違うのだ。これまでの“合体ロボの常識”を揺るがせるような、驚きの変形合体を実現しているのだ。

 「ウッディ ロボ・シェリフスター」で胴体を成していたブルズアイは大きく姿を変え左足になる。ハムは変わらず右足ではあるが、サイズが大きくなり、ウッディ ロボでは見えなかったスペースレンジャーのマークが現われる。スペースシャトルが作り出す巨大な肩に繋がる腕は、特にレックスの変形が面白い。

 そして興味深いのが、“超合体”では隠されていた各キャラクターの“顔”が全部外に出て主張しているのが面白い。特に注目したいのはウッディの顔だ。厳ついガングレートキングの顔の部分にウッディの顔がのぞいている。この口の部分に顔が来るのは「六神合体ゴッドマーズ」のオマージュだと寺野氏は語った。ゴッドマーズだと、コアとなるロボット・ガイヤーの顔が、ゴッドマーズの口の部分に来るのだ。他にも様々なロボットのオマージュが盛り込まれているという。

 ロボットの方向性としては、「ウッディ ロボ・シェリフスター」は“西部劇”と、“スチームパンク”。ウッディ ロボの胸のダクトは、酒場にある「両開きの扉」もイメージとしては加わっているという。「バズ・ザ・スペースレンジャー ロボ」は“SFメカ”を意識している。スペースレンジャー ロボは特にバズらしい青と紫のカラーリングを強調している。

 バンダイ、そして超合金というブランドは、これまで様々な合体ロボを扱っている。筆者も興味を持ってみていたが、ここまで凝った合体システムを持っているロボットは少ないと感じた。「トイ・ストーリー」というキャラクター性と、個性的なキャラクターが大きくイメージを変える合体変形というのが最大の魅力ではあるが、“合体ギミック”という視点でも、ロボットファンをうならせるところがある。

 キャラクターとしてのフォルムをきちんと再現しながら、ここまでダイナミックに姿を変える。しかも、“超合体”だけでなく、2体の巨大ロボがさらに合体する“超・超合体”では、部位が大きく変わり、フォルムも大きく変化する。この変形合体はどんなシステムなのか、“合体ロボット玩具の歴史”というものがあるとすれば、「超・超合体 ガングレートキング」はその歴史に大きく記される商品ではないかと筆者は思うのだ。さらに寺野氏の本商品への思いを掘り下げたい。

【超合金 トイ・ストーリー 超合体大作戦 ショートムービー 後編】

「トイ・ストーリー」で描かれる“玩具に抱く子供の想い”に向け、全身全霊を込めた“回答”

 「トイ・ストーリー」のキャラクターがロボットにアレンジされ、合体変形する。ピクサーからこのコンセプトの打診があったのが、この商品の出発点だ。この提案に、寺野氏達開発スタッフは「2体の合体ロボがさらに合体して超巨大ロボになる」という“挑戦”で応えることに決定した。それは、寺野氏自身が「キャラクターが合体して巨大ロボになる」ということをただ繰り返したくなかったからだという。

寺野氏の手の中でダイナミックに姿を変えるロボット達。「変形合体」の楽しさを満喫できる商品だ
超合体では隠されていたキャラクターの顔が出る。親しみやすさが大きく増すのが楽しい
PVでは女の子・ボニーがウッディ達を胸に抱えているシーンが挿入されている。彼女の想像の中ではウッディ達は合体している。ロボットは彼女が思い描いた合体ロボを再現したものなのだ
ボニーが超合体ロボを思い描いたのは、男の子の合体ロボ「トランジトロン」を見たから。手の中の玩具が、子供の想像力で大きく“役割”を変える。「超合体 トイ・ストーリー ロボ」は子供の頃玩具で遊んだ記憶に訴えかけるメッセージが込められている

 「『トイ・ストーリー』のキャラクターが合体する。これを聞いたユーザーの皆さんが『ああ、次はこうか』と何となくだけど、予想できてしまう。でも、ここまでやれれば皆さんの予想は越えられるんじゃないか。そう思いました」。

 さらに「『トイ・ストーリー』は登場キャラクターが多い。とても1体の超合体ロボでは選びきれなかった、という私自身のこだわりもありました。ウッディと、バズ、それぞれをコアにした超合体ロボを作れば、たくさんのキャラクターを登場させられるなと、そうも思いましたね」と、寺野氏は言葉を続けた。

 しかし、本当にそんなことが可能なのか? この難問に応えたのが青木健太氏と、加藤大志氏という2人のデザイナーだった。2人のデザイナーは、「これまでにやっていない合体システムをやろう!」と挑戦心を燃やした。そしてこの複雑で魅力的な合体システムを完成させたのだが、苦労したのは“ロボットっぽい部分”をどう表現するかだったという。「トイ・ストーリー」のキャラクターが変形合体することで大きくイメージを変えた合体ロボとなる。いかに隠すか、そして出して行くかを考えていった。

 さらに寺野氏はこの複雑な変形システムを“実現”できたのは、中国の工場の造形・製作技術があってこそだと言葉を続けた。試作品は設計を実現させることに注力し、精度や遊ぶための耐久度は度外視だが、それをきちんと遊べる「玩具」までレベルアップできるのは、バンダイと共に技術を高めていった中国工場の尽力がなければ不可能だと、寺野氏は筆者の目の前でロボットを変形させながら語った。寺野氏はロボの様々な場所を曲げ、回転させ、かっちり変形させ、しっかり合体させていく。ロボットが大きく形を変え、より大きなロボットのパーツになっていくのは、見ているだけでワクワクする。

 各キャラクターは「トイ・ストーリー」の雰囲気を重視しながらもアレンジを加えている。しかし“アクションフィギュア”のように各キャラクターの関節を設計しているわけではないと寺野氏は語った。キャラクターの中でもウッディは関節が多いがそれはあくまで合体に必要な関節であるという。そしてその関節を活用することで、ウッディはブルズアイにまたがることもできる。

 また、ウッディの帽子は飛行機になっているが、これは合体ロボットのオマージュだ。帽子の頭頂部には保安官の星のマークが描かれているが、このマークが真価を発揮するのは「超・超合体 ガングレートキング」になったときだ。それまでは飾りにしか見えない。ハムの胴体から現われるスペースレンジャーのマークなど、合体の時に現われて初めて意味がわかる仕掛けも多いという。「これはこの時にここに付くのか!」など、細部を見ているだけで驚かされる。

 ウッディ ロボになったときは腰回りが細くなる。またガングレートキングになったとき、ブルズアイの首回りが細く見えてしまう。これを両方カバーする場合、ブルズアイの腰に付いているロケットブースターがうまく被さることで自然なシルエットを作ることができる。ダイナミックな変形、超合体でのコンパクトな変形から、超・超合体での各部位が大きくなる変形、大きく異なる2つの変形をする各キャラクターロボは、デザインの楽しさ、製品の精度に改めて感嘆させられる。「2つのロボットの合体がここまで複雑なのは、ユーザーさんの想像以上にするためでしたが、自分の想像以上に大変でした」寺野氏はロボットを変形させながら、ニヤリと笑った。

 「超合体 トイ・ストーリー ロボ」は“玩具”としての楽しさの大きい商品だ。アニメなどのキャラクターの“立体物”、キャラクターの表現としての“フィギュア”というものではなく、合体変形を大いに楽しめるというところに注力した商品である。関節やキャラクター造形のバランス、ギミックなどは楽しい“合体”を実現させるためのもので、「アクションフィギュアとしては膝が曲がらないとなあ」という意見は、コンセプトからずれたものだといえる。

 また、寺野氏はキャラクターとしての描写、“彼らは何故今回変形合体ロボになったのか?”というところにも強いこだわりを持っており、その想いがPV作成にも繋がっている。寺野氏自身「トイ・ストーリー」が大好きであり、「ディズニー/ピクサー作品」のキャラクターを使って商品を展開できるところに大きな喜びと、だからこその強い気合いで臨んでいたからだという。

 「トイ・ストーリー」のコンセプト自身、「子供が持っている“おもちゃ(玩具)”がもし意思を持っていたら?」というファンタジーがスタート地点となっている。子供は自分が持っている玩具に自由に想像力を働かせ、時には原作と全く違う役割を与える。子供の心の中では、玩具達は全く違う役割を演じる。それは玩具で遊んだことがある子供すべてが共感できる感情だ。

 今回の商品PVでは、その子供が玩具で想像力の翼を羽ばたかせる様子を前・後編の「超合金 トイ・ストーリー 超合体大作戦 ショートムービー」で描いている。このPVではウッディ達が平和に暮らす街に暴走する怪獣「ジャイアントトリクシー」が襲いかかってくる、というストーリーで、ムービーそのものは、カッコイイロボ達の活躍を描く流れとなっている。

 しかし、よく見ると玩具で遊ぶ女の子・ボニーがウッディ達を抱えているシーンが挿入されている。ボニーは男の子が持つ合体ロボ「トランジトロン」に刺激を受け、自分が持つ玩具達が合体ロボになる姿を想像し、「ごっこ遊び」を楽しむのだ。ボニーの想像の中で、ウッディ達は変形合体する。ボニーが画面に映っているとき、玩具達の“配置”がちゃんとウッディ ロボの合体した姿と同じになっているのである。

 ボニーの空想を、玩具メーカーであるバンダイが、そのセンスをフルに使って実現したもの、それこそが「超・超合体 ガングレートキング」なのである! この“設定”を聞くとPVがさらに楽しいものになる。このPV、そしてこの商品に開発スタッフが託した想いを改めて感じることができる。

 「ディズニー、ピクサーという“映像の専門家”にこちらが提案したPVを見せてOKをもらうというのは、ハードルが高いんじゃないか、とも色々な人から言われたんですが、だからこそ全身全霊を込めて打ち合わせをさせていただきました」と寺野氏は語った。世界に様々な作品を提供するというトップクラスの作り手達へ、大きなリスペクトと共にPVを作成したからこそ、このPVを私たちも見ることができるのである。

 寺野氏は本商品を期待しているユーザーに向かって、「まずキャラクターとして『トイ・ストーリー』の玩具の1つとして、この合体ロボット達を見て欲しいです。私たちが全身全霊で応えた“回答”です。だからこそ、ここまでやりました。ぜひ、手に取ってみて、変形合体させてみてください」と語りかけた。