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「GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載」レビュー

ゲーミング向け最新AMD CPU搭載で「ARK: Survival Ascended」も4Kで遊べる!

 ここ数年、PC向けCPU市場で着実にシェアを伸ばしているのがAMDである。Ryzenシリーズが好評で、最近ではシェア3割を超えている。ゲーミングPCの分野においても、コストパフォーマンスの高いAMDのRyzenシリーズは人気がある。

 そのAMDは2022年4月、当時世界最速のゲーミングCPUを謳う「Ryzen 7 5800X3D」をリリースし、話題を集めた。X3Dモデルは、3D V-Cacheと名付けられた大容量L3キャッシュを搭載し、ゲームパフォーマンス向上に特化したCPUだ。X3Dモデルはその後も、Ryzen 7 7800X3DやRyzen 9 7950X3Dといった製品をリリースしている。

 今回は、2024年11月に登場したX3Dモデルの最新CPU「Ryzen 7 9800X3D」を搭載したハイエンドモデル「GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載」を試用する機会を得たので、負荷が高いことで知られているアクションゲーム「ARK: Survival Ascended」がどれだけ快適に遊べるか検証してみた。

【GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載】
最新のRyzen 7 9800X3Dを搭載したハイエンドモデル「GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載」

大容量L3キャッシュを搭載したゲーム向けCPU「Ryzen 7 9800X3D」を採用

 前述したように、ここ最近、AMD Ryzenシリーズの快進撃が続いている。Ryzenシリーズは、インテルのCore iプロセッサーの対抗製品だが、インテルのCPUに比べてコストパフォーマンスが高いことでシェアを伸ばしてきた。レノボやHPなど大手メーカーもAMD製CPUを採用した製品をリリースしており、ゲーミングPC市場でもRyzenシリーズ搭載製品が増えている。

 その中でもゲーマーにとって注目のCPUが、X3Dモデルである。X3Dモデルとは、型番の最後が「X3D」で終わる製品で、AMDがゲーミング向けCPUとして開発したものだ。X3Dモデルは、これまでにRyzen 7 5800X3DやRyzen 7 7800X3DやRyzen 9 7950X3Dなどの製品が登場している。2024年11月にAMDから発売されたRyzen 9800X3Dは、最新のZen 5アーキテクチャ初のX3Dモデルであり、発売前から注目が集まっていた。

 X3Dモデルは、通常のRyzenに大容量L3キャッシュを追加したものだ。キャッシュはCPUコアに近い側からL1、L2、L3と呼ばれ、基本的にキャッシュ容量が大きいほどCPUの性能は高くなり、特に重量級のゲームでのパフォーマンス向上に貢献する。例えば、最新のZen 5アーキテクチャを採用したRyzen 7 9700XのL3キャッシュは32MBであるが、Ryzen 7 9800X3DのL3キャッシュは96MBと、3倍になっている。X3Dモデルでは、3D V-Cacheと呼ばれる、CPUコアにキャッシュメモリを垂直に重ねて積層する技術を採用することで、大容量L3キャッシュを実現している。

 今回紹介するRyzen 7 9800X3Dは、この3D V-Cache技術も第2世代となり、従来の3D V-CacheがCPUコアの真上にキャッシュメモリを積層していたのに対し、キャッシュメモリをCPUコアの真下に積層するようになった。これによりCPUコアの冷却が容易になり、前世代のRyzen 7 7800X3Dに比べてベースクロックは500MHz、ブーストクロックは200MHz引き上げられている。Ryzen 7 9800X3Dは8コアCPUで、最大16スレッドの同時実行が可能であり、ベースクロック4.7GHz、ブーストクロック5.2GHzと動作クロックも高いため、ゲーム以外の用途でも非常に高い性能を発揮する。

 今回取り上げる「GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載」(以下XA7R-R47TS)は、Ryzenシリーズの最新ゲーム向けCPUであるRyzen 7 9800X3Dを搭載し、高い性能とコストパフォーマンスを実現していることが最大の魅力だ。

【GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載】
CPU:AMD Ryzen 7 9800X3D(8コア/16スレッド、4.7GHz~5.2GHz)
GPU:NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti SUPER(16GB)
チップセット:AMD B650
メインメモリ:32GB DDR5-4800MHz DIMM(16GB×2)※通常構成は16GB (8GBx2)
ストレージ:1TB NVMe Gen4 SSD
光学ドライブ:なし
OS:Windows 11 Home
本体サイズ:220×440×480mm(幅×奥行き×高さ)
本体重量:約14㎏
価格:401,879円(税込)(メモリを32GBにカスタマイズした価格)
製品ページ:https://www.dospara.co.jp/TC30/MC16342.html

 GPUとしては、NVIDIAのGeForce RTX 4070 Ti SUPERが採用されている。RTX 4070シリーズには、無印4070、4070 SUPER、4070 Ti、4070 Ti SUPERの4モデルがある。後ろの製品ほど性能が高くなっており、4070 Ti SUPERは、上位グレードのRTX 4080に肉薄する性能を誇る。

 XA7R-R47TSは、ゲーミングPCの要となるCPUとGPUに、最新の高性能パーツを採用した製品であり、最新AAAタイトルも4K解像度で余裕で遊べるスペックを誇る。

【内部パーツなど】
左サイドパネルを外したところ
「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」搭載ビデオカードを採用
ビデオカードの出力はHDMI×1とDisplayPort×3という仕様だ
8コアCPUで、最大16スレッドの同時実行が可能

PCIe 4.0対応高速SSDを搭載。シーケンシャルリードは4,000MB/s超え

 ベースモデルのメインメモリは16GBで、高速なDDR5メモリを採用している。しかし、最近のゲーム環境を考えると、16GBではやや心許ない。今回は32GBにメモリを増設したモデルを試用したが、CPUとGPUの性能を活かすためにも32GBに増設することをおすすめする。

 ストレージは、PCIe 4.0対応NVMe 1TB SSDを搭載する。ストレージの容量が大きいので、ファイルサイズの大きなAAAゲームも余裕で遊べる。「CrystalDiskMark 8.0.6」を使ってストレージ性能を計測したところ、SSDのシーケンシャルリード(Q8T1)は4,019.12MB/s、シーケンシャルライト(Q8T1)が2,103.38MB/sと高速であった。大規模なAAAタイトルの起動やデータサイズの大きなマップの読み込みも短時間で終わるため、ストレスを感じずにゲームをプレイできる。

【「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果】
「CrystalDiskMark 8.0.6」の結果

メンテナンス性や使い勝手に優れたオリジナルケースを採用

 GALLERIAのデスクトップPCでは、オリジナルタワーケースが採用されている。サイズはいわゆるミドルタワーサイズで、左サイドパネルの一部が透明になっており、中が見えるようになっている。内部のスペースも広く、メンテナンス性や拡張性も優れている。フロントパネルの周囲にはRGB LEDが配置されており、電源を入れると美しく点灯する。

【フロントパネル周囲にLEDを搭載】
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載のフロントパネル
電源を入れるとフロントパネルの周囲に配置されたRGB LEDが青色に光る

 フロントパネルの上部手前側が斜め45度にカットされており、そこにフロントI/Oポートや電源スイッチなどが配置されていることも特徴だ。フロントのUSBポートへのアクセスがしやすく、USBメモリなどの抜き差しも容易だ。

 フロントI/Oポートとしては、USB 3.2 Gen1 Type-A×4とサウンド入出力端子が用意されている。バックパネルのI/Oポートも豊富で、USB 2.0×4、USB 3.2 Gen1 Type-A×5、USB 3.2 Gen2 Type-C ×1、有線LANが用意されており、多くの周辺機器を接続できる。

 電源として、80PLUS GOLD認定の750W電源ユニットが採用されており、消費電力の大きなGeForce RTX 4070 Ti SUPERも余裕で動作する。

 本体底面には、電源ユニットファンへのホコリの吸い込みを防ぐフィルタが装着されている。フィルタは引き出せるようになっているので、掃除などのメンテナンスも楽に行える。最近は使われることが少なくなった光学ドライブは標準では非搭載だが、5インチオープンベイが用意されているため、BDドライブなどをBTOで追加搭載することも可能だ。

【本体外観など】
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載の右サイドパネル
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載の左サイドパネル。中を覗ける透明な窓がある
フロントパネルの上部手前側が斜め45度にカットされており、そこにフロントI/Oポートや電源スイッチがある
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載のトップパネル。格子状の穴が空いた樹脂パネルとメッシュパネルから構成されている
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載のリアパネル
リアパネル部分のアップ
GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載の底面
底面には電源ユニットファンへのホコリの吸い込みを防ぐフィルタが装着されており、引き出して掃除が可能

CPUは水冷、2つのケースファンで冷却性能も十分

 CPUの冷却には、簡易水冷ユニット「ASETEK 624S-M2」が採用されている。ASETEK 624S-M2は240mmラジエーターと2つのファンを備えた水冷ユニットであり、高い冷却性能を実現。静音性も高い。また、リアに140mm高速ファンが1つ、フロントにも140mm高速ファンが1つ搭載されており、十分なエアフローを実現している。なお、高速ファンといっても、静音性はかなり高く、ケースファンの音はほとんど気にならない(ゲームなどでGPUに高い負荷がかかるとビデオカードのファンの音が多少気になる)。

 マザーボードには拡張スロットとして、PCIe 4.0 x16スロットが2基、PCIe 4.0 x1スロットが2基の合計4基が用意されている。GeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載ビデオカードがPCIe 4.0 x16スロットに装着されており、2スロット分のスペースを占有しているため、利用できるPCIeスロットはPCIe 4.0 x16スロットが1基とPCIe 4.0 x1スロットが1基となる。ただし、チップセットの制限により空いているPCIe 4.0 x16スロットは、最大x2での動作となる。さらに、6Gbps対応のSATAポートが4基とPCIe 5.0 x4対応のM.2スロットが1基、PCIe 4.0 x4対応のM.2スロットが1基、PCIe 4.0 x2対応のM.2スロットが1基マザーボード上に用意されている。

 また、大型ビデオカードをしっかり支えてスロットへの負荷を減らす、サードウェーブ製ケース独自のリジッドカードサポートも採用されている。リジッドカードサポートによって、ビデオカードが上下からしっかり挟み込まれて固定されるので、輸送中の振動による脱落やたわみによる接触不良を防ぐことができる。

【CPUクーラーと冷却ファン】
CPUには水冷ヘッドが装着されている
メモリスロットが4基あり、16GB DIMMが2枚装着されている
M.2スロットにPCIe 4.0対応NVMe 1TB SSDが装着されており、ヒートシンクも搭載されている
ラジエーターは240mmで、120mmファンが2つ搭載されている
リアには140mm高速ファンが1つ搭載されている
ビデオカードを上下から挟み込んで固定する、リジッドカードサポートが採用されている

超重量級ゲーム「ARK: Survival Ascended」で性能を検証

 XA7R-R47TSは、AMDの最新ゲーミング向けCPU「Ryzen 7 9800X3D」とNVIDIAのミドルハイGPU「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」を搭載したハイエンドゲーミングPCであり、コストパフォーマンスの高さが売りだ。

 そこで今回は、2023年10月26日にアーリーアクセス版が配信開始された恐竜サバイバルアクションゲーム「ARK: Survival Ascended」を利用して、パフォーマンスを計測してみた。

 「ARK: Survival Ascended」は、2015年にリリースされ、現在でも根強い人気を誇るオープンワールドタイプの恐竜サバイバルアクションゲーム「ARK: Survival Evolved」を最新ゲームエンジン「Unreal Engine 5」を使って、新たに作り直したゲームである。

 「ARK: Survival Ascended」は現時点ではアーリーアクセス版という位置付けになっており、随時アップデートが行なわれている。基本的なゲームシステムは「ARK: Survival Evolved」と同じだが、水や空気感の表現をはじめ、グラフィックスが格段に美しくなっているほか、恐竜たちの動きやユーザーインターフェースなども改善されている。その代わり、非常に重たいゲームとなっており、推奨環境はCPUがIntel Core i5-10600KまたはAMD Ryzen 3600X、GPUがGeForce RTX 3080またはRadeon RX 6800、メモリが32GBとかなり高い。

 ここでは、CapFrameXを利用して1分間の平均フレームレートと最低フレームレートを計測してみた。計測は5回行ない、その平均値を採用している。シングルプレイヤーモードで、解像度を4Kに設定し、グラフィックのプリセットを一番上の「最高」に設定してフレームレートを計測したところ、平均フレームレートは43fps、最低フレームレートは19fpsという結果になった。4K最高設定とはいえ、平均フレームレートが43fpsというのはさすがの重さだ。しかし、「ARK: Survival Ascended」はFPSやTPSと違って、そこまで高いフレームレートは要求されないゲームである。もちろん、生き物とのバトルなどではアクション性もあるが、「モンスターハンターシリーズ」のように、素早い立ち回りを行う必要がある場面はあまりない。実際にこの状態でプレイしてみたが、多少ひっかかりを感じることもあったが、概ね問題なくプレイが可能であった。

 そこで、グラフィックのプリセットを一つ下げて「高」にしたところ、平均フレームレートは50fps、最低フレームレートは22fpsに向上し、より快適にプレイできるようになった。

 次に、グラフィックのプリセットを「最高」にして、アンチエイリアスの設定を「DLSS」、DLSSの品質を「Balanced」に設定して、同様にフレームレートを計測したところ、平均フレームレートは48fpsに、最低フレームレートは20fpsに向上した。同じく、グラフィックのプリセット「高」、アンチエイリアスの設定を「DLSS」、DLSSの品質を「Balanced」で計測したところ、平均フレームレート58fps、最低フレームレート24fpsとなり、ひっかかりを感じることもほとんどなくなった。DLSSを有効にすることで、より快適にプレイできるようになるといえる。

 なお約1年前に、GeForce RTX 4090で「ARK: Survival Ascended」のベンチマークテストを行なった際は、DLSSの設定以外に、Frame Genaration(フレーム生成)に関する設定ができたのだが、今回はその設定項目が表示されなかった。言語設定を英語にすると設定タブが表示されるという情報を見つけたが、その通りにしてもRTXタブが表示されなかった。ドライバも最新にしたり、いろいろやってみたのだが、今回はフレーム生成はオフで検証している。

 詳しい原因は分からなかったが、おそらく「ARK: Survival Ascended」自体の問題だと思われる。「ARK: Survival Ascended」はまだ正式版ではなく、アーリーアクセス版という位置付けなので、いずれ修正されるだろう(設定のメニュー構成も1年前とはかなり違っていた)。1年前の検証ではフレーム生成(いわゆるDLSS 3)の効果がかなり大きかったので、本製品でもフレーム生成を有効にできればさらにフレームレートは向上することが期待できる。

 ちなみに前回のベンチマークテストでは、Core i9-14900KF+GeForce RTX 4090という、正真正銘のフラッグシップモデルを使ったのだが、4K/グラフィックプリセット「最高」/DLSSオフでは、平均フレームレート35fps、最低フレームレート27fpsと、今回の結果よりも低いフレームレートであった。もちろん、前回とはNVIDIAのドライバーも「ARK: Survival Ascended」自体もバージョンアップされているので、直接的な比較はできないとしても、本製品の性能の高さがよく分かる。価格は約14万5000円、XA7R-R47TSのほうが安いので、XA7R-R47TSのコストパフォーマンスの高さを実証できた格好だ。

【「ARK: Survival Ascended」のベンチマーク結果】
「ARK: Survival Ascended」のタイトル画面
解像度を3,840×2,160ドットに設定した
グラフィックプリセットを「最高」に設定した
次にグラフィックプリセットを「高」に設定した
アンチエイリアスの設定を「DLSS」、DLSSの品質を「Balanced」に設定した
ベンチマーク結果のグラフ

4K/最高画質でも十分にプレイ可能

 「ARK: Survival Ascended」には、小さなものから大きなものまでさまざまな恐竜や生物が登場するが、その多くを手懐けて仲間にすることができる。仲間の恐竜を増やしていくことで、恐竜軍団のリーダーとなって探検できることが、「ARK: Survival Ascended」の醍醐味だ。例えば、翼竜「プテラノドン」などを手懐ければ、プテラノドンの背中に乗って島を飛び回ることができるのだ。最新テクノロジーでグラフィックが一新されており、光や影の表現も非常に美しい。

 XA7R-R47TSなら、4K/最高画質でも十分にプレイすることができる。以下、4K/最高画質でのスクリーンショットをいくつか紹介したい。

【「ARK: Survival Ascended」4K/最高画質スクリーンショット】
翼竜「プテラノドン」の背に乗って冒険ができる
後ろを付いてくる2体の「アルゲンタヴィス」もプレイヤーが手懐けた仲間だ
光と影の表現も素晴らしい
大きな洞窟の中も恐竜に乗ったまま探検できる
洞窟の中では大量の虫に襲われることもある

コストパフォーマンスと絶対性能の高さが魅力! 4Kで思いっきりゲームを楽しみたいゲーマーに

 XA7R-R47TSは、AMDの最新ゲーミング向けCPU「Ryzen 7 9800X3D」とNVIDIAのミドルハイGPU「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」を搭載したハイエンドゲーミングPCである。AMD製CPUは、コストパフォーマンスが高いことで定評があるが、本製品は40万1,879円という価格で、50万円を超えるフラッグシップモデルに迫るパフォーマンスを実現しており、コストパフォーマンスの高さは期待以上であった。単にコストパフォーマンスが高いというだけでなく絶対性能も高いので、今後数年間にわたって第一線で戦えるゲーミングPCが欲しい人や4Kゲーミングモニターの性能を活かしたいという人におすすめだ。

【GALLERIA XA7R-R47TS 9800X3D搭載】