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PS4「The Tomorrow Children」クローズドβテストレポート
人類再生への道は遠い!? どのように町が発展していくか全てはプレーヤー次第
(2016/1/26 12:00)
ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア(SCEJA)は、プレイステーション 4向けソーシャルアクションゲーム「The Tomorrow Children(トゥモロー チルドレン)」のクローズドβテストを1月21日~1月24日まで実施した。
今回のクローズドβテストは、多人数同時プレイの動作およびサーバー負荷の検証を目的としたもので、1月21日(20時~23時:JST)、1月23日(4時~7時:JST)、1月24日(9時~12時:JST)の3回、それぞれアジア、北米、欧州のピークタイムに各3時間ずつ実施。なお、24日のみ接続障害などを理由に2時間延長された。
「The Tomorrow Children」は、SCEJAとキュー・ゲームスがタッグを組んで制作中のオンライン専用ソーシャルアクションゲーム。舞台は、冷戦時代を境に今とは違う歴史を歩んだ未来世界。1967年、ソ連にて全人類の意識を共有しようとする実験が失敗し、地表は人々の意識が溶けて固まった「Void(ボイド)」に覆われる。生存者たちは長年の研究で人々の救出方法を発見するが、ボイド下の集合意識にある恐怖心によって生み出された巨大獣「イズベルク」という新たな脅威が出現。生存者たちは、自分たちに代わって作業をする「プロジェクションクローン」を開発し、人類の再建をこの生命体に託す。
詳細については、2014年末に掲載されたクローズドαテストのレポート、または「東京ゲームショウ2015メディアブリーフィング記事」などをご参照いただきたい。
クローズドβはチュートリアルからスタート
まずはコードを入力してクライアントをダウンロード。インストール後にゲームを起動。「NEW GAME」を選択すると、クローズドβテスト仕様の詳細表示後にチュートリアルステージが出現する。ただ、チュートリアルステージといっても、現時点では世界観、ピッケルの使い方、暗闇への対処、資源の拾い方と、最小限かつごく一部といったてい。クリア後は「駅(地下鉄)」の入り口が出現し、クローズドβテスト用の町にオートで移動することになる。
ついに憧れの個人住宅……が! どこも規模の上限で建設不能!
チュートリアルステージをクリアすると「個人住居建設許可証」が与えられ、移動した先の町で好きな場所に「個人住居」を建てられる。「個人住宅」はクローズドαにはなかった要素で「やっとMMOらしい雰囲気に!」……と喜んだのも束の間、我が家を立てようとすると、すでに町の規模の上限まで個人住宅があるため建てられないという血も涙もないメッセージが表示される。本作は町の施設「タウンホール」の規模に応じて個人住宅数に上限が設けられており、これを拡大するか、さもなくば上限に達していない町に移動する必要がある。
「タウンホールは……まだ誰も建てていないのか。いきなり違う町にいくのもアレだし、まずは島に資源採掘にでもいくか」と島に向かうためのバス停に移動。まったく知らない人向けに簡単に説明すると、本作はこうした“資源集め”が行動の基本。集めた資源を町の集積所に置き、それを元に自分やほかの誰かが「万能工作台」でさまざまな「施設」を作っていく。こうした労働行為は「労働監査局」で評価され、それに応じたお金に相当する“配給券”が与えられ、これを使いツールなど必要な個人装備を整えていく。
島に到着すると、タイミングが悪く日没に差し掛かる。本作におけるユーザーはプロジェクションクローンと呼ばれる存在で、真っ暗闇のなかにいると体組織が維持できなくなりヒットポイント(体力)が少しずつ減っていき、夜間や暗所ではランプなどの光源が近くにないとやがて死に至る。死んだ場合は一定のコストを支払ってその場で復活するか、ほんの少しのペナルティを受けて町に戻るといった流れになる。
「そういえばチュートリアルステージでもらったランプがあったっけ」と、そのランプを足元においてピッケルを振っていると、一瞬で周囲が真っ暗に……。ここでさらに説明すると、本作で他ユーザーの存在が見えるのは、ピッケルを振るったり物を拾ったり“何らかのアクションを起こした一瞬”だけ。それ以外は透明で存在を認識できない。このケースでは、筆者が足元に置いていたランプを他のユーザーが“勝手に持ち去った”ということ。ほかに理由は考えられない。
ここで普通は「何するんだこの野郎! 返せ!」となるが、本作には「チャット」機能がなく、できるのはせいぜい笛を吹くといったジェスチャーのみ。前述のとおり相手を認識できるのは持ち去られる一瞬だけで、さっとどこかに行かれてしまうとどうしようもない。その瞬間を見ていれば(あれば)武器などで攻撃も可能だが、すぐ透明になってしまう相手を追うのは本当に大変で、たいていは見えた瞬間に悪評価をつけるのが無難かつ有効な報復手段といえる。
クローズドβユーザーは多種多様……っていうか町メチャクチャなんですけど!
光源を持ち去られピッケルも使い果たしたため、町に戻って色々整えよう……とバス停に降り立ち、あらためて周囲を見渡すと「あれ、これ実は相当やばいんじゃないか?」という状況に一瞬で気づかされる。
人数が絞られていた(であろう)クローズドαと異なり、クローズドβは参加ユーザー数も多い。ゆえにゲームに臨む姿勢の違い、温度差にも差があり、公式ホームページなどでしっかり情報を叩き込んできた人がいる一方で「よくわからないけどテキトーにやるか」といった人も多々見受けられ、当然ながら後者は「町の発展に必要な行動や物は何か」をほぼ把握していない。ゆえに町の状況はメチャクチャの一言で、タウンホールなど発展に不可欠な施設さえ「誰かが作っていればラッキー」といった有様。
前でも触れたが、モノ作りに欠かせない「万能工作台」には必ず誰かがいて、何を作っているかもわからないままほぼ占有されていることさえ珍しくない。町の人口を増やすためのマトリョーシカも、必要な資源がないため目覚めることなく台座の上に鎮座したまま。町を破壊するイズベルクを倒すための砲弾もない(なぜならその町では誰も作っていないから)。「とりあえず自分がやったことだけでも評価してもらおう」と労働監査局にいくと、特に悪いことをした記憶もないのに謎の悪評が叩き込まれていたことに気づき、なんともいえない気分に陥る。
「『個人住宅』も建てたいし。『地下鉄』でチェックがてら他の町を探そう」と筆者は安住の地を探そうとしたのだが……。
サーバー負荷テストに貢献? ~地下鉄で町サーバー接続エラーのループに陥る~
「地下鉄」も、クローズドαにはなかった新要素のひとつ。入場すると「新設の町」、「発展している町」、「荒廃している町」、「過疎の町」、「個人住宅のある町」、「フレンドのいる町」、「催しごとのある町」、「来訪歴のある町」など、それぞれ町がリストアップされる。
新要素ということもあり、何より他の町がどうなっているのかはクローズドαの頃から興味津々だったため「これはもうあちこち見て回るしかない!」と「地下鉄」に複数回乗るも、後にして思えばこれがいけなかった。というのも、見たい町を選んで「地下鉄」に乗ったはいいが、数回目で町サーバー接続エラーのループに陥ってしまったからだ。
クライアントを落として再び最初の画面に戻ると「コンティニュー」と「クレジット」しか選べない。「コンティニュー」すると「地下鉄」に乗車中のグラフィックのまま再び町サーバー接続エラー。この後、クライアントの再インストールやルーターなどの通信周りを散々チェックするが、どうにもならない。唯一の対処法はPS4アカウントの新設だったが、場合によっては1回目の「地下鉄」移動で町サーバー接続エラーが発生。正式サービス時はさすがに対応されるはずだろうが、テスト時間が限られていることもあり、これにはさすがに閉口してしまった。
クローズドβ雑感 ~現状は悪人プレイが有利?~
各日3時間、かなり限られた時間ではあったが……クローズドβを通じて感じたのは「このままだと悪人プレイがちょっと有利すぎるかも?」ということ。東京ゲームショウ2015のメディアブリーフィングなどでも触れられているとおり、本作は“ユーザーの自由度”に最大限の配慮がなされている。
良くも悪くも「コレをしなさい!」という強制がほとんどなく、ゲーム中の行動はユーザー次第。町の発展に尽力してもいいし、それを阻害する悪人になってもいい。アンモラルな行動には悪評の末に入檻、さらには過疎や荒廃した町にしかいけなくなるというペナルティもあるが、いわゆる「捨てアカ」でも相当クリティカルなことがやれる。
ここでいう“相当クリティカル”とは、本作で意図的にボトルネックに設定されている要素や機能を突くことだ。一見破壊的に見えなくても、役に立たない施設を量産されるだけでも相当きつい。一般的なMMOで町内部はセーフティだが、本作はそうではないため、先々町サーバーを自由に行き来できる点を考えると「大丈夫なのかな」と若干心配になってしまう。資源バランスも、出現する島など産出量などを少しいじるだけでゲームバランスは大きく変化する。
荒廃した町は最終的に消失するため「いいじゃん。そのつど新しい町を作れば」というのもわかるが、一方でひとつの町を手塩にかけてプレイする人たちも想定され、このあたりのバランスを開発および運営がどう考えているのか。評価システムの落としどころなど、正式サービスでどうなるか非常に興味深いところだ。
(C)Sony Computer Entertainment Inc.