★PS3/Xbox 360ゲームレビュー★

クリアするだけでは終わらない!!
驚異的なボリュームを遊びつくせ!!

「BAYONETTA(ベヨネッタ)」

  • ジャンル:クライマックス・アクション
  • 発売元:株式会社セガ
  • 開発元:プラチナゲームズ株式会社
  • 価格:7,980円
  • プラットフォーム:プレイステーション 3/Xbox 360
  • 発売日:発売中(10月29日)
  • プレイ人数:1人
  • CEROレーティング:D(17歳以上対象)

表記PS3Xbox 360
移動キー左スティック左スティック
アイテムショートカットキー方向キー方向キー
サブ画面ボタンSELECTBACK
ポーズ画面ボタンSTARTSTART
カメラ操作キー右スティック右スティック
A(アクション)X
P(パンチ)Y
K(キック)B
J(ジャンプ)×A
回避ボタンR2RT
武器切替ボタンL2LT
ロックオンボタンR1RB
挑発ボタンL1LB

 ファーストインプレッションでは、発売直後の情報と言うことで、ゲームシステムの紹介と解説を行なったので、今回はゲーム本編の内容とその他システムについて紹介していきたい。ゲームシステム部分が魅力的な本作ではあるが、個性的なキャラクター達や、豊富なアイテム群、終わりのないやり込み要素など、その他の部分もしっかりと作りこまれている。全てを語りつくすことはできないが、今回はその一端を紹介したい。

 なお、今回も使用した機種はXbox 360版。コマンド表記なども、前回同様右表のものを使用する。予めご了承いただきたい。



■ ストーリー

 20年前、ほの暗き湖底に沈む棺の中から、1人の女が蘇った。

 自分の素性も、そして名前さえも思い出せないその女の体には、ただ1つだけ、失われた過去の謎を解く記憶が刻まれていた。それは、獰猛な魔獣を操って天よりの使いを葬り去る恐るべき“魔女の力”だった……。

 数百年の時を超え現代に蘇った魔女ベヨネッタは、僅かに残る記憶の手がかりを手繰り寄せるうちに、ヨーロッパの辺境「ヴィグリッド」へと辿り着く。彼女を阻止せんと襲い来る無数の天使たち。彼女の過去を呼び覚ます数奇なる出会い。その先で彼女を待ちうけているものとは……?

 ベヨネッタの素性や生い立ちなどをはじめ一切不明だが、ストーリーを進めていくことで徐々に明らかになっていく。天使と戦い続ける宿命を背負った魔女、ベヨネッタだが、実際にプレイしてみると、その暗いイメージとは裏腹に、合間に挟まるムービーでは比較的コミカルな印象を受けるものが多く、思わずクスリとしてしまうようなシーンが多かった。そのためか、全体的なストーリーのテンポがよく、これによってベヨネッタのスタイリッシュなイメージが強調されているようにも感じた。

 演出自体も凝っていて、特に止め絵を使った3Dムービーはあまり他で目にしない演出で、なかなか興味深かった。


止め絵を使ったムービーは他であまり見ない演出で、独自の雰囲気を出している。登場人物も個性的なキャラクター達が多く、映画を見ているような感覚で楽しむことができる


■ ゲームの流れ

 本編はチャプターと名付けられた章立てで構成され、これを順番にクリアしていくことで進行する。チャプターはいつでも遡って選択することができるので、1度クリアしたチャプターであれば、何度でもプレイすることができる。アイテムの購入などに使うヘイロウの入手量は、序盤でも終盤でもさほど変わらないので、進行に困った場合は序盤のチャプターを繰り返しプレイするのも悪くない手だ。

・VERSE

 チャプターを選択してゲームを開始すると、マップの中を自由に動き回れるようになる。この状態で、マップ内の特定のポイントまで到達したり、配置されたオブジェクトをアクションボタンで調べたりした際に、「VERSE」と呼ばれる戦闘フェーズに突入する。

 VERSEが始まると敵である天使達が出現し、彼らを全滅させるか、決められたチェックポイントまで移動することで終了となる。VERSEが終了した時点で、クリアまでのTime、コンボ数、被ダメージなどから、毎回そのVERSEの評価が下される。評価は上から順に「Pure Platinum」、「Platinum」、「Gold」、「Silver」、「Bronze」、「Stone」となっていて、最上位であるPure Platinumを取るのはなかなか難しいと感じた。

 VERSEを消化すると移動できるエリアが拡がり、先に進んで新たなVERSEを消化できるようになる。この繰り返しでボスまで到達し、撃破するとチャプタークリアとなる。

・エンジェルアタック

 チャプターをクリアすると、ミニゲームのエンジェルアタックがプレイできる。ガンシューティング調のミニゲームで、決められた数の弾丸を発射することができ、敵を倒すとポイントが手に入る。弾丸を全て撃ち終わるとゲーム終了。手に入ったポイントはアイテムに交換するか、1ポイント100ヘイロウに換金することが可能。人型の天使は弾丸を頭に命中させればヘッドショットとなり、1発で撃破できる。これをうまく使って高得点を目指そう。


チャプターはVERSEを消化していくことで進行する。基本的には1本道なので、素直に進めば迷うようなこともあまりないだろう。


ゲーム中にサブ画面ボタンを押せば、いつでもサブ画面に入ることができる
EQUIPタブは左が武器、右がアクセサリーの設定となっている。

■ サブ画面

 ゲーム中にサブ画面ボタンを押すとサブ画面に入り、いつでも武器、アクセサリーの設定変更、アイテムショートカットの設定、アイテムの調合、ファイルの確認などが可能になっている。ここでは本作におけるアイテム関連要素の紹介と、サブ画面の解説を行ないたい。

・EQUIPタブ

 武器に関しては前回紹介したので、ここでの詳しい紹介は割愛し、サブ画面での解説のみにとどめたい。サブ画面の「Equip」タブを選択すると、左側に武器選択インターフェイスが表示される。武器は4箇所に装着できるようになっており、上段がAセット、下段がBセット、左側が両手、右側が両足となっている。前回も触れた通り、両手持ちの武器は手にしか装着できない点には注意が必要だ。

 ベヨネッタは武器のほかに、アクセサリーを装着することができる。アクセサリーはEquipタブで、右側に表示される。装備品は武器とアクセサリーのみなので、武器は特性によって使い分けるとすると、純粋にキャラクターを強くできる要素はこのアクセサリーのみとなる。

 アクセサリーは2種類が装着可能で、ダメージを食らった時に自動的にウィッチタイムを発動させる「セレーネの光」や魔力ゲージを消費して自身の分身を生み出す「セルギーの恋人」などが存在する。

 いずれも効果は強力なので、まずはアクセサリー2つのスロットを埋めるべく、ヘイロウを稼いでいくのがお勧めだ。

 ちなみにイージーオートマチックを発動するために必要なアクセサリー、「永遠なるマリオネット」は3つ目の専用スロットに装着できるようになっているため、ここにはカウントされない。イージーオートマチックモードでプレイしたい場合は、気にせず装着しておこう。


アイテムの調合は素材を決めた後に移動キーをぐりぐりして行なう。なんとなく楽しい

・ITEMタブ

 サブ画面で「ITEM」タブを選択すると、左側がアイテム設定インターフェイス、右側が調合インターフェイスになっている。

 アイテム設定インターフェイスでは各種消費型アイテムを使用するか、アイテムショートカットキーにアイテムを割り当てることができる。ここでもアイテムを使用することはできるが、体力回復などよく使うアイテムに関しては、ここでショートカットに割り当てておくと便利だ。

 右側の調合インターフェイスでは、ゲーム中に手に入る素材を調合し、アイテムを作成することができる。このときは左側にレシピも表示されるので、これを参考にしながら調合を行なおう。ちなみに素材は99個までしかもてないので、ある程度素材がたまったら適当なものを調合しておくと効率がいいだろう。

・FILEタブ

 「FILE」タブでは、各種FILEを確認できる。FILEには遭遇した天使を閲覧できる「ラグナ位階論」、召喚した魔獣を閲覧できる「魔界獣記」、そのほか「アントニオの手記」、「魔導術大欄」、「コレクトファイル」の5つが存在する。

 アントニオの手記では、ジャーナリストのアントニオが書き残した手記を閲覧することができる。手記はゲーム中いたるところに隠されており、これを読み進めていくと、徐々にストーリーの謎が明らかになっていく。より深い部分までストーリーを楽しみたいのであれば、こまめにチェックするといいだろう。

 魔導術大欄では手に入れた魔導術、簡単に言えばベヨネッタの技を確認できる。また、ここでは魔導術のon/offも設定可能。手に入れたが暴発しやすかったり、必要のないものはここでoffにしておくといい。

 コレクトファイルでは手に入れた「魔女の血涙」と、「天使の歌声」を確認できる。魔女の血涙はゲーム中で特定の条件を満たすと手に入る、いわゆる実績システムなどと呼ばれているもの。やり込みを目指すのであれば、まずここに挙げられた項目を満たすようにプレイしていくといいだろう。天使の歌声もゲーム中で手に入るアイテムで、完成した天使の歌声を持って「ゲイツ オブ ヘル」に行くと、ロダンが新しい武器を作ってくれる仕組みになっている。


FILEタブでは各種FILEが確認可能。特にアントニオの手記はこまめにチェックするようにしておくと、よりストーリーの理解度が高まるだろう。また、魔導術大覧も重要なFILE。使用しない魔導術は、OFFに設定しておこう


ゲイツ オブ ヘルは本作におけるショップの役割を果たす
マップ上に存在する、赤い魔法陣はゲイツ オブ ヘルへの入口だ

■ ゲイツ オブ ヘル

 チャプター選択時、もしくはステージ上に設置された赤い魔法陣から入ることができる「ゲイツ オブ ヘル」はロダンが店主をつとめる、本作のショップ。ゲーム中にためたヘイロウを使って、ここでアクセサリーや魔導術、武器、各種消費型アイテムなどを購入することができる。

 武器に関しては、新しい種類のものは前述した通り、ゲーム中に天使の歌声を手に入れた後、ゲイツ オブ ヘルに持ってくることで作ってもらえるのだが、その場合は1セットしか手に入らないため、両手・両足に装備したい場合、ここでクローンを購入する必要がある。

 武器を購入しても攻撃力アップなどの効果があるわけではないので、純粋にキャラクターを強化させたい場合は、まずアクセサリーを、続いて魔導術を購入していくのがいいのではないだろうか。

 そのほか「RODIN'S TREASURES」の項目では、ベヨネッタの見た目を変更するアイテムを購入することができる。これもヘイロウに余裕ができてきたら、購入してみるといいだろう。



普通に進めているだけでは出現しないVERSEもある。その時点で探索可能な区域を隅々まで調べてみよう
オレンジ色の魔法陣はアルフヘイムへの入り口。見つけたらぜひトライしてみて欲しい
戦闘開始前に条件が提示される。失敗してもすぐにやり直すことができるので、何度も繰り返しトライしてみよう

■ やりこみ要素

 チャプターを全てクリアしただけでは終わらない、ボリュームの多さも本作の特徴だ。一通りのストーリーを堪能した後でも、まだまだやることが残されている。ここではその一部を紹介したい。

・隠れた戦い

 チャプター内のVERSEには、普通に進めただけでは現われないものもある。これらのVERSEは出現させなくともチャプタークリアには関係なく、無視して進めることもできるのだが、チャプターの評価にも繋がるので、やり込みを目指すのであれば全て見つけて消化する必要がある。

 例えばチャプター1のVERSE5はVERSE4を終わらせたあと、素直に先に進むのではなく、1度来た道を引き返すと発生する。コンプリートを目指したいのであれば、これらの隠しVERSEも探していく必要がある。

・アルフヘイム

 上述の隠しVERSEと同様、普通に進めているだけでは見当たらない場所に、時々オレンジ色の魔法陣が設置されていることがある。これは、アルフヘイムへの入り口。アルフヘイムの中にもVERSEが存在するが、ここでは通常の戦闘と違い、条件付きの戦いを強いられる。従って例え敵を全滅させたとしても、条件を満たしていなければクリアにはならない。

 アルフヘイムは全体的にかなり手応えのある内容となっているので、腕に覚えがあるのであれば、ぜひトライしてみて欲しい。

・ハードモード

 お約束だが、ノーマルモードを全てクリアすると、ハードモードにトライすることが可能。筆者はノーマルモードをクリアするだけでもかなり苦戦したクチなので、ハードモードになると、もはや目眩を覚えるほどの難易度に感じてしまった。ノーマルモードをクリアするまでに、筆者がかかったプレイ時間は約20時間程度。昨今のゲームの中では短い方だと思われるが、このハードモードなども含めると、全てを遊びつくすには1体どの程度のプレイ時間がかかるか想像付かないほどだ。

 そういう意味では、まず1度ノーマルモードをクリアしてからが、本当の戦いの始まりだといえるかもしれない。


ハードモードでは、登場する敵も異なっている。さすがにハードなだけあって、一筋縄ではいかない難易度だ


■ 完成度の高い本格派3Dバトルアクションと魅力的な世界観の融合

 なんと言っても本作の魅力は、たった1人で大勢の敵をバッタバッタとなぎ倒していくその爽快感にある。多彩な技で次々と敵を倒していく爽快感は、なかなか他のゲームでは味わえない感覚だ。それでありながら、操作もシンプルで、とっつきやすい。

 それだけでなく、魔女を題材にした世界観とストーリーはスタイリッシュで魅力的なものとなっている。主人公ベヨネッタのクールなイメージは、本作のスピーディーなゲーム性とよくマッチしていると感じた。

 他にも本作は発売元がセガと言うことで、いくつか過去のセガ作品をオマージュした要素も盛り込まれている。例えばとあるチャプターは、「スペースハリアー」のオマージュとして、3D視点のシューティングゲームとなっており、また別のチャプターでは「ハングオン」のようにバイクに乗って戦うものもある。技の中にも「バーチャファイター」のアキラが使用する鉄山靠があったりと、遊び心も満載である。

 強いて気になった点を挙げるとすれば、前述のスペースハリアーのオマージュと思われるステージが、本編とは大きく異なるゲーム性でありながら、ひとつのチャプターを形成しており、比較的長時間のプレイを強要される点などは、必要性にやや疑問を感じてしまい、本編とは直接関係のないおまけとして収録されていた方がよかったのでは?などと思う節もあった。

 しかしながら全体としては、非常に完成度の高いアクションゲームに仕上がっていると思う。近年発売された3Dアクションゲームとしては、間違いなくトップクラスのクオリティを秘めた作品であると思うので、この機会に、ぜひ1度プレイしてみて欲しい。


非常のクオリティの高い作品であるだけでなく、セガ作品のオマージュ的要素も含まれており、遊び心も忘れない。条件はよくわからなかったが、アキラの“あの”セリフが再生されるシーンもあった


(C)SEGA

(2009年 11月 6日)

[Reported by 米澤大祐 ]