インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

スマホアプリは年内はデータ拡充に専念。吉田Pの廃プレイ開始はTGS以降に。「誘惑の強いゲームを作れた」

スマホアプリは年内はデータ拡充に専念。吉田Pの廃プレイ開始はTGS以降に。「誘惑の強いゲームを作れた」

スマホアプリ「ライブラエオルゼア」。現在充実しているのはアイテム系のデータ。今後はクラフトレシピなどより有用性の高いデータも入るようだ
実は廃プレイしてなかった吉田プロデューサー。“極”蛮神戦の攻略講座を聞いてみたいと思っている
現在はアイテムのソート機能が無いため、整理整頓はすべて手動となる。ソート機能は早急に対処して欲しい機能のひとつだ

――それから待望のスマホアプリがリリースされました。以前の告知通り、びっくりするくらいデータが詰まっている公式データ集という感じですが、吉田さんのお話では、データベース以外にも例えばアイテム出品できますよとか、装備が変えられるよとか、色んなプランがありましたが、そうした付加機能はいつから利用できるようになるのですか?

吉田氏:それに関するマイルストーンを確認してGOを出したばかりですが、来年3月、年度内に関しては、今あるデータの充実が最優先になっています。次はまずクラフトレシピ、スキルリストとインスタンスダンジョンとF.A.T.E.の情報を優先。まずはデータベースとしての有用性を最大限まで上げるというのが最初のマイルストーンです。それができてから、いよいよサーバーにログインして一部の機能、例えば出品だったり、装備を着替えさせるいったことを対応します。スマホアプリから外出でキャラクターの準備をしておいて、時間の無駄を無くすなどはその次のフェーズです。これらに関しては申し訳ないですがサーバーを使うので有料にさせていただく予定です。

――来年3月まではデータベースの拡充で、それは無料で利用できるけど、4月以降の付加機能についてはすべて有料になると?

吉田氏:すべてではなくて、その機能をダウンロードするならいくら、という感じですね。

――月額いくらではなくて、これはいくら、こっちはいくらと取捨選択するイメージですか?

吉田氏:はい。いらないのなら使わなくてもいいという考え方です。ビジネスモデルをどうするかはまだ決めていないです。例えばですが、アカウントサービスの中で、これをアクティブにしていただければ使えますという形とか。そこはまだこれから決めていきます。

――スマホアプリは、最終的には無料サービスというよりは、やはりしっかりビジネスとして提供していくものというわけですね。

吉田氏:そうです。最低限、エオルゼアに開いた窓、つまり中を覗くというところに関してはずっと無料でやろうと思っていて、そこから中に手を入れていくつかの行動をするものに関しては、儲けたいからではなくサーバ費用がかかるので、すみませんが最低限だけお支払ください、という考え方ですね。それ専用のサーバーを常に維持していかなくてはならないので。その費用を負担していただくイメージです。

――今考えている付加機能はどういったものですか?

吉田氏:基本的には「アイテムの出品」、アイテムをマーケットから買ったときに、ギルを引き落として持たせたいキャラクターにアイテムを渡しておく「引き落とし」、あとは単純にキャラクターの移動サービスです。例えば宿屋でログアウトしていて、友達とどこでで待ち合わせしているから、ログインしたらすぐ合流できるように家に帰る前にキャラクターを移動させておこうとか。つまり、フルに遊べるわけではないですが、あったらいいなという機能、家に帰る途中で冒険の準備ができるということを実現しようと思っています。

――釣りや調理などのギャザクラ(ギャザラー、クラフター)方面のアクションなどもできるようになるのですか?

吉田氏:そちらは考えていないです。

――なるほど、あくまでギアセットの切り替えなど、システムコマンドの一部が外部から利用できるようなイメージですね。

吉田氏:そうです。

――ギアセットで思い出したのですが、アイテムのソートは今できないですよね。これはバックパックにアイテムが増えてくると不便な感じですが、ソート機能はいつ実装されるのですか?

吉田氏:パッチ 2.1で入ります。

――アイテムのソートは必須機能であるにも関わらず、実装に時間がかかっている印象がありますが、これはなぜですか?

吉田氏:凄く複雑なのと、サーバー負荷がかかるからです。ソートは綺麗にやろうとするとかなり負荷がかかるので。スタンドアローンのゲームは、メモリにすべて展開されているから、メモリの中だけ入れ替えればいいのですが、サーバーのデータを入れ替えなくてはならず、それを絶えずやるのはかなりの負荷なので、それで抑えているというのが正直なところです。

 ただ先日、皆川(「新生FFXIV」リードUIアーティスト兼リードWebコンテンツアーティスト)と話をしていたときに、全部パッチ2.1だと遠いから、一部だけでもその前に入れられないかという話をしていて、「整頓」だけはそこで入れた方がいいかもねという話をしました。ギリギリまで粘ってみるつもりです。

――フォーラムにも意見があって、私も感じていることなのですが、クロスホットバーやマクロ設定、あとは画面レイアウトのサーバー側の保存はいつから可能になりますか?

吉田氏:その要望は主にメディアの方と、ゲーム業界の方が多いですね……。

――会社と自宅でPC、PS3合わせて5台に「新生FFXIV」を入れてて、その辺をマシンごとにいちいち登録しなおすのがそろそろ面倒になってきました(笑)。

吉田氏:はい。予定はしていますのでお待ちください。

――これも意図的に待っている部分があるわけですか?

吉田氏:危険なのです。データベースの書き込み負荷を増やすので。ログアウト時だけデータベースにセーブしてというのだと、たぶん大丈夫なのですが、その検証がギリギリまでとれませんでした。

――ちなみに、吉田さんはまだ凄く忙しい日々を送っていると思いますが、「FFXIV」遊んでますか?

吉田氏:えーっと、まだレベル18ですね……。

――勝った! 私は30を超えました。吉田さん廃プレイしていないじゃないですか(笑)。

吉田氏:さすがに皆さんがログイン制限なのに無理ですよ。そもそも寝る暇もないくらいなので……。

――「廃人に戻ります」ってコメントしていたので、どれぐらいやりこむんだろうと期待していたのですが。

吉田氏:ローンチ後、廃人に戻れるかなと思っていたのですが……。大混雑もありましたし、ほぼサーバーに張り付きで、投資の瞬間判断をしなければならないのです。サーバーってご存じの通り基本はPCなので、発注のタイミングが遅れた瞬間納期がズレてしまいます。その瞬間に数千万円の判断をしなければいけないので、僕もサーバーチームも24時間常駐です。あとはやはり、あれだけ皆さんがログインできないと言ってるときに、僕がログインして遊んでいるわけにはいかないというのもありますね。

――それでは9月12日のメンテ明けからそろそろ本気出すという感じですか?

吉田氏:うーん、TGS明けまでは、厳しいんじゃないですか? 僕8月のGamescomからここまでノンストップですから。

――激動の数カ月ですね。

吉田氏:でも、4日前くらいにやっと飛空艇で3都市まで行けるようになったら、やっぱり止まらなくなったので危ないなと。

――やはりぐいぐいきますよね。序盤の導線は練りに練られてますよね。

吉田氏:止めどきが難しいのと、ちょっと街にいったら他のクラスがあり、他のクラスに浮気をし始めるとクラスクエストが始まってしまったりして……。せっかくレベル15超えたし、ダンジョンいこうかなと始まってしまうと、俺はいったい何のクラスのレベリングをしていたんだっけ!? ということに。

――その誘惑がすごく強いゲームですよね。でもそれが「新生FFXIV」の魅力になっていますよね。

吉田氏:それが結局ログイン時間が長いことにも繋がっていて、僕としてはこの点は開発チームを本当に褒めてあげたいです。当初の設計通り、アーマリーシステムの良さだと思います。ほかのMMOでは絶対に味わえないあの横移動、あれこそ本来「旧FFXIV」でやるべきだったもので、特に先入観のないMMOになれていない人たちにこそ、気ままにいろんなことをやって楽しんでらっしゃるので、あれが一番嬉しいポイントではあります。

 自分でもずっと開発環境でプレイしてきましたが、やはり導線チェックしている時には独りです。今は公開ワールドで、周りに何百人もプレーヤーがいて走り回っていて。人がわーっと走っていくのを見ると「あら?F.A.T.E.かな?」という感覚は、やはり本当に楽しいですね。誘惑の強いゲームを作れたなとは思っています。

(後編に続く)

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(中村聖司)