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4K/60Hz出力で5ms低遅延。BenQのゲーミング対応プロジェクター「TK705STi」体験レポート

短焦点で映像くっきり。壁投影でしっかり遊べる新製品

【TK705STi】
10月22日 発売
価格:オープン(参考価格:249,000円)
ベンキューの短焦点プロジェクター「TK705STi」。ゲーム用途にも向くという

 ベンキュージャパンは、10月22日発売の4Kスマートホームプロジェクターの新製品「TK705STi」のメディア向け体験会を開催した。

 「TL705STi」は、単板DLP方式を採用する短焦点プロジェクターの新製品。1.8mの距離から100型相当の映像の投射が行なえるほか、Google TV OSを内蔵しており、本体をインターネットに接続すればそのままYouTubeやNetflixといった動画サービスを利用できる。

 投射映像は4K/60Hz対応の高精細な映像が楽しめるのに加えて、ゲームプレイ時の1フレーム未満の入力遅延を実現するほか、ゲームモードでは、RPGやFPSなどジャンルに応じて映像を調整し、最適化した映像でゲームできる機能も備えるなど、ゲーム特化機能についてもアピールしている。

 そこで今回は、体験会で実際に「TK705STi」の投射映像でゲームをプレイした感触や、遅延の状態などについて体験した模様をレポートしたい。

会場では「TK705STi」と形状や内部パーツは同じながら、搭載レンズを0.8倍の単焦点レンズから、1.0~1.3倍の光学ズームレンズに変更し、投射距離が異なる「TK705i」も展示されていた
このほか、会場ではモバイルプロジェクター「GV50」のブラックカラーのカラバリモデル「GV50P」を11月に発売すると発表された

Nintendo Switch 2の映像がくっきり精細!

 体験会場では「TK705STi」をNintendo Switch 2に接続し、映像を投射して品質をチェックできた。

 プレイしたゲームはセガの「ぷよぷよテトリス2S」。白色の壁面に対して映像を出力して、距離としては1m未満の超近接距離からの投射で大体60インチのディスプレイくらいのサイズ感でプレイした。

 ゲームプレイ前に驚いたのは、とにかく映像が明るくて、かなり鮮明だったこと。今回の投射先はプロジェクター用のスクリーンでもなんでもなく、単なる部屋の壁であるにも関わらず、ゲーム画面がかなり鮮明に表示される。もちろん平坦な白い壁である必要はあるものの、単なる壁でここまできれいに映像が表示できるのかと、映像品質の高さに驚かされた。この辺りは同製品の特長の1つである、最大3,000ANSIルーメンの明るさの影響もありそうだ。

 実際のゲームプレイについても、とりあえずぷよ操作やテトリミノの移動や回転において、こちらの入力に遅延を感じることはなかった。ゲーム対応を謳うだけあって、かなり快適にぷよぷよやテトリスのゲームプレイが堪能できた。

 なお、同社では応答速度については、1フレーム未満、5msの低遅延入力を案内している。実際のゲームプレイ時でも、残像などはほとんど残らずプレイできているのは確認できた。なお、今回は最大映像出力がフルHD解像度のタイトルでしか試せなかったが、同社によるとこの低遅延のモードが4K/60Hz表示時であっても同じく5msの低遅延で動作するという。接続端子はHDMI 2.1、USB-A、USB Type-C、Bluetooth 5.2に対応する。

 加えてHDRゲームモードとして、ロールプレイングゲームなど背景の広大な自然などのビジュアルをより楽しめる「HDR-RPGモード」と、暗所の視認性を高める「HDR-FPSモード」の2種類のゲームモードも用意。今回はパズルゲームだったので試すことはなかったが、ゲームをより楽しめるような機能が追加されている点も魅力となっている。

 また、直接のゲームプレイには関係ない話になるが、本製品には「自動縦横台形補正」や「オートフォーカス」など6つの「自動スマート機能」があり、これらがかなり便利。プロジェクター設置時や移動時などに正しい形状でスクリーンを整えることができる。

 さらに、本体のレンズ周りや背面などをチェックしてみたが、排気口からはそれなりに暖かい風が出ているものの、長時間起動していても熱さは感じない。排気口自体も、ほとんど熱くなっていなかった。投射レンズの周辺部はもちろん暖かくはあるのだが、火傷しそうなほどの熱さは感じず、冷却処理などもかなりちゃんとしていそうだ。

Nintendo Switch 2のゲームプレイのコーナーは、白色の壁にダイレクトに映像が投射されていた
実際にテトリスをプレイする筆者の様子。テトリミノの残像は確認できず
排気口付近は温かい風が緩やかに流れるのみ
投射レンズに手を当ててみても温かさは感じるが熱さまでは感じることがなかった
リモコンのほか、側面には各種操作パネルを備える
部屋が多少明るくなってもプロジェクター自身のANSIルーメンが高いため、かなり映像がくっきりと表示されていた

 なお、「TK705STi」は短焦点プロジェクターとして、映像やゲームなど幅広い機能に対応するパーソナルユース向けの製品となっており、さらにゲームに特化した製品としては、4Kゲーミングプロジェクター「Xシリーズ」も発売しているため、よりゲームに特化したい場合はこちらをチェックしていただくといいだろう。

 今回はフルHD解像度までのゲーム環境だったこともあり、4K/60Hz表示時の5ms低遅延の機能や、HDRゲームモードについて試せなかったが、この辺りは、機会があればガッチリとチェックしていきたい。

 「TK705STi」は価格は20万円を超えるものの、比較的狭い室内でも大画面を満喫したいユーザーにとってはありがたい存在としての個性がある。用途が合致する人にとってはかなり重要な位置を占める製品と言える。

同じ映像を使用して他社製プロジェクターと「TK705STi」の映像を比較。精細感や明るさ、距離の近さなどで「TK705STi」が上回る様子が確認できた
こちらは「TK705i」で映像を出力した時の様子。光学ズームレンズを備え、投射距離が「TK705STi」よりも遠くなる以外のプロジェクターとしての中味は同じ物となる
本体天面部には周囲の光量取り込み用のセンサーがあり、暗くなると自動で投射映像の明るさが変化する
各種操作に対応するリモコンも付属