【第4幕】 Reported by:ジョン・カミナリ logo design / manga:フランチェスコ・アッカッターティス |
電遊。辞書に載っていない造語である。電気的な遊び。いわゆる、テレビゲーム。道。その道を、自分の価値観だけを信じて最後まで歩むのが、侍精神である。電遊道は、妥協を許さないサムライゲーマーが歩むべき道。他人に影響されることなく、自分のゲーマーとしての信念を貫き通せばいい。たとえ、ゲームが別の道に進んでも、自分の好きな道をずっと信じ続けるのみ。たとえ、“これこそがゲームの未来形だ!”と言われても、自分の好きなゲームライフを思う存分楽しむのみ。 |
この連載記事では、毎月1回、僕のゲーマーとしての物語、そしてゲーマーとしての哲学や信念を独特なスタイルで紹介していきたいと思う。日本のゲームに大きく影響を受けた僕のゲーマー人生を、イタリア人としての個性を生かして面白く語りたいと思う。あるときは、話題沸騰中のニュースについて掲載ギリギリのところまで正直な感想を書いたり、またあるときは、今でも心に大切にしまっている過去の作品を振り返ってみたいと思う。
1番注目して欲しいのは、「イタヲタのレトロなゲームライフ」というコーナー。僕のオタクとしての青春を文章と漫画を交えて懐かしく振り返りたいと思う。連載の途中で新しいコーナーも生まれるのかもしれない。回を追う毎に中身が変わったり増えたりするのかもしれない。とにかく、サプライズたっぷりの連載を目指しているので、末永くこのページの中で付き合って欲しい!
国籍:イタリア 年齢:35歳 職業:俳優、声優、タレント、テレビゲーム評論家 趣味:テレビゲーム、映画鑑賞、読書(山田悠介)、カラオケ 主な出演作品:銀幕版スシ王子!(ペぺロンチーノ役、デビュー作)、大好き!五つ子(アンソニー・ジャクソン役)、侍戦隊シンケンジャー(リチャード・ブラウン役)、ピラメキーノ(テレビ東京、月曜~金曜 18時30分~19時放送中) ブログ:ジョン・カミナリの、秘密の撮影日記 | ||
イタリアで6年間テレビゲーム雑誌の編集部員として働いたあと、新しい刺激を求めて2005年に大好きな日本へ。子供の頃から夢見ていた役者の仕事を本格的に始める。堤幸彦監督の「銀幕版スシ王子!」で個性的なマフィアのボス、ぺぺロンチーノを熱演。現在もTVドラマやTVゲームなどで、俳優・声優として活躍中。日本語を勉強し始めたのは23歳のとき。理由は「ファイナルファンタジーVII」や「ゼノギアス」などのRPGの文章を理解するため。好きなジャンルはRPGと音楽ゲーム。「リモココロン」のような個性的なゲームも大歓迎。お気に入りのゲームは「ゲームセンターCX」と「ワンダと巨像」。芸名はイタリア人の友達に、本人が雷のように予想不可能なタイミングで現われるからという理由で付けられた。将来の夢は、「侍戦隊シンケンジャー」に出演した時から大好きになった戦隊モノにまた出演すること |
【もくじ】 |
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一刀両断~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~ 傑作の如く~期待している新作TOP5~ 過去の宝物~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~ イタヲタのレトロなゲームライフ~ハプニング満載のオタク人生~ |
■ 一刀両断 ~話題のゲームニュースについて鋭くコメントしちゃうぞ!~
話題のニュースや注目のテーマをピックアップして僕の率直なコメントを載せたいと思う。また、現在のゲームが抱えている問題を解決するアイデアや提案も、このコーナーを通じて考えてみたいと思う。ゲーマーの皆が納得できる未来の為に! |
・今回のテーマは……
最新技術を使ったファミコンゲーム。「METROID Other M」の秘密とは?
「最新技術を使ったファミコンゲーム」。昨日、発売されたWii用の「METROID Other M」のキャッチコピーがすべてを物語っている。派手なグラフィックスに慣れているヤングユーザーと、ファミコンの懐かしいゲームで育ってきたオールドユーザーの両方を納得させられる、ユニークな新作と言えるだろう。ファミコンゲームの遊びやすさと、目も喜ぶようなスタイリッシュなアクションを両立させた「METROID Other M」。そのポテンシャルについて探っていきたいと思う。
この文章を書く前に、任天堂のホームページに掲載された、開発チームへのインタビューをじっくり読ませていただいた。皆さんも知っていると思うが、本作のアクションパートはコーエーテクモゲームスの「Team NINJA」によって開発された。任天堂とコーエーテクモは違うポリシーでゲームを作っているのではないかと思うと、意外とそうではないということがわかる。逆に、この2つのメーカーが抱いている遊びのコンセプトが一致しているのではないかと思った。
シリーズの生みの親である坂本賀勇氏から提示された開発コンセプトは、非常に独特なものだったそうだ。「Wiiリモコン1本で遊ぶゲームを作って下さい」。それを聞いたTeam NINJAのリーダー、早矢仕洋介氏は最初少し戸惑ったという。なぜなら、それまでのTeam NINJAのゲームが多数のボタンを使った複雑な操作方法を採用していたからだ。ずっと憧れていた「メトロイド」を作るきっかけを頂いたのは光栄だったそうだが、難度の高い挑戦でもあった。
ときには、今までのTeam NINJAならではの常識を捨てて、上述の開発コンセプトを具現化したゲームを作る。坂本氏は「もしできなかったら、このプロジェクトはなしでもいい」とさえ考えていたという。その揺るぎない信念があったからこそ、本作の“定義”がしっかりと固まり、前人未到のゴールに向かうことができたのではないだろうか。柱となる目標が最初からはっきりしていれば、最高のゲームが完成する確率が飛躍的にあがるということも確信している。
早矢仕氏たちは坂本氏の言葉通り、Wiiリモコン1本で遊べる、派手な「メトロイド」を本当に作れたようだ。動画を見る限りでは、すべての目的が見事に達成されたと感じた。Team NINJAならではの豪華なグラフィックスやスタイリッシュなアクションを導入しながらも、任天堂ならではの遊びやすさやシリーズのアイデンティティをしっかりと守れていると感じた。FPS路線に舵を切った「プライム」シリーズとは異なり、2Dから3Dへの正当進化であり、原点回帰。まさにそれが、このゲームなのではないだろうか?
Wiiリモコン1本で遊ぶこのゲーム。昔のファミコンゲームのように、Wiiリモコンを横に持ち、移動は十字ボタンで、ビーム、ジャンプはそれぞれ1ボタン、2ボタンで操作する。通常視点で使うボタンは3つだけだ。しかし、この遊びやすさが、単純化を意味するのではない。早矢仕氏が説明した通り、ボタンで実行できるコマンドは状況に応じて変わる。
例えば、敵との戦闘では、敵の弾がサムスに当たる直前に“本能的に”十字ボタンを押すと、その弾をかわすアクションを行なうという。または、Wiiリモコンを縦にして画面をポイントすると、1人称視点のサーチングビューになり周囲の怪しい場所を調べられる。「メトロイド」ならではの“秘密の通路を発見する楽しさ”はそのままに、操作方法がシンプル&直感的になっただけだ。
この見事なアイディアで、操作方法の複雑化によりアクションゲームから離れていたユーザーも、「アクションゲームって、こんなに楽しかったんだ!」と、また感じられるようになるのではないかと思う。
「METROID Other M」のもう1つのキーワードは、その主人公のサムス・アランの心理描写。本作では、過去の作品以上に、サムス・アランという女性主人公の心の葛藤に迫る。アクションパートと違和感なくシームレスに繋がるムービーで、サムスの信念、努力、己との戦いが描かれているという。
本作の演出を手掛けたD-Rocketsの北裏龍次氏は、自信を持って最高の絵コンテを用意したという。北裏氏の手による膨大な量の絵コンテが、綺麗なCGムービーで表現されているそうだ。サムスの細かい目の動きが、見事に感情を伝えている。こういったリアルさが、「メトロイド」シリーズにおいては革命と呼べるかもしれない。そして、この続編だけが持つ魅力の1つだと断言できる。
サムスの内面や人間性まで描かれているという。その瞳に隠された気持ちとは? | 本作の見所の1つは、アクションパートとムービーパートがシームレスに繋がっていること。編集作業が大変だったそうなので、苦労の成果を早くこの目で確かめてみたい | パワードスーツに身を包み、バウンティハンターとして生き抜く強い女性という印象があるサムス・アラン。スーツを脱いだサムスの素顔は、ファンを驚かせるに違いない |
「METROID Other M」。現時点では実際にまだ遊んでいないが(この記事が掲載される頃にはプレイ中)、最高傑作になることは最初の予告動画を見た時に感じた。シリーズを愛してきたファンとしての直感だろうか。
インタビューを読んで、最新動画をじっくり見ただけだが、クリエーターたちの言葉から強い愛情と情熱が伝わってきた。最高のゲームを作ろう、最新のアクションゲームをプレイするゲーマーから、初代「メトロイド」を遊んでいたお父さん世代のユーザーまで、皆が楽しく遊べる続編を作ろう、と。
「メトロイド」的なバックボーンに、世界から絶賛されているTeam NINJAならではの派手なアクションも加えられた本作。任天堂のファンとして、そしてTeam NINJAのファンとして、本作で遊ぶのを本当に楽しみにしている。プレイした感想は次の機会に!
(C)2010 Nintendo Codeveloped by TECMO / Team NINJA
□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□「METROID Other M」のページ
http://metroid.jp/
□関連情報
【2010年7月29日】任天堂、Wii「METROID Other M」
簡単操作で多彩なアクションが楽しめる
新たな「メトロイド」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100729_384179.html
僕が期待している発売前後の新作TOP5。さまざまな情報をもとに、各ゲームのシステムやグラフィックスといった要素の中で僕が魅力的に感じたところを紹介していく。必ずしもメジャーなタイトルではなくて、逆に注目して欲しいマイナーな作品をピックアップすることもある。 |
(c)ATLUS CO.,LTD. 2010 |
1位:ラジアントヒストリア
プラットフォーム:DS
ジャンル:RPG
発売元:アトラス
発売日:11月3日
価格:6,279円
CEROレーティング:B
過去には、“時間移動”をテーマにしたRPGが多く作られてきたが、この「ラジアントヒストリア」はその中でも1位、2位を争う作品になるのではないだろうか。プレーヤーは、さまざまな“平行次元”に行き来できるので、歴史、そしてそれを織りなすキャラクターたちの物語を、多面的に楽しめる。情報が少ない戦闘も、虜になるような斬新なシステムを持っているという。最後に、音楽を手掛けた下村陽子氏(代表作:ゼノブレイドなど)の素敵な曲に期待大!
□アトラスのホームページ
http://www.atlus.co.jp/
□関連情報
【2010年8月2日】アトラス、DS「ラジアントヒストリア」
“時間移動”をテーマにしたファンタジーRPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100802_385048.html
(C)2010 NBGI (C)1998 BANDAI/NBGI ※画面は開発中のものです。 |
2位:Solatorobo それからCODAへ
プラットフォーム:DS
ジャンル:アクションRPG
発売元:バンダイナムコゲームス
発売日:10月28日
価格:5,040円
CEROレーティング:A
海外でも絶賛されている「.hack」シリーズを作ったスタッフが手がけるアクションRPG。緻密に描かれたその世界観に圧倒された。犬と猫の顔をしたイヌヒトとネコヒトが住む、おとぎ話のような世界。動画を見てまず驚いたのは、独自の技術を使った2Dと3Dの間のグラフィックス。アニメの中で動いている感覚を味わえる。場面に応じて形態が変わるロボットに乗ってフィールド探索や戦闘をするのも個性に溢れていると思う。
□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2010年8月27日】バンダイナムコ、DS「Solatorobo それからCODAへ」
豪華ゲストキャラクターも登場するクエストを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100827_389775.html
(c)2010 Marvelous Entertainment Inc. |
3位:勇者30 SECOND
プラットフォーム:PSP
ジャンル:超速ドラマチックRPG
発売元:マーベラスエンターテイメント
発売日:11月4日
価格:4,980円
CEROレーティング:A
わずか30秒で魔王を倒すことが目的となる異色のRPG「勇者30」の続編が、いよいよ発売!ちなみに、前作は、僕が弊誌のレビューで大絶賛した。この続編では、なんと、フィールド移動中の時間制限がなくなった。その変化がどんな結果をもたらすのか楽しみだ。同じく注目して欲しいのは、30秒クエストが作成できるエディットモードが追加されたこと。他のユーザーと交換できるので、本作の楽しみ方がさらに増えた!
□マーベラスエンターテイメントのホームページ
http://www.mmv.co.jp/
□関連情報
【2010年8月9日】マーベラス、PSP「勇者30 SECOND」
「勇者30 OVERTURE」など5本のRPGを収録
新モード「ロマンシング・ツクレール」などを搭載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100809_386622.html
(C)2010 NBGI ※画像は開発中のものです。 |
4位:GOD EATER BURST
プラットフォーム:PSP
ジャンル:チーム連係型ハイスピードハンティング
発売元:バンダイナムコゲームス
発売日:10月28日
価格:5,229円
60万本以上の売り上げを記録した「GOD EATER」の続編。ユーザーからの要望がすべて実現したので、そのクオリティーは非常に高いと予想している。剣戟コンボの最後に捕食攻撃が組み込めるという変更点が、本作の戦闘にさらなるスピードを与えることは間違いなし。あと注目して欲しいのは、「アバターカード」を貰うことで、他のユーザーのキャラクターをNPCとして使えること。個人的には、なによりも嬉しい付加価値だ。
□バンダイナムコゲームスのホームページ
http://www.bandainamcogames.co.jp/
□関連情報
【2010年8月30日】バンダイナムコ、PSP「GOD EATER BURST」
追加要素と物語のカギを握る新キャラクターを紹介
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100830_389898.html
(C) Spike All Rights Reserved. |
5位:ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
プラットフォーム:PSP
ジャンル:ハイスピード推理アクション
発売元:スパイク
発売日:11月25日
価格:5,229円
これこそが、個性的なアドベンチャーゲームを待ち望んでいた人にうってつけのゲームと言えるかもしれない。殺人を犯さない限り出られない前代未聞の学園。その犯人を暴く為に、主人公は学校の探索と裁判を繰り返す。特に魅力的に感じたのが、アクションを使った裁判パート。主人公は、証言や証拠を“言弾”として怪しい人に撃ち込んで論破する力を持っている。他に新感覚の推理パートもあるらしいので、発売が待ち遠しい。
□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□関連情報
【2010年8月20日】スパイク、PSP「ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生」
予約特典はしゃべる「モノクマストラップ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100820_388287.html
■ 過去の宝物 ~こよなく愛した過去の思い出の作品をピックアップ!~
ゲームは技術的に進化する。グラフィックスが綺麗になる。ポリゴンの数が増える。ゲーム内の景色が実写と見間違えるほどリアルなものになってきている。しかし、時代が変わっても必ずしも進化しないものもある。それはゲームの面白さだ。昔のゲームはグラフィックスはシンプルだが、面白さでは今のゲームに負けていない。いや、それに勝る特別な何かを持っている作品もあると思う。秋葉原のゲームショップや家庭用ゲーム機のオンラインストアで安く購入できる過去の傑作は山ほどある。このコーナーでは、僕が愛した昔のゲームをピックアップしていきたいと思う。具体的なゲーム内容よりも、僕のその作品に対しての気持ちを伝えることができればと願っている。 |
スーパーメトロイド
プラットフォーム:SFC
ジャンル:アクション
発売元:任天堂
発売日:1994年3月19日
価格:10,094円
僕にとって初めての「メトロイド」は、スーパーファミコンで発売された3作目「スーパーメトロイド」だった。1994年に発売された時、日本のユーザーとほぼ同時期に、リアルタイムで遊ぶことができた。その革新的な構造、雰囲気、世界観に今でも忘れられない衝撃と感動を受けた。
これは僕の解釈だが、「メトロイド」シリーズはSF映画の名作「エイリアン」に大きな影響を受けたのではないかと思う。主人公のリプリーは同じく謎めいた女性だったし、性格的にもサムスとよく似ていると思う。そのSF的な世界観に、任天堂は「ゼルダ」的な遊びを合体させた。
プロローグでは、サムスが救難信号を受けてベビーメトロイドの保管されたスペースコロニーに向かう | そこで、ベビーメトロイドを取り戻そうとしていた宇宙海賊に遭遇する | スペースコロニーが爆発寸前!脱出するのに与えられた時間はたった60秒。頑張れ、サムス! |
冒頭パートでは、ビームによる基本的な攻撃方法しか持っていないサムスだが、ゲームを進めるごとにスペシャルアイテムを獲得し少しずつ強くなり、新たなアクションもできるようになる。このような流れは、今では当たり前のように感じられる。しかし、当時は同じようなジャンルが存在しなかったので、革新的なゲームとして世界中のプレーヤーたちに絶賛された。
なお、本作の発売以降“メトロイドアプローチ”で作られたほかのメーカーのゲームは、数え切れないほどあった。「メトロイド」シリーズで完成形として捉えられる「スーパーメトロイド」は、探索型のアクションゲームに、多大な影響を与えたわけだ。
サムスは、スペースコロニーを無事に脱出して惑星ゼーべスに着陸する。彼女を出迎えたのは、恐怖と孤独感だけだった…… | 最初のサムスは、無防備と言っていいほど弱い主人公だ。しかし、その弱さを感じるからこそ、未知の惑星探索がさらにスリリングなものになるのだろう | 独特な楽器で作られたBGMが、恐怖感を倍増させる |
「スーパーメトロイド」をプレイ中に生まれる快感の理由は何だろう?「スーパーメトロイド」のエッセンスは何だろう?それは、未知の惑星を1歩1歩探索することによる“ワクワク感”なのではないだろうか。あの壁の向こうに何があるのだろう?あのエレベーターの下に何が潜んでいるのだろう?少しずつ開けてくる世界の秘密を発見することで特別な達成感と満足感を味わえる。
惑星ゼーべスは、複数のエリアに分けられている。エリア間の移動はエレベーターで行なわれる | ボムを使った後、壁にアイコンが出現することがある。そのアイコンは、その壁を壊す為に必要な武器やアクションを指している。これもシリーズの特徴の1つだ | 本作で初めてマップ機能が追加された。この機能のお陰で、方向音痴のプレーヤーも迷うことなく惑星の探索を楽しめる |
「スーパーメトロイド」では宇宙生物との戦闘も楽しめるが、遊びの核心は、すべての惑星を攻略することと言えるだろう。新しい通路を発見した時や隠しエリアを探索する度に、どんな戦いよりも特別な感激を体感できる。
苦労と努力を重ねて見つけた部屋では、サムスの性能を強化するアイテムを獲得することが多い。例えば、特定の色のドアを開けるためのミサイルや、特定の壁を壊すためのボムなどアイテムの種類と機能はさまざまだ。
もちろん本作でもっとも特徴的なのは、「メトロイド」のトレードマークにもなった「モーフィングボール」だ。サムスがボールになり、通常の形態では通れない狭い通路に入れるようになる。さらに、ボムを獲得すると、モーフィングボールのままでボムを仕掛けられるようになり、地面を壊して新たなエリアに行けるようになるのだ。
つまり、モーフィングボールとボムという2つのパワーを手に入れると、探索の幅が一気に広がる。しかし、これは本作の面白さのほんの一部にすぎない。虜になるまでの本当の魅力は、自分の体と心で感じて欲しい。もしまだ遊んでいないのなら、バーチャルコンソールの「スーパーメトロイド」をすぐダウンロードして欲しい。「METROID Other M」と同時に遊べば、楽しさが倍増するに違いない。
「スーパーメトロイド」の面白さの半分は、モーフィングボールを操ることだと思う | ビームで敵を凍らせて、それを台として使うことも可能だ。これも当時としては斬新なアクションの1つだった | 画面内の通常では見えない“隠しギミック”を調べられる特殊装置も用意されている |
(C)1994-2007 Nintendo
□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□VC版「スーパーメトロイド」のページ
http://www.nintendo.co.jp/wii/vc/vc_sme/
■ イタヲタのレトロなゲームライフ ~ハプニング満載のオタク人生~
このコーナーでは僕のゲーマーとしての人生を懐かしさたっぷりで語っていきたい。毎回、特定の時代をセレクトして、自分の記憶への冒険をしたいと思う。最終的には1つのストーリーになる。僕というオタクのストーリー。僕という和ゲー好きゲーマーのストーリー。文章だけでなく、クライマックスのシーンをもっとダイレクトに伝える為に漫画も使うことにした。ちなみに漫画は、今イタリアで注目の若手漫画家に描いてもらった。とにかく、日本ではありえないシチュエーションについてたっぷり語っていくので、本当に面白いコーナーになると思うぞ! |
今回の時代設定:1992年
イベント:スーパーファミコンに「パロディウス」がやってくる!
ハプニング:ザ・キング・オブ・オッサンが海水浴場に現われる!?
1992年の夏。僕は高校3年目を終えたばかりの17歳だ。来年はもう大人になる年(イタリアでは20歳ではなくて18歳で大人になる)だが、ガールフレンドとのファーストコンタクトをまだ果たしていない。僕の“ガールフレンド”はスーパーファミコンだ。
この年齢になると、男性はもうとっくに異性に目覚めている。1年前まで僕のゲーム友達だったクラスメイトが、1人また1人と、僕の前から消えていく。ローマの近くの海水浴場で、初恋の女性と楽しい夏を過ごしている。
「ゲーム機とかで、恋なんてできないぞ~」と、ちょっときついことも言われていた時代だった。
もちろん、僕もよくわかっていた。ゲームのことばかり考えないで、女性とも付き合うべき年であると。しかし、シャイで引っ込み思案だった僕にとっては難しい課題でもあった。
とりあえず、今年はスーパーファミコンと楽しい夏を過ごそうと。きっと、僕と同じ考え方の同級生や友達がまだいると。良いゲームが沢山発売される予定だし……。
蒸し暑いローマに残っていた僕に、お婆ちゃんからの誘いがきた。海の別荘に遊びに来ないかと。大事なお婆ちゃん。子供の頃から、母が仕事で忙しかった時はずっと僕の面倒を見てくれた。
自信がなかった僕は、ビーチに行く勇気があるのかなと不安に思いつつ、お婆ちゃんを喜ばせる為に海に行くことにした。スーツケースに何枚かのTシャツに短パン、そして大切なスーパーファミコンを入れて、お婆ちゃんの家へ出発!
ローマの北にある小さな町。自然に囲まれているし、綺麗な海にも面している。誰もが好きになりそうな素敵な場所だったが、当時の僕はテレビとゲーム機の置かれたマイルームのほうがずっと好きだった。もちろん、母親から「もっと外に遊びに行ってよ!」とかよく叱られていたが、難しい年齢だったから、それに従う力が足りなかった。
お婆ちゃんは素敵な寝室を用意してくれた。僕が生まれる前に亡くなったお爺ちゃんの大きな机もあった。その上に最新式の小さなテレビが置いてあった。
「ほら、好きなゲームをやりなさい」
お婆ちゃんは、僕のすべてを理解していた。僕の悩み。孤独になっていく悲しみ。そして、その孤独を忘れさせてくれる楽しみ。一般の青年と違っていたこともよく知っていた。だが、僕を喜ばせる為にそれを許してくれていた。
「じゃあ、遊び終わったら、お婆ちゃんと一緒に海に行こう!」
本当は家から出る自信はないが、お婆ちゃんの為に努力しなければならないと思って、強がってそう返事した。
先月買った「ストリートファイターII」を遊び尽くした。ゲーム友達のクリスティアーノがいないから、少し虚しさを感じる。なぜなら、2人で遊んだほうがずっと面白いからだ。
新しいゲームが欲しいなーと思うと、先月、スーパーで奇跡的に出会った“ゲームの行商人”、マリオのことを思い出す。そう。ザ・キング・オブ・オッサンだ。あの時実は、電話番号を交換していた。面白い新作が出たら、必ず電話してねと。
しかし、今、お婆ちゃんの家にいるから、ローマの自宅に電話がかかってきても僕がいないということに気付く。じゃあ、自分から電話しようじゃないか!
「はい、マリオです」
「もしもし、マリオさん、この前スーパーで会ったジョンです。『ストリートファイターII』を買ったのを覚えていますか?」
「もちろんですよ。忘れるはずがないでしょう。今日は何の用ですかね?」
「面白いゲームが届いたのかなと思って……」
「えっと……君、本当にラッキーですね!ちょうど今日『パロディウス』という凄い新作が届いたばかりですよ」
「へえぇ。ジャンルは?」
「シューティングゲームです。今、ゲームセンターですごく流行っているじゃないですか。メーカーはKONAMIだからね、クオリティーは高いですよ」
初めて聞くタイトルだが、なんとなく傑作の匂いがする。KONAMIはお気に入りのブランドだし、断るわけにはいかない。
「じゃあ、欲しいですね。問題はですね……今、ローマじゃなくて、海にあるお婆ちゃんの家にいるんですけど……」
「問題ございません。ただちにそちらに向かいますね!」
「は?ほ、本当ですか?」
ザ・キング・オブ・オッサンに驚かされたのは、これで2回目だった。
「ちょうど海の空気を吸いたかった気分だったし、喜んで行きますよ。それより、住所は?」
住所を教えると、何度も礼を言ってから電話を切る。夢の行商人マリオと、家の近くの海水浴場で3時間後に会う約束をしている。念のため、少し早めにお婆ちゃんと海に行こうかな?
それにしても本当によかった!マリオのおかげで海に行く自信が付いた。目的は相変わらずゲームだが、これで外の空気を吸うチャンスでもあるので、お婆ちゃんも喜ぶに違いない。
家の近くの海水浴場に着いた。お婆ちゃんはクロスワードをやりながら日光浴を楽しんでいる。太陽が嫌いな僕は(ドラキュラか?)パラソルの下で待っている。あの人が現われるのを。本当に来るのかな、半信半疑だった。腕時計の針の位置を確かめる。いつ現われてもおかしくない時間だ。
その時、遠くのほうに目を移してみると、砂浜の奥に見える黒い点がだんだん大きくなってくる。その点の正体は……黒いスーツを着たマリオだった!スーパーファミコンゲームの謎の行商人。誰からカートリッジを仕入れているのか謎だが、僕にとっては手段よりも結果が大切だ。その時思い浮かんだのは、まさにその言葉だった。
「すごいビーチですね!水着を持ってくればよかった!!」
パラソルまで来てくれたマリオの最初の言葉だった。そして、黒い上着をめくって、その下に隠していた箱を指差した。
「あなたの欲しがっていたゲームはこれかね?」と微笑みながら、マリオは「パロディウスだ! ~神話からお笑いへ~」を上着から取り出した。
面白いキャラクターたちが集まったパッケージを見て一目惚れした。同級生の生身のガールフレンドとは違うが、このゲームはしばらく僕の大切な“恋人”になりそうだ。僕の貯金にお婆ちゃんからもらったお小遣いを足して、購入に必要な金額に達した。
「マリオさん、海まで来てくれて本当にありがとうございます。これからもよろしくお願いしますね!」
「こちらこそ、久しぶりにこんな素敵なビーチにくることができて、嬉しい限りですよ」
ザ・キング・オブ・オッサンとの2回目の出会いだった。彼の出現は、僕にとっては「幸せ」を意味していた。まあ、いつか僕の人生にもゲームを忘れさせるほどの素敵な彼女が現われるのかもしれないが、ゲームとの付き合いも決して悪くないとも思った。
ある意味、このゲーマー人生がずっと続くことも願っていた。複雑な気持ちを抱きながら「パロディウス」の箱を片手に、急いでお婆ちゃんの家に帰った。しばらくは海にさよならだね……(笑)。
電遊道では、みなさんに取り上げてほしいネタなどを随時募集します。ドシドシと編集部までメールを送って下さい(編集部)
(2010年9月3日)