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【特報】「マフィア III」、リンカーンが辿る復讐の旅路
時代と運命が生む暴力と怒りに満ちた闘いの物語
2016年9月14日 00:00
いよいよ発売まで1カ月となった「マフィア III」。北米のE3やドイツのgames comで大きく取り上げられ、日本でも次々とトレーラーが公開され、その姿が明らかになってきた。今回はこれらの情報をまとめつつ、「マフィア III」への期待を膨らませていきたい。
徐々に明らかになる「マフィア III」から感じられるのは、炎に顔を近づけてしまったときのような、反射的に顔を遠ざけたくなる激しい熱量である。主人公リンカーンの、圧倒的で、過激で、そして陰惨な復讐のための闘い……。リンカーンは自分の“ファミリー”を奪った敵に容赦のない復讐を行なっていく。
公開された様々な資料からは、彼の行動1つ1つどころか、彼が映っていない画面からすら、リンカーンの激しい怒りが感じられる。このプレーヤーの心を締め付けるような激しさは、どんなところから生まれてくるのか? これまでの情報を整理しつつ、今1度「マフィア III」の魅力を語っていきたい。
打ち抜け、燃やせ、切り裂け! 過激な暴力に彩られた暗き復讐
「マフィア III」の主人公リンカーン・クレイは、孤児として育ち、黒人組織の中で初めて家族を得て安寧を得る。ベトナムから帰還した彼は再び黒人組織に迎え入れられるが、彼らは周囲の組織とトラブルを抱えていた。そしてイタリアンマフィアの汚い裏切りにより、すべてを奪われてしまう。仲間は皆殺しにされ、リンカーン自身も殺されたように見えたのだが……彼は生き延びていた。そして、復讐するため立ち上がるのだ。
gamescom出展を記念した日本版トレーラー「gamescom 2016 公式トレーラー『強奪』」ではイタリアンマフィアの裏切りが描かれている。イタリアンマフィアはリンカーン達の組織と手を組んでいたにもかかわらず、最悪の裏切りでリンカーンの“ファミリー”を奪ったのだ。一命を取り留めた彼は血みどろの復讐をしていく。これまでのトレーラーでも断片的にリンカーンの復讐を見ることができる。命乞いするターゲットを追い詰めたり、縛り上げた敵に恐怖心をあおるように近づいたり、窓から突き落としたり……彼は何人を手にかけていくのだろうか。
リンカーンの激しい怒りはゲームプレイにこそ活かされている。E3やgamescomでのデモプレイではその激しいアクションをたっぷり見ることができた。「マフィア III」はキャラクターの背中を見ながら操作するサードパーソンのオープンワールドアクションだが、敵に近づくと特殊な処刑技「フィニッシュムーブ」が可能となる。ショットガンを持っている場合、敵の体に銃口を押しつけて、すべての散弾を相手の胴体にたたき込んだり、相手をひざまずかせ、後ろを向かせて後頭部を吹っ飛ばしたりする。
正面から撃ち合うだけでなくスニークアクションも可能で、リンカーンは幅広の大きなナイフを使う。敵に忍び寄り、喉をかっきったり、相手の背中に深く突き立てたり、押さえつけた上でナイフを胸に突き刺したりする。これらのモーションやカメラアングルはかなり力が入っており、プレーヤーは積極敵に活用していくことになりそうだ。
「マフィア III」の興味深いところはこういった特殊な攻撃だけでなく、通常の戦闘でも凄惨な雰囲気に充ち満ちているところだ。敵は銃弾を受けると血しぶきを上げて吹っ飛ぶし、火焔瓶が当たると炎に包まれながらのたうち回って絶命する。リンカーンの勢いにひるむ敵や、銃弾を受けて棒立ちになりさらなる攻撃を受けてしまうなど無残に倒れていく。
北米のPlayStationチャンネルで公開されたトレーラー「Mafia III - The World of New Bordeaux Gameplay Video Series: 2」ではその圧倒的なバイオレンスシーンが描かれている。リンカーンの酷薄さ、過激さ、容赦のなさが、その行動の1つ1つから見て取れる。この“怒り”を画面に伝える演出が素晴らしい。多数の敵をものともせず、的確に敵を倒し、ターゲットを追い詰めていくリンカーンの姿は、リンカーンとしてプレイしている画面にもかかわらず、彼が怖くなってくる。一体彼はどんな顔をしてこの惨劇を巻き起こしているのだろうか? 彼の復讐の先にどんな未来が待っているのだろうか? とても興味が惹かれる。
油断のならない3人の仲間。組織の力を使いこなせ
これまで弊誌では特報としてシリーズ作「マフィア」と、「マフィアII」を紹介してきた。これまでの作品はオーソドックスと言えるオープンワールドアクションで、組織の下っ端としての物語がメインだったが、今作「マフィア III」は決定的に異なる部分がある。「マフィア III」では新たな仲間と共に自分のファミリーを作り、イタリアンマフィアの支配地域を力ずくで奪っていくのだ。主人公が組織のリーダーである点は、大きな魅力だ。
リンカーンにはアイリッシュギャングの「トーマス バーク」、ハイチ人組織の「カサンドラ」、そしてイタリアンマフィアから放逐された前作の主人公「ヴィト スカレッタ」という3人の部下(協力者)がいて、彼らのマフィアから奪った土地を任せるという要素がこれまでの情報で明らかになり、彼らのトレーラーも公開されている。
彼らは単純な部下ではなく、それぞれイタリアンマフィアに恨みを持つという点も興味深い。E3のデモプレイではリンカーンの決断にトーマスが異を唱え、リンカーンは彼の本拠地に乗り込み皆殺しにするという驚きの展開を見せた。彼らを協力者としていくのか、邪魔な存在として潰してしまうのか、どこまでプレーヤーの自由度があるのか、ゲームシステム、ストーリー要素共に気になる部分である。
仲間が生き残り、力を合わせてイタリアンマフィアを潰していった場合のストーリー展開は特に気になるところだろう。マフィアは力と金を求める暴力集団である。それは“ファミリー”という仲間ですら同じだった。本当に助け合えるファミリーを持ち、そして皆殺しにされたリンカーンはどんな道を歩むのだろう。彼には修羅の道しか残されていないのか、救いの道はあるのだろうか。
組織を率いるという部分でアクション部分にもゲーム性が加えられているところも注目したい。gamescomのゲームプレイでも紹介されたが、「マフィア III」ではリンカーンが敵組織の勢力圏を襲うとき、バンの中から武器や弾薬を選んで準備する。マシンガンからショットガン、手榴弾から火炎瓶、様々な武器から持っていく武器を選ぶ。さらに襲撃中に応援を呼んだりする要素もある。組織の力を使ってより強力なバックアップが得られるようだ。
資金繰りや、組織の拡大など組織の運営要素や、組織が大きくなったときのゲーム性の変化など“組織の経営”という要素もとても興味深い。リンカーンは命令されたミッションを実行するだけの“使い走り”ではなく、積極的にその手を血に染めていく。「マフィア III」は、ゲーム性、ストーリー性共にこれまでのシリーズとはひと味違うチャレンジをしている作品だ。
ジャズとオカルト、湿地の街ニューボルドー、時代の狂気は何をもたらす?
そして“街”である。ある意味、オープンワールドの作品は街そのものが真の主役と言えるだろう。これまでのシリーズでは「ロストヘイブン」、「エンパイア・ベイ」という都市が舞台となったが、これらの都市は北米の都市の要素を入れながら、モデルは明らかになっていなかった。「マフィア III」の「ニューボルドー」は、ニューオリンズをモデルにしていることが明らかになっている。
ニューオリンズはジャズの発祥の地として知られ、ミシシッピ川の河口にある港湾都市。アフリカ系アメリカ人の比率が高く、アメリカ初の黒人市長が誕生した街でもある。フランス植民地帝国時代の雰囲気を残した地域もあり観光都市として名高い。ブードゥー教の儀式や歴史を集めた「ブードゥー博物館」があるなどオカルト要素が濃い側面もある。2005年に「ハリケーン・カトリーナ」の大きな被害を受けた場所として記憶している人も多いのではないだろうか。湿地帯が多いのも特徴1つだ。
「マフィア III」の「ニューボルドー」は、このニューオリンズをモデルに同地のランドマークとしても有名な華やかなフランス風の建物が並ぶ地域や、きらびやかな盛り場、娼館、大きな蒸気船などをリアルに再現している。「マフィア III」をプレイすることで、ニューオリンズに“聖地巡礼”したくなってしまうかもしれない。不気味な“ブードゥー”の要素も仲間の1人カサンドラが絡んでいるので、注目したいところだ。
さらに“時代の描写”も「マフィア」シリーズで高く評価されているところ。1968年という時代、世界は高度経済成長という“夢”から覚め、公害問題や、広がる貧富の格差、アメリカではベトナム戦争長期化からの厭戦気分、日本では学生運動など、世相は暗く、そして過激な方向へ変わっていく。「マフィア III」の過激な暴力描写もこの雰囲気を強めているように感じる。この時代の熱狂と、未来への不安感がゲームにどう活かされてくるのだろうか。
時代、地域を丁寧に描き、そしてむき出しになっていく人間の“欲望”と“業”を描く「マフィア」シリーズの味が、「マフィア III」ではどのように描かれるのだろうか。復讐に生きるリンカーンはその先に何を見るのか。注目していきたい。
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