インタビュー

「FFXIV: 新生エオルゼア」吉田直樹氏発売記念インタビュー(前編)

巴術士、学者、召喚士を吉田氏がデモプレイ! 「日本の方は、たぶん初めて使うタイプのクラス」

巴術士、学者、召喚士を吉田氏がデモプレイ! 「日本の方は、たぶん初めて使うタイプのクラス」

巴術士

――今回は巴術系3職のデモが見られるというので楽しみにしてきました。

吉田氏: まず巴術士です。ロールはDPSですが、自身の攻撃力はそんなに高くないです。なぜならペットと対をなして1人前という考え方なので。カーバンクルは、キャスターとタンクの2タイプがあって切り替えて使う形になります。

――キャスターとタンクの2種類のみですか?

吉田氏: そうです。カーバンクルは2種類です。カーバンクル・エメラルドと、カーバンクル・トパーズです。

――「FFXI」のカーバンクルは召喚獣としてかなりシンプルな存在でしたから、タイプを切り替えて遊べるとなると、今後さらにバリエーションが増えるのかは気になるところですよね?

吉田氏: やっぱりコンテンツによって使い分けさせたいんです。例えばパーティー構成だったり、ちょっとメレーDPS、つまり近接で殴る力がこのパーティーは足りないかなと思えばタンク型のペットを使いたいと思うし、メレーよりも魔法の方がDPSが高いと思えばそっちに切り替えてもいいですよね。

――物理アタッカータイプはいないのですか?

吉田氏: 巴術士に関してはあえて入れていません。

――巴術士本体は攻撃力は高くないということですが、カーバンクルの召喚能力以外にはどのような能力がありますか?

吉田氏: 巴術士はずっと僕が「デバッファー(弱体役)が足りない」といってたとおりのクラスになっているんです。ですから、DoT(damage over time、スリップダメージ系の魔法)をかなりの数持ってます。タイプの違うDoTを複数持っていて、基本はペットにまずモンスターをアタックさせて、ペットが敵視を稼いでくれるのを待つ。

――獣使いみたいな感じですね。

吉田氏: (デモをしながら) 今、インスタントキャストのバイオを入れてるんですけど、ミアズマ、バイオラをかけて、さらにDoTを積んでいます。だから他の攻撃魔法をキャストしてないのに、モンスターのHPがガンガン減ってますね。

――オートアタック以上のスピードでぐんぐん減ってますが、スリップでこんなに削れるんですか?

吉田氏: はい、DoTが3つ被っているので。で、なおかつこの「ベイン」っていうアビリティがあって、これが効果的です。例えば、僕がモルボルにDoTを3つ入れたとします。そのモルボルに対してベインを掛けると、その毒が周囲に飛び散るんですよ。1人に毒を入れた後、ベインでばらまくと辺り一面毒だらけになって周りの敵のHPがガンガン減る。さらに、それをバーストさせていくのが召喚士です。シャドウフレアでダメージを上げたりもできます。

――DoTに関しては新魔法、新アビリティだらけですね。

吉田氏: そうですね。他クラストはかなり違う感じになっています。DoTまみれにして、さらにそのDoTを周囲に巻いて、ばらまいたDoTはさらにProc(攻撃時に発動する特殊な追加効果)が発動すると効果時間がリフレッシュされたりします。自分が蒔いたDoTが切れないようにばらまき続けることで多くの敵に対してDPSを稼げます。ただし、「ベイン」はエーテルフローというモードに入らないと使えません。

――エーテルフローはどのような効果ですか?

吉田氏: エーテルフローは発動時にMPを回復すると共に、エーテルフローというバフをスタックします。このバフを消費することで先ほどお話しした「ベイン」などを発動できます。

――キャスター系のスタンスチェンジに変わるようなMP回復策ですか?

吉田氏: いえ、微妙に違います。MPも回復できますが、使い方としては異なります。エーテルフローのスタック時のみ可能な、グラウンドターゲットのDoTもあって、敵を誘い込むことで、効果を発揮するものもあります。

――逆に巴術士のウィークポイントはどの辺ですか?

吉田氏: 巴術士自身は撃たれ弱く、術者本人だけを見ると当然ダメージが低いです。

――巴術系の耐久力は低めですか?

吉田氏: そうですね。そもそもこの3組、巴術、召喚、学者はキャスターなので、そもそも撃たれ弱いのは撃たれ弱いです。それはこの1クラス2ジョブの間でほとんど変わらないですよ。

――それは白魔道士や黒魔道士と比べるとどうですか?

吉田氏: ほぼ同じです。

――武器については何が装備できますか?

吉田氏: この3つは魔道書のみです。

――カーバンクルやその他のペットがいて初めて1人前のクラスですか。

吉田氏: そうです。ソロやっているぶんには、カーバンクルが結構強いので、そんなに不便を感じないと思いますけど、パーティーで使いこなそうとすると結構テクニカルだと思います。

――DoTの持続ダメージは、結構ヘイトはあるのですか?

吉田氏: 稼ぎますが、1回あたりのDoTのダメージってそんなに大きくなくて、蓄積していくもの、そんなに極端には稼がないです。もちろん、多数の敵がいて、高速にベインをいれて、DoTをバラまいていたりすると、タンクが追いつかなくなったりするとは思うので、それはやっぱりパーティーの腕を見て、どのくらいのタイミングでベインをかけるかを考えないといけないでしょうね。

――なるほど。話は少し戻りますが、ベインの効果は、これから使うDoTに拡散効果をプラスするというものですか?

吉田氏: いえ、その時点で対象のモンスターにかかっているものです。しかも全3タイプのDoTが入ってないと拡散しません。実際にやってみせましょう。画面のターゲットマークの下に、いま14秒と出ています。あれがバイオの残り時間です。

――はい。この制限時間内にベインを撃つわけですね。

吉田氏: まだです。2つ目入れて、今3つ目が入りました。で、1つ目のバイオが後4秒で効果が切れるので、バイオを積み直してタイマーが18に戻りました。ここでベインを撃ちます。

――へー、なかなかテクニカルですね。しかもこれ基本的な動きですよね。

吉田氏: でもこれすぐ体が覚えますよ。

――これはどのゲームのどのジョブがモチーフになっているんですか?

吉田氏: うーん、どうなんでしょうね。モデルには色んなものが混じっていると思います。3つDoT入れて、最後にベインで毒まみれにした状態で、さらにその上にグラウンドターゲットで「まとめて死ね」って感じでどーんとドームを作ってって楽しむジョブです。

学者

――グラウンドターゲットのDoTは、設置して引き込むだけじゃなくて、タンクがキープしてるところに置けば、さらにそれもプラスと?

吉田氏: そうです。次に学者は、巴術士のヒーラータイプです。学者は完全にヒーラーで、フェアリーは2タイプいて、フェアリーの1タイプが完全にヒール特化型で、みんなにヒールかけてくれたりするペットが1タイプと、ペットが周囲にバフをばらまいてくれるバフ特化型が1タイプです。

――学者本体の性能はどういうものなんですか?

吉田氏: 学者本体は、巴術士レベル50までの“DoTをまく”という基本性能の上に、回復能力を備えている感じです。回復能力は、1回の回復量では当然白魔道士の方が圧倒的に上です。ただ、学者は、シールド型のヒールを持っているので、一定数HPを回復した上で、その回復したHPと同じ分だけのダメージを吸収するバリアを張ります。なので、事実上はHPがさらに増えているようなイメージです。

――おー、かなり必須ジョブじゃないですか、学者。

吉田氏: あとは、インスタントスペルで回復もできます。エーテルフローしている間のみインスタントで一気にキャストタイムゼロで味方のHPを回復したり、さっき見ていただいたようなドーム型のグラウンドターゲット。学者はその支援型アクションが使えます。学者なので“軍学”という呼び方をしていて、“陣”を張ってみんなここで戦えと。そうするとその陣の中に入っているパーティーに被ダメージカットの支援が掛かり続けるとか、ちゃんと戦う位置を把握して、タンクやアタッカーの為に陣を張ってあげて、あとバッファーペットにもバフを掛けさせるなど。ちなみにペットって、自分を中心に範囲何メートルに対してバフをまくので、ペットの位置もある程度コントロールしてあげた方がいいですね。

――ペットのバフは自分中心ということは、例えばタンクに張り付けたりといったことは可能なのですか?

吉田氏: それはできないですが、ペットの位置をグラウンドターゲットで細かく操作できます。待機、帰還、通常といった命令も指定できます。「鼓舞激励の策」と「士気高揚の策」はHP回復と同時にシールドを張る魔法で、ターゲットが単体と範囲の違いがあります。単体用の「鼓舞激励の策」はクリティカルするとHP回復量の200%分のシールドが張られます。「生命活性法」はインスタントヒールですね。そして「生命浄化法」はエスナ同様、ネガティブスペルを解除する効果があります。

――ホントにヒーラー的な側面が強いですね。

吉田氏: はい。ただ回復するだけじゃなくて、回復プラス支援効果というのが学者のポイントです。グラウンドターゲットだったり、エーテルフローしないと使えないものもあります。

 先ほどの話にも出ましたが、「野戦治療の陣」は指定した地面を中心として被ダメージを軽減するシールドを発生するというものです。ヒールしながらこれを定期的に張り直して張り続けることが大事です。Procが発動すると次に詠唱する士気高揚の策のMPがゼロになります。

――学者はヒーラー不足もあり、確実に人気出そうですね。パーティーに1枚欲しいジョブですよね。

吉田氏: もっといえば白魔道士と1人ずつ入れた方が効果は絶大です。もともと「属性耐性をモンスター側にはあまりつけません」と言っていますし、各クラス/ジョブがコンテンツによって不遇にならないよう心がけています。ですので8人パーティーのコンテンツは基本設計としてヒーラー枠は2つになり、白魔道士と学者が1人ずついた方が8人のコンテンツは圧倒的に効果的だと思います。

――4人のときには白魔道士でも学者でもどっちでもいい感じですか?

吉田氏: はい、どっちでもいいと思います。十分それでクリアできるようなバランスにしてありますから。

召喚士
タイタン・エギ

――巴術系ラストは召喚士ですね。召喚はエギを駆使したアタッカー寄りの立ち回りになるわけですか。

吉田氏: そうです。これがイフリート・エギです。イフリート・エギは巴術士にはない、アタッカー系のペットです。高いDPSが期待できます。

――DPS高めということですが、どれくらいアタッカー能力は優れているのですか?

吉田氏: 召喚士もペットと合わせてバランス調整しているので、ペット単体のDPSを他のDPSと比較してしまうと高いわけではありませんが、エギは召喚士のアクションによって必殺技を撃てるので、連発はできませんが局地的に高いDPSを出せたりします。巴術士は「サモン」というアビリティを使ってペットを呼び出しますが、これが召喚士になると内容が変わります。これがガルーダ・エギです。カーバンクルのときにはキャスターのカーバンクル・エメラルドだったのが、召喚になるとガルーダ・エギになる感じです。ただ、ガルーダ・エギは最初から使えるわけではなくて、ジョブクエストをやらないと呼べないです。

――ジョブクエストをクリアすることで、イフリート・エギやガルーダ・エギが手に入るわけですか?

吉田氏: そうですね、あとこのタイタン・エギですね。

――このタイタンは小さくて可愛いなあ(笑)。

吉田氏: タイタン・エギは見た目通りタンクタイプです。敵視を取らせて前に出すんだったらこれを使ってください。

――ガルーダ・エギとイフリート・エギはアタッカータイプ?

吉田氏: はい。イフリート・エギはメレー、ガルーダ・エギはキャスターです。

――イフリート・エギは殴りでDPSを出す感じですか?

吉田氏: イフリート・エギは殴りながらアビリティを使います。ペットは個別のウェポンスキルやアビリティを持ってるんです。

――イフリート・エギだと地獄の火炎みたいな履行技も使えますか?

吉田氏: それがさっき言った必殺技ですね。効果も抜群ですけど、その代わりリキャストタイムも相当長いですけどね。これエリアエフェクトでひたすらダメージを吐き出す状態になるので、かなり強いですよ。

――確かに強力ですね。

吉田氏: この履行技はレベル50のジョブクエストで覚える技です。

――クロスホットバーにある、見慣れないアイコンは、エギに対するコマンドですか?

吉田氏: そうです。全部エギのコマンドです。真ん中あたりにセミオーダー、ピース、インターセプト、フリーファイトという4つの命令があると思うんですが、フリーファイトにしておくと、自分で勝手に考えてウェポンスキルを使います。ピースにしておくといっさい何もしません。インターセプトにしておくと、僕に敵対攻撃を取った相手に対して自動反撃します。セミオーダーにしておくと自分でさらに細かい命令を出せます。ただ、セミオーダーでも、最終的な判断はペットがします。指定距離から外れていたりすると、実行してくれません。だからセミオーダーというわけですが、エギと敵の距離が適切であれば、言われた指示をちゃんと実行してくれます。プレーヤーより頭が良いというか(笑)。

――エギにもコンボ技などはありますか?

吉田氏: さすがにそれはないです。そこまでだとホントに大変すぎるので。

――基本は殴りとアビリティで、必要に応じて操作すると。

吉田氏: そうです。でも正直言うとオートでぜんぜん大丈夫です。その場に応じてDPSの高いものをちゃんと使ってくれますから。よほど特殊なコンテンツでこの敵にはこの攻撃一辺倒にしておいた方がいいという場合にも、オーダーを出すよりはフリーファイトにしておいて、AIに任せておけば距離に応じて戦い方を変えてくれたりもします。例えばガルーダ・エギだったら、特定位置に「待機」させて戦わせるとすると、ひたすらその位置から同じ攻撃を繰り返すAIが入るので、その方がDPSが出やすいなどです。コンテンツに応じてどのコマンドが最適化をプレーヤーの方で考えてもらいたいですね。

――ちなみに、このエギたちは、実際の蛮神と、何かストーリー的な関連性はあるのですか?

吉田氏: そこはジョブクエストをお楽しみに、ということで(笑)。

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(中村聖司)