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あの「REALFORCE」の東プレがゲーミングキーボードに参入!
1台5役の変態(褒め言葉)アナログキーボードも完成。PS/2ポート版も大復活
(2015/9/19 00:00)
東プレといえば、人間工学を考慮したキーボード「REALFORCE」シリーズで、PCユーザーなら誰でも知っているメーカーだ。とりわけPCで原稿を書く我々記者や、“ゲーミングキーボード”というカテゴリが存在する前から、キーボードにこだわってきたPCゲーマーに愛されてきた名門中の名門ブランドだ。
その東プレがゲーミングキーボードに参入するという。そればかりか、「東プレはキーボードから撤退するらしい」という噂に腹を立てた東プレキーボード開発陣が一念発起して様々な新型モデルを開発し、東京ゲームショウに出展までしたというのでさっそく取材に行ってきた。
さて、現在東プレが開発しているゲーミングキーボードは、長年にわたって愛されてきた「REALFORCE」ブランドは使わず、「TYPE HEAVEN」という新ブランドで展開していくということだが、ブース入り口に置かれた「TYPE HEAVEN」は、美しく滑らかなRGBカラーで光が波打っていた。台湾のComputexで初公開され、日本では今回が初公開となる。
キーとキーの間から吹き上げるように発光しているLEDライトはついつい見入ってしまうほどの美しさだが、Windowsキーも含めたすべてのキートップのみならず、Num LockやCaps Lockライトからも発光しており、とにかくその滑らかさに驚かされてしまう。これは写真では伝えられないので、動画を撮ったので見てみて欲しい。
このRGB LEDバックライトは当然東プレ初の試みで、専用ソフトウェアを使って1,680万色より色を選択したり、ライティングパターンを調整できる。ちなみにキーについてはまだ開発中で、光沢とざらつきのある、レーザーで刻印を削り出すキーか、滑りにくいマットな黒キーかの2種類のいずれにするか現在検討しているという。
キーは、REALFORCE譲りの静電容量無接点方式スイッチを採用し、静かで、滑らかな押下感、そして5,000万回の耐久性を実現。キーの入力位置(キーの入力が確定する深さ)を4段階から調整できるゲーミングらしい機能も搭載され、自らの入力スタイルに合った設定が可能となっている。キー荷重はREALFORCEと同等の45g。
現在は、まだ仕様を確定している段階で、日本語仕様のプロトタイプすらまだ作っていない状態ということで、発売までもう少し時間が掛かるという。気になる発売時期は2016年半ば頃、価格は20,000円前後を想定しているという。
そして今回の取材である意味「TYPE HEAVEN」以上に驚かされたのが「REALFORCE」シリーズのハイエンドモデルとなる「REALFORCEアナログ入力キーボード(仮)」だ。このキーボードはあらゆる意味でぶっ飛んでおり、あまりのぶっ飛びぶりに「いやあ、これはまさに変態キーボードですね」、「そう言っていただけると嬉しいですね」という誤解を生みやすい会話が繰り広げられたほどだ。
見た目は何の変哲もない「REALFORCE」108キーボードだが、これ1台で5つのデバイスの役目を果たすことができる。具体的にはキーボード、マウス、MIDIピアノ、標準ゲームコントローラー、Xbox 360ゲームコントローラーとなる。「は?」と思ったあなたのために詳しく紹介しよう。
このキーボードには、Windowsキーと並んでTopreキー(東プレキー)が標準装備されており、これを押しながら専用のファンクションキーを押すことで、機能を切り替えることができる。正確に言うと、切り替えているのは機能だけではなく、ドライバごと切り替えており、1台で5つのデバイスを兼ねている。
まず主要機能のキーボードから行くと、キーの入力位置(キーの入力が確定する深さ)を“256段階”で設定できる。手軽に使えるように3段階の深さがプリセットされており、ワンタッチで全キーを切り替えられるが、専用のアプリケーションを使うことで、108キーを個々に256段階で設定できる。
また、英字入力の際、キーを軽く押すと小文字、強く押すと大文字になる。最初は設計者の言っている意味がよくわからなかったが、実際に試してみると、本当に普通に打鍵すると小文字、タンッと強めに打鍵すると大文字になる。感覚的には初代「ストリートファイター」の「ファイティング・ストリート」のボタンを叩く強さで弱・中・強が決まる仕様に近いところがあり、実際に格闘ゲームで使ってもおもしろいのではないかと期待を寄せていた。もっとも、技術的には、実は強さではなく、速さを検知し、速さに応じて入力を切り替えているということだが、もうキーボード機能の時点でもう変態過ぎてついて行けないが、これはまだまだ序の口だ。
「マウス」を選択すると、4つのカーソルキーでマウスを直接操作することが可能となる。デジタル操作で無理矢理エミュレーションしている感じでカクカク操作となるため、ゲームで使うのはさすがに難しいものの、ビジネス用途で簡単な操作なら十分代用が可能な印象だ。
「MIDI」を選択すると専用のDTMソフトが立ち上がり、キーボードがMIDIキーボードとなる。実際に、設計者に弾いて貰ったが、手慣れた手つきで次々にクラシックの小曲を引いてくれた。もちろん、本物のMIDIキーボードとは比ぶべくもないが、慣れれば十分MIDIキーボードとして機能するようだ。
「game D」と「game X」は、Microsoftが提供するゲーム用API DirectXで提供している2つの入力API、汎用ゲームコントローラー用API「Direct Input」とXbox 360コントローラー用API「xInput」をキーボード上でエミュレーションするというものだ。若干仕様の異なる2つのAPIをサポートすることで、あらゆるゲームコントローラーの操作をキーボードでエミュレーションすることが可能となる。
このゲームコントローラーのポイントは、先の256段階の入力位置設定の仕様を活かして、キーを押す深さに応じて、アナログトリガー的な動き、具体的な例としては、レースゲームのアクセルやブレーキ、フライトスティックにおけるじわっと機首を上に向ける操作などを、キーボード上で実現しているところだ。
デモでは「TESTDRIVE2」を使って、いきなりアクセル全開にするとスピンしてしまうじゃじゃ馬アメ車に乗り、少しずつアクセルを踏んで加速していくことを実際に試すことができた。言うまでも無く、操作ができたからといって、実際のゲームコントローラーでの操作にはまったく適わないわけだが、とりあえず全部入れてしまうという開発者根性が素晴らしいところだ。
発売時期は2016年以降で、価格は“どうしても高くなる”とだけ教えてくれた。最低でもREALFORCEの2万円以上にはなる見込みで、事実上のハイエンドモデルとして君臨することになるようだ。そのほかにも2機種の新型「REALFORCE」が出展されており、ゲーミングの分野に非常に積極的なのが印象的だった。PCゲームファンには要注目のキーボードだ。