素晴らしきかな魂アイテム

【魂レビュー】スマートガンとビームカノン、選択式だからこそ広がるプレイバリュー「METAL ROBOT魂 Sガンダム」

題字:浅野雅世
【第14回魂アイテム】
「METAL ROBOT魂 (Ka signature) <SIDE MS>Sガンダム」、9月21日発売、価格は15,120円(税込)。プレミアムバンダイで販売された商品。以前発売された「METAL ROBOT魂 Ex-Sガンダム」に胸やバックパックなどを新規パーツでSガンダムを表現している。関節を中心に金属パーツが多用され、リッチな雰囲気を持つプレイバリューの高い商品だ

【ライター:勝田哲也】

 「洋ゲーと超合金がメインの仕事」のホビー/ゲームライター。ホビーショーで筆者の魂を直撃したのが「HI-METAL R ウォーカーギャリア」しかし、2月という発売時期は、もうすでに買うアイテムを決めているのだ。この仕事をしていると魅力的なアイテムに多数出会えるが、その分どれを手にするかの悩みも深くなるのだ……(絵:橘 梓乃)

 BANDAI SPIRITSが通販サイト「プレミアムバンダイ」にて発売した、アクションフィギュア「METAL ROBOT魂 (Ka signature) <SIDE MS>Sガンダム」は、カトキハジメ氏がリファインした「Ka signature」、そして金属パーツを多用することで重量と、耐久度の向上、プレイバリューを追求した「METAL ROBOT魂」シリーズの1つだ。

 同シリーズでは強化型である「Ex-Sガンダム」が先に商品化されており、本商品は「Ex-Sガンダム」から胸や膝のパーツ、バックパックなどを交換、新武装「連射式ビーム・スマートガン」を追加したものである。筆者にとっては初めて手にするSガンダムの商品であり、このアイテムを手にするまでは、正直、Ex-SガンダムとSガンダムの細かい違いもわからないところがあった。

 実際手にして各ギミックを楽しみ、ポーズをつけてみると様々な発見があり、商品への愛着が大きく高まった。「持っていて良かった」と色々な角度から眺め、満足感をかみしめている。「METAL ROBOT魂 Sガンダム」の魅力を語っていこう。


2つの武装を同時に装備できないからこそ、“妄想”が大きくふくらむ!

 S(スペリオール)ガンダムは、模型誌企画「ガンダム センチネル」に登場するMSで、アナハイム・エレクトロニクス社がZZガンダムと同時期に開発した“究極のガンダム”を目指した機体。ZZガンダム同様Aパーツ、Bパーツ、とCパーツに当たるコアファイターに分離する。SガンダムはAパーツとBパーツにもコクピットが設定されており、3機それぞれが宇宙戦闘機として運用できるが、戦闘時の合体は想定されていない。

 ZZガンダムと決定的に異なるのはコンセプトである。Sガンダムはオプションパーツを運用する事で、様々な機能に特化させることができる設計になっており、劇中でもBパーツをまるまる巨大ブースターに交換し、長距離からの一点突破の戦闘を展開した「Bst-Sガンダム」や、強化装備により巡航形態への変形が可能となった「Ex-Sガンダム」といった姿を見せている。また、ペーパープランだが「Bst-Sガンダム」をベースに、戦艦の主砲、Iフィールド、大型レーダーなどを搭載した「ディープストライカー」も設定されている。

 そして物語の“核”となるのがSガンダムに搭載された人工知能ALICEである。自我を持ち、状況や、パイロットからの言動から学習し、将来的には無人機を目指して開発されたが、物語上では封印されており、Sガンダムを駆る主人公・リョウもその存在を知らない。しかしALICEは封印されておらず、時折、パイロットの技量を超えた動きを見せる。彼女の存在が物語の鍵となっていく。

ZZガンダムと同時期に開発されたというSガンダム。コアファイターを中心とした構造や、武装の豊富さなど近い部分も多いが、コンセプトは大きく異なる。Sガンダムは様々なオプション装備を前提とした設計思想だ

 「METAL ROBOT魂 Sガンダム」はSガンダムをモチーフにしたアクションフィギュアである。関節を中心に金属部品を使用しており、アクションポーズがかっちりと決まる。肩の付け根や肘、膝などはまるまる金属パーツで、“高級感”もセールスポイントだ。

 そして造形である。Sガンダムは模型誌企画生まれだけに、高い技量を持ったモデラーだからこそ表現できるような非常に複雑なデザインとなっている。制作されたフルスクラッチモデルの衝撃が、Sガンダムの人気の原点であると言える。

 その繊細で複雑なデザインを「METAL ROBOT魂 Sガンダム」はきちんと再現している。目を近づけて、細部を細かくチェックして感心する。Sガンダムのデザインの複雑さと、それを再現している商品のディテールに楽しさがこみ上げる。それこそが「METAL ROBOT魂 Sガンダム」の最大の魅力と言えるだろう。

「METAL ROBOT魂 Sガンダム」は情報量の多いSガンダムをシャープに表現。金属パーツを多用することでマテリアルの質感や、細かいマーキングにより、腕の良いモデラーが仕上げた作品のような雰囲気も持っている
こちらは以前発売された「METAL ROBOT魂 Ex-Sガンダム」。強化型の方が先に発売されている

 前述したとおり「METAL ROBOT魂 Sガンダム」は筆者にとって初めてのSガンダムの立体物だった。実際商品の説明書を見て、設定を知って驚いたことが「Ex-Sガンダムとの違い」だ。その違いとは「腰のビームカノンと主武装のスマートガンの同時使用ができない」ということだ。Sガンダムは腰に大型のビームカノンを装備しているのだが、最大の特徴とも言える大型の武器スマートガンを使用する場合、このビームカノンを外し、アームを接続する。ビームカノンとスマートガンは“選択装備”なのである。

 ちなみに、強化型であるEx-Sガンダムは腹部にスマートガンのアームを接続する部位があり、ビームカノンを取り外すことなく装備できる。他にも胸部に追加装甲とiフィールドジェネレーター、膝部分に有線式の遠距離防御武器リフレクターインコムを装備していて、武装面も大きくパワーアップしている。「うーん、Ex-Sの方が良かったかなあ」とちょっと思ったりもした。

 しかし、実際遊んでみると「選択の幅」がとても楽しいことに気が付いた。それと共に“妄想”もふくらんでくる。実際の設定や、劇中の描写を離れ、架空の運用方法を想像し、遊ぶ、それこそが“玩具”の楽しさだ。フル装備ではなく、選択装備のSガンダムだからこそ、装備を変えることでの活躍の違いを空想できる。

 ……スマートガンは大型でとてもケレン味があるが、振り回すのに難がありそうだ。防衛任務の時などは腰にビームカノンを装備して出撃したのではないだろうか? ビームカノンはアームを展開するとかなり射角の幅がとれ、フレキシブルに動く。物語ではALICEの存在は隠されていたが、実際の運用ではALICEにビームカノンでの射撃は任せ、パイロットは手持ち武器で攻撃する、という戦い方も想定されていたのでは?

腰にビームカノンを装備。アームによりフレキシブルに可動、様々な角度での攻撃が可能

 そう思いつくと止まらない。商品にはビームカノン使用時の手近にあった同スケール(本商品は厳密にスケール表示されていないが、1/144相当)のMSの武器を持たせてみた。ZプラスA型のビームライフルは同梱の武器では? と思うほどなじんだ。

 もう1つ、ユニコーンガンダムに付属していた2つのビームガトリングを両手に持たせてみた。ガトリングで弾幕を張りつつビームカノンで精密射撃をするイメージだ。かなりトリガーハッピーな雰囲気となる。大型のセンサーで敵を捕らえ、強力なビームで打ち抜くスマートガンの戦い方とは真逆の戦い方を感じさせる。他にもどんな武器が似合うか試してみたい。こういう妄想を気軽にできるのがアクションフィギュアの楽しさだろう。

ZプラスA型のビームライフルや、ユニコーンガンダムのビーム・ガトリングを装備。コレクションを引っ張り出して、色々な機体の武器を流用するのもガンダム商品の楽しさだろう
Sガンダムのビーム・サーベルは膝のニークラッシャーに収納されている。ビームカノンを使用していれば、武器の持ち替えなしに格闘戦に移行できそうである


2本のアームを接続して射撃する強力大型武器・スマートガン

 そしてスマートガンだ。Sガンダムを象徴するこの大型銃は「METAL ROBOT魂 Sガンダム」では、通常型と連射型の2つが同梱されている。連射型はむき出しだった銃身部分をカバーで覆っている。カバーには穴が開けられ放熱効率が考えられているイメージだ。さらに、バイポッド(銃架)も追加されている。

 スマートガンはアームが用意されており、これを伸ばしてビームカノンを接続していたジョイントに接続する。本体からの直のエネルギー供給が必要というところが、通常のビームライフルとは比べものにならない強力な武器であることを納得させる。しかもSガンダムは左腰に「サポートユニット」を接続でき、これを展開してスマートガンに接続できる。2つのエネルギー経路をスマートガンに接続することで、より強力なビームが放てるのである。

スマートガンは通常型と、銃身にカバーとバイポッドを追加した連射型を同梱、センサーはどちらにもつけられる。手前は左腰につけるサポートユニット
右腰側面にスマートガンのアームを接続。本体からエネルギーを供給し強力な射撃を行なう。左腰は折りたたんだサポートユニットを装備
サポートユニットを展開し、スマートガンに接続、エネルギーをフルに使った攻撃を行なう

 スマートガンは大型のセンサーユニットも接続でき、銃身を伸張するギミックまで入っているので、2本のアームを接続し、スマートガンを構える姿はとてもカッコイイ。通常のスマートガンの場合は一撃必殺の射撃を放つだろうし、連射型でバイポッドを伸ばすと、陣地で重機関銃を構えて防衛しているようなイメージになる。スマートガンをビシッと構える姿こそSガンダムならではのポーズと言えるだろう。

 アーム、サポートユニットには多数の関節、回転軸が仕込まれており、どう動かすとスマートガンをカッコ良く構えさせられるか、それを試行錯誤するのが「METAL ROBOT魂 Sガンダム」の最大の楽しみである。付属の台座は重量のある「METAL ROBOT魂 Sガンダム」をしっかりと支えてくれる。

こちらは連射型スマートガン。バイポッドを壁などに立てて、ビームを連射するイメージ。拠点防衛で強力な弾幕を張ってくれそうだ
スマートガンは尾部にもグリップが設定されている。あえて右のアームを外し、サポートユニットだけを接続して構えてみた。スマートガンはギミックが多く、遊びの幅が広い。運用法を想像してみるのも楽しい
隠し武器とも言える頭部インコム。パーツを差し替えることで使用状態を再現できる

 筆者は同シリーズの「METAL ROBOT魂 ダブルオーライザー」がとてもお気に入りだった。机の横に置き、何度も眺め、時々ポーズを変えたり、武装を交換していた。「METAL ROBOT魂」は関節が硬く、造形がシャープでポージングがとても楽しい。そしてMETAL BUILDや、DX超合金に比べ、ずっと気軽にいじることができるのだ。1/144相当のサイズは、手元に置いて、頻繁にいじるのに、ちょうど良いサイズなのである。今回、「METAL ROBOT魂 Sガンダム」を購入した大きな理由は、ダブルオーライザーの体験が大きい。

 そして今、ダブルオーライザーに代わり、「METAL ROBOT魂 Sガンダム」が筆者のいつでも手の届く位置に飾られるようになった。スマートガンを両手で構えるか、片手で決めポーズをとらせるか、連射型と通常型どちらにするか、ビームカノンにして手持ちの武器を工夫しようか……この選択肢の多さこそが、いじる楽しさを倍加してくれる。「METAL ROBOT魂 Sガンダム」でたっぷり遊んでいこうと思う。