インタビュー
中国で人気爆発! 「KOF XIV」プロデューサー小田泰之氏インタビュー
ついに完成した「KOF XIV」。仕上がりの抱負と今後の方針について聞いた
2016年7月30日 05:00
今年のChinaJoyの台風の目と言えるのがSNKの対戦格闘ゲーム「THE KING OF FIGHTERS XIV」だ。格闘ゲーム大国の日本では、メジャーな格闘ゲームのひとつという印象だが、中国では「KOF」のみ桁違いに人気が高く、「KOF」そのものがひとつのジャンル化している印象で、今回も発表会やステージイベントで中国メディアやゲームファンから熱い注目を集めていた。
先日行なわれたGAMEPOCH Experience Centerの開所式のあと、関係者を集めた合同記者会見が開かれたが、来賓の1人である「THE KING OF FIGHTERS XIV」プロデューサーの小田泰之氏ばかりに質問が集中したため、急遽、小田氏単独のインタビューが組まれたほどで、未だにゲームファンの高い期待を集めているタイトルだということが実感できた。
本稿では中国メディアの主要な質問と、本誌の単独インタビューの内容をまとめたものをお届けしたい。
小田氏「チームを組むだけでもかなり楽しめる」
――今回中文版「KOF XIV」を中国で発売することについて感想をお願いします。
小田氏:大変嬉しく思っています。あとは中国のお客さんに期待にどう答えていくかだと思います。
――中国展開をしてみて、その前後で中国市場の印象に違いはありましたか?
小田氏:ユーザーの反応も含めてそう大きくは違いがなかったというのが正直な所です。
――中国のパートナーと組んだことのメリットとデメリットは?
小田氏:パートナーシップを結ばないと中国展開自体が無理ですね。
――「KOF XIV」では中国語を喋るキャラがいるが声優は誰ですか?
小田氏:日本にいる中国人声優の劉セイラさんにお願いしました。
――中国人キャラクターのインスピレーションはどこから得ましたか?
小田氏:グラフィックスが3Dになったことでいろんな表現が可能になったことの一環ですけど、デザインが上がってきた時は不安しかありませんでした(笑)。 常に新しいもの、変わったもの、ビックリしてもらえるものを探していて、その中で思い付いたキャラクターです。キャラクターが決まってから上海に取材に行きました。
――ラッシュコンボは、「KOF」を遊んだことのないユーザーにとっては親切なシステムだと思いますが、「KOF」に慣れた人が使うとゲームのバランスを壊しませんか? またラッシュをオフにすることはできますか?
小田氏:オフの機能はありません。調整はしっかりしているので問題はないと思っています。ちなみに先週「EVO」という格闘ゲーム大会がアメリカラスベガスであったんですけど、そこに出場する選手たちはラッシュは使っていませんでした。上級者にとってはラッシュを使わない方が強いからだと思います。
――「KOF XIV」は完全新規キャラクターがかなり多いですが、これは何故そのようにしたんですか?
小田氏:今回は全体のキャラクター数が多いので、多く感じられるかもしれませんが、割合としてはこれまでとあまり変わっていないと思います。
――今後「KOF」のIPを使った完全新作の予定はありますか?
小田氏:予定は未定です(笑)。まだまったく決まっていないですけど、出す気はあります。
――過去にPS2で3Dグラフィックスを採用した「KOF」がありますが、今回改めて3Dグラフィックスを採用した感想は?
小田氏:PS2で出た「KOF」は3Dグラフィックスを採用した3D格闘ゲームでしたが、「KOF XIV」はナンバリングタイトルなので、グラフィックスは3Dですが、ゲームは2Dd格闘ゲームになっています。
――中国のゲームファンに対して遊び方のアドバイスをお願いします。
小田氏:キャラクターが凄く多いので、チームを組むだけでもかなり楽しめると思います。そういうところから遊んでみてもらえると嬉しいです。
――もし次作を作るとすれば、キャラクターをさらに増やすつもりはありますか?
小田氏:そのつもりです。ネオジオ時代はメモリの制限でキャラクターが増やせなかったんですが、今はBlu-rayで増やそうと思えば幾らでも増やせますので。
――今回はDLCで新キャラを追加するつもりはありますか?
小田氏:今はその予定はありませんが、世界中から要望が来ているので、リリース後にちょっと反応を見てから、計画していこうか考えています。
――昔からやっている「KOF」ファンと新規ユーザーは、「KOF」の操作性に対してどう慣れていけばいいですか?
小田氏:昔の人は、アーケードスティックじゃないとやりにくいと思うし、新しい人はゲームパッドから入ると思うので、ゲームパッドでも十分に遊べるように気をつけて作りました。
――「DEAD OR ALIVE」のキャラが「KOF」に参加する予定、あるいはその逆の計画はありますか?
小田氏:可能性はありますが、今はまだ具体的な予定はありません。「DOA」に限らず、すべて可能性はあると思っています。
――今回の「KOF XIV」にはナコルルも参戦していますが、なぜ入れようと思ったのですか?
小田氏:人気キャラなので、これまで色々な経緯で入れることができなかったが、今回は思い切って入れたいと思って入れました。
センサーシップでは大量の修正が発生し、主にキャラクターの衣装が変化
――ゲームの開発が終了して現在の感想はいかがですか?
小田氏:ようやく完成したなというところですね。
――やり残したことはありますか?
小田氏:やり残したことは色々あります。それは毎回そうですね。
――同じ格闘ゲームの「ストリートファイターV」では継続的なアップデートで、末永く遊べるゲームになっていますが「KOF XIV」は発売後の計画はどのようになっていますか?
小田氏:そこはどうしようかなと考えているところです。昔は毎年毎年、新作をパッケージで出していましたから、今の時代に、お客さんがそれを望んでいるのかどうかというところですよね。
――日本での予約の状況はいかがですか?
小田氏:まだキチンとした数字は入ってきてないですね。
――今年は格闘ゲームがそろい踏みで「KOF」で役者が揃った感じがありますから、また格闘ゲームが盛り上がると良いですね。
小田氏:そうですね。「EVO」でもかなり盛り上がりましたから、そこは私も期待しています。
――Gamepochさんとの協業はいつから始まったんですか?
小田氏:お付き合いするのは今回が初めてですが、2015年の年末ぐらいからですから結構長いですよね。センサーシップもすべてGamepochさんが中に入ってやってもらっています。
――この体験施設に出展しているのは、中文の製品版ですか?
小田氏:いえ、イベントに出展用のビルドです。「EVO」に出展したものの中文版です。
――製品版とはどこが違うのですか?
小田氏:イベント用のビルドは対戦できるだけで、それ以外のモードがまったく入っていません。
――キャラクター数は?
小田氏:ボス以外全員分の48人入っています。バトルバランス的には製品版の一歩手前ですね。
――この施設はいつまで遊べるのですか?
小田氏:8月末までと伺っています。
――中国の「KOF」ファンにとっては最高の施設ですね。
小田氏:はい、楽しんでいただけると嬉しいですね。
――ちなみにセンサーシップによってどれぐらい修正が掛かりましたか?
小田氏:たくさんです。あまりにたくさんなので一言で言えませんが、女性キャラクターの衣装が異なっています。両方買えば違いがわかっておもしろいと思います(笑)。
――中文版について、かつて台湾で、名前が違うと突っ込まれていましたよね。あれは最終的にどうなったのですか?
小田氏:といっても海賊版で付けられた名前ですからね(笑)。さすがにそれは使えないんですが、馴染みやすい名前のほうがいいのは事実なので、最終的に中国側のスタッフに公式な名前を決めて貰いました。
――「KOF」シリーズの今後の計画について教えて下さい。
小田氏:クリエイターとしては新しいものを作りたいんですが、その一方でプレーヤーとしてはどんどんルールが変わるのは困るので、そこは悩みどころですね。
――発売に向けて抱負をお願いします。
小田氏:熱いファンの声が毎日届いているので期待に添えるように頑張っていきたいです。
――ありがとうございました。