“選択”をテーマにしたシリーズ最新作
- ジャンル:
- RPG
- 発売元:
- 開発元:
- プラットフォーム:
- PS3
- 価格:
- 8,380円
- 発売日:
- 2012年11月1日
- プレイ人数:
- 1人(戦闘時のみ最大4人)
- レーティング:
- CERO:C(15歳以上対象)
11月1日、バンダイナムコゲームスからプレイステーション 3「テイルズ オブ エクシリア2」が発売された。シリーズのマザーシップタイトルとしては、「テイルズ オブ デスティニー2」以来となる“2”とナンバリングされた、昨年9月リリースの「エクシリア」の続編にあたるタイトルだ。
アニメーション制作は前作と同様にufotableが担当。テーマソングも前作から引き続き浜崎あゆみさんが担当している。テーマソングは膨大なゲームの資料を元に浜崎さんが作詞した「Song 4 u」。“選択が未来を紡ぐRPG”とジャンル付けされた本作に相応しく、歌詞には“選択”に関するワードが織り込まれている。
通常版(8,380円)と同梱版(12,980円)の2パッケージで販売されている本作。初回封入特典は「テイルズチャンネル+」用のシリアルコード。同サイトでシリアルコードを入力することで、「エミル風ルドガー」を含む3キャラクター分の衣装とPS3用カスタムテーマのプロダクトコード、PC/モバイル用壁紙などが手に入る。予約特典はオリジナル短編小説&設定資料集。短編小説「テイルズ オブ エクシリア2 -Before Episode- 雨のトリグラフ」では、前作と本作の間のストーリーが描かれている。同梱版は、ゲームソフトに加え、「DUALSHOCK 3 TALES OF XILLIA 2 X Edition」が付いてくるものとなっている。
■ 前作から1年――エレンピオス人のルドガーと願いを叶えてくれる伝説のカナンの地を目指す少女エルの物語
前作に登場したキャラクターたちのエピソードも収録!
前作から約1年後のリーゼ・マクシアとエレンピオスが1つになった世界で、エレンピオスの都市トリグラフに住む青年ルドガー・ウィル・クルスニク、父親の言いつけを守り、願いを叶えてくれる伝説の「カナンの地」を目指す少女エル・メル・マータを中心に物語は進んでいく。
ルドガー・ウィル・クルスニク CV:近藤隆さん 20歳。エレンピオスの都市トリグラフで、兄ユリウスと一緒に生活しているごく普通の青年 | エル・メル・マータ CV:伊瀬茉莉也さん 8歳。願いを叶えてくれる伝説の「カナンの地」を目指す少女。偶然ルドガーと出会い、共にカナンの地へ行く約束を交わすことになる |
大企業クランスピア社への就職に失敗したが、苦労の末にトリグラフ駅食堂への就職が決まったルドガー。出勤初日、駅へと向かった矢先にエルと共に事件に巻き込まれ、多額の借金と世界の命運を背負うことになってしまう。“選択”が大きなテーマの1つになっている本作では、ただ物語を追うのではなく、状況に応じて選択肢が出現し、選択次第で展開が異なる。
選択を迫られる場面は多い。時には時間制限のあることも |
前述の借金はゲームシステムとして組み込まれている。ゲームは、メインチャプター→借金返済期間→メインチャプター……のように進んでいくため、ある程度の借金返済は必須。一定額を返済することで次のメインチャプターへと進むことができる。
借金返済は街や村にいるクエスト斡旋所で受諾できるクエストをこなしたり、ギガントモンスターと呼ばれる強敵を倒すことで簡単に貯めることができる。返済額に応じてアイテムも手に入るので、借金返済をそれほど苦痛と感じることはないだろう。
「エクシリア」の続編となる本作では、前作のキャラクターも登場。ジュード、ミラ、レイア、アルヴィン、エリーゼ、ローエン、ガイアス、ミュゼに至ってはパーティーキャラクターとして加入。ストーリーに大きく関与するだけでなく、一緒に戦ったり、自分で操作することができる訳だ。さらにパーティーキャラクターそれぞれのキャラクターエピソードも収録されており、1年経って成長した彼らの物語が堪能できる。
ルドガーとパーティーキャラクターの間には親密度が設定されており、選択肢、キャラクターエピソード、共鳴術技発動などで、親密度が上昇(下がることはない)。親密度が上がると、特殊なスキルや術技を教えてくれたり、後述の共鳴秘奥義が習得できたりと、ゲーム攻略の面で大きなメリットがある。
キャラクターエピソードの発生はプレーヤーの任意ではあるが、クリアすることでアイテムが得られ、タイミングによってはメインチャプターのイベントに追加シーンが挿入されるため、物語を隅々まで楽しみたいなら、ワールドマップ・ナビマップ上に出現するアイコンをチェックし、キャラクターエピソードを進めておくのがいいだろう |
前作を遊んでいない人でも物語が楽しめるよう、前作のダイジェストムービーを収録。また、エクシリア用語集として前作からのキーワードを確認することもできる。
■ 前作を踏襲しつつ、改良されたバトルシステム!
主人公ルドガーは3つの武器の使い分けが可能な上、変身能力も!
本作には「XDR-LMBS」(クロスダブルレイド・リニアモーションバトルシステム)と命名されたバトルシステムを搭載。2人のキャラクターをリンクさせて戦う前作のバトルシステムを踏襲しつつ、従来のキャラクターに新たな術技を追加、より爽快感が得られるよう調整されていたりと、パワーアップを果たしている。中でも注目は完全新規となる主人公ルドガーに関連するシステムだ。なお、本稿では前作にあったシステムに関しての説明は省略している。詳しくはこちらをご参照いただきたい。
まず、ルドガーの特性は「ウェポンシフト」。双剣・ハンマー・双銃の3つの武器を同時に装備、戦闘中に切り替えて戦うことができる。双剣はスピード、連撃性能に優れ、1対1での戦いに強い。ハンマーは、スピードは遅いが、リーチが長く、パワフルで広範囲への攻撃が可能。多数の相手に対して特に効果的だ。双銃は距離を取って安全に戦える武器。威力は低めだが、サポート効果のある技を使うこともできる。また、ルドガーのリンク時のパートナー固有サポートは「ミラーリング」。マスターキャラクターのサポート能力をコピーし、使うことができる。
3つの武器を使い分け、臨機応変に戦えるのがルドガーの魅力。装備だけでなく、技も武器により異なるため、技の設定も武器毎に行なう。ただ、使い分けなくても戦えることは伝えておきたい。武器を切り替えて、相手の弱点を突くことができれば、効率良くダメージを与えられるが、弱点属性連携(弱点属性で攻撃し、連続して異なる属性攻撃をつなげることでさらにダメージがアップする連携攻撃)は、他のキャラクターが弱点を突いてくれれば可能なこともあり、高難易度設定やレベルに見合わない相手と戦わない限り、「テイルズ オブ」シリーズの主人公によくあるタイプとも言えるスピード・手数で押せる双剣だけでも充分に戦える。いくつも覚えるのが大変という人も安心だ。シリーズの大きな魅力の1つでもあるアクション性の高いバトルは是非遊んでもらいたいが、オートでのバトルも健在なので、アクションが苦手であれば、難易度を下げ、オートバトルを使ってみるのもいいだろう。
ルドガーは、双剣・ハンマー・双銃の3つの武器を瞬時に切り替え、戦うことができる。また、ルドガーをパートナーにすると、マスターキャラのサポート能力をコピーし、使ってくれる |
さらにルドガーには「骸殻」という変身能力がある。時間経過により蓄積される画面右下の骸殻ゲージが1以上の時に変身可能で、変身するとバトルフィールドが異空間へと切り替わり、ルドガーと敵だけの状態に。画面にあるゲージは骸殻ゲージだけとなり、AC(アサルトカウンタ:行動時に消費される値)やTP(テクニカルポイント:術技使用時に消費される値)の概念がなくなり、骸殻ゲージが0になるまで一切ダメージを受けることなく、攻撃し続けることができる。変身中の骸殻ゲージは時間経過や敵から攻撃を受けることで減少し、ゲージがなくなると変身が解除される。また、変身時は特殊な槍を武器にし、技や攻撃も変身時専用のものとなり、変身時専用の秘奥義(変身第2段階以上で使用可能)を使うこともできる。
変身中はダメージを受けることなく攻撃できる強力な骸殻能力。ダウン中や仰け反り中でも変身可能とピンチを脱するのにも役立つ。変身段階が増えても、骸殻ゲージが1以上あれば、状況に応じて変身できるため、使い勝手もいい。他のキャラクターのように、OVL(オーバーリミッツ)のシステムも利用できるので、OVL状態→共鳴術技チェイン→秘奥義で大ダメージを与え、さらに変身して攻撃→秘奥義と使うこともできる。
骸殻ゲージが1以上なら変身可能。物語を進めることで変身の段階が増え、同時に骸殻ゲージの最大値も上がっていく。変身の段階が高ければ高いほど、変身時の能力が高くなるといったシステムだ。変身中は一切ダメージを受けることはないが、ダメージを受けたり、時間が経過することで骸殻ゲージが減少。ゲージがなくなると変身が解除される。また、変身中に秘奥義を使った場合も残りゲージに関係なく変身が解除される |
ルドガーは、通常時の秘奥義、変身中の秘奥義が使えるうえ、さらに共鳴秘奥義というリンク相手のキャラクターと力を合わせて繰り出す秘奥義も使うことができる。仲間との親密度を一定以上にしなければ使えないが、かなり強力で、演出も見応えのあるものになっている。
■ 新たな成長システム「アローサルオーブ」、素材を納品してアイテムが購入できる「特注」など、
前作から様々な追加・変更点が!
前作には、アップさせるパラメーターや術技習得をプレーヤーが任意で決められる成長システム「リリアルオーブ」があったが、本作では「アローサルオーブ」と呼ばれるものに置き換わり、前作とは違ったシステムになっている。
アローサルオーブを利用するには「アブソーバー」と呼ばれるアイテムを装備する必要がある。各アブソーバーには、光・闇・火・風・水・地の属性と倍率があり、敵撃破やフィールドで得られるエレメンタルコアを入手すると、アブソーバー毎に設定された属性エネルギーが得られる。各属性毎に習得できる術技やスキルは異なり、エネルギーが一定値に達することで、術技やスキルを習得、もしくは術技が強化されていく。
アブソーバーで得られる属性が複数あるものも存在する。例えば、「眩しき稲妻の環珠」であれば、光・火・風属性を同時に成長させることができ、光は2倍、他2つは1倍で成長する。オートナビ(自動でノードを開放してくれる機能)はあったものの、1つ1つ成長させていくノードを選択していた前作に比べ、アブソーバーをセットし、戦闘していれば自然とスキルや術技が習得可能になったため、育成はより楽になったと言えるだろう。
アブソーバーにより、吸収できる属性エネルギーの種類、倍率が異なる。より多くの属性、高い倍率を持つアブソーバーほど優秀と言える。中には全属性を1度に吸収できるものも存在する。覚えた術技やスキルは前作と同様に任意でセットして使う |
装備品や消費アイテム、料理が購入できるショップのシステムも大きく変化している。前作では、ストーリー進行に依存せず、素材アイテムやガルド(ゲーム内通貨)を納品することで品揃えが増え、どこのショップでも販売されるものは同一だったが、本作ではこのシステムは変更され、街や村で販売されているものは一部異なるように。そして、新たに素材とガルドを納めて特別なアイテムを作ってもらう「特注」システムが追加された。特注で作ることのできるものは、装備品、消費アイテム、アブソーバー、料理と幅広く、新たな街でショップをのぞくと、その街の特注品がショップメニューに登録され、以後は全世界のショップで登録された特注品を作ることができるようになる。
素材やガルドを納品することでショップに新商品が追加されるショップビルドシステムはなくなり、素材とガルドを納めて新たなアイテムを作ってもらう特注システムが追加された。1度特注でアイテムを作ったとしても、そのアイテムを再度作るには同じだけの素材とガルドが必要になる |
お金さえあればレベルやストーリー進行に関係なく、強力な装備が入手できた前作だったが、借金返済のために比較的簡単にお金が入手できる本作では、強力なアイテムを作りだすには、素材入手が重要となった。素材は敵からのドロップ、フィールドに点在するランダムトレジャーなどで入手できるが、素材入手の新たな手段として「ネコ派遣」が追加されている。
ネコ派遣は、世界各地のマップに隠れているネコを探し出し、捕まえたネコを街・フィールド・ダンジョンのどこか1カ所に派遣し、アイテムを持って帰ってきてもらうシステム。捕まえたネコの数が多いほど、良いアイテムを持って帰ってくる可能性が高まるため、ネコを集めることも効率良く素材を得るのに必要になってくる。ネコを集めるクエストは数多くあり、ネコ派遣でクエストクリアに必要なアイテムや新たなネコが見つかることもあるため、クエストをこなしていれば、自然とネコは増えていく。
■ アタッチメントやパーソナルによるビジュアルの変化、称号、クリア後のお楽しみ、GRADEによる周回プレイなど、遊べる要素が盛りだくさん!
ダウンロードコンテンツも充実!
物語、バトル、育成を楽しむだけでもボリュームたっぷりの本作だが、アタッチメントやパーソナル(髪型&衣装)によるキャラクタービジュアルの変化、プレイ内容に応じて得られる称号、クリア後に遊べるダンジョンやGRADEによる周回プレイなど、長く遊べる要素が数多く収録されている。
装飾品追加、衣装変更など、キャラクターのビジュアルを変えることのできるアタッチメントとパーソナル | |
称号、GRADEによる周回プレイ、闘技場、特注など、長期間遊べる要素がふんだんに詰め込まれている |
ゲームを有利に進められるアイテム、キャラクターのビジュアルを変化させられる衣装のダウンロードコンテンツ(DLC)も多数配信。前者に関しては無料で配信されているものもあるので、ネットワークに接続できるのであれば、ダウンロードしておいて損はない。有料のものでは、全属性を吸収できるアブソーバー「驚天動地の環珠」(ゲーム内でも入手可能)、「AC最大値+2」(グレードショップ項目と同様の効果)など、かなり強力なものが販売されている。後者に関しては、11月1日には「コードギアス」とのコラボ衣装が、11月8日には「スポーツ」衣装が配信。11月15日からは「まどか☆マギカ」とのコラボ衣装(2013年1月16日までの期間限定)、「学園」、「水着」衣装の配信も予定されている。また、前作で購入した衣装とアタッチメントのDLC(一部を除く)は本作でも使用可能。さらに「スポーツ」衣装のように本作で購入したDLC衣装を前作で使用することも可能となっている。
■ 最後に
続編でありながら、新たな主人公を中心に物語が進む本作だが、前作に登場したキャラクターたちもメインシナリオにしっかりと食い込んでくるし、前作キャラクターにフォーカスしたキャラクターエピソードも収録されている。同シリーズらしく、キャラクターたちは魅力的で、イベントシーンだけでなく、ファイティングチャットやロングチャットなど、よく喋り、物語を盛り上げてくれる。ただ、主人公ルドガーだけは技名や相槌程度で、CVの付いたシーンはほとんどなかったので、この点は少し不自然に感じた(ある程度物語を進めるとその理由もわかるのだが)。
バトルや成長システムに関しては、前作を踏襲しつつも、新要素追加や仕様変更により(変更されたことで賛否両論あるだろうが)、さらに遊びやすくなっている。前作から約1年2カ月と、かなり早く続編が遊べた点も前作ファンには嬉しいところ。
筆者のクリアまでのプレイタイムは41時間ほど。多くのクエストやキャラクターエピソードをこなしながらのプレイのため、平均よりも長めかもしれない。クリア後、さらに20時間ほどプレイしたが、特注で作成できる装備、称号獲得、周回プレイなど、やりきれていない要素は数多く残っている。ボリュームに関しては満足できる水準に達しているといえるだろう。
「テイルズ オブ」シリーズの完全新作も遊びたいが、本作はさらなる続編を期待してしまうほどの仕上がり。前作ファンなら間違いなく“買い”だ。なお、前作、本作共にそれぞれ物語は完結しており、前作のダイジェストムービーや用語集も収録され、前作を遊んでいなくても遊べるよう配慮されているが、100%楽しみたいなら前作を遊んでから本作をプレイすることをオススメする。
(C)藤島康介
(C) 2012 NAMCO BANDAI Games Inc.
(2012年 11月 16日)