★PS3ゲームβテストレポート★

最大256人が入り乱れるシャドー戦争へ!
戦略とFPSが融合したような未知のFPSが国内でもβテスト開始!!

「MASSIVE ACTION GAME (MAG)(前編)」


 最大256人が1つのフィールドで同時に戦うPS3用オンラインFPS「MASSIVE ACTION GAME(以下、MAG)」。2010年1月28日発売予定で、開発は「SOCOM」シリーズを手がけたZipper Interactive。現在は海外でβテストが実施されており、日本国内でも11月10日よりβテストを実施している。GAME Watchでも2,560名のβテスター募集を行なったのですでにプレイしている方も多いだろう。

 弊誌では海外で行なわれているβテストに参加できたので、「MAG」の詳しいゲーム内容やシステム面、プレイの模様などをお伝えしていこう。「MAG」は単に参加人数が多いだけのFPSではなく、タクティカルな一面を持つ新機軸のタイトルだ。特にそのあたりの独特で新しいゲーム性について、詳しく伝えていきたいと思う。なお、本稿で解説する内容は全てβテストからのものなので、アップデートなどにより変更される可能性があることをご了承頂きたい。



■ ビッグスリーと呼ばれる民間軍事会社の紛争に参加せよ!

民間の会社が契約を交わして紛争を行なう世界。台頭しているのは3つの民間軍事会社だ

 まず基本的なゲームの流れを簡単に紹介していこう。本作の世界は2020年頃の近未来。内戦や紛争への関与が国家から民間軍事会社へと委託されようになり、戦争という巨額のマネー契約を奪い合う争いが激化している世界だ。この戦いは表立って報道されることがないため、「シャドー戦争」と呼ばれている。

 プレーヤーは傭兵の1人として民間軍事会社のどれかに所属しシャドー戦争に参加していく。所属可能な民間軍事会社は「レーヴン工業(RAVEN)」、「株式会社ベイラー(VALOR)」、「セイバー(S.V.E.R.)」のビッグスリーと呼ばれる3社のどれかだ。これら世界観や民間軍事会社についてはβテスター募集の記事で詳しく紹介しているのでそちらをご覧頂きたい。

 3種類の企業はバックグラウンドやキャラクターの外観には違いがあるものの、基本的な性能や装備等には差はない。企業固有の特殊装備なども存在しない。おそらくは特定の装備等で人数や戦力のバランスが偏ってしまわないようにする方向性なのだろうと思う。好みで選ぶか、友人知人と一緒に遊べるように示し合わせるのがいいと思う。

 唯一企業によって大きく異なるのはホームとなるマップ。βテストでは3つの企業それぞれに担当する地域のホームマップがあり、ホームマップ側が守備、攻め込んだ側が攻撃側となる。βテストでプレイできたのは参加人数が異なる3つのゲームタイプだが、タイプによって地域内でもマップが異なる。

ビッグスリーと呼ばれる民間軍事企業とゲームモード別のマップ

民間軍事企業

256人対戦マップ

128人対戦マップ

64人対戦マップ

レーヴン

フロレス湾移管

カラス研究所

ダリエン ネットワーク

セイバー

アブシェロン石油精製所

アラルクム機械工

シルダリヤ アップリンク

ベイラー

アリエスカ ターミナル

エルク湾兵站

コッパー丘

 このようにホームマップの違いはあるが、プレイしていてマップによって有利不利があるというのは今のところは感じない。さすがに戦略が確立されてくると将来的に差が見えてくるかもしれないが……。ひとまずβテスト段階ではそれは気にしなくて良いだろう。好みで選んでいいと思う。

 キャラクターの作成では顔は15種類、ボイスを9数種類から決定できる。体型等は有利不利が影響するため変更できないが、外観やカラーに関しては兵装で変更できる。名前はPlayStationNetworkのIDが使われ、変更はできない仕様となっている。

【S.V.E.R.】
(セイバー)
【RAVEN】
(レーヴン工業)
【VALOR】
(株式会社ベイラー)
左からセイバー、レーヴン工業、株式会社ベイラー。外観や地域が異なる

現代とほぼ同様のマップを舞台に、大規模な紛争を繰り広げる
キャラクターにはレベルの概念があり、戦闘終了後に行動に応じた経験値がもらえる

 メインメニューはシンプル。ミッションへ進む「出撃」、武器や装備品等をカスタマイズする「武器庫」、フレンドやクランの設定をする「コミュニティ」、階級の確認やスキルの取得を行なう「兵舎」、操作の変更や音量調整、カメラ速度等を変更する「オプション」となっている。もうひとつ現在は機能していない項目があるがそれは不明。

 出撃をするとゲームタイプの選択だ。βテストでは遊べるゲームタイプが1つに制限されていて、それが日や時間帯によって変更されていた。ゲームタイプは、32人対32人の「妨害作戦」、64人対64人の「襲撃作戦」、128人対128人の「制圧作戦」の3種類。そのほかに緊急配置という項目があったが、これはいわゆるクイックマッチのようなもので、開始の近いゲームに自動で配置される。

 人数が集まってくるとゲームが自動的に開始される。守備側と攻撃側の企業が表示され、続いて分隊の画面になる。1分隊は8人で構成され、空いているところに自動的に配備される。空きのある違う分隊にも移動可能だ。32人対32人なら4分隊、64人対64人なら4分隊を1小隊として2小隊、128人対128人なら4小隊で構成される。画面には自分が参加している小隊のメンバーリストが表示される。

 分隊では階級によって役割が分かれる。1番多いのが一般兵、分隊を束ねる分隊長が1人、4分隊を束ねる小隊長が1人、小隊を束ねる司令官といった構成だ。これらの部隊が1フィールドに展開していく。

 小隊画面から30秒ほど時間が経過するといよいよゲームスタートだ。あとはゲーム中に隊長の指示を受けながら、自陣営の勝利を目指していくこととなる。ゲーム時間は20分。見事勝利すればポイントを獲得できる。

 プレーヤーキャラクターにはレベルがあって、獲得したポイントでレベルアップする。レベルがある程度上がるとクランが作成可能になり、さらに15以上になると分隊長に立候補が可能になる。また、レベルアップすると増えるポイントでスキルを獲得できる。装備やスキルを整えたら、また新たなミッションに参加していく。一連の流れはこうなっている。



■ 独特な「MAG」のゲームシステム。重要なポイントを解説

 おおまかなゲームの流れに続いて、ゲーム中の各システムについて詳しく解説していこう。

・ゲームモードによって大幅に変わるゲーム性

 ゲームモードは前述のように32人対32人の「妨害作戦」、64人対64人の「襲撃作戦」、128人対128人の「制圧作戦」の3種類。解説の前に先に謝っておかなければいけないのだが、βテストでは遊べるゲームモードが日や時間帯によって変わっていたのだが、ほとんどは「妨害作戦」と「襲撃作戦」だけだった。「制圧作戦」はβテスト期間中に2、3度オープンになっていたようなのだが、残念ながらプレイの機会を逃してしまった。「妨害作戦」と「襲撃作戦」はプレイしての実践的な解説、「制圧作戦」は資料等からの解説と捉えて頂きたい。

64人対戦の「妨害作戦」。2箇所の通信施設を乗っ取り、データセンターを破壊するというミッション

 64人対戦の「妨害作戦」では、通信施設A、Bの2箇所の拠点を攻撃、防衛し、攻撃側によってA、B両方が確保されるとCという最終ポイントでの攻防に切り替わる。3つのゲームモードの中では比較的シンプルなゲームで、マップ中央位置にあるAポイント、Bポイントの攻防から始まる。

 参加している部隊数は4分隊(8人×4分隊)なので、攻防ともに2分隊ずつAポイント、Bポイントに向かうのが定石だ。スタート位置や復帰ポイントもそれを促すように分かれている。マップはそんなに広くはなく、従来のFPSタイトルに近いプレイ感になっている。

 マップによって多少の差異はあるが、基本的に通信施設は内部への入り口が狭めになっていて、周囲にも遮蔽物が多く防衛しやすくなっている。攻撃する側は、例えば左右のルートを各分隊がそれぞれ担当したり、または1分隊が正面から射撃をしつつもう片方の隊が裏に回るようにしたりと、連携が求められる。スモークグレネードなどをうまく使い思い切って突入していくのも大事だ。


厳重な守備をどう打ち破るかがポイント。画像は左上からZ字に並べていて、スモークグレネードを投げ、煙にまぎれて階段を突破、通信施設を作動させている
128人対戦の「襲撃作戦」。目的が段階別に分かれていて、臨機応変に行動しつつ最終目的である最新型車両の奪取を目指す

 128人対戦の「襲撃作戦」は攻撃側が開発中の車両を奪うこと、守備側はそれを阻止することが目的だ。64人対64人のゲームだけあってマップが一気に広大になる。「妨害作戦」の倍以上の広さで、施設も多数登場する。

 このゲームモードでは「MAG」の特徴である、「部隊で目的に向かって行動すること」、「隊長が逐次指示する目的に対応すること」が非常に重要だ。攻撃側の視点で順を追って記述すると、まずマップの手前側には相手部隊の前線であるバンカーがある。バンカーは敵側の復帰ポイントであり機銃も強力。まずはこれに爆弾を設置して破壊するのが目的となる。続いて、道路にあるバリケードや門を同じく破壊する。それにより、車両や戦車が進入できるようになる。

 次の目的は対空砲やレーダー施設だ。対空砲を破壊することができれば、空からのパラシュート降下によるマップ奥での復帰が可能になる。そうして前線のラインを上げていき、1番奥に格納されている新型車両を奪取して無事に帰還できれば勝利だ。守備側は各施設の破壊を防ぎ、破壊された場合は次の施設を守備するか、修理キットを持つプレーヤーが破壊された施設を修理することになる。

 ここで重要なのは、各部隊がどの施設に向かっていくのかということだ。その指示を出すのはプレーヤーである隊長になる。隊長がどんな戦略ルートを指示するか、隊員がそれにうまく反応して達成していけるかなど、従来のFPSタイトルにはあまりなかったゲーム性を持っている。キルを獲得することよりも、いかにして目的を達成するかということの方が重視されるゲーム性だ。キルは目的への障害を取り除くことに近い。


128人対戦のマップでは乗り物や施設が多数登場する。画像左は前線防衛であるバンカーで守備側の復帰ポイントのひとつになっている。まずはこれをいかにして破壊するかがポイントだ。戦車など強力な乗り物を上手く使うのがポイントになる。対空施設を破壊すれば航空部隊からパラシュート降下やヘリからの出撃が可能になる

 最大規模の256人対戦になる「制圧作戦」は、8つの目的を達成することが目標となる。広大なマップを敵味方ともに16分隊、128人が展開する。もはやこうなってくると1キル2キルなんて誤差のようなもので、キルを獲る腕前よりも戦略面や相手の陣営を崩すテクニカルな動きのほうがよっぽど重要視されるようになる。射撃の応酬はキル目的よりも相手の足を止めるという意味合いのほうが強いだろう。「襲撃作戦」よりもさらに隊長の考える戦略が勝敗の鍵を握るようになる。

・自然でオブジェクトの豊富なマップ、凝ったグラフィックス

複雑に入り組んだ建物こそは少ないが、建造物は非常に多い。遮蔽物や足場としてうまく活用できるほか、いつでも油断のできない作りになっている

 マップは基本的に野外がメインで、建物も多く点在している。建造物は複雑な構造の建物はあまりないのだが、ちょっとした足場になっていたり遮蔽物になる場所はとても多い。マップの起伏は豊かで木々等のオブジェクトも非常に豊富。印象として、相手陣地に攻め込んでいくためのルートが豊富で、戦略をマップで限定しないよう配慮しているように感じた。

 グラフィックスの質感はやはり「SOCOM」を思い起こさせるところがあって、くどさのないスッキリとした色彩になっている。巨大なフィールドの端まで細かに作り込まれているのに驚かされる。マップの作りはかなり凝っていて、川に掛かっている木の板の橋はかがむと下を通り抜けることができたり、停車している車の下にホフクで潜り込んだりすることもできる。

 肝心のマップのゲーム性もよく、建造物や遮蔽物の置き方がうまくて安全な場所こそはないものの、うまく物陰に隠れながら応酬するとだいぶ変わってくる。膠着状態ができて前線のラインがうまくできあがるように計算されていると感じる。それと同時に、その膠着を崩す別ルートもうまく用意されている。これらは隊長でプレイできるようになると、より感じられるはずだ。


リアルに作り込まれたマップは起伏も多くて不自然さもない。画像左下の木の板で作られた橋は、かがめば下を通ることもできる

・隊の目標を設定できる隊長。戦術支援を有効に活用したい

隊長は隊員に指示を出す重要な役割。戦況を全体マップで把握し、目標ポイントを設定する。その役割をユーザーにやらせるというのが斬新だ
戦術支援の要請も出せる。うまく活用できれば戦局を大きく動かせる

 レベルが15以上になると隊長になることができる。ミッションの参加時に隊長を希望しておくと、隊長希望者の中で隊長になったことがない人を優先しながらランダムで選ばれるシステムになっているようだ。

 隊長と普通の隊員の大きな違いは“指示を出せる”ことだ。全体マップの画面または視点の画面で方向キーの下を押すことで目的地を設定することができる。

 目的地は隊員の画面左上に表示されるほか、目的地の方向にマークと距離が表示される。例えば攻撃側のときに敵のバンカーに設定すれば「バンカーを破壊しろ!」という音声とともに表示が現われる。隊員はその指示に従って目的のバンカーを攻めていけばボーナスポイントが付与されるという仕組みだ。

 ただし、隊長もプレーヤーの1人なので、うまく指示ができる熟練者と隊長なりたての人もいるし、ボイスチャットで隊員を誘導する人もいれば喋らない人もいる。ボーナスポイントの存在もあるため、部隊がうまく結果を出せるかどうかは隊長次第という面がある。それと同時に、隊長をフォローするように隊員がうまく合わせることも大事だ。つまり、チームプレーが重要ということになる。

 また、隊長は「コマンドアビリティー」という戦術支援兵器の要請を出すことができる。航空爆撃や無人偵察機などだ。隊の目的地を設定するのと同様に、マップ画面または方向キー右で設定する。ただし、戦術兵器は敵側の迫撃砲などが機能していると要請地点にたどり着けない。戦術支援を使えるように敵側の施設を破壊することも重要だ。


・ミッションに合わせて使い分けたい「兵装」、能力をアップさせる「スキル」

こちらは兵装のセッティング画面。セットを複数作っておけるので、ミッションや部隊の構成に合わせてチョイスする

 世界観が近未来ということもあり、装備はほぼ現代戦の兵器だ。「SOCOM」シリーズをプレイしたことがある人には、「SOCOM」でお馴染みの兵器類と説明すると早いだろう(ただし、「SOCOM」にあった国限定の装備のような概念は無い)。種類は、アサルトライフル、マシンガン、ショットガン、ハンドガン、サブマシンガン、スナイパーライフル、グレネード、スモークグレネード、毒ガスグレネード、ロケットランチャー、クレイモア、救急キット、修理キットなどがある。

 各装備にはポイントがあって、ポイント合計がキャラクターの上限を超えないようにしないといけない。強力な物で全部固めるというのはできないわけだ。装備欄は、主武装(ライフルなど)、副武装(ハンドガンなど)、装備1(救急キットなどのギア)、装備2(ギア2個目)、重装備品(ロケットランチャーなど)、装甲(防具など)がある。また、銃器にはオプションとしてスコープやグリップなどのパーツを付けることも可能。防具でもヘルメットや迷彩など外観をカスタマイズできる。

 新しい装備の獲得はスキルのひとつになっている。スキル用のポイントはレベルアップごとに獲得できるようになっていて、例えば、ダッシュ回復力1ポイント、リロード時間短縮1ポイントなどがあって、その中に初期には持っていない装備の獲得も並んでいる。


装備や外観はカスタマイズが可能。装備によって衛生兵や工兵などのプレイができる。装備や能力はスキルで獲得する

・操作やキーコンフィグ

 キーの割りふりや可能なアクションはやはり「SOCOM」に近く、走るスピードや感覚的な部分も「SOCOM」を彷彿とさせるものがある。ただしSIXAXISは使っておらず、ホフクからのローリングなどは無かった。キーコンフィグはデフォルト、レガシー、サウスポー、マークスマン、コマンドーとあって私はデフォルトで「SOCOM」の感覚のまますんなりと遊べた。だが、自分で配置を換えられるカスタムはやはり欲しいところだろう。

キーコンフィグ画面。「SOCOM」シリーズをプレイした方には馴染みのある配置になっている

 後編では、128人対戦などのレポートをお届けする。お楽しみに。

(C)Sony Computer Entertainment America Inc.

(2009年 11月 10日)

[Reported by 山村智美 ]