トピック

Switch2の性能にフィット! BenQのちょうどいいWQHD/144Hzモニター「MOBIUZ EX271Q」をレビュー

Switch2版「ゼルダの伝説」で性能をチェック

【BenQ MOBIUZ EX271Q】
2024年12月20日 発売
価格:オープン
直販価格:66,400円

 いよいよ任天堂の新ゲームハード「Nintendo Switch 2(Switch2)」が発売された。発売日に手に入れることができたラッキーな人たちは、ゲームを満喫している頃だろうか。

 Switchの10倍という一足飛びに進化したグラフィックス性能により、Switch2ではまったく別次元のゲーム体験が可能になった。特にTVモードでは4K(3,840×2,160)60Hzと、フルHD(1,980×1,080)とWQHD(2,560×1,440)120Hzに対応しており、スペック不足を気にすることなく据え置きゲーム機として遊ぶことができるようになった。

 今回はSwitch2の据え置きにぴったりのモニター、BenQ MOBIUZ EX271Qを、Switch2に合わせて大幅に進化した「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド Nintendo Switch 2 Edition」と「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition」を遊びつつ、紹介していきたい。

□BenQ MOBIUZ「EX271Q」の製品情報

ちょうどいいサイズ感、WQHDのゲーミングモニター

  BenQ MOBIUZシリーズはBenQのゲーミングモニターブランド。EX271Qはその中でも比較的手に入れやすいミドルレンジに位置している。直販価格は66,400円。

 詳しくは後述するが、WQHD/144HzというスペックはSwitch2のフレームレート最大値とぴったりフィットする。解像度を4Kにすると価格帯が一気に10万円前後になってくるため、Switch2で遊ぶことを念頭に置くならぜひ選択肢に入れておいていただきたいモニターだ。まずは基本的なスペックから紹介したい。

【MOBIUZ「EX271Q」のスペック】
画面サイズ27インチ(アスペクト比16:9)
パネルIPS
バックライトLED
解像度2,560×1,440ドット(WQHD)
輝度標準 350cd/m2、最大・HDR 400cd/m2
視野角178度/178度(水平・垂直)
応答速度1ms
コントラスト比1000:1
表示色10.7億色
リフレッシュレートHDMI・144Hz、DP・180Hz
可変リフレッシュレートFreeSync Premium
HDRHDR10、VESA DisplayHDR 400
映像入力端子HDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-C(DP Alt Mode、65W給電、データ転送)
USB端子USB Type-C 上りポート(USB 3.2 Gen 1、5Gbps、データのみ)、USB Type-A 下りポート×2(USB 3.2 Gen 1、5Gbps、パワーチャージング4.5W)

 2025年6月現在、ゲーミングモニターのサイズは24インチ~27インチが多く使用されている。目とモニターとの距離が近づきやすい小さな机でも疲労がたまりにくく、デュアルモニターにもしやすいことからeスポーツや配信などにも利用しやすい。特に27インチは、UIに邪魔されることなく広い視野を得られるバランスがちょうどいいので、現在はゲーミングモニターでは主流のサイズになっている。

MOBIUZ「EX271Q」

 パネルはIPSのノングレアタイプ。IPSパネルは色の再現性が高く広視野角で、ゲームや動画編集、イラスト作成など広範な使用に向いている。解像度はWQHD、リフレッシュレートはHDMI接続では144Hzに対応しているため、Switch2の120Hzを活かすならWQHDは最大限の解像度と言える。色域はP3 95%。sRGBよりも広い色域を持ち、より鮮やかで現実に近い色の表示を可能にしている。

 MOBIUZシリーズは2024年に宇宙船をモチーフにしたデザインに筐体を一新。曲線を多用したスタイリッシュで都会的なデザインになった。

正面はロゴがなくすっきりしたデザイン。画面の下部にはリモコンのセンサーがある

 モニター前面はブラックで統一され、支柱とスタンドはホワイトとブラックの2色でメリハリを付けてある。背面はメッシュ風の装飾が施されている。

モニター背面
モニター背面中央部のアップ
ロゴは背面に刻まれている

 高さは10cmの幅で調整が可能。前後への傾き(ティルト)は上下20°、左右の動き(スイーベル)は左右30°、回転(ピボット)は90°で縦型モニターとしても使用できる。

一番下までモニターを下ろすとこれくらいの高さになる
一番上まで上げた時の高さ
右方向へのスイーベル。支柱の根元部分からスムーズに動く
上へのティルト
下へのティルト
90°ピボットで縦型モニターとして使用できる

 組立はツールレス。モニタースタンドと足をねじ止めした後、パネルをモニタースタンドにパチンとはめ込むだけで、誰でも設置することができる。アダプターは内臓されており、電源ケーブルをコンセントにつなぐだけなのも、ゴチャついた配線が嫌いな人には嬉しいポイントだ。

組立はモニタースタンドとモニターベースをねじ止めするだけ
モニターベース底面のネジにはつまみが付いている
モニタースタンドを先に組み立てて、モニターをはめ込む

 モニターの取り付け部分はVESAマウントにも対応しているので、アームに取り付けたり壁掛けモニターとしても使用できる。

 パネルの背面下部には、HDMI2.0が2基、DisplayPort v1.4が1基、アップストリームのType-Cポートが2基並んでいる。Type-Cポートは1基がType-C経由で映像を受信できるDisplayPort Alt Modeと65W給電に対応している。このポートからPD対応のUSB Type-CでSwitch2のドックと接続すれば、モニターの電源が入っている間だけではあるが、給電しながらSwitch2で遊ぶことができる。

パネル背面には電源とHDMI、アップストリーム用のUSBポートがある

 モニター下部には電源ボタンと5ウェイコントローラー、入力キーとダウンストリーム用のUSBポート、ヘッドフォンジャックがある。

底面は電源ボタンや調整用のボタン、ヘッドフォンジャック、ダウンストリーム用のUSBポートがある

 付属品として、電源コードとリモコン、USB Type-Cケーブル、Type-A-Type-Cケーブル、ハイスピードHDMIケーブルが付いてくる。モニターの下や右に操作用のボタンが並んでいるモニターは多いが、指先の感覚を頼りにした操作がわかりにくいこともあるため、ワンボタンで機能を呼び出せるリモコンは非常に便利だ。

小型のリモコン

進化したNintendo Switch 2版「ゼルダの伝説 ブレワイ/ティアキン」を大画面でプレイ!

 EX271Qにはゲームを遊びやすく調整する多彩な機能が用意されている。今回は「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド Nintendo Switch 2 Edition」と「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム Nintendo Switch 2 Edition」を使って、モニターの機能を実際に試しながら紹介したい。

 本作はSwitch2に合わせてグラフィックスなどを向上したパッケージ。解像度やフレームレートが向上し、鮮やかな色を表現できる「HDR」にも対応。マップ移動によるローディング時間も短縮されている。「Nintendo Switch 2 Edition」シリーズの各ゲームは、すでにSwitch用の同ゲームを持っている場合は1,000円の「アップグレードパス」を購入することで遊ぶことができる。さらに「ゼルダの伝説」の2タイトルは、「Nintendo Switch Online + 追加パック」に加入している場合、追加料金なしで遊ぶことができる。

 なおSwitch2版の「ゼルダの伝説」に関しては、フレームレートが向上しているとはいえ、手元の計測では最大60fpsとなっていた。120fpsが標準になるのは、今後のタイトルということだろう。任天堂の公式発表によれば、2025年発売予定のSwitch2版「メトロイドプライム4 ビヨンド」において、フルHD/120fpsで動作するモードがあるとしている。

 EX271QをはじめとしたMOBIUZの製品は色味の調整にも特長があるので、以下ではそちらを中心に性能を紹介する。

Switch2版「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」と「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」

 Switch2の「設定」にはHDRのオンオフボタンと、120Hzを有効にするためのボタンがある。EX271Q側では、接続した機器がHDRに対応している場合、HDR用のメニューが選択できるようになる。

HDRのオンオフ設定
120Hzのオンオフ設定

MOBIUZ独自の多彩なカラーモード

 MOBIUZシリーズには独自の豊富なカラー設定がある。ファンタジーやSci-Fiなど世界観に応じてあらかじめ設定した色彩を表現することができる。3種類のユーザー独自設定用のスロットでは、ガンマやコントラスト、色温度など14種類の設定を一括で保存することができる。

 EX271Qは、HDRと後述する自動輝度調整機能「ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)」を組み合わせた独自の技術「HDRi」を搭載しており、HDR設定がオンになっているとこれらの機能によってより輝度や彩度が高く、鮮明な画面を楽しむことができる。

 以下にHDRモードで選択できるカラーモードを紹介する。御覧の通り、かなり雰囲気が違う。筆者は「Display HDRi」の画面が、コントラストのメリハリが強く、岩肌のごつごつした感覚が最も好みに思えた。

【昼間、外でのシーン】
「Display HDRi」。標準Display P3でのカラーマッチング
「Sci-Fi HDRi」。メタリックなテクスチャをよりリアルに見せて、近未来的な雰囲気を作り出す。ややクールな印象になる
「リアリスティック HDRi」。生き生きとしたコントラストや自然な彩度を実現。このシーンでは青みが強く感じられる
「ファンタジー HDRi」。質感のあるレザー、硬い石、ちらつく炎などをよりリアルに見せる。赤みがやや強い印象
「シネマ HDRi」。動画を見るために最適化された設定。より輪郭が強調されている
【屋内でのシーン】
「Display HDRi」
「Sci-Fi HDRi」
「リアリスティック HDRi」
「ファンタジー HDRi」
「シネマ HDRi」

「Shadow Phage」や「B.I.+」など独自のPixSoulエンジンによるAIを使った調整機能

 MOBIUZシリーズには、AIを使った画像の調整機能をまとめた独自のPixSoulエンジンがある。

 「Shadow Phage」は、AIが自動で最適なコントラストに調整してくれるBenQの独自機能。オンにするとダイナミックレンジが広くなり、色彩のレンジが豊かになる。

【B.I.+】
Shadow Phageオン
Shadow Phageオフ

 ブライトネスインテリジェンスプラス(B.I.+)技術は、モニター正面にあるセンサーが周辺の照明環境を読み取って、最適な輝度に設定してくれる機能。部屋が暗くなると輝度を下げ、明るくなることで環境を気にせず一定の明るさでゲームをプレイできる。

【B.I.+】
暗い場所ではまぶしすぎないように輝度が自動で下がる
明るい場所では輝度が100になる

 他にも、画面の明るさを20段階で変更できる「Light Tuner」や、色の鮮やかさを調整することで敵が見えやすくなる「Color Vibrance」など、FPSをプレイするための機能も用意されている。

【メニュー画面】

 内蔵のスピーカーはないが、サウンドの設定は豊富で、ヘッドフォンを通じた高品質なサウンドを体感することができる。リモコンを使って、サラウンドやシネマなど5つのモードを使用できる。ミュートもリモコンのワンボタンで可能だ。eARCにも対応しており、最大7.1chのサウンドを楽しむことができる。

【サウンド設定】

目の負担を和らげるブルーライト軽減やユニバーサルモードなども搭載

 便利な機能ばかりではなく、モニターを使用する人の負担を和らげるための機能もしっかりと搭載されている。バックライトの輝度を調整することで、画面のちらつきをなくすフリッカーフリーや、波長の短いブルーライトを軽減する機能は、目の疲労やダメージを防いでくれる。ブルーライト軽減は強く効かせると画面が黄色っぽくなるので、シナリオ機能を使って、事務作業などと色をしっかり表現したい時で使い分けることもできる。

 ブライトネスインテリジェンスプラスGen2は目の健康を守るためのBenQ独自のアイケア技術。環境の明るさを検知して、画面やコンテンツの輝度を自動調整する。また赤と緑の2色の調整によって、色を識別しやすくなるカラーユニバーサルモードも搭載している。

【ブルーライト軽減】
ブルーライト軽減なし
ブルーライト軽減5段階め

設定をまとめて保存できるクイックメニュー

 EX271Qには、4つのクイックメニューがあり、ここにカラーモード、PixSoulエンジンの設定、アイケア設定などのカラー設定をまとめて保存しておくことができる。

 これを切り替えることで、例えばオープンワールドのゲームでは雰囲気重視で少し暗めに、パーティゲームではコントラストが強いにぎやかな画面でプレイすることができる。

 このクイックメニューはポートごとに設定できるので、Switch2とPCゲームを別のカラー設定で遊ぶことも可能だ。もちろん、プリセットされた設定を自分流にカスタマイズすることも自由だ。

 さらに、BenQ独自の「Color Shuttle」というソフトウェアもある。ここには様々なタイトル用にプロが調整したプリセットが保存されており、これをダウンロードして使用することでそのゲームにぴったりのカラー設定で遊ぶことができる。自分が作ったカラー設定を保存、アップロードすることもできる。

【ブルーライト軽減】
クイックメニュー
入力切替

充実した機能でゲームライフを完璧サポート

 繰り返しになるが、Switch2の120Hzという最大リフレッシュレートを活かすのであれば、EX271QのWQHD/144Hzという性能はまさに最適だ。解像度を優先したい場合は4K/60Hz出力が可能だが、“フレームレート優先派”の方も多くいるだろう。WQHDであれば、価格が抑えられるところもポイントだ。

 加えて、EX271Qならではの特長として、幅広い色彩設定やブルーライト軽減のような疲労予防などを多彩にカバーしており、ゲーマーの欲求に手厚く応えてくれる。

 なお、より価格を抑えたいという場合は、フルHD/180Hzの27インチ「EX271」(直販価格41,800円)、フルHD/220Hzの24.5インチ「EX251」(直販価格39,800円)というラインナップもある。こちらの2製品はスピーカー付きのため、購入すればすぐにSwitch2を遊べるというメリットもある。ぜひ参考にしていただきたい。

 Switch2の最大フレームレートにちょうど良くフィットするEX271Qは、Switch2で遊ぶゲーマーの強い味方になってくれるかと思う。購入後にはきっと満足感が大きく、末永くゲーム体験をサポートしてくれる1台になるはずだ。