インタビュー

「ファークライ5」チーフコミュニケーションディベロッパーインタビュー

人々の不安を駆り立てるカルト教団をテーマに据えた意欲作

10月10日 インタビュー実施

「ファークライ5」チーフコミュニケーションディベロッパーインタビュー ユービーアイソフト モントリオールスタジオ Mathias Ahrens氏
ユービーアイソフト モントリオールスタジオ Mathias Ahrens氏

 10月9日に開催された「UBIDAY 2017」にて、「ファークライ5」の開発者ステージが開催された。このステージに登壇するために来日した本作の開発メンバーの1人、チーフコミュニケーションディベロッパーのMathias Ahrens氏が、弊誌のインタビューに対応してくれた。

 アメリカの片田舎に巣くうカルト教団「エデンズ・ゲート」に挑んでいくという新たなシナリオや、固定のキャラクターではなくプレーヤー自身が主人公となるなど、意欲的なゲームデザインが施された本作の開発秘話を聞いた。

人々の不安につけ込むカルト教団の存在が、本作の最大のテーマに

「ファークライ5」チーフコミュニケーションディベロッパーインタビュー 「最後の晩餐」をモチーフにしたというキービジュアル
「最後の晩餐」をモチーフにしたというキービジュアル

――まずはAhrensさんの肩書きである、チーフコミュニケーションデベロッパーがどんな役割なのか教えてください。

Ahrens氏: 本作での私の役目は、開発チームからの情報をフォーラムやSNSなどで発信する仕事をしています。またそこに帰ってくるファンの方からの要望やフィードバックなどをまとめて、開発チームに渡すことでゲームの完成度の向上につとめています。

――「ファークライ」シリーズにはどのぐらい関わっておられるのですか?

Ahrens氏: 本作の他に、「ファークライ4」や「ファークライ プライマル」などにも携わっていますね。シリーズごとに全く違う世界を作っていくのはとても楽しいですね。

――そんな本作も、舞台やテーマが全く変わりましたよね。舞台はアメリカのモンタナ州で、戦う相手はカルト教団という内容ですが、このような設定に至る経緯をお聞かせいただけますか。

Ahrens氏: まず最初にあったのは、弊社のDan Hayという開発スタッフが、近年人々が感じている不安をゲームのテーマにできないかと提案して、そこでクローズアップされたのが「カルト教団」という存在でした。彼らは世間の常識をねじ曲げて伝えることで人々を不安にさせて、そこにつけ込んで洗脳をするんです。本作で敵役となる「ジョセフ・シード」というカルト教団の教祖も、近い将来に「文明の終焉」が訪れることを予言していて、それを恐れる人々に対して、自分が救いの手を差し伸べることを約束すると人心を掴むんです。彼が中心にいる「最後の晩餐」をモチーフとした本作のキービジュアルも、皆さんが知っている常識を彼らがねじ曲げているという意味を込めているんですね。

――カルト教団がテーマで、その舞台がアメリカとなったのは何か関連性があるんでしょうか?

Ahrens氏: いえ、カルト教団をテーマにしたことと直接の関係はないですね。「ファークライ」シリーズの舞台はいつも「都心から離れた、郊外のエキゾチックな場所」を基準に選んでいて、アメリカのモンタナ州というロケーションはその候補の1つでした。開発スタッフが実際にモンタナへとおもむいて、現地の人々と話をして、一緒に釣りや狩りをしたことで、彼らの多くがこの地に根付いた自立した考えを持っていて、それが本シリーズの世界観にもマッチしていたというのも大きな理由でした。

――ちなみにこのモンタナ以外に、どんな候補があったんでしょうか?

Ahrens氏: 舞台の候補については、ストックしているものも含めいくつかあるのですが、もしかすると将来的に別の作品で採用する可能性もあるので、その質問はご容赦ください(笑)。

――なるほど、確かにそうですね(笑)。ではそんなモンタナ州をモデルとしたこの「ホープカウンティ」の見どころを教えていただけますか。

Ahrens氏: 今回のホープカウンティはシリーズ最大の広さを誇っていて、車や飛行機を使うことで、行けるところはたくさんあります。私個人としては、特に森林が魅力的だと思っています。その理由はやはり実在するモンタナ州の森を忠実に再現している点で、ゲームの本筋と直接は関係ないのですが、たくさんの野生動物と出会えるところが私は気に入っています。

――このUBIDAY2017にも出展されたデモバージョンを試遊させていただきましたが、オープンワールドのマップもかなり丁寧に作り込まれていますよね。

Ahrens氏: ありがとうございます。特に要所にある建物はかなりこだわって作りました。建物ごとに違った設計で、写真やクローゼットの中にある服など、かなり細かいディテールまで力を入れて作っているので、広大な世界を探検する中で、細かなところも隅々まで見ていただきたいですね。

――デモで登場したアメリカントラックの中には、「ファークライ3」のバースのバブルヘッドなどもありました。

Ahrens氏: 気付いていただけましたね(笑)。その様に細かく見ていただくことで気付くものもたくさん用意しているので、じっくり楽しんでみてください。

プレーヤーをカスタマイズするところから、本作のストーリーは始まる

「ファークライ5」チーフコミュニケーションディベロッパーインタビュー

――本作では主人公キャラクターが特定の人物ではなく、プレーヤー自身となりましたが、その経緯を教えていただけますか。

Ahrens氏: プレーヤーキャラクターは今回、男女の性別はもちろん、服や車両など自由にカスタマイズできるようになりました。それにより、キャラクターを作るところから自分だけの「ファークライ5」のストーリーを組み立てていくことができるんです。マップをどんなルートでどう攻略していくのか、その過程で誰をパートナーにするのか、全てにおいて自由ですからね。

――プレーヤーキャラクターは、どういう立場の人物なのでしょう?

Ahrens氏: プレーヤーはこのモンタナにやってきた新米の保安官助手のような存在で、その目的はジョセフの逮捕です。ところがこのホープカウンティの多くが既にカルト教団に支配されているので、その肩書きはほとんど意味をなさず、そんな中で一体どうやってジョセフに迫るのかというのが、このゲームのストーリーとなっています。

――プレーヤーはどんな行動をすることで、ゲームが進んでいくのでしょうか。

Ahrens氏: ゲームを進めるには、「レジスタンスメーター」を上げていく必要があります。これは教団に対し攻撃をして何かしらのダメージを与えたり、捉えられた人質を助けたりすることで上がっていきます。それにより教団からは敵視されることになるのですが、彼らに抵抗するレジスタンス達からは信頼されて、そこで新たなミッションを受けられるといった流れとなります。

――レジスタンスの人達はどのようにして仲間になるんですか?

Ahrens氏: まずは彼らの信頼を得るために、それぞれが一体どんなバックグラウンドを持っているのかを知ることが大事です。彼らがなぜ教団と戦っているのか、どんな助けが必要なのかを理解してそれを叶えてあげることで、信頼を得られるようになります。例えばデモバージョンの街「フォールズ・エンド」なら、街そのものを教団から解放することでバーが再開して、その女主人から新たな情報をもらえるという展開でした。彼らの願いを聞いてあげることが、信頼を得る一番の近道ですね。

――例えばブーマーのように、人ではないキャラクターもいますが、彼のような場合はどんなふうに仲間になるんでしょうか?

Ahrens氏: 詳しく話してしまうとネタバレになってしまうので、具体的なことは控えさせていただきますが、彼のバックグラウンドストーリーがわかるコミックが北米の公式サイトのファンアートのページ(ページ下方、「Digital Comic - Boomer the dog」)で読めるので、興味のある方はぜひご覧ください。これは以前から「ファークライ」シリーズのファンアートを投稿されている方に、弊社からオファーをして描いていただきました。

――デモバージョンには、ニック、グレース、ブーマーが仲間になるレジスタンスとして登場しましたが、他にはどんな人物がいるのでしょうか。

Ahrens氏: それもまだナイショです。彼らの情報も含め、発売までにはいろいろお知らせしますので、もう少しお待ちください。

プレイの仕方によっては、早いうちから教団幹部に挑めるという自由度の高さを誇る

「ファークライ5」チーフコミュニケーションディベロッパーインタビュー

――ゲームの自由度がかなり高いということですが、例えば極端な話、最初からいきなりジョセフのもとに行くようなこともできるのでしょうか。

Ahrens氏: はい、進め方によってはかなり早いタイミングで、最難関のミッションに挑むことも可能です。ただしその段階ではプレーヤーの強さや武器も心もとない状態ですので、オススメはしませんが(笑)。

――なるほど、とはいえ、そう聞くと自由度の高さがわかりますね。

Ahrens氏: ええ、自由度の高さと、プレーヤーが予想だにしないことが起こるということに関しては、本作の開発における大きなキーワードでもありましたからね。

――先ほどのレジスタンスメーターが上がると、教団から敵視されて強いキャラクターがプレーヤーの元に送られてくると、UBIDAY2017のステージで説明されていましたが、あれはどのようなプロセスなのでしょうか。

Ahrens氏: デモバージョンの流れで説明しますと、飛行機に乗って空からサイロを壊すと、レジスタンスメーターが上がりますよね。それに準ずる形で、新たに車という動くターゲットが出てきます。さらにそれを破壊すると、プレーヤーと同じように飛行機に乗った敵が登場してくるんですが、あれがエリートクラスの敵の1人です。彼らが登場するシチュエーションは様々ですので、気をつけて進めてください。

――そのエリートクラスの敵の他に、エデンズ・ゲートにはジョセフ以外の幹部のような存在はいるんですか?

Ahrens氏: はい、彼にはジョン、ジェイコブ、フェイスという兄弟がいて、彼らが教団の幹部であり、キービジュアルにも登場しています。

――先日E3やUBIDAY2017を始め、今年の多くのイベントでデモバージョンを出展され、多くの方がプレイされたと思うのですが、その手応えはいかがでしたか?

Ahrens氏: どのイベントも、とてもポジティブな反応を得ることができました。シリーズのファンの皆さんには、従来の通りFPSとしての手触りや自由度の高さを感じてもらいつつ、新しい要素も評価していただきました。一方、新しいファンの人達にも、ゲームとしてはかなりわかりやすく作っているので、これからも多くの方に親しんでもらいたいですね。

――これはちょっとお答えいただくのが難しい質問かもしれませんが、本作が発表後に、宗教や思想などに関するちょとした反対運動が起きたことがありました。そのことについてAhrensさんはどのような考えをお持ちですか?

Ahrens氏: 反対運動が起きたのは、お互い理解の相違があったからだと私は考えています。これまでお話ししてきたとおり、私達は本作でテーマとしたのは「人々の不安につけ込むカルト教団」でなんです。「最後の晩餐」を彷彿とさせるキービジュアルも、カルト教団が一般常識をゆがめて押しつけるということを象徴しているので、決して宗教や思想をネガティブに描写したものではありません。こうした理解の違いがあったというのが、私の見解ですね。

――難しい質問に返答いただきありがとうございます。では最後に、本作の日本での発売日は来年3月1日に決まりましたが、日本のプレーヤーに本作をどう遊んでほしいですか?

Ahrens氏: 今回も全く新しいストーリーで「ファークライ」の最新作を開発してきたことは、私達にとって非常に楽しい時間でした。本作を皆さんお好きなようにプレイしていただくことで、我々が体験してきたことと同じ楽しさを味わっていただけると思います。発売まであと5カ月ほどありますが、私も開発からの情報を積極的に出していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。

――ありがとうございました。