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“バケモノ級”選手も誕生! 「Red Bull 5G 2015 FINALS」レポート

大阪初開催の4年目大会。東西対決の行方はどっちだ!

12月20日 開催

場所:味園ユニバース

会場となった味園ユニバースの外観
主催者として登壇した「Red Bull 5G」プロジェクトアドバイザーの松井悠氏

 レッドブル・ジャパンは12月20日、ゲーミング大会の決勝イベント「Red Bull 5G 2015 FINALS」を開催した。場所は大阪の味園ユニバース。

 「Red Bull 5G 2015 FINALS」は、今年で4回目を迎える東西対抗のゲーミングトーナメント。「東軍」、「西軍」とチームをわけること、また5ジャンル・5ゲームで争うというルールをコンセプトとしており、先に3勝したチームの勝利となる。決勝大会は、これまでの前3回は東京近郊で開催されていたが、今回は前回大会で西軍が勝利したことにより、初めて大阪での開催となった。

 「Red Bull 5G」が特徴的なのは、「ウイニングイレブン 2016」(ジャンル:SPORTS)や「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」(FIGHTING)、「ぷよぷよテトリス」(PUZZLE)など、主に国産のコンソールタイトルが採用作品の中心であり、有名タイトルを扱うことで専門的になりすぎないイベントになっていることだ。

 今年の採用タイトルは上記3タイトルに加え、FREEジャンルに「TowerFall Ascension」が、またMOBAジャンルにはPCオンラインゲームとして初めてスクウェア・エニックスの「LORD of VERMILION ARENA」が採用されている。

 今回、「Red Bull 5G 2015 FINALS」の会場に赴いて試合を間近で見ることができたので、この会場の模様をお届けしたい。

味園ユニバース内部、「Red Bull 5G 2015 FINALS」の様子。かつてのキャバレーを改装したホールとなっており、昭和レトロな装飾や雰囲気がそこかしこに残っている不思議な空間だ

第1試合:「LORD of VERMILION ARENA」(MOBA)

勝利したチーム「Assault」
序盤こそキル数で優先されたものの、隙を突いて逆転し、しっかり守り切った

 本大会での試合の順番は、前の試合で負けたチームの選択によって決定される。直前まで何のタイトルで戦うかがわからないのも「Red Bull 5G」の特徴で、第1試合のジャンルは前年西軍に敗北を喫した東軍によって、MOBAジャンルの「LORD of VERMILION ARENA」と決定された。

 試合ルールは3対3の1試合先取、制限時間は900秒で、マップは私立燐光学園高等部。出場したのは西軍がチーム「Assault」、東軍がチーム「snow ball★」。

 試合前の下馬評では、予想者の88%が「Assault」勝利を支持と圧倒的な差がついていた。「Assault」は他大会でも高い実力を示す「常勝」チームであることからの数字となったが、1発勝負の本大会でどこまで「snow ball★」が迫れるかが見どころとなった。

 試合は、小競り合いの中で「snow ball★」がキル数を稼ぐという序盤でスタート。下馬評とは異なり、試合を有利に運び進めている状況の中で、マップ中央に位置する「マナキャノン」を攻める作戦に出る。

 「マナキャノン」は一定数の「マナ」を蓄積させることで相手チームに大ダメージを与えることができる中立施設。蓄積数は敵味方関係なくカウントされ、占領途中で奪取されればそのまま相手チームが占領してしまうリスクもある。

 「マナキャノン」への攻撃に気付いた「Assault」は、これにすぐさま対応。「マナキャノン」付近で激突が起きることとなったのだが、その場を制したのは「Assault」だった。

 「Assault」が「snow ball★」を制圧したことにより、「マナキャノン」は「Assault」のものに。「Assault」および西軍チームからは歓声が上がり、大きなダメージが「snow ball★」に与えられることとなった。

 試合はこのダメージ差を保ったまま展開していき、途中途中では激突も起こったのだが、いずれもお互いに致命傷には到らないまま制限時間が減っていった。「snow ball★」はさらなる攻撃に欠け、「Assault」はしっかりと守りきった形で、勝利は西軍にもたらされた。

「snow ball★」にとっては、「マナキャノン」の占領を譲ってしまったのがそのまま敗因となった

第2試合:「TowerFall Ascension」(FREE)

「畜生会タワーフォール部」(左)と「さしみ醤油」(右)
見た目はキュートだが、試合展開はめまぐるしい「TowerFall Ascension」

 第1試合で負けた東軍が次に選んだジャンルはFREE。対決タイトルは「TowerFall Ascension」となった。

 「TowerFall Ascension」は、弓矢を放ち相手を倒していく2Dアクションゲーム。ステージ上に落ちているアイテムを獲得すると様々な特殊効果が発動し、試合展開が有利になったり、持て余す力で自滅する場合もある。

 本体会でのルールは2対2、1試合5本先取の2試合先取。素早い試合展開に加え、アイテムによる効果発動、さらには同士討ちもあるため、カオスなプレイ画面が期待できる。

 出場チームは、西軍が「畜生会タワーフォール部」、東軍が「さしみ醤油」。「畜生会タワーフォール部」の両選手は過去「Red Bull 5G」のRACINGジャンルで決勝戦出場経験があり、また「さしみ醤油」はもともと「DEAD OR ALIVE」プレーヤーであるという、他ジャンル勢同士の対決となったのも面白いポイントであった。

 試合展開は非常に素早く、ものの10分ほどで決着が付いた。最初の1試合を「さしみ醤油」が取り、2試合目を「畜生会タワーフォール部」が圧倒して迎えた最終試合、めまぐるしい攻防の中でも光ったのは「さしみ醤油」の粘り強さだ。

 「さしみ醤油」は2人が残る形で完勝したかに見えた途端、動く足場に潰されて両者が死亡したり(この場合はドローで勝ち星付かず)、試合開始直後に同士討ちをしてしまうなどミスが目立つ場面もあったのだが、逆に追い込まれつつも味方を生き返らせてギリギリで逆転する、ミス直後にしっかり取り返すなど、落ち着いた堅実なプレーで「畜生会タワーフォール部」を徐々に追い詰めていった。

 「畜生会タワーフォール部」も2試合目をほぼ封殺するなど見せ場もあったのだが、慌てない「さしみ醤油」にしてやられた試合展開だった。これにより東軍が勝利し、総合ポイントは1対1になる。

勝負は一瞬のため、大会ともなるとメンタルの影響が強く出るようなタイトルだ

第3試合:「ウイニングイレブン 2016」(SPORTS)

西軍のSHO選手
東軍のまやげか選手
序盤に先制できたSHO選手。これで上手く流れを作った

 3試合目に選択されたのは、SPORTSジャンルとなる「ウイニングイレブン 2016」。ルールは現実時間5分ハーフの1試合。出場選手は西軍がSHO選手、東軍がまやげか選手となった。

 まやげか選手は現 「ウィニングイレブン2016」の日本代表選手に対し、SHO選手は「パスサッカーの美学」を信条であり、まやげか選手には過去に敗北した経験もある。

 試合に際し、チームは両選手ともにバイエルン・ミュンヘンを選択。下馬評では日本代表選手のまやげか選手有利に思われたが、先制は上手くゴール前でスルーパスを決めたSHO選手によって、試合の序盤に生まれることとなる。

 ディフェンスの堅さに定評のあるバイエルン・ミュンヘン同士ということで、このディフェンスをどう崩していくかが試合のポイントで、その点でSHO選手が先制できたことが試合展開に大きな影響を与えたと言える。

 まやげか選手は積極的に攻めていくが、この日先読みで選手を動かし、「ハマっていた」というSHO選手のディフェンスの前になかなか思うようにボール運びができない。苦戦しつつも、それでもゴール前中央へ送ることに成功すると、ヒールキックでビダル選手に最終パスを出す。このわずかなチャンスを活かし、落ち着いて得点を決めることに成功した。

 スコアはこのまま1-1で前半を終えたが、次に試合が動いたのは後半開始直後。得点したのはまたもやSHO選手で、今度はレヴァンドフスキに繋いだパスによってゴールをもぎ取った。

 これで苦しくなったのはまやげか選手。まやげか選手は後半に入ってからチャンスらしいチャンスをほとんど作ることができず、防戦にまわることが多かった。試合終了直前には決定的なチャンスが訪れるが、これを決めきれず万事休す。試合はSHO選手の西軍が勝利となり、総合は西軍2勝、東軍1勝となった。

してやられたのはまやげか選手。攻め切れない展開が多かった

第4試合:「ぷよぷよテトリス」(PUZZLE)

東軍のあめみやたいよう選手
西軍のmilk2選手
ここまで差がつくか……というほどの一方的な試合だった

 東軍の負けられない試合となった第4試合、東軍が選択したのはPUZZLEジャンルの「ぷよぷよテトリス」。ルールは「ぷよぷよ」と「テトリス」を交互にプレイする「スワップ」で、1試合3本先取、3試合先取で勝利となる。

 出場選手は、西軍がmilk2選手、東軍があめみやたいよう選手。両選手は「ぷよぷよテトリス」での「FINALS」出場経験があるHBM選手を破って決勝進出を決めている。

 注目はあめみやたいよう選手で、HBM選手も対戦相手のmilk2選手も、若干18歳のあめみやたいよう選手の戦術は「恐ろしい」と言わしめるほどの実力者。プレイ経験1年半ながら、トッププレーヤーを抜き去るほどの実績を作ってきた“超新星”だ。

 さてその試合展開だが、これがあめみやたいよう選手の「超圧倒」。「テトリス」と「ぷよぷよ」であっという間に組み上げ、ここぞという場面で超絶火力を誇るのは当然、相手が先に仕掛けてくれば、それを受けていなしてからカウンターの連続消し/大連鎖を決める、相手が「ぷよぷよ」で大技を組んでいると気づけば、ちょうど大連鎖不可能ほどのおじゃまぷよを降らし、ミスをさそってから畳み掛けるなど、変幻自在の戦術で確実に勝利をものにしていく。

 milk2選手は試合中まったく自分の形にさせてもらえず、まさにあめみやたいよう選手の一人舞台。今大会の中でも群を抜いて「バケモノが出てきたな」という印象で、今後の「ぷよぷよテトリス」は「誰があめみやたいよう選手を止めるか」という1点が話題を席巻するだろう。

 気付いてみればあめみやたいよう選手の全勝で、milk2選手も唖然とする以外ない様子だった。これにより2勝同士で最終戦へ。決着は最終ジャンルFIGHTINGへと持ち越しとなった。

「テトリス」と「ぷよぷよ」の切り替えの瞬間、そして両方のゲームへの精通具合がポイントの「スワップ」ルール。あめみやたいよう選手はとにかく圧倒的だった
そしてリーダー同士の最終決戦へ……!

第5試合:「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」(FIGHTING)

東軍リーダーのサトヤス選手
西軍リーダーの輝ROCK選手
惜しい場面もあったが、輝ROCK選手が1歩上回る展開になった

 最終戦となるFIGHTINGジャンルのタイトルは、「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」。試合は1対1のVS形式で、1試合3ラウンド先取、3試合選手で勝利となる。出場選手は東軍がサトヤス選手、西軍が輝ROCK選手。期せずして東西軍のリーダー同士の対決をもって東西軍の戦いの決着が付くこととなった。

 使用キャラクターは、サトヤス選手がパイ、輝ROCK選手がレイファン。試合を有利に進めたのは輝ROCK選手で、火力は低いが手数で攻めるパイに対し、上手くいなしてから確実なコンボを決めていく。

 サトヤス選手にしてみればミスらしいミスがないものの、攻めがことごとく裏目に出るという展開で、ほとんどの試合でじわじわと攻められ、できた隙に手痛いコンボを決められて、そのまま負けるというパターンが見られた。

 追い詰められた終盤はサトヤス選手が勝利するラウンドもあり、「負けたら敗北」という試合では残り数ミリの体力ゲージまで攻めるものの、これを削り切ることができないまま輝ROCK選手に逃げ切られてしまった。

 この試合により、輝ROCK選手がFIGHTINGジャンルを制すると同時に、西軍の勝利も決定。輝ROCK選手は西軍の優勝コメントで「個人の実力はもちろんだが、今回はチームの団結を大事にした。これが勝利につながったと思うので、非常に嬉しい」と語り、総合優勝の嬉しさを噛み締めていた。

 なお「Red Bull 5G」プロジェクトアドバイザーの松井悠氏より、「Red Bull 5G」の来年の開催も壇上にて発表された。今回は4回目となる開催だったが、ステージ転換の時間を使ってダブルダッチや競技用自転車のパフォーマンスを入れて場内の熱量を下げないようにしていたり、各ゲームが初見でもわかるように解説をしっかり入れていたり、それでいてスケジュール通りに大会が進行するなど、間近で見ていて大会に貫禄が出てきたように感じた。

 来年は区切りの良い5年目ということで、2対2で迎えた東西軍の対戦の行方はどうなるのか、来年の対決タイトル、そして決勝戦の選手の顔ぶれはどうなるのか。定番になりつつあるゲーミング大会のシーンの1つとして、今から楽しみにしておきたい。

内容はサトヤス選手の完敗。攻撃がことごとく読まれていた
各ジャンルの優勝者には、それぞれ特別ロゴ入りカバーになったPS4本体が「トロフィー」として渡されていた
「Red Bull 5G 2015 FINALS」は西軍チームに軍配! 来年の開催も今から楽しみだ

(安田俊亮)