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PS4 Proで徹底検証!!違いのわかるゲーミングモニター「BenQ EW3270U」レビュー
4K HDRで世界が一変。水はとにかく美しく、スパイダーマンはよりムキムキに!
2018年12月19日 12:00
プレイステーション 4やXbox Oneなど近年のコンソールゲームの映像は、もはや実写とさほど変わらない域のクオリティである。その美麗な映像力を最大限に引き出してくれるのが、高画質な映像を映し出せる4K、HDR対応のゲーミングモニターだ。
4K、HDRに対応しているゲーミングモニターと一口に言っても様々な種類が存在する。格闘ゲームやFPSなどのeスポーツシーンで活躍する、画質よりも操作感を重視した高応答速度のもの。逆に、応答速度よりも画質に特化したタイプなどがあり、どちらが良いかはユーザーの用途次第といえる。
そんな“選ぶ楽しみ”があるゲーミングモニターで、今回ご紹介するのはBenQより発売された「EW3270U」。最大の特徴はなんといっても31.5インチ(横幅800mm)の迫力満点なサイズ感。さらに液晶はVAパネルを採用しているためTNパネルのモニターよりもコントラスト比が高く、黒が引き締まることでHDRの映像をより一層綺麗に映し出すことができる。大画面4Kでゲームや映画を楽しみたいユーザーにはうってつけのモニターなのだ。
本製品は、とにかく美麗な映像を楽しむのにはピカイチなモニターだ。HDRに対応しているPS4 Proを使って圧倒的な美麗グラフィックを堪能し、使用感をお伝えしていきたいと思う。
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ゲーマーに嬉しい機能が満載!薄型大画面の「EW3270U」
BenQ「EW3270U」スペック | |
---|---|
画面サイズ | 31.5型ワイド |
アスペクト比 | 16:9 |
パネル/バックライト | VA/LED |
解像度 | 4K UHD(3,840×2,160ドット) |
画素ピッチ | 0.182mm 画素密度:140ppi |
視野角(左右/上下) (CR>=10) | 178°/178°(CR>=10) |
表示色 | 約10億7,000万色 |
表示サイズ | 698.4×392.85 mm |
輝度 | 300cd/m2 |
応答速度 | 4ms (GtoG) |
コントラスト比 | 3,000:1 |
DCR(Dynamic Contrast Ratio) | 2,000万:1 |
リフレッシュレート | 60Hz |
入出力端子 | HDMI 2.0 x2 / Display Port 1.4 / ヘッドホンジャック |
ヘッドフォンジャック | ○ |
USB | USB Type-C(デバイスへの電源供給や充電には未対応) |
スピーカー | 2Wx2 |
発売時期 | 4月13日 |
実勢価格(税別) | 60,000円前後 |
家の中にこれほどまで大きなモニターを設置したのは今回が初のこと。31.5インチの大型モニターだけあり、ものすごい存在感を放っている。スタンダードな平面タイプのスリムベゼルモニターで、カッコいいシャープなデザインが印象的だ。
画面は光沢の無いノングレアタイプの液晶。光沢のあるグレアタイプの液晶は蛍光灯などの光を強く反射し、目の疲れに影響してくる。本製品では光の反射を最小限に抑え、長時間のプレイにも適したまさにゲーマー仕様な設計となっている。
背面の端子部分にはHDMI2.0×2、DisplayPort×1、USB Type-C×1、ステレオミニプラグ×1が備わっている。複数のコンソール機で遊んでいるユーザーにとってはHDMI端子の数はかなり重要になってくるところだが、本製品のHDMI端子は2つあるのでゲーム機を同時に接続することができる。ゲームを起動させると自動で信号をキャッチしてくれるので、入力切替が不要でとても便利だ。さらに、USB Type-Cの端子もあるのでノートパソコンと接続して使うことも可能。ゲームだけではなくパソコン作業も大画面で行なえたりと、幅広い用途で活躍できるモニターだ。
台座はずっしりとした重さで裏には滑り止めもバッチリ付いており、ちょっとやそっとの衝撃では倒れない頼もしい安定感がある。高さは固定で、ティルト角度は-5度から15度まで調整することができる。可動範囲は広いとはいえないがそれほど不便する場面もないように思える。モニターによっては角度を調整する際に結構な力を加えなければならないものもあり、スタンドが折れるのではないかとハラハラさせられるのだが、本製品ではそんな心配もいらず、力いらずで簡単に調整することができた。
また、そんな楽々角度調整できる「EW3270U」と、傾き1つで難儀する筆者の24インチのゲーミングモニターを並べてみると、その大きさの違いがよくわかる。24インチを普段使用していてサイズに不満を感じたこともないのだが、隣に31.5インチの大物を置くとさすがに小さく見えてくる。
HDR/B.I.+のボタンは前面右下に。早速B.I.+機能の効果をチェック!
モニターを起動させる電源ボタンやOSD操作用のボタンは本体の下部に配置されている。画像モードの変更や音量の調節、さらにはブルーライトの軽減など幅広い環境設定が行なえる。前面の右下に付いているのはHDR/B.I.+ボタン。最先端の高画質映像4K、HDRに対応しているゲームをプレイしているときは、このボタンでHDR機能のONとOFFが切り替えられるのだ。
HDRと同じボタンでB.I.+のON・OFFも選択できる。BenQのゲーミングモニターには、B.I.+(ブライトネスインテリジェンスプラス)と呼ばれる目の疲れを軽減させるための機能が備わっている。モニター中央下にあるセンサーで周囲の明るさや色温度を感知して、その環境に最適な明るさに画面を自動調整してくれるのだ。
ゲーマーにはありがたいこの機能をさっそく試してみるため、部屋の照明を少しずつ暗くしながら画面をカメラで撮影していく。正直を言うと、体感としては画面の明るさが変わっているようには思えなかったのだが、撮った写真を確認してみると、照明の明るさに合わせて確かに画面の方も変化していた。画面の明るさはパッと変わるのではなく、変化に気づかせないくらいゆっくりと明るさが調節されていくのがポイント。ゲームプレイ中に明るさが変わる違和感を感じさせない作りはさすがだ。照明を明るくしたり暗くしたりを繰り返しながら数時間プレイしたが、B.I.+の効果もあってか目の疲れも一切感じることがなかった。長時間プレイを考慮されたこの機能はかなり重宝する。
ゲームの世界に引き込まれる! PS4 Proで遊ぶ圧巻のHDR映像!!
「EW3270U」を堪能するなら、やはりPS4 Pro本体を使って超高画質なHDR映像でゲームを楽しまないことには始まらない。通常の映像とHDRでどれだけ映像が変わるのかを筆者の持っているHDR対応ソフトで確かめていきたいと思う。
まず初めに試すソフトは「Fallout 76」。荒廃した近未来を舞台に、世界再生を目指していくオンラインRPGだ。筆者のプレイスタイルはメインストーリーを積極的に進めるのではなく、サブクエストを適当にこなしながら、水や食料、武器などをダラダラと集めて遊んでいる。まさにこの世界に入り込んで住人のような楽しみ方をしている。
HDRを試す前からすでにこの作品の世界にどっぷりと入り込んでいた筆者だが、31.5インチの大型モニターに映る映像は、24インチのモニターで遊んでいたときと世界の広がり方がまるで違う。そして気になるHDRの映像だが……通常の映像とはハッキリ言って別物レベルだ。通常では少しぼんやりとしていた映像も、HDRをオンにすることでクッキリと鮮明になった。
比較の写真を見てもらえればわかると思うが、誰が見ても一目瞭然の変化。写真では撮影のためにキャラクターを表示させているが、プレイするときは1人称視点で遊んでいるので没入感がハンパではない。このゲーム自体、草や木などの表現がリアルなのだが、HDRによって格段に映像が強化され、リアルさが圧倒的に増している。前から「Fallout 76」の世界に入り込んでいるつもりでいたが、HDR映像を見て、ゲームの世界に没入するというのはこういうことをいうのかと改めて気づかされた。
次に「レッド・デッド・リデンプション2」でHDRを試してみた。雪山のシーンで見比べてみると、HDRの方がかすかにだが黒の表現が強くなっているように思える。一方日差しの強い海辺ではHDRの効果が顕著に現われており、HDRオフでは画面全体がただ明るいという印象だったが、HDRオンでは日の光の部分だけが強く強調されていて、空や水の表現などもしっかりと生きている。特に水面の光の反射具合などは驚くほどリアルで、HDRの凄さを目の当たりにした。
続いて「Fallout 76」、「レッド・デッド・リデンプション2」に引けを取らない高画質な映像を楽しめたのは「スパイダーマン」だ。
前に試した2作品は、退廃的な世界とウェスタンという、どちらも派手さのない地味目な世界感だったが、「スパイダーマン」は全くの真逆。色鮮やかなニューヨークの街並み、戦闘では車や飛行機がバンバン爆発するという、とにかくド派手な作品だ。
色鮮やかな世界だからこそHDRによる違いがハッキリと明確に出た。撮影したスパイダーマンの立ち姿の写真を見てもらえればわかる通り、HDRがオンの方は明暗がしっかり強調されており、スーツ越しで見える筋肉の盛り上がりや影になっている部分までも表現されている。高層ビルの輪郭などもしっかりと描写されており、同じゲームとは思えないグラフィックの差だ。車が爆発するシーンも、炎の表現がきめ細かくリアルになっている。
この作品はとにかく疾走感と躍動感がもの凄いアクションゲームで、ビルからビルへをクモの糸を使って高速スイングで移動していく。激しい動きだが画面の方はブレやカクつきも全く無く滑らかそのもの。大画面で縦横無尽にニューヨークの街を飛び回るこの爽快感は30インチを越えるモニターならではだろう。
戦闘もテンポが速く、敵の攻撃を回避するために瞬発的にボタンを押さなければならない場面も多い。応答速度が4ms(GtoG)というこのモニターで果たして快適に遊べるのかも気になるところだったが、結果から言うと全く問題はなく、瞬時に攻撃をかわすことも、痛快な空中コンボを叩き込むことも難なくできた。
実は触る前には4ms(GtoG)というのがどのくらいの応答速度なのか正直わからなかったのだが、体感してみて、シビアなFPSや格闘ゲーム以外ならおそらくどんなゲームでもストレスなくプレイできるということを確信した。
今回検証したソフトの中で圧倒的にHDRの効果が大きかった「スパイダーマン」。もう少しこのソフトを使ってHDRの映像をいろいろ試していきたいと思う。先で触れたB.I.+の機能だが、実はHDR機能と組み合わせて使うこともできる。HDRとB.I.+をオンにして明るい部屋と暗い部屋の2パターン、HDRはオンのまま、B.I.+をオフにして明るい部屋と暗い部屋の2パターン、計4パターンの映像の見え方を2つのロケーションで試してみた。
まずはHDRとB.I.+をオンにした映像を見ていく。体感としては先ほどB.I.+の機能を使ったときと同様に、明るい所と暗い所での変化はあまり感じられなかった。しかし写真で比べて見てみるとHDRのクッキリとした表現はそのままに、明るさを落として目に優しい映像になっているのがわかる。次にB.I.+オフの状態だが、相変わらず明暗の部分が色濃く綺麗に表現されていてとても美しい。
しかし、この状態で照明を暗くするとコントラストの強さが目に刺さるような印象を受けた。HDRとB.I.+を組み合わせると、特に暗い場所でHDRの感じ方はそのままに、輝度やコントラストを違和感なく落としていてくれているようだ。この"違和感なく"というのがポイントで、画面をずっと見ていても気づかないように調整が行なわれるのが素晴らしい。
異次元の高揚感と没入感。ひと目で違いがわかる「EW3270U」
大迫力のゲーミングモニター「EW3270U」でHDRの高画質を存分に堪能させていただいた。捻りのないシンプルな感想だが映像がもの凄く、見た瞬間にテンションがブチ上がった。やはり美麗なグラフィックで遊ぶゲームは高揚感や没入感がハンパではなく、プレイ中何度もニヤケてしまった。「Fallout 76」や「レッド・デッド・リデンプション2」、「スパイダーマン」、そしてPS4 Proを持っているなら是非、4K/HDR対応のゲーミングモニターを視野に入れていただきたい。
今回紹介した「EW3270U」。高いコントラスト比がウリのVAパネルのモニターを今回初めて触れたが、やはりTNパネルのモニターよりも色合いや画質が格段に良かった。映像を重視するユーザーなら間違いなく満足できる逸品だ。応答速度はGtoGで4msとなっているので、応答速度が最重要となるFPSや格闘ゲームなどのeスポーツタイトルに最適とは言えないかもしれないが、大半のタイトルでは世界観が変わるような美麗グラフィックでのゲームライフが満喫できる。
このレビューを終えたらモニターは返却しなければならないのだが、1度あの映像を味わってしまった後に、筆者の部屋に残る24インチ、HDR非対応のゲーミングモニターに戻れるのかが不安なところである。