山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第7回

熊本地震の被害に胸を痛めつつ、お仕事のなかで配慮し、譲れない願いもある話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

熊本地震の被害において、お亡くなりになられた方々に謹んで謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災をされたすべての方に、心よりお見舞い申し上げます。1日も早く日々の平穏を、心の平穏を取り戻せるようお祈りいたしております。


こうした震災が起きるとゲームに携わるお仕事でも、いろいろと考えるべきもの、配慮すべきものが出てきます。

なによりも、まずは“人”。

「妖怪ウォッチ」等々でおなじみレベルファイブ、「NARUTO 疾風伝」シリーズ等々の開発でおなじみサイバーコネクトツーをはじめ、たくさんのゲーム販売・開発会社が九州地方に拠点を置いています。

それに、サイバーコネクトツーでは東日本大震災の頃より「復興支援プロジェクト」を発足していて、今回の熊本地震についてもお見舞いの言葉を掲載するとともに、サイバーコネクトツー福岡本社スタッフの皆様のご無事も報告されています。

サイバーコネクトツーの「復興支援プロジェクト」ページより

僕は月曜日(18日)にあるお方にインタビューをさせて頂きました。その人は元リバーヒルソフト、元CING、現ILCA APPSの金崎泰輔さん。

リバーヒルソフトは「J.B.ハロルドシリーズ」をはじめとした多数の作品を、そしてCINGはニンテンドーDSでの「アナザーコード」、「ウィッシュルーム」、「ラストウィンドウ」など、やはりハードボイルドなアドベンチャー作品を手がけてきたことで知られます。

2010年にCINGが破産手続申請をしたというニュースが流れると、それを惜しむ声がネット内外問わず、たくさん沸き上がりました。

そんな経歴を持つ金崎さんの手がけるハードボイルドアドベンチャーの新作「-CHASE- 未解決事件捜査課 ~遠い記憶~」が、アークシステムワークスよりリリースされるということでインタビューさせて頂きました。ここGAME Watchにて近日掲載予定なので、そちらもぜひ楽しみにして頂きたいです。

ですが、

金崎さんが元リバーヒルソフト(福岡県にて創業)という経歴となれば、当然、九州地方のご出身である可能性が高く、ご両親やご親族の方が福岡や熊本におられるという可能性もあるわけで。インタビュー前にはご家族はご無事なのか、インタビューを受けてもらえるような状況なのか、といった心配が出てきます。

それらを先に確認すると、金崎さんのご関係の方は大丈夫だったということで。この日はじっくりと、新作について、アドベンチャーゲームというジャンルへの想いや考えについて、たくさんお話を伺わせて頂きました。

ゲーム業界というとエキセントリックなやり取りをしてそうなイメージがあるかもしれませんが、モノ作りは人ありきで、その人のセンスや情熱はご家族をはじめとした生活が支えているわけで。そういうところからの配慮をちゃんとすることが、やっぱり大事です。

(修羅場っている開発現場とかだとエキセントリックかつデストロイなことになったりもするっぽいですが)

【「-CHASE- 未解決事件捜査課 ~遠い記憶~」オープニング映像】

大きな被害をもたらした震災となると「作品そのもの」へも影響があります。

東日本大震災のときには、「龍が如く OF THE END」が発売を延期し、当時の「桃太郎電鉄」最新作も開発を断念(被災地の物件を描きづらいという心情から)。「モーターストーム3」の発売中止など、この他にもたくさんのタイトルやプロモーションが延期・中止となりました。

なかでもやはり影響の大きかったのは、「絶体絶命都市」シリーズ。

2011年には、「絶体絶命都市4 -Summer Memories-」は開発を中止し、シリーズの再生産も終了ということになってしまいました。

ですがその後、昨年の2015年には「絶体絶命都市」1作目と2作目がゲームアーカイブスで、PSP「絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-」もダウンロード配信が再開されました。

そして、1度は開発中止となってしまった最新作も、「絶体絶命都市4 Plus -Summer Memories-」と名称に“Plus”を加えたPS4用タイトルとなり、その最新スクリーンショットムービーが昨年11月に公開もされました。

ですが、いろんなことが前に進み始めたその翌年の今、またしても大きな震災が起きてしまいました。

重要なことですが、

特に今回の熊本震災について「絶体絶命都市」シリーズの展開に公式的な動きやコメントがあったわけではありません。

今は「またなにか影響が出てしまうのでは?」と心配する声が囁かれているだけです。

「絶体絶命都市」シリーズは、巨大地震に見舞われた主人公が人々と協力しあい生き延びていくという物語です。

あまりダイレクトな内容なので、真っ先に自粛への意識が働くのはわかります。

だけど、「絶体絶命都市」シリーズはそうしたシチュエーションのなか、いざというときにどう行動すべきか、どう災害に対処すべきか、人と協力しあい災害を乗り越えるということ。そうしたものが描かれています。

そこから学べることは多いはずです。

むしろ、いざという時のために、ゲームという“自分が主人公となって判断し操作するインタラクティブなもの”で災害に対する知識や心構えを、物語から心の強さを得ておくということは、非常に大事なことではないでしょうか。

いつでも前に進むことこそ、大切なことではないでしょうか。

今回の震災による影響や動きがなくとも、どうしてもこの気持ちを伝えたかったので今回のコラムを書きました。お騒がせかもしれませんし、先走りかもしれません。でも、もし何かが決定される未来があるとしたら、その前に伝えないと、時既に遅しとなってしまうので。

願わくば、災害や戦争がいつかゲームや映画や本の世界の中だけのものになる日が来ることを、切実に祈っております。

2010年のPS3「絶体絶命都市4 -Summer Memories-」Tシャツ。ずっと大切に保管しています

ではでは、今回はこのへんで。また来週。

(山村智美)