ニュース
GTアカデミー出身レーサー、ルーカス・オルドネス選手が来日!
SUPER GT鈴鹿1000kmレースに参戦。やはり「GT5」の腕前は超一流だった!
(2013/7/18 13:49)
7月17日、日産自動車株式会社グローバル本社にて、ルーカス・オルドネス選手の来日ラウンドテーブルが開催された。
プレス向けに公開されたこのイベントでは、日産自動車とSCEヨーロッパ、ポリフォニー・デジタルのコラボレーションで2008年より展開しているリアルレーサー発掘プロジェクト「Nissan PlayStation GTアカデミー」の初代チャンピオン、ルーカス・オルドネス選手が来日し、記者会見に参加してゲームの腕も披露した。
「GTアカデミー」出身選手が SUPER GT 鈴鹿1000kmレースに参戦!
マドリード出身のオルドネス選手は、2008年の初代「GTアカデミー」勝者としてリアルレースにデビュー。「マドリードで普通の学生だった自分ですが、GTアカデミーにて25,000人で競われた予選に勝利し、シルバーストーンでの決勝にて幸運に恵まれたことでレースドライバーのとしてのキャリアをスタートすることができました」と語る通り、ゲーマー出身のレーサーである。
デビュー後は2009年のドバイ24時間レースで初出走。2011年のインターコンチネンタルルマン・シリーズではLMP2クラスチャンピオンに輝き、ルマン24時間耐久レースでもクラス2位という好成績を残した。その後もで数々のレースにて上位入賞するなど優秀な成績を残しつつ、今年はFIA GTシリーズにNissan GTR- Nismo GT3で参戦中だ。
そこでオルドネス選手は今回、8月17日~18日に開催される「SUPER GT 鈴鹿1000kmレース」のGT300クラス第3ドライバーとしてスポット参戦するために初来日。星野一樹選手、佐々木大樹選手とともに、NISSAN GT-R NISMO GT3に搭乗して鈴鹿サーキットでのレースに挑む予定だ。
記者会見で様々な質問に応えたオルドネス選手は、今回日本のレースに初参戦することについて「SUPER GTシリーズは欧州のドライバーにも有名で、リスペクトされているコンペティティブなチャンピオンシップです。『グランツーリスモ』シリーズのおかげでこのようなレースに参戦できることを感謝しています。私にとって鈴鹿での始めてのレースがどのようなものになるか、とても興奮しています」と意気込みを語った。
質問の中で特に多かったのがゲームとリアルの関わりや違いについてだ。オルドネス選手はいまでも「グランツーリスモ」をプレイし、鈴鹿サーキットについてもゲームを通じて多くを学んでいるという。レーサーにとってシミュレーターの存在は日増しに重要になってきており、とりわけオルドネス選手にとっては重要なトレーニングツールとなっているとのことだ。
特にリアルとの違いは、「ゲームの中ではクラッシュできること」。リアルにおいてはそれが許されず危険度も興奮度も段違いで、だからこそリアルのレースは楽しい。ゆえにバーチャル空間でのトレーニングも大事だとオルドネス選手は語る。
ゲームでの学習に役立つのは特に「コースの構造」だとも言う。例えばニュルブルクリンクのような長大なコースではゲームでの学習が75%にもなるとのことで、実際に出走する前に各コーナーやバンプの位置などを把握できることが特に価値のあることだそうだ。今後に向けても、実際のコースで走る時間が多く取れないことが多い中で、ゲームの重要性はますます高まっていくだろうとも語っている。
現在も「グランツーリスモ」シリーズを楽しんでいるというオルドネス選手。「今の私にとって、それが全てのスタート地点でしたしね。今は世界中を回っていますからたくさん遊ぶことはできませんが、時間があればゲームをプレイしてスキルを向上させています。私の将来についてはまだわかりませんが、ルマンやSUPER GT選手権など大きなレースに参加していくことがとても楽しみです」と語った。
恐るべきスムーズ走行。プロの技はゲームの中でもスゴい!
記者会見に引き続き、会場に設置された「グランツーリスモ」のコックピット型試遊機でのタイムアタックチャレンジが開催された。
ロケーションは鈴鹿サーキットのフルコース。使用車種は「GT-Rブラックエディション'12」ということで、Nissanのレース車両を扱ってきたオルドネス選手にとってもお馴染みのシチュエーションだ。使用ソフトはどの「グランツーリスモ」か明かされなかったが、ユーザーインターフェイスの構成から見ておそらく「グランツーリスモ5 Spec II」だったようだ。
はじめに出走したオルドネス選手は練習タイムもなしに鈴鹿サーキットを完璧なライン取りで走り抜ける。ステアリング操作に全く迷いがなく、修正舵を細かく当てるような微調整すらない、極めてスムーズな走りだ。
まるで、自転車で近所まで買い物にいくかのようなリラックスした走行。速度管理も完璧で、タイヤがスキール音を上げることもほとんどない。2つのRが連続する難しい複合コーナーもひとつのコーナーであるかのような滑らかさで疾走。攻めている雰囲気は全くないので本当に安全運転のつもりであるようだったが、完走タイムは2:11.029という好成績だ。
その後筆者も挑戦してみたが、慣れない環境ということもあって1走目は途中でスピン。再チャレンジして大きなミスなく完走するも、コーナーから立ち上がる度に、「安全運転」をするオルドネス選手のゴーストカーにガンガン離されていき無力感に包まれつつ、結局最後は2:14台でフィニッシュ。
オルドネス選手の走りとの違いは、コーナー入り前の速度管理の甘さと舵取りの不安定さだ。ブレーキのかけすぎ、あるいはスピードのだしすぎでコーナーの入口から理想ラインを外れ、それを修正するためにステアリング操作が小さくなったり、大きくなったりと細かい修正をしているうちにトラクションも不安定になり、タイムを浪費してしまう感じである。
オルドネス選手の迷いのない走りは、もし全力で攻め始めたらさらに数秒ほど簡単に詰めることができるであろう余裕のあるものだった。鈴鹿サーキットは難易度の高いコースだが、それを1発目で理想的な走りで駆け抜けてしまうのがプロの技。さすが「GTアカデミー」チャンピオンの現役レーサーはモノが違う、と感動した次第である。