PSPゲームレビュー

シングルでもマルチでも楽しめる
やり込み要素満載の新作マルチアクション!

「ロード オブ アルカナ」



アクション性が高く、歯ごたえのある戦闘も本作の魅力の1つ

 10月14日に株式会社スクウェア・エニックスから発売された「ロード オブ アルカナ」。本作はPSP向けに新たに開発された最大4人同時プレイ可能のマルチアクション。マルチアクションというと、シングルプレイでは楽しめないかと思われるかもしれないが、そんなことは全くない。シングルプレイのみのプレーヤーであっても十分に楽しめるゲーム性に仕上がっている。

 本稿では、これまで2回行なった「体験版」のレビューで触れていない点を中心に、紹介していくことにしよう。



■ 歯ごたえあるバトルが魅力の新作マルチアクション

 「ロード オブ ヴァーミリオン」の世界観をそのままに、PSP向けにマルチアクションとして開発された本作には、本作ならではといった要素が数多く存在する。ここでは、ゲームの特徴や流れなどを簡単に紹介する。

 一部例外はあるが、基本的なゲームの流れは至ってシンプル。スレイヤーズギルドと呼ばれる施設でクエストを受け、フィールドでクリア条件を満たす。たったこれだけだ。クエストを受けた瞬間にフィールドへと飛ばされるので、進行で迷うことはない。

スレイヤーズギルドでクエストを受け、フィールドでクリアを目指す。これがゲームの基本的な流れだ。クエストがクリアできないことで困ることはあっても、進行に迷って進めなくなることはまずない

 フィールドには魔物が点在し、魔物に接触することで戦闘フィールドへと移行する。敵の隙をついて背後から接触すると攻撃力が上がるといった要素もある。戦闘フィールドは円形の限定された空間で、その中で敵と戦う。戦闘はアクションで、特徴ある武器での攻撃、バトルアーツ、魔法などを駆使して敵を撃破していく。ロックオンしながら攻撃すると敵の方向を自動的に向いて攻撃してくれるため、ロックオンは本作の戦闘では欠かせない。だが、ロックオンはLボタンを押しっぱなしにする必要があり、戦闘ではほとんどLボタンを押しっぱなしの状態となる。Lボタンを押すたびにロックオンのON/OFFができる操作オプションが欲しくなった。

敵と接触することで戦いは始まる。接触の仕方次第でプレーヤーに有利になったり、不利になったりする。特殊な魔方陣から戦闘に突入するマスターガーディアン戦以外のバトルでは常に有利な状態で戦闘するようにしたい。不利な状態で戦闘に突入した場合、1度逃げてしまうのも手だ

 敵を撃破すると経験値や使用した武器、魔法の熟練度が得られ、一定量獲得ごとにレベルアップする。装備だけでなく、プレイすればするほどキャラクターも強化されていくわけだ。このレベル・熟練度制を採用している点は本作の特徴といえよう。

 敵やフィールドで得られるアイテムの多くは装備や消費アイテムなどの生産・強化に必要となる。中でも重要なのが、アルカナの活性したエリアでの戦闘やマスターガーディアンというボスモンスター戦後に発生する「SACRIFICE!」。これは装備の生産・強化に欠かせないモンスターのコア入手のチャンス。こうして敵から装備の生産・強化に必要な素材を集め、キャラクターを強化していく。生産・強化できる装備の数は多く、新たな武器を作って、次なるクエストへと挑んでいくのだ。

敵を倒すと経験値や熟練度が得られる。装備だけでなく、レベルや熟練度を上げることでもキャラクターを強化できる敵がアイテムをドロップ。一定時間経過するとなくなってしまうので、すばやく拾うようにしたいアルカナ活性エリアでの戦闘やマスターガーディアン戦の後はコア入手のチャンス!

 魔物の豊富さも本作の魅力の1つだ。小さな雑魚敵から、巨大なボスモンスターと様々な敵が登場する。複数部位を持つ魔物も存在し、“破壊可能”、“通常よりダメージが与えられる”、“気絶させやすい”など、部位によって効果が異なる。部位破壊は、破壊した部位アイテムが獲得できるだけでなく、攻撃手段を減らしたり、破壊後の部位には大きなダメージが与えられるなど、戦闘を有利にさせる点でも有効だ。

大小様々な敵が登場する。それぞれ攻撃方法や行動パターンが異なり、攻略しがいがある
マスターガーディアン戦とのバトルでは、相手が瀕死になるとシネマティックシーンが発生する。表示されたボタンを素早く入力していくもので、これを成功させないと倒すことはできない。失敗した場合は、またシネマティックシーンが発生するまでダメージを与えることになる

 ジャンルにマルチアクションとある通り、最大4人での協力プレイも楽しめる。マルチプレイはアドホック通信を用いるため、遠隔地のプレーヤーと一緒にプレイしたければ、プレイステーション 3の「アドホック・パーティー」などを使おう。マルチプレイならでは要素もあり、シングルプレイとはまた違ったプレイが味わえる。



■ プレイ感の異なる5種類の武器

 体験版では片手剣、両手剣の2種類しかプレイできなかったが、製品版やトライアル版では、片手剣、片手棍、両手剣、両手斧、銃槍と5種類の武器が最初から選択できる。それぞれの武器には特徴があり、そのプレイ感も全く異なる。ここでは5種類の武器について紹介していきたい。

■ 片手剣

 片手剣は、攻撃速度が速く、そのスピードを活かし、手数で攻める武器で、盾を装備することが可能。一撃のダメージが低く、リーチも短いが、攻撃速度が速いので、少ない隙であっても攻撃が叩き込める。また、片手剣装備時は、魔法熟練度が上昇すると、最大3連射できるようになるのも魅力だ。

 防御面においては、盾が装備できるため、防御力が高く、全武器共通の回避ステップに加え、盾でのガードが可能。本作でダメージを受けやすい状況は、キャンセル不能な攻撃モーション中やダウン中だ。攻撃速度が早い=攻撃モーションが短いため、相手の攻撃モーションを見てからガードや回避ステップに移行しやすい。全武器中、最も防御に優れた武器といえるだろう。

 盾装備のメリットは防御力だけではない。オーブ(攻撃力を上昇させたり、回復アイテムの効果をアップさせる装備)の装備可能数は防具のスロット数に依存するため、盾が装備できない他の武器と比べて、盾のスロット数分、オーブが多く装備できる点も大きい。

 片手剣は、回避ステップ、バトルアーツ、ダッシュなどを使うと上昇し、限界を超えると、一定時間アクションが制限されてしまうパルス増加量が少ないという点においても使いやすい武器。パルスが増加しにくいため、連続ガード可能数も多く、パルスの状況を気にすることなく、様々なアクションを繰り出しやすい。フィールドの移動時でも複数エリアに渡ってダッシュ移動ができるほどパルス増加が少ないため、さくさくと移動できるし、やっかいな敵からも逃げやすい。

 バトルアーツはスピーディーで使いやすいものがそろっている。最初から使える「ターンスラッシュ」は小型の魔物を吹き飛ばし、ダウンを奪いやすい点でも優秀。ダウン中の相手に追撃できるし、吹き飛ばすことができれば、相手から攻撃を受けることもない。武器の攻撃力を最大3段階アップできる「フォースセイバー」という補助的なバトルアーツもある。バトルアーツで攻撃できない分、攻撃手段が減ってしまうが、攻撃力アップの恩恵は大きく、また攻撃範囲が拡大するメリットも見逃せない。

 攻撃、防御、移動、バトルアーツとあらゆる面で使いやすい片手剣。ただし、ダメージが低い分、マスターガーディアンなどの体力が多い相手では長期戦になりやすい。少ない隙を見逃さず、ダメージを受けないよう、根気強くダメージを与えていこう。


■ 片手棍

 片手棍も片手剣同様手数で攻める武器ながら、その攻撃力は片手剣を凌ぐ。盾やマジックカードが装備できないが、□ボタンホールドでのタメ攻撃、○ボタンでの打ち上げ攻撃と、物理攻撃・手数・スピードに特化した武器となっている。

 防御面においては、盾が装備できないため、防御力が低く、ガードもできない。だが、通常ダッシュ中に×ボタン or ガード中にアナログパッド入力でしか出せない回避ステップが、×ボタンだけで出せるため、回避ステップが使いやすい。ガードできないため、敵の行動をよく見て、回避ステップやダッシュなどで回避して、被ダメージを減らしたい。全てを回避することはできないかもしれないが、その分攻撃力の高さを活かして敵を早く撃退しよう。ダメージを受けやすい武器なので、回復アイテムはお忘れなく。

 

 片手剣と比べパルスが増加しやすいが、回復速度が速いため、戦闘でのバトルアーツ、ダッシュ、回避ステップは連発しやすく、フィールドでの移動も快適だ。

 バトルアーツには、正面の広範囲を攻撃でき、小型の魔物を吹き飛ばせる「地裂衝」、△ボタンを連続入力することで連続攻撃が可能かつ移動中に無敵時間のある「流歩双打」などがある。また、マジックカードが装備できないと先ほど述べたが、実は「天地勁墜」というバトルアーツを装備した場合のみ、マジックカードを装備することが可能。魔法は使えないが、マジックカードの付加効果を攻撃時に発生させられる。

 スピーディーかつ威力のある攻撃を繰り出せるが、盾装備不可、ガード不可と防御面に不安があり、回避ステップを駆使することが絶対の片手棍。使い手を選ぶクセの強い武器だが、その分、やり応えも十分といえる。


■ 両手剣

 攻撃速度は遅いが、リーチが長く、一撃の威力の高い両手剣。両手装備ながら、盾を装備でき、ガードも可能と、高いレベルでバランスのとれた武器といえる。また、両手装備時は、○ボタンホールドで魔力をタメて魔法を放つ事ができ、魔法熟練度が上昇するとタメ時間が減少する。

 防御面においては、盾が装備できるため、防御力が高く、盾でのガードも可能。片手剣同様、盾のスロットが利用できる点は見逃せない。相手の攻撃に合わせて、タイミングよくガードすると弾きが発生し、弾き成功後×ボタンでカウンター攻撃が繰り出せる。簡単ではないが、使えるようになると、攻守共に活躍してくれる。弾き以外にも両手剣のガードには片手剣と違いがある。ガード成功時だけでなく、ガードモーションへ移行するだけでもパルスが増加してしまうことだ。また、回避ステップは片手剣や片手棍と比べ、移動距離が短い。

 攻撃力が高く、リーチもあり、盾が装備可能で、ガードや魔法も使用可といいことづくめのようだが、両手剣の最大の弱点はパルスが増加しやすいことだ。前述のガード時にパルスが増加することだけでなく、ダッシュ時のパルス増加量が大きいなど、とにかくパルスが増えやすいため、いかにパルスを管理するかが鍵になる。移動速度は遅く、フィールドで敵を避けづらい。

 前方にダッシュした後、剣を振るい、小型の敵を吹き飛ばせる「猛襲裂刃」、△ホールドで力をタメて強力な一撃を繰り出す「真覇輝煌斬」と、攻撃系バトルアーツはダメージが大きい分、隙も大きい。発動すると当て身の構えをとり、攻撃を受けると高速で移動し相手の死角から攻撃する「無影剣」や、攻撃速度と攻撃回数をアップさせるが、ガード不能になる「羅刹」という特殊なバトルアーツも存在する。

 攻撃、防御とバランスの取れた両手剣。パルスの管理さえしっかりやれば、あらゆる局面に対応できる。片手剣同様、使いやすい武器といえるだろう。


■ 両手斧

 両手剣同様、攻撃速度は遅いが、リーチが長く、一撃の威力の高い両手斧。全武器中最大の攻撃力を誇るパワフルな武器だ。盾が装備できない分、両手剣より防御力は劣るが、回避ステップ後に□ボタンを入力することでステップ攻撃が繰り出せるという両手斧ならではの攻撃的なアクションを備えている。また、両手剣同様、魔力をタメて魔法を放つ事ができ、魔法熟練度が上昇するとタメ時間が減少する。

 ガードは可能だが、盾がない分、ガードに成功しても削りダメージを受けてしまう。とはいえ、ガードがあるのは大きいし、盾がない分防御力が低いため、活用しない手はない。両手剣と同様に弾きが可能で、弾き成功後×ボタンでカウンター攻撃が繰り出せる。

 パルスの増加量は両手剣よりは低い。ダッシュでのパルス増加量も普通となっている。

 周囲の敵を攻撃した後、前方に攻撃を繰り出し、小型の魔物を吹き飛ばせる「旋回式ドロップキック」、アナログパッドで進む方向が操作できる「ジャイアントスイング」、HPを犠牲にしてダメージをアップする「血戦の誓い」など、バトルアーツは攻撃に特化している。

 広範囲かつ威力の高い攻撃が繰り出せる両手斧。削りダメージは受けてしまうが、ガードも可能と、使い勝手はさほど悪くないし、全武器中最大の攻撃力は魅力的だ。ただし、盾がない分、防御力が低いので、攻撃力の高い相手は要注意。ガードや回避ステップに失敗すると一撃死してしまうなんてこともある。


■ 銃槍

 一撃の威力は低いが、遠距離攻撃のできる銃槍。盾は装備できず、ガードもできない。×ボタンで3段階までのカートリッジチャージが可能で、チャージすれば攻撃威力が上がる。

 魔法は使用可能ながら、魔法を装備しないことで、マナを消費して近距離専用攻撃が繰り出せる。魔法や弾での攻撃では「フィニッシュブロー」(ロックオン中の魔物に一定以上ダメージを与えると○ボタンが表示され、押すとトドメをさすアクション。このアクションで倒した場合のみ入手できる素材が存在する)が発生しないため、フィニッシュブローを決めたいなら、魔法は外しておこう。また、両手剣や両手斧と同様に、魔力をタメて魔法を放つ事ができ、魔法熟練度が上昇するとタメ時間が減少する。

 盾は装備できないため、防御力が低く、ガードも使用不可。いかに距離をとるかが重要となる。ダッシュや回避ステップを駆使して、距離を取って、攻撃に転じたい。

 ダッシュでのパルス増加量は普通。移動速度は遅い。

 着弾位置固定ながら大ダメージを与えられる「アーティレリ」、照準を自在に動かせ、通常攻撃の威力も上がる「スナイピンズ・スタンス」など、遠距離攻撃に特化した武器らしく、バトルアーツも遠距離攻撃にちなんだものが揃っている。

 遠距離攻撃武器ということで、いかに距離を詰めるかが課題の他の武器とは異なり、敵から距離を取ることが重要な銃槍。マルチプレイでは、他のプレーヤーにヘイトを稼いでもらいつつ、遠距離から攻撃をするという戦法が可能だが、シングルプレイではそうはいかない。与えられるダメージは高くないので、長期戦になりやすく、防御面の不安も拭えない。かなりの高いプレイスキルが要求されるだろう。メリットとしては、魔法を使わずに上空を飛びまわる敵を攻撃できる点や、「スナイピング・スタンス」で特定部位のみを攻撃しやすい点が挙げられる。シングルプレイでは厳しいが、マルチプレイで1人はいて欲しい武器種といえるだろう。


■ まとめ

 本作のプロデューサーである柴氏が「それぞれの魔物に対して有効な武器、不向きな武器があるので、切り替えて挑戦していくのが理想的です。メインとする武器だけでなく、サブとなる武器を最低でも1つは用意しておくといいでしょうね」と語る通り、本作では複数の武器種を使えるようにしておくことは、マルチプレイだけでなく、シングルプレイでも有利に働く。筆者としては、防御力の高い片手剣 or 両手剣と、他の何か1つ、使える武器を用意しておくことをオススメする。



■ 武器ではできない攻撃や効果が得られるマジックカードとアルティメットカード

 マジックカードを装備することで、装備したカードに応じた魔法をマナゲージを消費して放つことができる。これらマジックカードは、武器と同様に素材を使って生産したり、強化することができる。

 炎ダメージを与え、追加ダメージをも与える火炎、気絶効果の狙える雷鳴、ダメージは小さいがスロウ効果のある暗闇など、魔法ごとに効果が異なり、敵に合わせて切り替えていくのが理想だ。これらの魔法には武器と同様に熟練度があり、それぞれの魔法種ごとに熟練度が設定されていて、使わないといくら戦闘をこなしても熟練度は上がらない。なるべく使うようにしたい。

敵によって弱点となる属性や耐性のある属性が異なるため、倒したい敵の苦手とする魔法を選択するのが理想。汎用的なものとして、オススメしたいのがスロウ効果のある暗闇系の魔法だ。マスターガーディアンであってもスロウは通用するし、全ての動きが鈍くなるため、隙を突きやすく、敵からの攻撃も回避しやすくなる

 アルティメットカードを装備すると、マナゲージMAX時に全マナゲージを消費して、アルティメットスペルが発動できる。全ての魔物を気絶させる「アグニ」、全ての魔物に大ダメージを与える「バハムート」など、その効果はカードにより異なる。マジックカードと同様に素材を使って生産するのだが、マジックカードよりも生産に必要な素材の入手は難度が高い。

マナゲージがMAXになれば、アルティメットスペルが発動できる。建御雷の幻灯輪舞は、直接敵にダメージを与えはしないものの、フィールドに光の球を出し、敵の攻撃対象をその光の球にしてくれる便利なスペル。敵の背後を取りやすく、攻撃は光の球に向かうため、攻撃を受けずに攻めやすい。フィールドから逃げたい場合にも有効だ


■ 体験版やトライアル版からのデータ引継ぎ

 体験版やトライアル版のプレーヤーにとって、データ引継ぎは気になるところだろう。以前配信されていた体験版は、現在配信が中止されている。その代わり、体験プレイしたい場合は、トライアル版をプレイすることになる。データ引継ぎの説明の前に、トライアル版の入手方法について説明したい。なお、トライアル版の収録内容に関してはこちらを参照いただきたい。

 トライアル版の入手方法は2つ。1つは、10月26日から配信が開始されたトライアル版をPlayStation Storeや公式サイトなどからのダウンロード。もう1つは製品からのインストールだ。

 製品からインストールするには、製品と製品版のデータが存在しないメモリースティック PRO デュオが必要になる。メモリースティック デュオにはインストールできない。まず最初に、これらをPSPにセットし、ゲームを起動する。次にインストールを選択し、トライアル版インストールを選択する(データインストールを選択しないように)。インストールの完了したメモリースティック PRO デュオをPSPにセットすればトライアル版がプレイできる。ちなみに、PSP-3000とソニー・コンピュータエンタテインメント製のメモリースティックPROデュオ(1GB)という環境で、8分程度でインストールが完了した。

製品があればトライアル版をいくつでもインストールすることができる。Playstation Storeや公式サイトなどからでもダウンロード可能だ(2010年10月26日現在)

 本作でのデータ引継ぎは、体験版から製品版、体験版からトライアル版、トライアル版から製品版の3つがある。データ引継ぎを行なうには、ゲームを起動した後、ニューゲームを選択し、体験版引継ぎやトライアル版引継ぎを選択する。

 体験版から製品版やトライアル版にデータを引き継ぐ場合、体験版をクリアしていると預かり所に特典アイテムが追加され、進行状況は引き継がれない。特典アイテムは「あおヴェッテルのかぶりもの」という頭装備で、見た目とは裏腹に、かなり長い間使えるほどの性能を秘めている。

 トライアル版から製品版にデータを引き継ぐ場合は、トライアル版の進行状況が全て引き継がれる。

引継ぎは、コンティニューではなく、ニューゲームから。所持しているセーブデータのある方を選択しよう体験版のセーブデータがあっても、製品版のセーブデータがあると引継ぎはできない



■ マルチプレイを楽しむために

 本作をより楽しむために欠かせないマルチプレイ。シングルプレイとの違いや製品版、体験版、トライアル版と3つのバージョンでのマルチプレイの可否について説明したい。

■ マルチプレイのプレイ方法とシングルプレイとの違い

 マルチプレイでは、誰か1人がリーダーとなってマルチプレイ用のルームを作り、そのルームに他のプレーヤーが入る。ルーム内には参加しているプレーヤーが表示され、プレーヤー情報の記載されたギルドタグやレアリティの低いポーションなどのアイテムの受け渡しが可能になる。ルーム内ではクエスト受注、装備変更などができるだけでなく、当たりを引けば報酬品やギルドポイント増加といった特典の受けられるヴェッテルくじを引くことができる。なお、リーダーがルームから出たり、クエストが終了すると解散となり、ルームはなくなるため、マルチプレイを続行する場合、再度ルームを作ることになる。

 マルチプレイでのクエストの選択はリーダーのみが行なえるのだが、他のメンバーは自分の進行度に応じたクエストにしか参加することができない。メンバー全員が参加できるクエストのみがわかるようになっていればいいのだが、わからないので、他のメンバーの進行度を確認し、全員がプレイできるクエストを選択しよう。マルチプレイのクエストは、シングルプレイと同名であるが、討伐数などが異なる。1人でもルームを作り、マルチプレイ用のクエストをプレイできるので、トライしてみるのもいいだろう。

 クエスト中のゲームの流れなどもシングルプレイとは異なる。下記は、代表的なものや筆者が個人的に気になったものだ。

 ・戦闘はシングルプレイのように敵と接触すると開始されるのだが、同一エリアのメンバー全員がその戦闘に巻き込まれる。
 ・他のエリアにいるメンバーは、戦闘中のメンバーが仲間を呼ぶコマンドを実行した後、制限時間内に戦闘中の敵に接触することで参加できる。
 ・仲間を呼ぶコマンドは連続して使用できず、再使用には一定の時間経過が必要。
 ・戦闘中、HPが0になってしまった場合には制限時間内に倒れた仲間に近寄り、△ボタンを押すことでライフインジェクション(自分のHPの役半分を相手に分け与える)で復活させられる。
 ・誰かが復活できない状況になるとクエストは失敗となる。
 ・シネマティックシーンのボタン入力に失敗した場合、レスキューが発生。レスキュー時に表示されるボタン入力に成功すると失敗したパートの初めからシネマティックシーンを再開できる。
 ・武器での攻撃や魔法は味方には当たらない。
 ・フィニッシュブローで味方を巻き込むことはあるが、ダメージはない。
 ・フィールドに配置された宝箱を取っても、他のプレーヤーの宝箱はなくならない。
 ・戦闘終了後の経験値や獲得アイテム表示は、全バトル参加者が×を押さない限り、制限時間がなくなるまで戦闘フィールドから出ることはできない。

同じエリアの仲間を戦闘に巻き込んだり、倒れた仲間を復活させられるなど、マルチプレイではシングルプレイとはまた違った楽しさが味わえる
どれを選ぼうかか悩ましいヴェッテルくじ。当たりを引けば様々な恩恵が受けられる。ハズレを引いた時のガッカリ感はなかなかのもの

■ 製品版、体験版、トライアル版でのマルチプレイ

 体験版でのマルチプレイは、体験版同士でしか行なえない。トライアル版は製品版とのみマルチプレイが行なえ、トライアル版同士でのマルチプレイはできない。もちろん、製品版同士でのマルチプレイは可能だ。なお、トライアル版はルームを作成できず、参加することしかできない。

1プレーヤーから1つしかもらえないメダリオン。メダリオンを獲得したら、町にいる少年に話しかけよう

 前述の通り、トライアル版は製品からインストールできるわけだが、インストールしてあげるメリットがちゃんと用意されている。製品版を持ち、トライアル版をインストールしてあげた側をA、トライアル版をインストールしてもらった側をBとしよう。A(製品版)とB(トライアル版)でマルチプレイを行なった場合、クエストクリア後、Bの画面にAにシルバーメダリオンを渡すかどうかの選択肢が出る。そこで渡すを選択すると、Aはシルバーメダリオンを獲得できる。また、Bが製品を購入し、トライアル版データを製品に引き継いだ場合(B'とする)にはさらなる特典が用意されている。A(製品版)がリーダーとなり、B’(製品版)とマルチプレイを行なうと、今度はAがゴールドメダリオンを獲得できるのだ。

 同じ相手とのマルチプレイでは1回しかメダリオンがもらえないため、メダリオンが欲しければ複数の相手にトライアル版を配布する必要がある。現状、他に入手方法はないようだ。

 このシルバーメダリオンやゴールドメダリオンを町にいるNPCに渡すとアイテムを入手することができる。実際に1枚のシルバーメダリオンを町のNPCに渡したところ、「ヴェッテルチケット青」というアイテムをもらうことができ、このチケットを消費することで、「あおヴェッテルの盾」というスロットが3つもある装備が作ることができた。

 ゴールドメダリオン獲得のハードルは高いが、恐らくかなりいいものが貰えるのだろう。果たして、どれほどの数のアイテムが用意されているのか。また、いずれメダリオンが他の手段で入手できるようになるのだろうか。続報に期待したい。



■ 無料で楽しめるダウンロードクエスト

ダウンロードクエストをインストールした状態でゲームを起動すると、タイトル画面下部に「DLクエストパック」と表示される。さっそくスレイヤーズギルドに行なって、どんなクエストか確認しよう

 無料のダウンロードクエストにも注目したい。これまで10月14日、10月21日と2回配信されている。無料なのでダウンロードしない手はないだろう。

 本作でのクエスト難易度は、☆の数とその色でわかるようになっている。☆の数は1~5まであり、多いほど難易度が高い。☆の色は青、黄、赤の3種が確認できる。青より黄、黄より赤の方が難易度が高い。これまで配信された2回のダウンロードクエストを確認する限り、赤い☆1つ以上のものしかなく、必要ギルドランクも11と、高いレベルと高性能な装備なくしてはクリアできない歯ごたえのあるクエストとなっている。今後もダウンロードクエストは高難易度のものが配信されそうだ。



■ 最後に

 新作マルチアクションとしてリリースされた本作。レベル・熟練度制、エンカウント制を採用するなど、意欲溢れるタイトルに仕上がっている。5種類の武器はどれも特徴的で、武器を変えただけで新鮮な気持ちでクエストに臨めるし、マルチプレイ対応ゲームでありながら、シングルプレイであっても十分に楽しめる。収録されたクエストはかなり多く、ダウンロードクエストも多数用意されているとので長期間プレイしたい人にも嬉しい。

 レベル・熟練度制ということから、レベルや熟練度を上げると簡単にクリアできるのでは?と聞かれたら、筆者はNOと答える。確かにレベルをたくさん上げれば難易度は下がるだろうが、1つ2つ上げたところでたいした差はないし、本作の難易度は比較的高めに設定されているため、きっちりと装備を整え、敵の行動パターンや弱点を把握し、戦わなければ勝つことはできないのだ。

 攻略しがいのあるアクションゲームを求めるプレーヤーにオススメしたいタイトルだ。



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(2010年11月4日)

[Reported by 木原卓 ]