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「Vainglory」世界大会、韓国Phoenix Armadaが“圧倒的”優勝を飾る

脅威の9分以内エンドで決着! 先制、中押し、ダメ押しの理想的展開を見事に体現

12月2日~4日(現地時間) 開催

場所:TCL Chinese Theatre

優勝したPhoenix Armada。左から、Mango選手、druid選手、Willy選手
第1戦、第2戦と、Mango選手のコシュカとタカ、そしてWilly選手のランスが序盤から猛威を奮う。TSMはほぼ封殺となった

 Super Evil MegacorpのAndroid/iOS用アクション戦略ゲーム「Vainglory」の世界大会「2016 World Championship」は、韓国代表Phoenix Armada(PA)の優勝で幕を閉じた。

 もともと下馬評の時点でPAがかなりの上位に食い込むことは予想されていたことだったが、決勝戦でぶつかり、北米リージョンで優勝を争うTeam SoloMid(TSM)といえども、PAの爆発力を完全に封じ込めるには至らなかった。

 BO7(4戦先勝)で行なわれた決勝戦で何よりも印象的だったのが、PAが何度も見せることになる“圧勝ぶり”だろう。持ち前のファーミング技術の高さでまず序盤で差をつけてみせ、その差を活かしてガンガン敵陣に攻めていく。この攻める姿勢がハマればハマるほど差が顕著になっていき、気付いた頃には相手は取り返しのつかない状況に追い込まれ、あとは悠々と勝利まで持っていく……という展開が勝ちパターンとなっていた。

 言わば野球における理想“先制、中押し、ダメ押し”がこれ以上ないほど完璧に決まっていて、この“理想的な勝利”が第1戦目、第2戦目と連続したときには、「世界大会の決勝でここまで圧倒的な差がつくものなのか……」と観戦者の誰もが感じたことだろう。

 ただ、完全なワンサイドゲームだったかというとそうでもなく、集団戦ではTSMが勝る場面も多々あった。TSMが2勝をもぎとった第3戦、第5戦では、序盤をしっかり押さえることで流れを傾かせず、特に第5戦では、それまで猛威を奮っていたPAのタカをペタルで押さえ込む作戦もしっかり決まっていて、接戦となればTSMにもかなりの可能性があった。

 しかし一旦暴れ出すと手がつけられないのがこの日のPAだった。極めつけはPAが3-2で迎えた第6戦、開始2分で2キルをとってTSM側のジャングルを制圧すると、そこからTSMに一切の手出しをさせず、そのまま脅威の9分以内エンドで決着してみせた。「Vainglory」の平均試合時間は15分~20分と言われているので、この試合時間がPAの仕上がり具合を如実に表わしている。

 TSM側はこの第6戦で、それまでの2勝に貢献したランスを敢えてバンして、代わりにオゾを入れる作戦を取ったが、この作戦が機能する前に完全に沈黙してしまうこととなった。対抗手段は皆無ではなかっただけに、接戦に持ち込めなかったのがTSMの誤算だった。

 かくして「Vainglory」初の世界大会は、PAが“圧倒的”優勝を飾ることとなった。今後はPAが真の世界最強として追われる立場となるが、「序盤の有利が継続しづらくなる」調整が次期アップデートの「2.0」で実施されることには留意しておきたい。この調整が各チームのパワーバランスにどのような影響を与えるか、またそこからどのような新たな戦略が生まれるか、今後も「Vainglory」とそのe-Sportsシーンにぜひ注目していきたい。

接戦に持ち込んだ展開では、決してTSMは打ち負けていなかった
しかし最後となった第6戦は9分以内で決着。それほど隙のない練度だったと言える