インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏発売記念インタビュー(前編)

コンテンツファインダーの“マルチロール対応”とリミットブレイクの使い方とは?

コンテンツファインダーの“マルチロール対応”とリミットブレイクの使い方とは?

マッチングのロールは増やさないと断言。今後もシンプルなマッチングシステムは維持されるようだ
巴術系の1クラス/2ジョブはE3でサプライズ発表された

――巴術系1クラス、2ジョブを見せていただきましたが、E3 2013で発表した時にはユーザーさんからどういう反応がありましたか?

吉田氏: 映像は出しましたが、実際の使い方などは詳しく発表しなかったので、本番はここからじゃないかと思います。日本の方は、たぶん初めて使うタイプのクラスやジョブになっていると思います。

――巴術系の仕様についていくつか確認ですが、まず召喚中はMPは消費しない?

吉田氏: はい、一切消費しないです。

――呼び出したときと、魔法を使ったときだけですか?

吉田氏: はい、あくまで自身のMPなので。

――ペットを呼び出すリスクがないので、常時何かを出しっぱなしにしておけるわけですよね。

吉田氏: はい。ただし、ペットを呼び出す際の詠唱時間は長いです。ペットのHPが減って、回復してやるより、消して呼び直した方が早いんだとなると、バランスが崩れることになっちゃうので。呼び出す際にMPも多めに消費するようになっているのはそのためです。

――なるほど。召喚し直しでHP回復できない仕様ということは、どうやって召喚ペットのHPを回復させるのですか?

吉田氏: アビリティがあります。巴術士のアクションのなかにサステインというものがあって、これはペットをターゲットしていなくても、自分のHPを減らして、ペットを一定時間回復させるというものです。いまHoT(Heal Over Time、一定時間HP回復する魔法)が掛かっているペットが徐々に回復していっているのがわかると思います。持続回復です。もう1つフィジクというスペルは、これ単純にケアルだと思ってもらえればいいです。2つとも巴術が持っている魔法なので、リムサ・ロミンサ斧術士たちに、回復魔法のすばらしさを教えてあげて欲しいですね(笑)。巴術士には低レベルでフィジクという回復魔法を入れておいたので、リムサの人たちはぜひ斧と巴術が組んでF.A.T.E.に挑んでもらえればなと思っています。

――ちなみに巴術系のロールは、学者のみヒーラーで、ほかはアタッカーですか?

吉田氏: そうです。レンジDPSつまりキャスターです。

ロールは3種類。これは今後も維持されるようだ

――でもこうやってどんどんジョブが増えていくと、ロールが3つだけなのは少ないのではないですか?

吉田氏: いや、逆ですね。それを増やしてしまうとマッチングがどんどんしづらくなるし、コンテンツバランスが取れなくなります。アタッカーも実は3種類あって、近接DPS、それから弓などのレンジDPS、そしてレンジキャスター、魔法を使ったレンジDPS、この3つの枠をさらに増やすことはかなり危険です。総称としてDPSと呼んでますが、マッチングアルゴリズムの中で、このDPSの中の3種はできるだけかぶらないように、というAIが働いています。βフェーズ3で気づいている人もいるかもしれないですが、黒黒とか、弓弓とか槍槍とかでパーティーがマッチングされることはほぼない。あれはファインダーでマッチング時間を最速にしつつ、できるだけ同一ロール内でクラスやジョブがかぶらないように、というAIが働いているからです。

――なるほど。あとは、ユーザーから起こりうるシンプルなニーズとして、例えば私はナイトだけど、ナイトをアタッカー寄りにチューンしているからアタッカーのロールで入りたいんだけど? というものが出てくると思います。このニーズにはどう応えますか?

吉田氏: それは、“マルチロール対応”と呼んでいるのですが、それもやる予定ではいます。

――それは正式サービス開始のタイミングで?

吉田氏: いや、それはさすがに間に合わないです。結局そのニーズは、まずコンテンツファインダーの便利さをわかって馴染んでもらってからですね。

――なるほど、物事には順序というものがあるだろうと?

吉田氏: そうです。コンテンツファインダーについて、これだけ慎重にテストをやってきたのは、コンテンツファインダーが「使えないものだと認識されてしまったら困る」からです。20%の人が使わなかっただけで、マッチング率は極端に悪くなる。そうなると、「コンテンツファインダーが使える」と思っていた人まで、マッチングできなくなるから使わなくなる。つまり、ファインダーがあって当たり前という感覚が馴染んでから、マルチロールの要求対応や、絞り込みを入れるべきかなと。

――ええ、よくわかります。その通りだと思います。

吉田氏: たとえば、タンクのプレッシャーがきついからといって、ナイトがみんなアタッカーで登録しちゃうと、アタッカーなんてただでさえ多いのに、アタッカーが多すぎてタンクが足りなくなってマッチングできなくなります。「ナイトがアタッカーで申請しているからだろ。ナイトはだまってタンクやれよ」となっちゃうわけです。

――余談ですが、その空気感って怖いですよね。ロールに関してフェーズ3を遊んでいて気づいたのは、リミットブレイクがアタッカー以外使うなという暗黙の了解みたいなものがあるような気がしたんですよね。「タンクは使ったらダメなの?」みたいな。確かにあんまり効果無かったかなという感じもありましたが(笑)

吉田氏: それこそ、序盤は難易度が低いダンジョンですから、もう誰が使ったっていいような設計にしてますよ。

タンクのリミットブレイクは高レベルで効果を発揮するようだ

――つまり、レベル50だと、リミットブレイクがより効果的になってきて、タンク、ヒーラーのリミットブレイクが活きてくるわけですか?

吉田氏: タンク系のリミットブレイクは基本防御技です。ヤバイ今なんとかしないと全滅する!っていうシチュエーションは、βフェーズ3のレベル30までのダンジョンにはほぼなくて。1人ずつ倒されていくようなバランスになっています。つまり全体に対して、すごいダメージがかかってくるようなコンテンツはまだ出てきていない。だから、タンク系のリミットブレイクが生きてくるのはもう少し先です。序盤はアタッカーのリミットブレイクでいいのです。アタッカーのロールが1番多いですし、まずはアタッカーが使うことに慣れて下さい。

 逆に僕らがいまチェックしてる、アイテムレベル90とかのエンドコンテンツでは、“神リミットブレイク炸裂”みたいなシーンが結構あります(笑)。6人死亡中、ゲージ3たまった瞬間に白魔道士のリミットブレイクが炸裂して全員復活! みたいな。しかもあれスペシャル処理なので、暗転時間もなく、その場でMP、HP全快で衰弱もつかないという状態なので、即戦線に復帰するので最高です。あとはやっぱり蛮神の履行技の時でしょうね。タイタンの最大ダメージや、ガルーダのエリアルブラストを食らって、ラストバスティオンかけて、全員残り2割で生き残るとか。

――なるほど。それでは攻略が進んでくるとコンテンツごとに、どのリミットブレイクがオススメというのはできてくるだろうと?

吉田氏: 固定ではなくシチュエーションによって、使い分けてほしいと思っています。さっきも言ったようにガルーダの羽根の処理は全部できた。履行技のタイミングでは素でダメージを食らっても、HP満タンだったので誰も死ななくてすんだ。ところがその直後に、竜巻で2人が倒れたけど、白魔道士が誰にも断らずにリミットブレイク炸裂させてヒーローになる! のような感じですね。2人倒れた時点で使うのか、4人まで待つのか、でも早めのほうが立て直しは楽です。そんな感じで、各自が意識しながら使う。だから前提では作っていないのです。ファインプレイができるように作ってあるので、序盤はもうリミットブレイクという存在を覚えてもらうために、ガンガン使ってもらって構いません。

――盾で何度かやったんですけど、怒られて(笑)。

吉田氏: とにかくゲージ空にするなと(笑)。真イフリートとか周囲に対して全体ダメージを与えてくるような時に、いま一瞬をしのぐ時に、レベル3のリミットブレイクにすると、すごいカット率でダメージを軽減してくれるんですが、低レベルだと「ん?」という感じかもしれませんね(笑)。

(後編に続く)

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(中村聖司)