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BenQ MOBIUZゲーミングモニター「EX271U」レビュー

ハワイと大海原! 「龍が如く8外伝」の色鮮やかな世界を大満喫できるゲーミングモニター

BenQ MOBIUZゲーミングモニター「EX271U」
1月30日発売
価格:111,000円

 グラフィックスの美しいゲームがしたい! そう、例えば「龍が如く」シリーズの最新作「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」のような!

 そう決意してゲーミングPCやコンソール機を手に入れたなら、ぜひとも検討して欲しいのがモニターの性能だ。せっかく素晴らしい画像を出力できるマシンを手に入れても、出力された画像を映し出すモニターに、相応の性能がなければ、そのゲーム本来の映像を楽しむことができない。

 とはいえ、ゲーミングモニターはサイズも性能も千差万別だ。リフレッシュレート、解像度、応答速度、HDRなどなど、どのスペックを基準に選べば、求める性能にたどり着くことができるのか悩んでしまうこともあるだろう。この記事では、そんなモニター迷子たちに、ゲーミングモニター界では定番のBenQより、MOBIUZシリーズのゲーミングモニター「EX271U」を紹介したい。

 BenQといえば、プロeスポーツの現場で多く使われているZOWIEシリーズを思い出す人もいるはずだ。MOBIUZシリーズはBenQが2020年に、よりカジュアルなゲームプレイをする人をターゲットに投入した新たなブランドだ。「EX271U」はMOBIUZのプレミアムクラスの1機種として1月30日に発売された。

 高画質、高音質、なめらかな映像をすべて盛り込んだゲーミングモニターとしては高価格帯に入る製品だ。スタイリッシュなデザインが印象的だが、性能的にも色見やコントラストの表現にこだわり、Color Shuttleソフトウェアを使うことで、複数のモニターでプロファイルを簡単に使いまわすことができる。

 今回はそんな「EX271U」で「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」を遊びつつ、高性能モニターの実力とやらをじっくり見せてもらった。

2024年に宇宙船をモチーフにしたデザインに一新

 「EX271U」は4K(3,860×2,160)解像度と、165Hzの高リフレッシュレートに対応した27インチゲーミングモニターだ。PCだけでなく、プレイステーション 5やNintendo Switchなどのゲーム専用機のモニターとしても使用できる。

 AMD FreeSyncテクノロジーを標準搭載しており、ラグや遅延のない映像表示を可能にしている。また、VESA DisplayHDR 400認証を取得しており、デジタルシネマ向けの色空間Display P3とDCI-P3を95%カバーする広い色域を実現しており、色にシビアなクリエイティブ用途にも使用することができる。基本的なスペックは以下の通り。

【EX271U】
【EX271Uスペック】
画面サイズ27インチワイド
パネル駆動方式IPS
バックライトLEDバックライト
画面仕上げノングレア
輝度400cd/㎡
解像度4K(3,860×2,160)
コントラスト比1200:1
表示色約10.7億色
色域Display P3/DCI-P3 95%
リフレッシュレート165Hz
応答速度GtG1ms
ティルト角度上下:-5°/15°
スウィーベル左右:15°/15°
高さ調節100 mm
入力端子HDMI 2.1 x 3 (内1ポートeARC対応)、DisplayPort 1.4 x 1、USB Type-C(65W給電) x 1
USBUSB3.2 Gen1(4.5W Downstream) x 3、USB Type-C(7.5W Downstream) x 1、USB Type-C (Upstream) x 1
KVM対応
リモコンあり
スピーカーなし
価格111,000円

 MOBIUZシリーズは2024年に、それまでのオレンジをイメージカラーに使った直線的なデザインを一新し、宇宙船をモチーフに白ベースの曲線を多用した有機的なデザインMOBIUZ Gen1へと変更された。

 ベゼルはブラックで、正面から見ると土台の足だけが白く見えるが、背面は白いカバーの中心が、宇宙船のハッチを思わせる黒いメッシュ構造になっている。支柱と土台はホワイトがベース。土台は3点でモニターを支えて、全体が少し浮いたような構造になっているため、机の上においても邪魔にならず、大きなモニターの土台としては画期的にスッキリして見える。

正面からみるとベゼルはブラック
横から。支柱やモニターの背面は曲線を多用している
背面はホワイトとブラックの幾何学的なデザインになっている

 ケーブルのコネクタは、背面と底面の2か所にポートが作られている。背面には電源ケーブルの差込口と、HDMI2.1が3ポート(うち1ポートはeARCに対応)、DisplayPort1.4が1つ、USB3.2 Gen1 Type-Cが2つ。このUSBの1つはアップストリーム、もう1つは65Wのパワーデリバリーに対応している。

背面の出入力ポート。左からeARC対応のHDMI2.1、HDMI2.1が2つ、DisplayPort1.4。縦に並んでいるUSC Type-Cは上がアップストリーム、下は65WのPDに対応している

 底面には、USB3.2 Gen1 Type-Aが3つ、USB3.2 Gen1 Type-Cが1つ付いている。これらは上記のアップストリーム用のUSBをPCに接続すると、USBポートとして機能するようになる。また、Type-Cは7.5Wの充電に対応している。またヘッドフォンジャックもここにある。

 内蔵スピーカーはないが、HDMI eARCに対応しており、ヘッドフォンジャックにスピーカーを接続することで、7.1chサラウンドのサウンドを楽しむことができる。

 底面の右側には電源ボタン、中央部にはOSDを操作するためのボタンと、小型のジョイスティックが付いている。ただ、リモコンが同梱されているので、OSDの操作はそちらですべて行なうことができる。

底面の出入力ポート
操作ボタン
同梱されているリモコン

 支柱との接続部分はVESAマウントに対応しているので、アームに取り付けて使用することもできる。

10cm×10cmのVESAマウントに対応
支柱はワンタッチで取り付けが可能

 モニターのティルト角度は前傾5°、後傾15°、スウィーベルは支柱の根本部分から動くという珍しい構造で、角度は左右各15度。高さ調整は最大100mmまで可能だ。ピボット機能もあり、縦型ディスプレイとして使うこともできる。

モニターのティルト角度は前傾5度、後傾15度
スウィーベルは支柱の根本部分から動く
高さ調節は100mm

「Shadow Phage」や「HDRi」など、理想のカラーを表現する多彩なテクノロジー

 OSDも筐体のデザインとマッチした未来的なデザインになっている。画面の下部には設定メニュー、画面上部にフレームレートや解像度などの情報が表示される。フレームレートは右上に簡易的に表示することも可能だ。

OSD画面
上部のフレームレート表示
簡易的なフレームレート表示

 MOBIUZシリーズには従来よりBenQ独自のHDRテクノロジーとして、環境光を測定して自動的にコントラストを調整してくれる「HDRi」という機能が備わっている。これは例えばLEDの青っぽい光や、リビングの黄色い光など部屋の光の状態に合わせて自動的に画面の見え方を調整してくれるというものだ。

 MOBIUZ Gen1シリーズからは、AIを搭載した「Shadow Phage」という新しいコントラスト調整機能も導入されている。HDRiは環境光に応じた調整だが、こちらはオンチップの画像を読み込んで、内蔵されているデータベースのデータをもとにリアルタイムでコントラストを最適化するという、いわばポストエフェクト的な効果を発揮する。

【Shadow Phageオン】
【Shadow Phageオフ】

 画像ではわかりにくいが、オンにすると画面全体の輝度が上がる。ただし、最初から明るい場所、例えばライトが輝いている場所などの輝度は同じで暗い部分がコントラストを維持したまま引き上げられるという感じだ。

 こうして自動調整した画像に対して、「Light Tuner」や「Color Vibrance」を使って、さらに明るさや色見を自分好みに調整することもできる。ほかに、輝度、ガンマ、コントラスト、色温度、シャープネスなど多くの項目をカスタマイズすることができる。

メニューの設定項目は多岐にわたる

ゲームごとのプロファイルをダウンロードして使用できる「Color Shuttle」

 カスタマイズした設定はモニターに保存しておくことができるが、例えば複数のモニターを使う場合や、友達と設定を共有したいと思った時に、すべての設定を設定し直すのは大変だ。そこでMOBIUZシリーズにはカラープロファイルを共有するための無料ソフト「Color Shuttle」が用意されている。

□Color Shuttleのページ

「Color Shuttle」のページ

 ダウンロードしてインストールすると、まずはファームウェアのアップデートを求められた。アップストリームのUSBポートでモニターとPCと接続すると、自動的にインストールが開始される。すべて終了するとモニターが自動的に再起動して、その後はソフトからモニターの色設定を作ったり、保存したりすることができるようになる。

「Color Shuttle」
画面のカスタマイズが可能

 作成したカラープロファイルは.mbzというファイルとして保存することができる。このファイルをインポートすると、作ったカラープロファイルを別のモニターで使用することができる。さらに、公式が用意しているプロファイルバンクを利用すると、BenQのゲームエキスパートが作ったプロファイルをダウンロードすることもできる。

「Color Shuttle」のダウンロードページ

「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」でモニターを検証

 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」は、セガの「龍が如く」シリーズ最新作。舞台は「龍が如く8」でも登場したハワイ。今作では、かつて最凶の極道と恐れられた真島吾朗が主人公を務める。船が難破して記憶喪失になった真島は、命を救ってくれた少年ノアと共に、記憶を取り戻す手がかりを得るための旅に出る。

 「龍が如く8」はターン性のライブコマンドRPGバトルが特徴だったが、「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」は高速アクションが楽しめるアクションアドベンチャーゲームになっている。

 「龍が如く8」にも登場した場所が多く登場し、ストーリー的にもつながっているので「龍が如く8」をプレイしているとより楽しめる要素が多いが、大航海時代の海賊船を使った海賊バトルや財宝図鑑、たくさんのミニゲームが楽しめるプレイスポットなど、シリーズをプレイしていなくても楽しめるコンテンツ盛りだくさんのゲームだ。

【龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii】
大航海時代の海賊船で海を冒険できる
欲と暴力の街マッドランティス
ハワイの街中も再び舞台となる
ゆるキャラのカムロップ も相変わらず登場

 今回は「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」用のHDRとSDRのカラープロファイルで、見え方を比較してみた。使用方法は簡単だ。まずバンクにあるプロファイルの横にあるダウンロードボタンを押して、欲しいプロファイルをダウンロードする。「Color Shuttle」を起動して、左下にあるファイルマークのアイコンを押すと、.mbzファイルが格納されているフォルダが開くので、ダウンロードしたファイルをそこに入れると、トップ画面にゲームタイトルが現れる。

 モニターの設定でHDRがオンになっている時にはHDRの項目が、オフの時にはSDRの項目がアクティブになっているので、ダウンロードマークのようなアイコンを押してモニターに適用する。モニターに出てくる確認ウインドウで「OK」を選ぶと、カラープロファイルが適用される。プロファイルを切り替えた後カラー設定を見ると、各設定の数値が変更されているのを確認することができる。

 この設定が気にいればそのままプレイすればいいし、もちろんさらに自分好みにカスタマイズを加えることができる。そうして作り上げたプロファイルを保存して共有ことも可能だ。

【SDR】
プロファイルなし
プロファイル適用
【HDR】
プロファイルなし
プロファイル適用

 プロファイル設定なしの画面とダウンロードしてきたプロファイルを適用した画面を比べると、SDRでもHDRでも彩度やコントラストに調整が入っているのが分かる。特にHDRではプロファイル適用前に明度が高すぎて白っぽくなっていた部分にもしっかりと色が乗り、空気感が増して見える。

 外にいるようなシーンではコントラストがかなり強くなり、目を細めたくなるようなハワイの強い日差しを画面から感じることができる。

 「龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii」はハワイという舞台も相まって、画面の色彩が非常に豊かなゲームだ。「Color Shuttle」を使うことで、その色彩を簡単に最適な状態に調整することができる。

真昼のハワイに降り注ぐまぶしい日差しを感じる

 「龍が如く」シリーズといえば、ネオンまたたく夜の空気も大きな魅力だ。そして本作ならではの海賊船を使った航海など、様々な色彩を自動設定のカラープロファイルと、4Kの微細な画面が鮮やかに、そしてリアルに表現してくれる。

ネオンのまぶしい輝きと夜の闇を両立させる美しい画面づくり
広がる青空と紺碧の海を見ながらの大航海

世界観に合わせた色味を実現する3つのカラーモード

 モニターにもプリセットのプロファイルが用意されている。従来のカラーモードは、RPG、FPSなどジャンルごとに分かれていたが、同じジャンルでも例えば「エルデンリング」と「サイバーパンク2077」では求める映像が違っているはずだという考え方のもと、「Sci-Fi」、「ファンタジー」、「リアリスティック」というゲームの世界観に合わせた新たなカラーモードとなっている。

 並べると非常に微妙な差ではあるが、3つのモードの中では「リアリスティック」がもっとも彩度が高く、「Sci-Fi」はコントラスト比が強めで黒のエッジが目立つ、「ファンタジー」はダイナミックレンジは広めだが彩度は少し抑え気味になっており、3つの中では少しレトロな雰囲気を感じる。

【SDRプロファイル】
ファンタジー
リアリスティック
Sci-Fi
【HDRプロファイル】
ファンタジーHDR
リアリスティックHDR
Sci-FiHDR

目の疲れを軽減させるアイケアやユニバーサルモードも完備

 ゲーム用の設定だけではなく、目を保護するためのブルーライト軽減や多彩な色覚を持った人のために、赤と緑をそれぞれ調整することができるカラーユニバーサルモードなども当然用意されている。

 ブルーライト軽減は5段階あり、ブルーが抑えられて全体にグリーンぽい色味になる。ゲーム中には自然なカラーで遊んで、仕事に使う時にはブルーライト軽減をMAXにするといった使い分けで目の疲労を軽減することができる。

【ブルーライト軽減】
ブルーライト軽減オフ
ブルーライト軽減オン

シナリオマッピングで複数のプラットフォームを自由に切り替え

 「シナリオマッピング」機能を使うと、5つのプリセットにカラーモード、カラー設定、オーディオの設定をまとめて保存しておき、クイックメニューから切り替えることができる。

 例えばPCとPS5で同じゲームを遊ぶ場合、基本的なプロファイルは共有しつつ、微妙な色の違いをシナリオで切り替えるといった使い方ができる。

 モニターにはKVMスイッチを搭載しているので、2つの入力デバイスに対して1セットのマウス&キーボードで対応できるのも便利だ。

シナリオマッピング

最適な画面を実現する様々なシステムが便利

 高速なリフレッシュレートや広い色域などモニター本体の性能も十分に高いが、モニターを使用してみて感じたのは、やはり設定周りのデザインが非常に優れていることだ。

 ある程度の価格のゲーミングモニターであれば、様々なカスタマイズ項目が用意されているものだ。しかし実際には頻繁に切り替えて使っているという人は少数派ではないだろうか?

 「EX271U」に搭載されている自動のコントラスト調整機能HDRiや、リアルタイムに画面の輝度やコントラストを調整してくれる「Shadow Phage」といった機能は、頻繁に設定をいじらなくてもベストな画面を作り出してくれる。設定をいじる必要がないというのは、多くの人にとってはありがたい話だろう。

 また「Color Shuttle」ソフトウェアのようなシステムが用意されているのもありがたい。多彩な項目を簡単にシェアしたり、複数のモニターのカラープロファイルを一括管理することができるし、人の作った設定を気軽に利用することができるのも嬉しいポイントだ。

 また、リモコンが付属しているので、いちいちモニターまでいって操作しなくても、カラー設定から音量まで、すべてリモコンで操作できるのも非常に便利だ。

 MOBIUZ Gen1シリーズには今回紹介した「EX271U」以外にも、37.5インチ、31.5インチ、24.5インチなどサイズや解像度、フレームレートなど全部で6機種がラインナップしている。これら6機種はプレミアム、ミドル、エントリーの3クラスに分かれている。これらすべてのモニターは、今回紹介した「Color Shuttle」に対応している。

 PCやPS5、Nintendo Switch用のモニターの購入を考えているなら、モニター自体の性能だけでなく、スタイリッシュなデザインや便利な機能性などを備えたMOBIUZシリーズを検討してみてはどうだろう。