Wii U「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD」レビュー
ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD
遊びやすく、美しく甦る“黄昏のゼルダ”
- ジャンル:
- アクションアドベンチャー
- 発売元:
- プラットフォーム:
- Wii U
- 価格:
- 6,156円(税込)
- (Wii U)
- 7,236円(税込)
- (Wii U / Wii U)
- 発売日:
- 2016年3月10日
(2016/3/9 00:00)
1986年2月。「ゼルダの伝説」が発売されてから時は流れ、今年の2016年に30周年を迎える。30年もシリーズが続くと、どんなものでも世代ごとに“その人の思い入れのある作品”が異なってくるものだが、“Wii本体と同時に「トワイライトプリンセス」を購入して遊びこんだ”という人はたくさんいそうだ。
Wii版、もしくはニンテンドー ゲームキューブ版をプレイしたという人だと、「もうHDリメイクされるんだ、早い!」っと思うかもしれないが、実はもう発売から10年経とうとしているのだから驚き。そして、プレイしたという人ならば、「トワイライトプリンセス」という名称の“夕闇と黄昏のゼルダ”は、魅力の詰まった良作であることをご存じのはずだ。
HD化され、よりその美しさ、遊びやすさが磨かれたWii U「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス HD」。このインプレッションをお届けしよう。なお、SPECIAL EDITIONも同時に発売となり、こちらにはamiibo「ウルフリンク」、サウンドトラックCDが付属する豪華な仕様となっている。特にamiiboは、後述するとおりゲームに読み込ませることで様々な効果をもたらしてくれる。
より遊びやすく、より美しく、3Dグラフィックス世代のシリーズでも味のあるタイトルがHD化
トアル村で暮らす若者リンクは、愛馬エポナと共に牧場の仕事を手伝い、子供にも慕われている青年だ。村長の娘であり、リンクとは幼なじみで気立てのいい少女イリアとも仲が良く、日々を幸せに暮らしている。
だが、ある日。リンクが、村はずれにある精霊の泉にイリアや子供達、エポナと共にいるときに事件は起きた。魔物が押し寄せ、空には禍々しいトンネルのような空間が開いたのだ。光の世界が、影の世界に飲み込まれ、トワイライト(影の領域)に次々と姿を変えていく。トワイライトに引きずり込まれ、目を覚ましたリンクだったが、その姿は青い目の獣の姿へと変貌していた……。
本作はもともと、ゲームキューブ用タイトルとして開発されつつも、当時の新ハードであったWiiの発売にもタイミングが合い、Wii版も本体と同時発売されることになったタイトルだ。そうした意味では、当時のWii版やゲームキューブ版には画面の解像度や描画の質など、今では少々見劣りしてしまう部分がある。ましてや本作は、“光と影”、“夕闇の黄昏”など、グラフィックスの美しさが際立つテーマのタイトルとなっている。
それだけに、今回のHD化は効果的だ。グラフィックス全体の解像度が1080pまで引き上げられているのはもちろんとして、キャラクター、背景、メニューなどのあらゆるテクスチャ周りも、しっかりと高精細になっている。手抜きの感じられない丁寧なHD化だ。
そうしてみるHD化された光景の美しさは、なんとも独特な良さ。HD化タイトルだけに、ノスタルジックさを感じさせるところもあるにはあるのだが、それがまた味になっている。筆者はWii版もプレイしたので、いわゆる“想い出補正”(記憶の中で美化してしまう現象)もあるとは思うのだが、このHD版はそれに見劣りしないか、期待以上のものがあった。
ゼルダの魅力と言えば、“直感的な閃きで解ける謎解き”だと思うのだが、これは毎作品遊ぶたびに思うことだけど、とても作るのが難しいはずだ。言葉でヒントを出しつつ理屈をプレーヤーに作らせて謎を解かせるというのなら、正直言うとありふれているが、ゼルダのように基本的に言葉の説明はなく、プレーヤーの観察力と閃きによって謎が解けるというものを作るのは、センスが必要だろう。
その点においても、実はHD化は恩恵がある。光景を眺め、細かな違いや、それとなく置かれているヒントなど、ぼやけた解像度では気づきにくい。くっきりとしてフルHD解像度であれば、高精細になったテクスチャーであれば、より見やすく気づきやすい。
閃きが生まれ、「もしかして、これか……?」と試してみたときに、お馴染みのメロディーとともに謎が解けたときの、スッキリとする気持ち良さ。オリジナル版でも本作の謎解きは良く出来ていたので、より遊びやすく、気持ちよく楽しめること間違いなしだ。
コントローラーの違いも大きい。オリジナルのWii版だと、Wiiリモコンとヌンチャクのスタイルでプレイをしたが、今作ではWii U GamePadかWii U Proコントローラーを使う。Wiiリモコンとヌンチャクも、当時新鮮で良かったのだが、HD版ではよりスタンダードなゲームパッド型で楽しめる。なお、Wii U GamePadの画面にはアイテム選択画面か、ミニマップを表示しておけるので、こちらも便利だ。
また、ゲーム内容的にも、乗馬や泳ぎなど、アクションの操作性が改善されているということで、今回プレイした限りでもスムーズな操作ができた。わかりづらかった箇所などの調整もされているようだ。さらに、夜にしか現われない敵「ポゥフィー」の居場所を探すための「ゴーストカンテラ」という新アイテムも追加されている。
もうひとつ、本作ならではのユニークなフォローが入っているのが新ゲームモードの「辛口モード」。こちらはダメージを受ける量が2倍になる高難易度モードなのだが、同時に“世界が全て左右反転される”という仕掛けもある。
もともと本作のゲームキューブ版とWii版とでは、プラットフォーム別に世界が左右反転されていた(ゲームキューブ版はリンクが左利きだが、Wii版では右利きに。それに伴って世界全体も真逆に描かれていた)。今回のHD版はゲームキューブ版の向きがもとになっているので、「辛口モード」にすると世界の左右が反転され……つまりWii版と同じ向きに変わるというわけだ。
当時はゲームキューブ版が通信販売のみの作品だったので、おそらくWii版をプレイしたという人が圧倒的に多いとは思うのだが、その2つの違いをこうした形で収録してくれているモードでもある(もちろん「裏ゼルダ」的な仕掛けでもあるが)。こうした仕掛けが新しく加わっているのは嬉しい。
amiiboとも連動。amiibo「ウルフリンク」に記録したデータの一部は新作に引き継げる!
ゲームと繋がるフィギュア「amiibo」にも対応している。特にソフトと同時発売されるamiibo「ウルフリンク」は、「獣の試練」というミニダンジョンに挑戦できるというギミックを搭載している。地下40階まである洞窟を何階まで踏破できるかというものだ。
「ウルフリンク」ではその他にも、プレイ中のセーブデータを連動させ、タイトル画面で読み込ませるとセーブデータ選択なしで素早くゲームを再開できる機能も搭載している。
また、「ウルフリンク」以外のamiiboでは、「リンク」と「トゥーンリンク」を読み込ませると矢が満タンに。「ゼルダ」と「シーク」ではハートが満タンに。「ガノンドロフ」を読み込ませると受けるダメージが2倍になるので、難易度をあえて高くしたい人にぴったりだ。
そして、2016年Wii U用タイトルとして開発中の「ゼルダ」シリーズ最新作が登場するが、今作でamiibo「ウルフリンク」に記録したデータの一部は、新作に引き継ぐことができるという。どのような内容になるのかはまだ不明だが、せっかく本作をプレイするのなら、そちらも併せて楽しみたいところだ。