「マフィア III」大暴れ連載 奏でろ! 復讐のブルース
「マフィア III」大暴れ連載 奏でろ! 復讐のブルース
「マフィア III」連載第0回:触ってきたぜ! 俺のファーストインプレッション
2016年10月21日 00:00
今回から、2カ月に渡ってお届けしていく俺の連載「『マフィア III』大暴れ連載 奏でろ! 復讐のブルース」がついに始まる。いよいよ発売が迫ってきた「マフィア III」。俺は本当に発売日が待ち遠しい。
俺は以前、「グランド・セフト・オートV」のオンラインモードをテーマにした連載企画「GTA Online」大満喫連載。急がば奪え!」を手がけており、他にもオープンワールドのクライムアクションを好んできた。そして、「マフィア III」は事前の情報から、これまで俺がプレイしてきた作品にはない、そのシリアスでリアルな雰囲気に強く惹かれていたんだ。
今回、俺は発売前に行なわれた「マフィア III」体験会で、数時間結構がっつりプレイすることができた。このプレイで、俺は一層発売日が楽しみになってしまった。まだまだプレイしたい! もっともっとこの世界にどっぷり浸りたい。そこで本稿では体験会で得た俺なりの「マフィア III」の感触を語っていきたい。
俺はこのプレイの前に「マフィア II」もプレイしておいた。そして今回の体験会で、「マフィア」シリーズは他のクライムアクションとは面白さのベクトルが明らかに異なると感じた。とにかくグイグイとストーリーに引き込まれる展開、特にゲーム内の要所で入るカットインの演出は見事だと思う。
そして「マフィア III」のゲーム性として、銃でガンガン戦うタイプではなく、ステルスアクションの要素が強いというのも実感できた。敵に気が付かれないように様々な手を使って命を奪うこのシステムはハマると病みつきになりそうだ。それでは、今回体験できたゲーム序盤と、中盤の自由度の高いシーンの感触を語っていくぜ!
オープニングムービーからチュートリアルまで……その全てが衝撃だった
今回、「マフィア III」をスタートした時、俺はまさに“衝撃”を感じた。その場面は裁判のようで、1人の男が「リンカーン・クレイ」の犯罪について説明している。その映像は、ドキュメンタリー映画そのままだった。カメラワーク、フィルムに映し出されるノイズ、映し出される情景、関係者達が浮かべる、関わってしまったことを後悔する様な悲しみの表情……そのリアルなグラフィックスが生む作品の雰囲気に圧倒されてしまった。
ムービーだけでなく、ゲームプレイでも黒人差別やベトナム戦争など、時代の要素がふんだんに盛り込まれており、プレイしていて、その時代の社会事情にすごく詳しくなった気にさせられる。実はカットシーンの中には同じような場面が繰り返し挿入される場合もある。しかし、飽きないのだ。挿入の仕方や、語っている人が違ったりと、実に効果的に俺の心にストーリーを刻み込んでくれるんだ。この“語り口”は本当に衝撃だったな。
それではストーリーに触れていこう。主人公のリンカーンは、ベトナム戦争から帰還し、故郷であるニューボルドーに帰ってくる。彼を迎えてくれるのが“ファミリー”だ。孤児である彼を受け入れてくれた黒人組織はリンカーンにとってかけがえのないものだ。仲間達とのちょっとしたやり取りや、会話に込められたセリフ回しにより、ファミリーがリンカーンにとって実にかけがえのない存在であることがしっかり伝わってくる。
しかし、物語は不吉な予感を大きくしていく。黒人組織はニューボルドーの他の組織に圧迫されている中、1番大きな組織のイタリアンマフィアに「連邦銀行の襲撃」という大仕事を持ちかけられる。リンカーンはその仕事に成功した。しかし、それが地獄の始まりだったのだ。イタリアンマフィアは最後に裏切りリンカーンのファミリーを皆殺しにした。しかし、リンカーンは生きていた。彼は血まみれの復讐を誓い、立ち上がるのだ。
この序盤のシーンは、プレイしていて俺はまるで自分の事のように胸がグッと締め付けられた。最初のムービーの時に感じた衝撃は、ゲームをプレイするほどに大きくなっていき、本当に感情を大きく揺さぶられた。己の無力さ、脱力感、絶望、こうしたネガティブな想いが自分の中を支配していく。俺は完全にリンカーンに感情移入していった。それは映画でも味わえない、自身でリンカーンを操作することによる物語への没入感が生み出した感情だった。このゲームは本当にスゴイ。俺は序盤をプレイして、本当に確信したんだよ。
エモーショナルな部分だけでなく、ゲーム的な要素も紹介しておきたい。序盤はゲームのチュートリアルにもなっており、「マフィア III」のゲームの基本操作を覚えていくことになる。本作は俺がこれまでプレイしたクライムアクションとは異なり、どちらかというとステルスアクションに近く感じた。
これまでは強力な武器で弾を撃ちまくりながら突っ込む場合が多かったが、「マフィア III」敵に気が付かれないように忍び寄り、後ろからナイフでザクっと音もたてずに命を奪うという戦い方が有効なのだ。このステルスアクションが決まると実に気持ちいいんだが、俺は正直、ステルスアクションがあまり得意ではないため、最初のうちは死にまくっていた。
本作はチュートリアルの段階で、このステルスアクションをある程度「掴む」ことがポイントになってくるんだ。そのコツは「大胆にやろうぜ」だ。ちょっと矛盾しているように聞こえるかもしれないが、おっかなびっくりでコソコソと動くよりも大胆に近付き、相手が気が付く前にこちらが先に動いてしとめることが求められる。
……今回は正直うまくできなかった。俺は隠れることを気にしすぎて逆に相手に気づかれてしまうことが多かったんだ。隠れ場所から出て攻撃に転じるにはもっと大胆にしなくてはならない。この切り替えがうまくできなかった。製品版ではこの切り替えを極めていこうと思うぜ。
ステルスアクションの殺しのシーンだが、どのシーンも非常にリアルに感じるものばかりだった。もちろん俺は実際に人を殺したことはないが、敵にナイフを突き立てるゲームの感触は、思わず背筋が寒くなるようなリアルさがあるんだよ。
イタリアンマフィアの裏切りに合う序盤までで俺がお気に入りなのは、「連邦銀行の襲撃」の終盤、銀行からの脱出に成功したリンカーンたちが、ド派手なカーニバルの中に紛れながら警察の追手から逃げるシーンだ。ここでリンカーンは明らかに祭りの雰囲気にそぐわない仲間たちを無事に逃がすために自らが囮となることを決意する。
このシーンだが、とにかくあちこちに警官がいるので、何事もなく抜け出すのは最初は不可能に見えたんだ。そこで、俺が最初に試したのは、出会う警官がこちらに気が付く前に銃でぶち殺す作戦だ。こっそり近付きつつ銃を構え、気が付かれる前に銃を撃つ。1人目の警官は確かに撃ち殺すことに成功した。ところが祭りの喧騒の中でも銃声は高々と響き渡り、別の方向を見ていた警官までもが一斉にこちらに気が付き、あっという間に取り囲まれて、あっさり返り討ちだ。本作は銃の威力が強い。正直大勢に囲まれて銃を撃たれるとあっさりやられてしまう。
次に試したのは手前に置いてある車を奪って走り去るという作戦だ。車に乗りさえすればこっちのもんだとばかり手前の車に乗り込み、颯爽と抜け出そうとした。ところが祭りの人混みの中を車で抜けられるわけもない上に、突然車が走り出せば怪しまれること間違いなしだ。これもあっさり失敗して、俺は警官たちの銃の餌食になってしまった。
と、ここまでやってみてはたと気が付いた。本作はステルスアクションがメインになっている。ここもステルスで1人ずつ警官をしとめてみればイケるんじゃないか? と考えを改めたんだ。早速1人目の警官が気が付くか気が付かないか、くらいのタイミングでステルスアクションを決めた! すると、他の警官たちはこちらで何が起こったのか気が付かないまま、警備を続けているんだ。その後も移動の妨げになる警官は周囲の目の届かない場所でコッソリと仕留め、とにかくバレないように移動し続けた結果、今までの苦労がなんだったのか、と拍子抜けするほどうまくクリアすることができたんだ。
ここに「マフィア III」の本質を見た気がした。本作は銃で派手に撃ちあったり、車を奪って華麗に逃走するというタイプのゲームじゃない。なるべく敵の目には触れず、敵が気が付く前に命を奪う。人知れず復讐を遂行するステルスアクションこそが本質なんだということを、心の底から体感できたんだ。
敵に気づかれず娼婦を救出していく爽快感。警察の危険度がハンパない!
体験会ではゲーム中盤もプレイできた。復讐を行なうリンカーンは組織を大きくするための行動を開始することとなる。その行動とは、敵対組織の切り崩し。彼らが支配するエリア内にある拠点に単身乗り込み、敵対組織のメンバーを殺したり、金を奪ったりすることで、敵に打撃を与え、ついにはそのエリアを奪ってしまうのだ。
エリアごとに「目標金額」が設定されており、それを達成することでエリアのボスをあぶり出すことができる。そのボスを倒すか服従させることで、リンカーンはエリアを自分たちのものにできるのである。今回は、人身売買が常態化したエリアと、フランス娼婦街のエリアをプレイできた。
敵対組織を弱体化させるために、組織のメンバーを殺すだけでなく、各拠点にある金を盗んだり、組織の資金源となる物を破壊することで被害を与える、という流れは新しく感じた。各拠点を攻撃する時にはそれぞれ目標が設定されているが、目標以上の損害を与えることもできる。このため1つの場所で思う存分暴れれば、各エリアでの目標金額を早めに達成できる。少ない拠点で効率よくプレイすることも可能なのだ。
今回プレイした中で俺が気に入ったのはフランス娼婦街のエリアのクエストだ。フランス娼婦街のエリアでは、娼婦たちが商売している建物に潜入し、用心棒のマフィアたちを殺すだけでなく、娼婦たちを救出するのも目的となる。殺しが目的のクエストが多い中で救出の要素も加わっているので、やる事が多く、やりがいがある。敵を皆殺しにすることの多い本作で、娼婦たちを殺さずに助けて逃がしてやるというのも気に入った。
ところがいざ建物内に侵入してみると、内部には用心棒がこれでもかというほど、大勢待機しており、頻繁に見回りも巡回している。こうした連中を殺すのに迂闊に銃を撃ってしまうとたちまち建物内の用心棒たち全員に気が付かれてしまうため、忍び足で建物内を動き回り、敵を見かけたら隙をついて後ろから忍び寄り暗殺するのが基本スタイルだ。こうすることで敵は警戒することなく、1人、また1人と姿を消していくわけだ。
本作では、建物の壁になっていて肉眼では見えない敵の位置を確認することもできるため、こうした機能を利用して、建物内の死角を利用したり、うまく物影から敵を殺すことができる。他にも口笛を吹くというアクションで逆に敵の注意を向けておいて、自分は物陰にいながらにして、近付いた敵を殺すといったことも可能で、これも序盤から重宝する技だ。こうした罠を仕掛けて敵をしとめるのは、うまくはまってくれるととても爽快だ。
さらに殺した敵の死体を移動させることもできる。本作の敵は仲間の死体を見かけると、警戒心が強まる。そのため死体を物陰に隠しておくことで、警戒させないような工夫も大事になってくる場面もある。仕事中の娼婦たちの部屋を開けて救出する作業は、周囲の用心棒さえ片付けてしまえば非常に楽なので、手軽に損害を与えられるのもうれしいところだ。
ところで、「マフィア III」において俺が皆に最も語っておきたいのはこの手のクライムアクションに付き物の「警察」の恐ろしさが段違いということだ。うっかり犯罪を犯した現場を警官に見られたり、市民から通報された場合、リンカーンは手配され、警官たちに追われることになってしまう。警察から逃げるには警戒エリアから脱出し、一定時間見つからずに逃げ回る、というクライムアクションではお馴染みの作りになっている。
ところが、本作の警官たちは連携能力が驚くほどに高いんだ。頭の悪い警官だけなら全員が直接こちらを狙ってくるため、多少のダメージを食らっても、最終的に逃げ切ることはたやすい。ところが本作の警官たちはこちらを直接狙うだけでなく、そのうち1人、2人は車のタイヤを的確に狙いヒットしてくる。そのため、パンクした車で逃げ回る羽目にあうことが多かった印象だ。
しかもパンクしたタイヤで走るのは、左右のハンドル操作でスピンしやすくなるため、かなり難易度が高くなる。更に車の最高速度も下がるのでパトカーを引き離せず、いつまでたっても警戒エリアから抜け出せなくなる。どうにか逃げ出せた時もあったが、その頃には心身ともにボロボロな上に目的の場所から大分離れたところまで逃げてしまっていることも多かった。「マフィア III」では警察に対しては常に慎重に行動するのが長生きの秘訣と言える。
以上、数時間かけてプレイした「マフィア III」のファーストインプレッションを語ってみたが、最後に言えることは、やはり早く製品版を手に取ってみたい、ということだ。今回は時間もあまりなかったため、街の中をのんびりドライブしたり、車をカスタムしたりといったことはほとんどしていない。ストーリーに関わらない街の様子や雰囲気についても十分に体感することができていない。こういった部分も本作の魅力の1つと思っているので、この辺については製品版でじっくり遊んでみたいポイントだ。
また、今回プレイした流れの中では、まだ組織を運営するという部分にはほとんど触れていない。本作では部下も何人か登場し、こうした部下とのやり取りもストーリーに影響すると聞いているので、どのような部下が付き、どのようなストーリが展開し、どんな結末が待っているのかが気になって仕方がない。
恐らくかなわないことは予感しているが、願わくば、リンカーンに少しでも救いが訪れるような展開を望みたいところだ。
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