インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏発売記念インタビュー(後編)

吉田氏が実演するレベル50のハイエンドバトル。そこから見える今後の「FFXIV」の方向性とは?

8月27日発売

価格:
3,300円(PS3通常版)
10,290円(PS3コレクターズエディション)
オープンプライス(Windows PC版)
利用料金:1,344円(エントリー、30日)

1,554円(スタンダード、30日)
4,347円(スタンダード、90日)

 インタビュー前編に続いてインタビュー後編では、さらにディープで奥行きのある「FFXIV: 新生エオルゼア」の世界へ誘っていきたい。

 インタビュー後編を掲載するにあたって吉田氏から念を押されているのは、吉田氏がレベル50の黒魔導士のバトルを解説しているページ(このページと次のページである)は、ビギナーや未体験者にはあまりにもディープすぎる話であり、「できれば読んで欲しくない」ということのようだ。

 しかし筆者はむしろ「FFXIV」に興味を持つすべての人が読むべきだと考えているので、あえて1ページ目に持ってきている。読むかどうかは読者の判断にゆだねることにしたい。読みたい場合はこのまま読み進めていただき、読みたくない場合は3ページ目以降に飛んで頂きたい。なお、読んだことによって「FFXIV: 新生エオルゼア」に対するイメージが変わっても弊誌では責任を持てないのでご注意を!

「新生FFXIV」のレベル50のバトルを吉田氏が解説する!

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
レベル50のバトルは多くの人にとって未体験ゾーンだ

――話は変わりますが、今回のインタビューで吉田さんにひとつお願いしたかったのは、正式サービス記念ということで、「新生FFXIV」のレベル50におけるハイエンドのバトルを見せていただけないかということです。最近、記事校正の際に「レベル50のバトルではこうなってる」という表現が増えてきていて、しかし、私はレベル50のキャラを持っていないので実際に確認することはできないんですよね。だからもし見ることが可能であれば、それをインタビューに盛り込むことで、レベルアップに勤しむユーザーにとってもレベル50を目指すモチベーションになるのではないかと思ったんです。

吉田氏: うーん、あらかじめ断っておくと、僕はMMORPGの試遊反対論者で、それは短時間体験しても理解できないと思うからなんです。見ていただくのは全然構わないですが、レベル1からの積み上げがない状態で果たして理解できるかどうか。

――例えば、「新生FFXIV」のバトルを支配しているグローバルクールダウン(GCD)に関して、フェーズ3をプレイしていて、私は2.5秒は長いと思ったんです。それに対して吉田さんは「レベル50だとその間隔は短くなるし、やれることが増えるからこれは適正ですよ」という見解を示されたと思うんですね。だったらなおさら高レベルの「新生FFXIV」のバトルを見てみたいなと思ったんです。

吉田氏: GCDは最短2秒まで縮まります。僕が言いたい短くなるは、本来そこではないのですが、本当に長いと感じてますか?

――正確に言うと、長いというよりは、日本のコマンドアクションは、格闘ゲームによって大きく進化したところがありますから、私もそうですが、コマンドキャンセルしてどんどん先行入力していきたいというニーズがあると思うんです。

吉田氏: 格ゲーの文化といっても、それが極端に先鋭化することになって、プレイできる層が限られてしまったのも、格闘ゲームというジャンルだとも言えますよね。

――その側面は否めませんが、ブレイクのきっかけになったのもコマンドキャンセルの側面が大きいと思いますし、「FF」シリーズでも使われてるコンボやチェーン(ボーナス)など、その後のゲームに与えた影響は大きいと思います。ただ、私が言いたかったのは、そういうことではなくて、たとえば「FFXI」にしてもコマンドキャンセルによるプレイが普通だと思うんです。アビリティに関してはどんどん入れられますよね。例えばナイトで言えば、挑発を入れた直後にセンチネル、ウォークライ、フラッシュと、GCDを意識せずに、どんどんアクションを重ねていけます。確かに魔法や歌にはGCDがありますが、「FFXIV」とは発想がだいぶ違うと思うんですね。そのあたりの設計哲学のようなものを伺いたかったのです。

吉田氏: 「FFXIV」でもGCDの間にキャストに縛られないインスタントのアビリティがたくさんあって、アーマリーシステムでさらに他のクラスアビリティをアディショナルに組み込めば、さらに多くのGCDの間に挟めます。だから、フォーラムで「長い」という意見を見ると、「まだアビリティ挟んでないな」とは思います。βフェーズ2までとフェーズ3でアビリティのGCDは大きく変わったのですが、βフェーズ2までの印象が大きいのと、「FFXI」と違って、「新生FFXIV」のフィールドの雑魚モンスターがアビリティをWSの間に挟むほど、シビアに操作する必要がない、この2点が原因かなと、思っているのです。これが必要になるのは、色々なことを覚えた中盤以降のダンジョンからなので。

――私はフォーラムの吉田さんの発言を見たり、取材時の雑談や、ライブでの発言を通じて感じるのは、吉田さんは本当にコアなMMOプレーヤーだと言うことです。MMOは「Ultima Online」から見てきてますが、ざっとこの15年で吉田さんほどコアなプロデューサーに巡り会ったことがない(笑)。ゲーマーとして本当に濃くて、本当にMMOを遊び込んでいる。ただ、MMOプレーヤーを代表して1つどうしても言いたいのは、MMORPGのプレーヤーさんは、私含め吉田さんほど上手い人ばかりではないし、上を求める人ばかりでもないし、DPSにあまり重きを置かないプレイをする人もいくらでもいるということです。

吉田氏: はい、それを理解してるからこそ、真逆の調整をしています。、そんなにプレーヤースキルがなくても遊べるゲーム、リアルタイムのバトルに慣れていなくても、序盤はサクサク敵が倒せるゲーム。極端なくらいに、そのプレーヤースキルカーブはゆっくりに作りました。そのため、今度は僕のようなコアプレーヤーや、すでにレベル50のキャラクター育成を終え、エンドコンテンツに触れたことのあるプレーヤーは、序盤はこんなに簡単すぎていいのか? これじゃ考える余地がなさ過ぎじゃないのか、という意見が出るんだと思います。

――なるほど。いろんな意見があってもいいと思うんですが、その意見を全部聞くわけにはいきませんからね。

吉田氏: はい。意見はもちろん自由で、これまでにαテストからβフェーズ3までに1,000項目近いフィードバックを対応させていただいたのは、そのご意見が重要だと思っているからこそです。海外のメディアさんに良く聞かれますが、「こんなにフィードバックを受け入れていて、吉田さんの作りたいものが作れていないのではないですか?」という感じで。でも、僕は信念を持ってゲームを作っているし、その信念をお客さんに届けるのが責任だと思っているのです。それを気に入っていただけたらお金を頂戴する。だからこそ、フィードバックを全部聞けばいいという考え方は絶対にしていないです。また、すべての言語フォーラムを見て、意見が特定地域に偏っていないか、というのも物差しとしては重要です。

――吉田さんがおっしゃった“ふるさと症候群”みたいな部分もあると思いますね。前と同じように遊びたいという。ただ、しつこいようですが、その吉田さんですら追いつかないというハイスピードバトル、高DPSの世界を1回見てみたいなあと思ったのです。

吉田氏: ではお見せしますが、コアプレーヤーの方以外は、この部分を読み飛ばしていただきたいです。全然意味不明だと思いますし、正直言って読む必要がないと思いますので。

――吉田さんのコアっぷりを見られる機会はなかなかないですから、ビギナーでも楽しく読む方は多いと思いますよ。私も楽しみですし(笑)。ちなみに吉田さんの1番のお気に入りジョブは黒ですか?

吉田氏: 黒魔道士です。

――即答しましたね。あれ、竜じゃなかったのですか?

吉田氏: PRでは「FF」らしい、という理由で竜騎士をフォーカスしていたので、そのイメージでしょうか。僕が個人的にプレイするのは黒魔導士です。黒魔導士は通常時はホットバーを1つ使うくらいで想定していて、単体の敵に対して超ダメージを積み上げる時のローテーションと、たくさんの敵、例えばダンジョンで多対多のシチュエーションでのローテーションの2つを用意しています。

 βフェーズ3を見ていると、まだスリプルやリポーズなど、安全にモンスターを眠らせる戦術が多いな、と思います。特に序盤なので、ゲームに慣れていない方がパーティーにいる場合が多いので、それも正解です。ただ、「新生FFXIV」は中盤以降、極端なピンチに陥った時だけ寝かせればいいだけで、最初から寝かせる必要があまりなくなります。

――ほう、それは多対多の状況でもですか?

吉田氏: はい。「新生FFXIV」のタンクは、5、6匹のモンスターの敵視をキープできるので、ヒールさえちゃんと掛かる状況なら対処できます。それをみんなで範囲攻撃を使って一気に殲滅した方が圧倒的に早くバトルは進みます。早い分危機時間も減ります。そして眠り前提の魔法やアビリティのローテーションと、殲滅時のローテーションは違ってきます。ちなみに今回からキャストできる距離がちゃんと判断されるようになりました。

――なるほど、今アイコンが赤ですね。

吉田氏: 敵との距離が近づいて、魔法やアビリティが詠唱/使用可能な範囲内に入ると白に変わるんです。これで魔法などの遠距離アクションの有効範囲がわかるようになりました。

――なるほど、便利ですね。魔法によってキャスト可能な距離は違いがあるのですか?

吉田氏: 距離はだいたい25mで、長いやつだと30m。で、強力なものになるともっと近くじゃないといけないですね。

――この仕様はすべてβフェーズ4からですか?

吉田氏: そうです。

――これはたとえば、竜騎士のジャンプ可能な距離などもわかりますか?

吉田氏: はい、出ますよ。ジャンプできる距離がどこからとか。

――感覚で覚えるだけではなくて、目視でわかるのは便利ですね。

(中村聖司)