レビュー

「バイオハザード ヴィレッジ」レビュー

「バイオ ヴィレッジ」は本当に怖くないのか?

 ここまで一切触れてこなかったが、気になっている人も多いと思われる本作の“怖さ”について語りたいと思う。

 最近カプコンの公式では、吉幾三さんによる「俺らこんな村いやだLv.100」や某教育TV風の人形劇「バイオ村であそぼ♪」など、「バイオ」のテイストには似つかわしくないネタ的な動画が公開されている。これらの動画は前作「バイオ7」が怖すぎたという理由で、そのイメージを払拭するために作られたのだそうだ。ホラーゲームのPRで「バイオは怖くない」と宣伝しているのもいかがなものかとも思うが、それほどまでに前作の破壊力が凄まじかったのだ。

 そして、結局のところ「バイオ ヴィレッジ」は本当に怖くないのか? エンディングまでプレイした感想としては、本作も間違いなく怖かった。

 それではカプコンが嘘を言っているのかと問われればそんなことはない。前作の舞台であるベイカー邸では終始薄暗い閉鎖的な恐怖がプレーヤーを襲ったが、本作では村が舞台ということもあり屋外の場面も多く、怖い場面とそうでない場面の緩急のある作りになっている。

 初代「バイオ」から散々脅かされてきた身としては、クローゼットがあれば“クリーチャーが飛び出してくるのではないか?”、窓ガラスがあれば“クリーチャーが窓をブチ破ってくるのではないか?”と、常に警戒心MAXでプレイしていたが、杞憂で終わる場面も多い印象を受けた。

「バイオ7」のゲーム画面。今見てもハンパではない怖さだ
こちらが「バイオ ヴィレッジ」。見比べると怖さが多少マイルドになっているのがわかるだろう

 前作はイーサン1人の孤独な戦いだったが、今作のセーフルームには商人のデュークが居てくれるのも心休まるポイントだ。初代「バイオ」でたとえるならば、セーフルームにレベッカが待っていてくれているあの安心感である。

「バイオ ヴィレッジ」のレベッカことデューク。扉を開けた先に彼が居たときは正直ビビる

 全体的に前作と比べて怖さは緩くなってはいるものの、先に述べたように本作も怖い事には間違いない。中でも、四貴族たちが待つ「城」、「屋敷」、「人造湖」、「工場」の怖さは前作に匹敵するレベルの怖さなので、ヌルい恐怖じゃ満足できないホラージャンキーな人も安心してもらいたい。

オルチーナ・ドミトレスクが住む「城」。地下はご覧の通りめちゃくちゃ怖い
ドナ・ベネヴィエントが住む「屋敷」。暗がりで何が出てくるかガクブルである
サルヴァトーレ・モローが隠れ住む「人造湖」。ゲル状の不気味な物体がいたるところに……
カール・ハイゼンベルクの縄張りである「工場」。恐ろしい改造クリーチャーが襲い掛かる

 筆者的に推したいポイントはホラー演出ももちろんだが、本作のストーリーは特に注目してもらいたい。詳しく書けなくて歯がゆいのだが、ゲーム冒頭から無数に張り巡らされている謎が、ゲームが進むにつれて衝撃の事実が明らかになっていく。想像以上に物語の引き込む力がすごく、ある程度でプレイを止めるつもりだったが気が付いたらノンストップでエンディングまでプレイしてしまった。

 ゲーム内で前作の軽いあらすじは見られるので本作単体でも問題なく楽しむことはできるが、個人的にはやはりベイカー邸での惨劇を乗り越えた後のプレイがオススメ。逆に、前作をプレイ済みの人には、衝撃の連続と言っても過言ではないイーサンの物語を最後まで見届けてもらいたい。

 ゲームクリア後にはエクストラモードの「ザ・マーセナリーズ」が解放。本編も1回クリアしたら終わりではなく、何度も周回プレイをしたくなる工夫もされているので遊び応えはかなりのもの。本作に付属される対戦型アクションゲーム「バイオハザード RE:バース」は残念ながら延期となってしまったが、本編を遊び込む期間と考えれば逆にアリである。