インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(前編)

ワールドやフォーラムの話題について。「ダンジョンの駆け抜け周回行為は修正対象」、「ギルはもっと出す」

ワールドやフォーラムの話題について。「ダンジョンの駆け抜け周回行為は修正対象」、「ギルはもっと出す」

吉田氏もMMOのコアプレーヤーということもあり、様々なユーザーの活動ぶりに手を焼いている部分もあるようだ
ダンジョンの駆け抜けは禁止で、基本的に全滅させるのがセオリーのようだ
各地のエーテライトに直接飛べるテレポは便利だが、どんどんお金がなくなるのが玉に瑕。今後はギルを稼ぎやすくなるということで、テレポも使いやすくなるようだ

――フォーラムを見ていていくつか気になった点があるのですが、まず「パーティー募集ウインドウ」という仕様を今後追加するということですが、これはどういったものですか?

吉田氏:「旧FFXIV」の時に、「自分は今どのダンジョンに行きたい、自分の参加したいロールは○○」と出しておく機能がありました。パーティーを組みたい人は、その人をどんどんピックアップしてパーティーが組めるという仕組みがあったのです。まずはCFを使って欲しかったこともあり、実装をパッチ2.1としました。

 中村さんも言われていましたが、「新生FFXIV」は、すでにできあがっているコミュニティがあります。そこに何倍もの新規が入ってきた時に、それぞれで固まって欲しくなかったのです。CFでレガシーも新規も同一キューの中に混在しているのは、意図的なものです。これによってお互いの距離がだいぶ縮まっていくと考えています。

――「パーティー募集ウインドウ」もパッチ2.1ですか?

吉田氏:2.1です。これはそもそも「旧FFXIV」でたくさんのフィードバックをいただいていたシステムです。基本的には磨き上げてきたものですから、そのまま戻すつもりです。

――しかし、このパーティー募集ウィンドウは、CFの本来の存在意義と、整合性がとれないのではないですか?

吉田氏:いいえ、そこはバランスが取られます。パーティー募集ウィンドウがあっても、ランダムマッチングで1日1回はCFを回す、というのも日課に組み込まれるからです。

――今シャウトでメンバーを集めている熱心な方がいらっしゃいますよね。彼らの助けになるだろうと。

吉田氏:はい。それは「旧FFXIV」の時にすごく歓迎されたシステムだったので。

――シャウトという点でいうと、リアルマネートレード(RMT)関連のシャウトが街に響き渡る状況がありますが、これに対する対策は何か考えていますか?

吉田氏:いままさに凄まじい勢いでアカウントの永久利用停止処分をしているのが1つと、日々チャットフィルターをひたすら更新しています。つまりチャットフィルターに引っかかるようにして他のプレーヤーまで届かないようになっています。業者もこれに対抗して、いまだんだん暗号化されていってますよね……。

――ええ。特にNAのサーバーで遊ぶと、訳の分からない、なんだこれという、いよいよ鬱陶しい感じのメッセージがガンガン飛び交ってますよね。

吉田氏:はい。ギリシア文字を入れたりとか、アレをひたすらつぶしています。

――Googleのスパムメールフィルターみたいな感じで、本来だったらもっと流されているシャウトが日々聞こえなくなっているんですね。

吉田氏:そういうことです。猛烈な勢いでチャットフィルターを更新しています。

――なくなりはしませんが、数は減ったなと思っていましたが、チャットフィルターとは考えましたね。

吉田氏:彼らに発言させないこと。そして見つけてアカウントの永久利用停止をすること、これをとにかく徹底しています。徹底しているせいで、やや嫌がらせにも近くなってきています。1日数百件ずつ、通報を受けた瞬間にGMが調査を行ったり、現場へ向かい対処しています。以前にお話したとおり、徹底して対処しています。

――その辺りいたちごっこではあるものの、効果は上げつつあると?

吉田氏:もちろん。今はアメリカの方が多いのですね。北米フォーラムでは、「姿を変えられる幻想薬を早くリアルマネーで売ってほしい」というスレッドが立ち上がるくらいFree to Play(F2P)というものに馴染みが深くなってきています。そのスレッドを見つつ、最近F2PのMMOが凄く多くなったこともあって「ああ、業者はF2PのMMOが増えると商売あがったりか」と改めて思いました。リアルマネーでゴールドも経験値も買える世の中になってしまうと、いわゆる業者が稼ぐところがない。サブスクリプションモデルの規模の大きなタイトルは「新生FFXIV」と「TESO」くらいなので、彼らも必死な理由がわかりました。あとはもう僕らも必死に撲滅していくだけですね。

――また、これは9月12日のパッチでアップデートされるという話ですが、特定のダンジョンで、誰かがおとりになって、雑魚を回避しながら周回するという方法がありますね。

吉田氏:駆け抜けですね。単純に単位時間あたりのトークン獲得効率が良いからですね。

――そういう極端な効率プレイがもう出てきたかという感じですね(笑)。

吉田氏:駆け抜けは、ほかのMMOでもよく使われる戦術なのですが、見落としがあってご迷惑をおかけしました。

――効率を求めるのはMMOの常だと思うのですが、「新生FFXIV」の基本スタンスとして、トリッキーな手法による効率的なプレイをどこまで許容して、どの辺りからダメなのか、その線引きを教えて貰えますか?

吉田氏:MMORPGでは“時給”という考え方がよく言われます。単位時間あたりにどれだけ稼げるか。僕らは、雑魚モンスターの殲滅時間も、消費MP、減るHP、そこで痛む装備のパラメータが何%落ちるかも含めてバランスを考えています。つまり、それだけの苦労をしてもらったからこそ、それに見合った報酬を払います。その前提となるステップをスルーされることは、バランスが崩れてしまうことになります。こうなった場合、修正になります。逆に今はギルの排出量が少ないので、これは上方修正の予定です。これが基本方針となります。

――なるほど。それではダンジョンでは、雑魚モンスターは全滅させるというのは基本的な遊び方になるわけですか?

吉田氏:そうですね。全滅させることを想定して作られているので。だからこそリポップしない仕様です。経験値も同じで、何パックのモンスターを倒したら経験値いくらという計算です。

――細かいところだと、修理費とダークマターの値段が下がりましたね。あれは開発側で何か計算違いがあったということですか?

吉田氏:これは我々のミスです。想定よりダンジョンの難易度が高かったためです。全滅回数が多く、これでは赤字になる。ローンチしたときに、全滅したときの痛み方は緩和したのですが、修理費も緩和すべきでした。あとは今はちょっとギルの排出が少なすぎるので、もう少し出そうとは思います。

――ギルをもう少し出すというのは何が変わるのですか?

吉田氏:インフレを避けるためにかなり慎重に作ってきたおかげで、厳密に計算しすぎてかなり余裕がないので、ギルはもうちょっと出します。

――具体的にはどういった手法で出していくのですか?

吉田氏:コンテンツから排出される量を増やしていくと思います。

――クエストの報酬で得られるギルがドカッと増えたり?

吉田氏:いいえ、基本はダンジョンだったり、それも周回用ダンジョンとレベリングダンジョンの中で出すものを増やします。もちろん、バランスはしっかりとって、金を稼ぐためだけに行きたくないダンジョンに行くというのではなくて。例えば神話トークンを集めている中で、ギルも貯まるとかですね。あとは今開発で議論しているのは、軍票を集めるためにF.A.T.E.をやっている中で、F.A.T.E.の中でギルを出すかというかということです。ただ、F.A.T.E.だと繰り返しファーミングできてしまうので、慎重に考えています。少なくとももう少しインスタンス系のコンテンツリワードに関してはボーナスを付けてもいいねという話をしています。今、たぶんギルに関しては、皆さん余裕がないと思うので。

――ええ、本当に余裕がないですね(笑)。クエストをこなすためにちょっとテレポを贅沢に使うと、ギルがどんどん減ってく感じですよね。

吉田氏:僕もテレポは慎重に使います(苦笑)。チョコボポーターと、国を超えるときには、飛空艇に乗って。

――ふーむ。吉田さんとしては、フィールドの移動に関して、それくらいのちょっと節制気味ぐらいが正常ですか?

吉田氏:僕はこれぐらい考える余地がある方が好きですが、スタッフからは「もうちょっと贅沢でいいです!」と言われてます。ちょっとやり過ぎたなと。ここはパッチ2.1でハウジングが来ることもあるので、緩和していくつもりです。

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(中村聖司)