KONAMI、「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」
「FOX ENGINE」を使った次回作や最新作の魅力をアピール
ナレーターを務めた俳優の別所哲也さん |
株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)は「METAL GEAR 25周年」を記念した発表会「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」を東京ミッドタウンにて開催した。ここでは、小島プロダクションが開発中の次世代ゲームエンジン「FOX ENGINE」を使った次回作デモプレイ、プレイステーション 3/Xbox 360「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」、「METAL GEAR SOLID」ハリウッド実写映画化、ソーシャルゲーム「METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS」の順に詳報をお届けする。
■ 「FOX ENGINE」を使用した次回作デモンストレーション
小島秀夫監督 |
イベントではラストに当たるが、「FOX ENGINE」の発表の冒頭で「世界に対し、技術力、熱量で劣勢を強いられている。もう5年くらい前からそうでした。『METAL GEAR SOLID 4』が終わったあたりから、なんとかもう1度世界に勝ちたい! ということで原点に返り『FOX ENGINE』を作り出した。ツール込み、効率を上げるということもある。今までできなかったロードがないオープンワールド、シェーダやライティングで綺麗に見えるものを作った。今日はようやく現状をみなさんにご紹介できる。これからお見せするのは、オープンワールドをワンショットで映していく“リアルタイム映像”です」と前置きした小島秀雄監督。
プレスを含め、撮影、録画、録音、SNS投稿を目的としたデジタル機器の使用などが一切禁止され、多数の専任スタッフが会場内を厳重にチェックする重々しい雰囲気の中でスタートした「FOX ENGINE」による次回作のリアルタイムデモンストレーション。開発中につきPCが使用されたが、表示などはPS3やXbox 360といった現行機にあわせたもの。タイトルは「METAL GEAR GROUND ZEROES」となっていた。
夜半、雨が降りしきる捕虜収容所。ジープで訪れた一団を敬礼で迎え入れる兵士たち。あまりにも精巧な人物のモデリングやフェイスアニメーション、濡れた軍服や風であおられる外衣、一目しただけで凶暴性が伝わってくる軍用犬の挙動、むき出しの地面を叩く雨、湿った土や空気の匂いまで伝わってきそうな圧倒的な表現力は、欧米の一線級タイトルと比較しても遜色ない鮮烈なもの。小島氏によれば「クラウドを見据えたマルチプラットフォームの現行機レベル。次世代機であれば、もっとよくなる」という。
飛び立つヘリの一群を尻目に、崖を登り収容所へと接近するスネーク。ここから、小島プロダクションの吉池博明氏がスネークを操作。サーチライトを避けつつ、地形を利用しほど近くまでにじりよるスネーク。監視塔にいた警備兵をサプレッサーつきの銃で狙撃し仕留めた。ここで小島監督が「乗り物を使って侵入することもできます」と補足。始末した警備兵のものであろうジープで味方を装い侵入を試みるが、運悪く収容所奥から不意に出てきた敵装甲車と鉢合わせ。ヘッドライトに照らされるとばれてしまうため、慌てて物陰に逃げ込む様子に会場から大きな笑いが巻き起こる。
続けて小島監督は、救援ヘリの要請を吉池氏に指示。地面に発炎筒を設置すると、やがてどこからともなく救援ヘリが飛来。救援ヘリはゲーム中いつなんどきでも呼び出しが可能で、援護攻撃を行なわせることも可能。ただし敵中で呼び出すとロケットランチャーなどで撃墜される可能性があるという。面白いのは、登場シーンのBGMを自分で設定できること。ここでは映画「地獄の黙示録」でつとに有名なワーグナーの「ワルキューレの騎行」が使用されていた。
オープンワールドにつき、ゲームの進め方はプレーヤーの自由。今回のデモについても、侵入手段は徒歩、ジープ、あるいは装甲車を奪うなどさまざまな手法が考えられるという。くどいようだが、今回のデモは“テクニカルデモ”ではなく、次回作の制作過程。小島監督は「『FOX ENGINE』はある程度できている。ここから先はゲームを実際に作りながら直したりチューンをしていく。これは『FOX ENGINE』を使った新作ゲームということ」と説明。
続けて「僕がゲームデザインして、シナリオを書いて、演出とディレクションもする、3年か4年に1度のオリンピックみたいな……新作のちょい見せみたいな感じです。(司会者に)数字は言わないでくださいね? それはちょっとまだ」とコメント。ナンバリングタイトルになるかは現時点で未定ということだが、デモのクオリティから察するに可能性は相当高そうだ。
FPSやTPS、リニアなレールゲームも作れるという「FOX ENGINE」だが「オープンワールドが1番難易度が高い。グラフィックスが凝れないですよね。(だから)仕方がないんで僕がまずオープンワールドを作りながらチューンしていく」という小島監督。次回作を待ち望むユーザーにコメントを求められると「技術、熱量的なことで、世界で見るとぼくらも認めないといけないけど“負けている”んですよね。今『FOX ENGINE』でようやく追いつこうとしている段階。これからさらにスピードを上げて、『小島プロダクション』として世界に向けて戦いに挑んでいく宣言みたいなことをさせていただいた。だから、そんなに長い時間はお待たせしないと思います」と力強いコメント。
「グラフィックス(だけ)を求めているわけではなく、自由度が高く、さらにゲームが面白く、グラフィックスもいい。そういったものを今作っております。ご期待ください!」という小島監督。ファンならずとも今後の展開に要注目だ。
唯一公開されたグラフィック。この1枚からも小島プロダクションの“本気”が伝わってくる |
■ PS3/Xbox 360「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」
小島プロダクションによるシナリオと設定監修のもと、開発パートナーとして株式会社プラチナゲームズを迎えた本作。発売日は2013年2月21日。
プレゼンテーションを行なったのは、プラチナゲームスの稲葉敦志プロデューサーと齋藤健治ディレクター、小島プロダクションの是角有二クリエイティブプロデューサー。概要についてきかれた是角氏は「主人公の雷電は、これまでスネークという偉大なヒーローのもと悩み成長してきた。今回はひとりの男、新しいヒーローとして活躍する。物語は『METAL GEAR SOLID 4』の数年後。サイボーグならではの身体能力と何でも切れる高周波ブレードで暴れまわるアクションゲーム」と説明。
開発の意気込みについてきかれた稲葉氏は「『METAL GEAR』という偉大な世界のなかに制作という立場で携われるとは夢にも思っていなかったし、想像もしていなかった出来事。発表したときは賛否両論あったが、従来のファンだけでなく新しい遊びを楽しみにしている方々を含め、満足していただくのが僕たちの仕事。なによりも自分たちが物凄く作品作りを楽しんでいる」とコメント。
主要キャラクターの声優は、「雷電」役が堀内賢雄さん、「サムエル・オドリゲス」役が平田広明さん、「LQ-84i」役が細谷佳正さん。このほか、役柄こそ明かされなかったがシリーズでおなじみの井上喜久子さんも参加が決定している。
齋藤氏によるデモプレイでは、見つかる前に一撃で敵をしとめる「ステルス・キル」、リアルタイムにオブジェクトなどを好きなように切断できる「自由斬撃」、相手の攻撃を受けて隙をつくる「しのぎ」、特定のポイントを狙って敵の体内から回復アイテムを抜き取る「斬奪」、さらには巨大かつ多彩なメカ兵器とのバトルなど、過激かつ激しいバトルの数々が披露された。
「剣で戦うゲームなので、一撃を受ける重さを体感できる。コントローラーで実際に味わってほしい」という齋藤氏。ケレン味と爽快感あふれる本作は、東京ゲームショウ 2012のコナミブースにプレイアブル出展され、ボス1体との戦いが体験できるという。
是角有二氏 | 稲葉敦志氏 | 齋藤健治氏 |
【スクリーンショット】 | ||
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【プロモーションムービー】 |
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■ 「METAL GEAR SOLID」がついにハリウッドで実写映画化!
アビィ・アラッド氏(上写真・右) |
速報記事でもお伝えしたとおり「METAL GEAR SOLID」のハリウッド実写映画化が発表された。制作はコロンビア映画で、製作・配給は米ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント。
1998年の発売以降、世界中からオファーがあったという映画化。「色々な方やスタジオの人と会い相談させていただいたが、やはりユーザーのみなさんに喜んでもらえないものにはオーケーが出せない」という小島監督。そんな監督を翻意させたのが「よき理解者。この方なら間違いない」と前置きしてステージに呼び込まれたのがアビィ・アラッド(Avi Arad)氏だ。
「スパイダーマン」、「X-MEN」、「アイアンマン」など数々の大ヒット映画を手がけてきた敏腕プロデューサーで、元マーヴル・スタジオCEOのアヴィ氏。映画を作るうえで深い物語性とキャラクターが不可欠というアヴィ氏。ゲームの映画化に携わるのは今回が初だといい、大変嬉しく思っているといい、25年前にゲーム中にイデオロギー、冷戦、軍と政府の関係、人間の葛藤やアイデンティティ、聖書に登場する「ケインとアベル」の物語を取り入れた革新性を「これこそ1本の映画を作るに値する理由。だからこそ、今回映画化させていただきたいと思った」と説明。実写映画化に際しては「皆様にお約束する。小島さんが作られた『METAL GEAR』を決して悪いものにはしない。スピリット、作られた当初の精神や物語に忠実に映画を作る」と宣言。
アビィ氏の熱意あふれるメッセージを受けて、小島監督も「はい。おまかせします!」と感無量といった表情。やってもらいたい監督についてきかれると「ここで言うとみんな書くんですけど。個人的なことでいいですか?」と前置きしつつクリストファー・ノーラン氏、ベン・アフレック氏、マシュー・ボーン氏の名をあげ、スネーク役については「数年前はヒュー・ジャックマンさんがいいって言ってましたが、今は痩せたトム・ハーディみたいな。僕の意見ですよ? どうなるかはわかりません」とコメント。
これに対しアビィ氏は「世界中の俳優が演じたがるのではないでしょうか。アクション映画の中で、これほど複雑でエモーショナルな役は、なかなかない。役者冥利に尽きる役。もしかしたらノーギャラでやりたいという人たちもあらわれるかもしれない」とコメント。ついに実現したファン待望の映画化。今後の続報にも期待大だ。
■ ソーシャルゲーム「METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS」
田中良和氏(上画像・右) |
「METAL GEAR SOLID」がソーシャルゲーム化されGREEに登場。プレーヤーは多数の兵士を集めてマザーベースの部隊を編成。武器を集めつつ、仲間と協力して巨大なメタルギアを破壊するなど数々のミッションに挑戦。歴代シリーズの登場人物やメカも多数登場する。年内(秋~冬)配信予定で、基本プレイ無料(アイテム課金制)。
登壇したGREEの田中良和代表取締役社長は、ゲーム化の経緯について「25年の歴史を持ち世界中にファンがいる『METAL GEAR』シリーズ。我々と一緒なら新しい何かが作れると思い相談させていただいた」と説明。今後は国内だけでなく海外でも配信予定があるという。
制作動機についてきかれた小島監督は「スマートフォンは僕らの子供のときの“未来の端末”みたいなもの。インターネットで家族や世界中の人たちと常につながっていられる、とんでもない魔法。これを使って『METAL GEAR』を垂直方向ではなく“水平方向”にもっと広げたい。これにより、今までにない遊び方がでてくるのではないか」と説明した。
PSP「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」で得られたユーザーの要望をフィードバックすることで「これまで以上に、もっと人とつながれる『METAL GEAR』ができると思います(小島監督)」といい、さらに「Unityを使用して製作されているので3Dポリゴンをリアルタイムで使い演出している。半歩進んだSNSゲーム」と説明。GREEが開発を担当し、小島プロダクションはビジュアル、演出、設定、世界観に特化した共同制作を行なっているという。本作は東京ゲームショウ 2012にプレイアブル出展される。
お詫びと訂正
「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」のキャプションにおきまして写真と人名が一致しておりませんでした。お詫びして訂正いたします。
(C)Konami Digital Entertainment
(2012年 8月 30日)