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祝2015年内発売! Bethesda Softworks「Fallout 4」詳報

何も変わらず、すべてが新しい「Fallout 4」実機デモを解説する

6月14日開催

 E3最初のサプライズは、Bethesda's E3 Showcaseの最後に明らかにされた「Fallout 4」の年内発売のアナウンスだった。「AAAタイトルしか作らない」ことを広言してはばからないBethesda Softworksは、これまでプライベートイベントやE3での新作発表から、数年掛けて磨き上げていくのが通例だった。しかし、「Fallout 4」はE3直前の6月3日に初公開し、5カ月後の11月10日に世界同時リリースという誰しも驚く発表をやってのけた。

 6月3日のタイトル発表時点で、「2015年発売」という希望に近い噂はあったものの、発表内容は、「Fallout 3」と同じスタイルのシステム周りを完全にマスクしたトレーラーに留まり、常識的に考えて来年前半までにリリースされれば御の字と考えられたが、嬉しい誤算となった。日本発売も今冬と決まり、年内発売も期待できる。それではさっそくShowcaseで発表された「Fallout 4」のデモンストレーションの模様をたっぷりお届けしたい。

【Bethesda's E3 Showcase】
「Fallout」ファンにはお馴染みの「PLEASE STAND BY」と共に開始までのカウントダウンが始まると来場者は大絶叫でカウントしていた。全体の司会進行を務めたのはBethesdaの顔であるVice PresidentのPete Hines氏。「Fallout 4」のプレゼンをせずにイベントを締めようとするというネタを披露

【Bethesda 2015 E3 Showcase】
まだShowcaseを見ていない人はこちらで見ることができる。「Fallout 4」は、64分前後から。Pete Hines氏が、「Fallout 4」の存在を忘れてShowcaseのまとめに入ろうとしてブーイングを受けるというシーンから楽しみたい

核爆発から200年後の世界を描く「Fallout 4」。両親と主人公の関係は!?

大トリは「Fallout 4」!
「Fallout 4」のディレクターは「Fallout」シリーズ、「Elderscroll」シリーズのディレクターを務め、今や北米を代表するヒットメーカーのTodd Howard氏

 本日実施されたBethesda's E3 Showcaseでは、「Fallout 4」は全Bethesdaタイトルのトリを飾る形で、1時間半の発表会の約半分に相当する40分に渡ってゲームシステムの詳細が語られた。

 プレゼン前半ではBethesda Game Studiosを率いる天才クリエイターTodd Howard氏が、「Fallout 3」開発終了直後から「Skyrim」と同時平行して「Fallout 4」への準備を進めていたことを熱く語り、膨大な量のイメージイラストが紹介された。それは数千枚にも及ぶ凄まじい量で、「Fallout 4」への期待をいやが上にも高めてくれた。

 プレゼン後半では、実機映像を編集したデモ映像を見ることができたが、「これはひょっとして今年出るかも!」と心がときめいたのは、武器やアーマーのみならず、家屋までの詳細なクラフト機能を公開したときだ。まさに今回の発表の主役と言っていいクラフト機能は、いまやオープンワールドゲームになくてはならない要素だが、凄まじい量のアセットを用意しなければならないため、ギリギリまで作り込まれるか、DLCに先送りされることが多い。それが今の時点で、時折早回しにして見せるほどどっさりと出来ているのだ。ともあれ「Fallout 4」の11月10日発売発表は、ファンにとって素晴らしい吉報だ。

【イメージイラスト(一部)】
プレゼンの冒頭で紹介されたイメージイラスト

核戦争が起きる直前の平和な街の様子

 さて、今回の「Fallout 4」の発表は、冒頭でも触れたようにゲームシステムの解説がメインで、肝心の世界設定や登場キャラクターなど、ストーリーに関する部分はすべて隠されていた。

 デモンストレーション序盤は、ゲームのスタート直後と思われる核戦争が起こる前の平和な日曜日の朝のシーン。「Fallout 3」で言うところの赤ん坊のシーンだ。最初に行なうのが、夫婦らしき男性と女性、2人分のキャラクターメイキング。顔の表面に表示されている丸いポインターを操作して、顔の部位を選び、パーツを選んでいく。項目の一覧などは表示されず、ダイレクトにビジュアルに反映され、非常に洗練されている。

【両親(!?)のキャラクターメイキング】
項目を選ぶ従来の方式ではなく、顔の部位にポインタを当てて該当箇所をダイレクトに変える形に変更されている

 キャラクターメイキングが終了すると、屋内を自由に移動できる。キッチンには飛行ロボットMrハンディがポットを片手に動き回り、彼と会話を楽しむことができる。冷蔵庫を開けると中には冷えたヌカコーラ、テーブルにはスナックが置かれている。

 しばらくするとトレンチコートを着た怪しげな男が自宅を尋ねてくる。彼はVault-Tecの社員で、Vaultのスペースを購入した人に対して、レジストレーションフォームへの入力を求めてくる。このプロセスが、主人公のストレングスやインテリジェンスなどの基本ステータスの設定画面になっており、設定が終えると、なおもしつこく話しかけてくる社員をシャットアウトするように話の途中でドアを閉め、子供部屋へ移動する。

【Vault-Tecの社員が訪れる】

 子供部屋には生まれたての子供がベビーベッドに寝ている。あやしたりおもちゃを動かして一緒に遊ぶことができる。後ろを振り向くと妻らしき女性がふたりを見守っており、家族の幸せを感じられるシーンとなっている。

 だが、穏やかなのはここまでで、この直後に話は急展開する。テレビを通じて核戦争の危険が迫っていることを知り、ふたりは子供を抱えてVaultへ急ぐ。途中、軍が検問しているバリケードや森林地帯を抜け、Vaultの入り口にたどり着く、しかしVaultに入る直前に核爆発が置き、画面は暗転する。

【幸せのひととき、そして……】

 次のシーンは、Vaultスーツを着た男が、先ほど登場したVaultから外に出て、屋外の陽光の眩しさを感じるシーン。これがあの生まれたばかりの子供……かと思いきや、そうとも言い切れない。というのも、なんと、あの核爆発から200年が経過しているというのだ。「GTA Online」のようにキャラクターメイキングした夫婦の“子孫”なのか、あるいはSF的な設定による“200年後の息子”なのか、このミステリーは最後まで明かされなかった。

 この後は、赴くままに歩き回り、核戦争で荒廃しきった風景や、今なお稼働しているロボット、動物やモンスターとの遭遇が紹介された。彼らが「Creation Engine」と呼んでいた新開発のエンジンによるグラフィックスは、「Fallout 3」はもちろんのこと、「Skyrim」をも遙かに凌ぐ美しさを実現しており、Mrハンディひとつとっても、核戦争前は、自分が映り込むぐらいピカピカ照り輝いているのに、ポストアポカリプス後に遭遇したMrハンディは200年分のくすみが幾重にもボディを覆っている。

 ちなみにこの際のMrハンディとの会話で、主人公は現在が当時から200年が経過したことを知る。このミステリーを解くのがメインストーリーになるのかどうかはわからないが、Howard氏によれば、「Fallout 3」と同様に、プロローグシーンと現在を繋ぐストーリーが展開されるロボットとの会話を進めてもいいし、完全に無視して進んでもいいようだ。

 その後、主人公は破壊されたガソリンスタンドで一匹の犬に出会う。ポストアポカリプスものではなくてはならない表現だが、「Fallout 3」同様、今回も指示可能なコンパニオンとして仲間にすることができる。デモでは、犬へのコマンドとして、ターゲットを屋内に合わせて、作業台を調べさせて、置いてあるアイテムを持ってこさせるという命令を遂行していた。危険地帯の偵察が可能なようだ。

 偵察が終わると、地中からラットが飛び出しバトルとなった。「Fallout 4」のバトルシーンは、前作同様にV.A.T.S.を採用するかどうかが注目されていたが、この点は前作と変わらず、リアルタイムで攻撃することもできるし、腕にはめたPip-BoyからV.A.T.S.を呼び出して、部位攻撃を仕掛けることもできていた。時折カットシーンに切り替わり、弱点にヒットした敵が粉々に粉砕されるところなども前作から変化はない。違いとしては、前作のV.A.T.S.より、動きがスムーズになっており、より遊びやすくなっていたぐらいだろうか。

 実機を使ったウォークスルーデモは残念ながらここで終わりで、あとは様々なフィールドを写した映像が流された。大都市から、湿地帯、工場地帯、無人の廃墟、森林地帯、荒れ地、採掘場などなど、「Fallout 3」に勝るとも劣らないほどバリエーション豊かで、歩き回れる日が楽しみだ。

【ポストアポカリプスの世界】

【公開されたフィールド(一部)】

 そして再び場内を沸かせたのが、Pip-Boyの紹介シーン。Pip-BoyはVaultに入居する人々が腕に装着して使用するデバイスで、それそのものがゲームのメニューとして機能するところが「Fallout 3」の大きな特徴となっていた。

 今回のデモでは、右手に装着し、ステータスや武器、所持アイテムを確認した後、付属のゲームで遊んだりしていた。このデモは「Fallout 4」でもPip-Boyを採用し、かつ高性能になっていることを説明するものだと思っていたが、それだけではなく、数量限定の豪華コレクターズ版「Fallout 4 Pip-Boy Edition」にリアル版Pip-Boyが同梱されるというから驚きだ。

 正確には、インゲームのPip-Boyをスマートフォンのアプリで操作できる「Pip-Boy公式コンパニオン」を装着して、それっぽく楽しめる専用ケースが同梱される。つまり、「Fallout 4」では、お手持ちのスマートフォンでPip-Boyが操作できる、すなわち各種メニューがチェックできるというわけだ。ちなみに、この豪華コレクターズ版は日本でも発売予定というから楽しみだ。

【「Fallout 4」のPip-Boy】

【リアル版Pip-Boyと公式コンパニオンアプリ】

何千種類もの武器や防具、そして自衛可能な街まで生み出せるクラフト要素

 デモはこれで終わりと思いきや、速報でも紹介した「Fallout」初のスマホアプリ「Fallout Shelter」の紹介と、本日配信開始というサプライズ、再び「Fallout 4」に戻って、自らが所持できる施設を、平地の状態から自由に建設できるデモが公開された。「Fallout 3」でも自分の家に、ベッドや医療器具など様々なオブジェクトを置くことができたが、カスタマイズ要素はほとんどなく、置けるオブジェクトも限られていた。

 今回披露された自宅のクラフト機能は、「Skyrim」の家屋カスタマイズ機能をパワーアップしたような内容で、自由なデザインで家を建て、その中に、自由にオブジェクトを配置できるという極めて自由度の高い内容になっていた。

【自宅エディット機能】

 カスタマイズは屋内に留まらず、犬を住まわせる犬小屋や、地域のリーダーが政治活動に使用するらしいスタンド、食物の苗、給水ポンプなどなど、街を作ることができるようになっているようだ。驚いたのは、ジェネレーターやパイロンを設置することで、電気も使えるところだ。電気を駆使して、明かりを付けたり、防衛用のタレットを設置して、蛮族の襲撃から街を守ることができる。

 デモでは、敵の唯一の侵入路である橋に向かって火炎放射器やマシンガンタレットを集中的に設置し、次々に襲いかかってくる敵たちを撃破したり、平地の状態から錆び錆びのトタンで覆った家を作り、屋内外を様々な設備で固めて一種の要塞のようにしている映像も確認できた。家のサンプルも10種類近く見ることができたが、壁に電光パネルでFalloutボブルヘッドを描いた家には拍手喝采が起こっていた。「Fallout 4」では、街を作り、それを守るというクエストもあるようだ。

【屋外エディット機能】

【街防衛戦?】

【バリエーション豊かなマイホーム】

 最後に紹介されたのが武器と防具のカスタマイズ、そしてその使用シーン。「Fallout 4」では、接着剤やガラス、ネジ、鉄といった、ガラクタに含まれる素材を組み合わせることでMODを生み出すことができ、これをベースとなる武器や防具と組み合わせることで、改造することができる。

 改造システムは「Fallout 3」には無かった要素で、「Fallout Vegas」から採用されたシステムだが、それを凄まじいバリエーションで進化させた印象だ。デモでは、10mmピストルが様々なMODを付け加えることにより、レーザーピストル、ロングレーザーピストル、レーザーライフル、散乱レーザーライフル、散乱ロングレーザーライフル、散乱自動レーザーライフルに進化するシーンを見ることができたが、ほぼというか完全に原型を留めないレベルまで武器を進化できる。高ランクになるとサイエンスのスキルが必要で、今回は前作以上にサイエンスが重要になるかもしれない。

 防具では、エンクレイヴのパワーアーマーをスリムにしたようなT-60 TORSOや、アンドロイドのようなX-01 Mk IIといったパワーアーマーにパーツ毎に改造を加えていた。「Fallout 4」の正式発表に合わせて1枚の高解像度スクリーンショットを公開していたが、まさにあのシーンだ。もちろんパワーアーマーのみならず、軽装のアーマーやVaultスーツ、皮鎧、潜水服、タキシードや女性用ドレスに至るまで多種多様な装備が用意されているようだ。

 最後のデモでは、様々な武器や防具をバトルシーンを見ることができたが、従来の銃器や近接武器によるバトルに加えて、攻撃ヘリに乗って空爆したり、攻撃ヘリを撃墜したり、パワーアーマーのホバー機能を使って空中から攻め込むなど、空中戦が増えていたのが印象的だった。プレゼンテーションはここまで。また、E3会場で新たな情報を入手したらお伝えしたい。

【武器や防具のカスタマイズ】

(中村聖司)