(2013/3/18 16:20)
2月28日より、ついにPS Vita版「ファンタシースターオンライン2」(PSO2)の正式サービスが開始された。携帯ゲーム機であるPS Vitaで「PSO2」をフルに楽しめて、Windows版のプレーヤーとも一緒に遊べるという、キャッチフレーズにもある“境界を超えるRPG”を実現している。プレイ料金もWindows版同様に基本無料(一部有料アイテムあり)、ソフトも無料のいわゆるFree to Play(F2P)で提供されていて、家庭用の携帯ゲーム機で遊ぶ本格オンラインRPGとしては非常に意欲的な作品だ。このPS Vita版「PSO2」を正式サービス開始後にプレイしての感触を、レビューとしてお伝えしていこう。
PS Vitaで本格オンラインRPGをフルに楽しめる! 独自要素やβテストからの改善点も
改めて「PSO2」というゲームの概要を説明すると、本作は2012年の7月よりWindows版の正式サービスが開始され、それから約7カ月後の2月28日、PS Vita版の正式サービスが開始された。完全なオンライン専用タイトルで、これはPS Vita版においても同様(オフラインモードはキャラクタークリエイトとキャラクターポートレート以外はない)。
PS Vita版のポイントとしては、携帯機ながらWindows版のゲーム要素をフルに楽しめるところにある。クエストはもちろんとして、「PSO2」の特徴とも言えるマルチパーティエリアでの最大12人同時プレイもPS Vita版で楽しめる。ハイスペックな環境でプレイするならWindows版で、場所を問わずフリースタイルに楽しむのならPS Vita版で、というような、それぞれの魅力を活かしたスタイルでプレイできる。
冒頭にも書いたが、「PSO2」は基本無料、ゲームソフトウェアも無料で提供されるFree to Play(F2P)タイトルで、PS Vita版も同様。PlayStation Storeから無料でソフトをダウンロードし、SEGA IDを取得すればゲームは初期投資なしでプレイできる。PS Vitaを持っているのなら、遊ばないのはもったいない。
また、7大特典を収録したPS Vitaゲームカード版「スペシャルパッケージ」も有料で発売されている。こちらはPS Vitaゲームカードで提供され、特典目当てだけでなくメモリーカードの空き容量を少なくしたいという方にもオススメしたい。7大特典アイテムも、特にPS Vita版のタイミングからプレイを始めるという人にはかなり有益なアイテム揃いだ。
PS Vita版独自のゲーム内要素もある。ひとつは「どこでもいっしょ」の看板キャラクター「トロ」と「クロ」が登場するというもの。彼らはロビーエリアにいて、話しかけるとパーティーメンバーとして呼び出せる「パートナーカード」をくれる。呼び出して一緒にクエストをプレイすると、トロとクロならではのセリフをばんばん発しながら戦ってくれる。特にクロはいつの間にやらネットスラングやサブカルチャーに精通しているというキャラ付けになったわけだが、本作でもそれをいかんなく発揮している。
もうひとつは“PS Vita版先行配信ストーリークエスト”の第9章「最初の決別」だ。アークス内で評判になっているアイドル「クーナ」、新ボスエネミー“クローム・ドラゴン”、そのクローム・ドラゴンを追う“謎の少女”が登場する最新章。先行とついているとおり、後にWindows版でも楽しめるようになる。また、Windows版にも先行配信ストーリークエスト外伝「アークス戦技大会!」が配信されていて、こちらも逆にPS Vita版でも後に楽しめるようになる。
PS Vita版とWindows版の両方でプレイすれば、様々なスタイルで楽しめるし、双方の先行クエストもどちらも楽しめる。PS VitaやWindows PCの環境があるなら、どちらも基本無料だし、共通のSEGA ID(同じキャラクターデータ)でプレイできるので、両方に手を出してみるのもオススメだ。
PS Vita版「PSO2」について基本的な内容やそのデキについてはPS Vita版クローズドβテストレポートでもお伝えしたとおり。βテストバージョンは正式サービス前の最終段階のものだったので、現時点では正式サービス後と大きな違いというものは感じられなかった。βテスト時点でも非常に快適なプレイができたが、正式サービスでもそれは同様で、満足度は充分に高い。
クローズドβテスト時点からの変化で最も大きいのは、βテスト中は試験的に導入されていた“3G通信でのプレイ”が正式サポートされたことだろう。さすがに、通信量の多いアップデートにはWi-Fi環境が必須であり、快適かつ万全なプレイを楽しむのにもWi-Fi環境がベストとなるが、3G通信で出先からでもログインできる恩恵は大きい。ロビーエリアでのコミュニケーションや、マイショップのチェックに活用するだけでも非常に便利だ。
PS Vita用パッケージ版発売日に行なった酒井氏へのミニインタビュー中にあったものだが、この3G通信プレイサポートを決定できたのはクローズドβテストで積極的にいろんな場所での3G通信プレイにトライし、報告をしてくれたユーザーのおかげとのこと。βテストのあるべき姿と、それが製品によりよい結果をもたらしてくれた好例と言える。
このことはオンラインプレイという点でも感慨深いものがある。思えば初代「PSO」はドリームキャストの作品であり、通信はアナログモデムによるダイヤルアップ接続(アダプタを使えば有線LAN)でプレイするというものだったが、それから時代は進み、よりハイスペックな作品を携帯ゲーム機の3G通信を使ってどこからでもプレイできるようになった。そうした点では、「PSO」シリーズはその時代ごとの通信インフラを最大限に使っており、その実現にはかなりの尽力があったことは想像に難くない。さらに、それを今作では基本無料で提供しているのだから、改めて驚嘆させられるものがある。
今回のプレイではクローズドβテストの時とは違って、Windows版のサービス開始当初からプレイしてきたSEGA IDでログインしてプレイを行なってみた。そうして、βテストの範囲だと見られなかった各フィールド、武器やPA、ボス級のエネミーなどをPS Vita版で色々と触ってみたが、いずれもWindows版でできていたことはPS Vita版でもしっかり楽しめる。プレイ感覚も基本的に違和感はなく、充分に満足できるものだった。もちろん、「迫る漆黒の腕(ダークファルスエルダー戦)」をはじめとした緊急クエストもばっちりプレイできる。
Windows版のプレーヤーと一緒に遊べるのも魅力だ。「PSO2」にはサーバー内に同じ作りのロビーが複数ある「ブロック」があり、そこを往き来できるのだが、PS Vita版のサービスイン日からは「PC専用ブロック」と「“PS Vita”専用ブロック」、さらに両方のプレーヤーが一緒に遊べる「PC&“PS Vita”共用ブロック」が設置された。Windows版のプレーヤーもスムーズに表示され、こちらも特に違和感はなし。自然な形で一緒にプレイできた。いわゆるプラットフォーム別の隔離状態にはなっておらず、プレーヤーの数は常に多い。これはオンラインゲームを遊ぶ上で大きなメリットだ(ただしピークタイムにはブロック満員状態になっていてブロック移動ができないこともあるのが、嬉しい誤算というところだろうか)。
クエストをプレイしてみても、例えば、エネミーの同時表示数などのスペック的に厳しくなるのではと思えるところでも、相当にがんばっているという印象だ。筆者が実際にプレイしていた時に出くわした場面だと、エマージェンシートライアルでダークラグネ1体とキングイエーデ2体が同時に出現して、合計3体の大型エネミーとの同時戦闘になったこともあったのだが、多少処理が重くなる場面こそあれど、プレイをしっかり行なえるラインを保っていた。
大量のエネミーが次々に出現する「PSEバースト」中では、やはりエネミーの同時出現数はWindows版よりも多少控えめにはなっているのだが、PS Vita版だとPSEバーストの制限時間が長めになっていて、結果に差がつかないように配慮されている。ここについても大きな不満はない。
正式サービス後の変化では“キャラクターの肌色”の色味が改善されていたのが大きい。クローズドβテストで気になったところだったが、見比べてみるとだいぶ自然なものになっていた。PS Vita版ということでWindows版よりも簡略化されているグラフィックスやエフェクトについても、順次よりよく改善してもらえれば嬉しい限りだ。
他にも、PS Vita版で「ここをもっとこうして欲しい」という意見はもちろんある。例えば、ロックオンターゲットをロックしたままで切り替える機能や、キーカスタマイズをもっと細かく行なえるようにして欲しいなどなど。こうした意見はクローズドβテスト時点でも寄せられており、今回の正式サービス時点では入っていないものでも、アップデートで順次導入されていくということで、こうした対応には安心感がある。