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「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2008-2009」【SIDE-A】連載第1回

  • ジャンル:スポーツ(サッカーゲーム)
  • 開発・発売元:株式会社セガ
  • 操作デバイス:カード移動、戦術ボタン×5、データ表示ボタン、キープレーヤーボタン、シュートボタン、キーパーボタン
  • 構成:サテライト席8席(4サテライト版は4席)+メインモニター、ALLNet対応
  • 料金:1プレイ300円、2プレイ500円、スターターパック1,000円
  • 稼動日:稼動中
【ゲームの内容】

 欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。



  先月中旬より「ワールドクラブ チャンピオンフットボール(WCCF)」シリーズ最新作「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2008-2009(以下:WCCF IC 2008-2009)」が全国で順次稼動を開始した。今回の攻略連載も、趣味チーム向けの内容【SIDE-A】を筆者が、ガチンコ攻略スタイル【SIDE-B】を石井ぜんじ氏がそれぞれ担当する。なお、今回は諸事情により毎週ではなく不定期連載となることをお許し願いたい。

  今回のバージョンアップ最大の目玉は「店舗間のリアルタイムネットワーク対戦」の一言に尽きる。それ以外は、筐体デザインの変更、新カードの追加、バランス調整などマイナーチェンジがメイン。ゲームシステムに大きな変更点はないため、基本操作や手順などは「WCCF IC 2006-2007」連載第1回「WCCF IC 2007-2008」連載第1回をそれぞれ参照していただきたい。【SIDE-A】第1回目は、新要素とバランス調整の特徴を、それぞれ簡単に解説していく。

※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。



■ 「WCCF IC 2008-2009」新要素

● リアルタイムネットワーク対戦 ~レギュラーリーグが3部制に~

  従来「1st Division」と「2nd Division」で行なわれていた2部制リーグに、上位リーグ「Premier Division」を追加。「2nd Division」はCPU戦のみ、「Premier Division」と「1st Division」は、同Division内でマッチングが成立したときのみ対人戦が行なわれる。

  1シーズンは7試合で行なわれ、最終成績が1~2位であれば上位リーグへ昇格、逆に7~8位は降格となる。新規ICでゲームを始めたときは「2nd Division」からスタート。ICカード継承時は、監督オファーを受けた場合などでそれぞれ異なる。


【リーグ構成】

【試合スケジュール】
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● ワールドトロフィー ~ネットワーク対戦限定・全体タイトルの頂点~

  ワールドトロフィーは、ネットワーク対戦限定で行なわれる勝ち抜き戦。「Premier Division」、グレードSタイトル「チャンピオンズトロフィー」、「ジャパントロフィー」、「インターナショナルクラブチャンピオンシップ」優勝者に、それぞれ参加資格が与えられる。

  全国のプレーヤーとオンライン対戦を行ない、5回戦を勝ち抜くと優勝。試合スケジュールはレギュラーリーグと同枠。対戦相手が見つからないときは、レギュラーリーグでマッチングが行なわれる。なお、プレイ中にネットワークが切断された場合は「無効試合」として扱われ、結果はセーブデータに反映されない。これはあくまでの筆者の体感なのだが、「Premier Division」以上になると、不自然な回線切断が妙に増えるように思えてならない。このあたり、セガには毅然とした対応を望みたい。

  なお、ワールドトロフィーの導入に伴い、新たなランキング制「ワールドトロフィーランキング」がスタート。毎週、最新の3大会ぶんの成績でエリアおよび全国チャンピオンを選出。各チャンピオンには、名誉の証としてレア称号やレアアイテムがプレゼントされる。過去および現在の週単位のランキングはWCCF公式サイトでチェック可能だ。


● レアチームスタイル ~キープレイヤーシステムが進化~

  「WCCF IC 2006-2007」から導入された、キープレイヤーに指定した選手ごとにさまざまな効果が発動する「チームスタイル」がさらに進化。近作では特定の選手、特定条件下のみ「レアチームスタイル」が発揮される。

  気になる条件だが、筆者が調べた範疇では「キープレイヤーになる選手の“個人能力”と“特殊能力”の星(☆)を5つにしておく」、「そのチームスタイルに対応するチーム戦力グラフを“震撼”まで伸ばす」の2点と推察される。条件が条件だけに個人で調べるには時間がかかりすぎ、すべてを試したわけではないが、複数以上のパターンで共通しており、これから先は例外的な条件の有無を順次調べていきたい。

  また、ある意味当然といえば当然なのだが、レアチームスタイルが使用可能な選手カードは、恐らくそれほど多くはない。考えられる最低条件は、対応するチーム戦力グラフを震撼させたときにチームスタイルのグレードが“S”になる選手。今回、撮影用としてイニエスタをピックアップしてみたが、ほぼ予想通りの結果が得られた。過去の選手カードも含め順次条件を当てはめていくと、使用可能な全カードのうち、レアチームスタイルが使える選手カードは約100枚強、レギュラーカードに至っては10枚に満たないだろう(あくまでも筆者の推察です、念のため)。

  肝心の効果だが、個人的には「通常よりも若干強めに効果が出てるのかな? と感じられる部分もあるが、ゆえに『レアチームスタイルの1点突破で無敵!』というほど凄まじいものではない」と捉えている。しょせん筆者程度のプレーヤーの体感なので、あまり強くは言えないのだが……ただひとつ確実にいえるのは、複数以上の戦力グラフを極端に伸ばす必要があるため、バランスよくチームを育てていきたい人は無理に執着しないほうがいい、ということだ。


● 新カード ~懐かしの“BEST ELEVEN”が復活~

  今作のレアカードカテゴリは、基本的に前作同様。ただし、今回は「Bandiera:チームの旗頭となる象徴的な選手」が廃止され、かわりに「Best Eleven:世界を代表するベストイレブン」が復活した。ベストイレブンといえば、「WCCF 2001-2002」の頃「どのサテライトを見渡してもBEだらけ」という状況が懐かしく思い出される。また、クラブチームでは「バレンシア」と「ビジャレアル」が再登場している。

 


 

World-Class GKWorld-Class DFWorld-Class MFWorld-Class WF
World-Class FWCrackYoung StarBest Eleven
European MVPWorld MVPAll Time LegendsKing of Legends



■ バランス調整の特徴

● ファール頻発 その1 ~すぐ選手に責任を擦り付けることなかれ~

  ゲーム全体のスピードアップのためか、前バージョンでは「繁華街でチュパカブラに遭遇するよりも難しい」といわれたファールが、今作では頻発する。選手のタイプや戦術ボタンの操作が影響するものの、全体に「えっ、ここで!?」という場面で発生することもあり、それが決勝点になることも少なくない。

  注意点としては、プレスボタンに頼りすぎないこと、さらには「ボールホルダーを後追いするような体制に持ち込ませない」ことが1番大切だ。特に後者は、トップクラスのディフェンダー(DF)ほどやってしまいがち。カバーリングが得意で足が速い選手は、配置をきちんと考えてあげないとファールが頻発し、その優秀さが逆にアダとなりかねない。敵アタッカーが俊足なら、なおさらだ。

  「こいつファールばっかり起こして使い物にならないよ!」などと嘆く前に、まずは監督自身の采配をチェックしてみることをオススメする。少なくとも筆者は、プレスボタンの操作と選手カードの配置で(当然、皆無とはいかないが)それなりに抑えることができている。


● ファール頻発 その2 ~俄然、存在感を増すFKキッカー~

  ファールが増えるということは、当然フリーキック(FK)も然り。ゴールに近い場所でファールがもらえれば、それだけ得点の機会も増える。現代サッカーにおいてセットプレイの得点率は4割を超えるといい、ゲームとはいえWCCFでもこれを無視するわけにはいかないといったところか。

  これまた当然なのだが、FKの精度はキッカーに依存する。前作は皆無といっていいほどファールが発生せず、FKの名手たちが日の目を見ることはなかった。チームスタイル「フリーキック重視」を使っていても、その恩恵にあずかれた人はほとんどいなかったはずだ。かくいう筆者も、前作で撮影のため同チームスタイルで相当粘ったものの「こんなに発生しないんなら、無いも同然じゃぁ!」とキレてあきらめた記憶がある。

  だが、そんな状況も今作で一変……というよりは、完全に“裏返った”といっていい。FKの名手をクラブチームに加えておけば、アタッキングサードでのFKは、下手なシュートよりも得点率が高い。後述するが、今作は全体にDFの動きがよくなっている。拮抗した場面を動かす意味でも、FKキッカーの人選はきちんと考えるべきだろう。


● DF全般の能力が向上 その1 ~バランスでは「WCCF EC 05-06」に近いイメージ~

  今作をプレイしていて1番感じるのは、DF全般の動きが良くなったことだ。前作ではドリブラーにいいように抜かれていたDFが、さっと追いつき左右に流れたフォワード(FW)やウィング(WG)の行く手をピタッと阻むシチュエーションをよく目にする。全体のバランスから見た質的な変化という意味では「WCCF EC 04-05」から「WCCF EC 05-06」のバージョンアップを思い起こさせる。

  DF全体の動きがよくなったとはいえ、トップクラスの選手を起用する場合、攻撃布陣は相変らず「3人」いればなんとかなってしまう。守備力が上がったのなら、一般的には「守備は最低限の人数でオーケー」となるが、前述のとおり3人で点が取れるのだから、残りのリソースをリスク低減に割り当てる人が増えるのは一般心理として自然な流れだ。そして、すべてを兼ね備えた万能型FWの増加が、その流れをさらに加速させる。ダイジェスト形式のサッカーと、トップクラスの選手をノーリスクで好き放題に使えるというWCCFのシステム上、致し方ない部分ではあるのだが……。

  そうした現実がある一方、プロビンチアクラスの趣味チームで同じことをやっても、当然限界がある。選手能力のインフレが著しく進行したWCCFは、もはや以前表現した「ジョーカーの叩きつけ合い」などという生易しいレベルではなくなっており、ゲームバランスを効率よくチーム作りに取り込んでいかないと必要以上の苦戦を強いられる。サイコロにたとえるなら、同じ1の目を出すにしても、頂点クラスのカードのぶつけ合いなら6面体、プロビンチアクラスでは20面体が精一杯といったところか。このあたりの改善点や考え方は、今後の連載で少しずつ触れていく予定だ。


● 全体にDFの能力が向上 その2 ~相手陣内での守備力“も”向上~

  全体的な守備力の向上は、なにも自陣内に限った話ではない。今回のバージョンは、敵陣内で相手のボールを奪い、即カウンターに転じることが可能だ。起用する選手カードと配置次第だが、工夫次第で相当な効果がある。人選と配置を徹底すれば、文字どおり“高い位置からの守備”を実践することが可能だ。

  「自陣内でパスをカットされまくる」という人は、まず選手カードの配置を考えたほうがいい。今後の連載で詳しく触れることになるが、パスルートは一方的に設定してどうにかなるものではない。相手チームの人選と守備陣形が大きく影響するため、少なくとも「カットされまくる状況を放置」という最悪の事態は避けていただきたい。このあたりは前作の考え方から大きな変化はなく、わからない人は前作攻略記事の連載3回目あたりを参考にしていただければ幸いだ。

  これはあくまでも筆者の体感だが、相手陣内でのボール奪取は“連携”も少なからず影響しているように思われる。能力的には同程度でも、連携が悪いと自陣内で不必要な動きをしてボールを奪取されることがままある。最悪のケースでは、ゴールキーパー(GK)のフィードを直接相手FWにカットされることもある。これも、GKの連携線が皆無とそれなりに伸びているケースでは頻度が違ってくる。うまくいかず悩んでいる人は、配置とあわせて選手間の連携もチェックしておいたほうがいいだろう。


● ミドルおよびロングシュートの威力と精度が向上 ~GKの重要性がさらに増す~

  「WCCF IC 06-07」に先祖返りしたような調整だが……ゲーム全体として、ミドルおよびロングシュートの威力と精度が明らかに向上している。これは、昨今流行の“無回転シュート”を意識した結果なのかもしれない。

  推測はさておき、ゲーム中の現実としては、ミドルおよびロングシュートの威力向上は“痛し痒し”といった面がある。というのも、ダイジェストサッカーというWCCFの仕様で、ヤケクソ気味に乱発されたミドルやロングシュートが誘導ミサイルのごとき高精度で枠に飛んでいくのは、さすがにいかがなものかと思われるのだ。筆者などは正直「なんだこれ」といった気分になってしまう。

  実際、オンライン対戦では結構な確率でミドルやロングシュートを乱発するプレーヤーと遭遇する。これは、前述の“全体の守備力向上”と無関係ではない。全体の守備力が上がり、なかなか決定的な場面を作れないプレーヤーが、トップクラスの選手でミドルやロングシュートを徹底的に浴びせる。ほぼ例外なく枠に飛んでいくため、GKがキャッチできなければ弾いてラインを割り、そのままコーナーキック。あとはこれをひたすら狙って繰り返すといった寸法だ。

  基本的には、明らかなバグ利用でもなければ「誰が何をしようが、ゲーム内でやれることであれば自由」というのが筆者のスタンスだ。ただ、以前のバージョンでも述べたが、GKは他のポジションと違って監督たるプレーヤーの裁量で補える範囲に限界がありすぎ、最大の補完手段は「もっとも優秀なGKを起用する」の1点に行き着いてしまう。何かを再現したかったのかもしれないが、現実にはGKの選択肢をほとんどなくしてしまったも同然といえる。色々な選手カードを起用して、幅広く、末永くWCCFを楽しんで欲しいと考える筆者としては、こういった調整は「寂しい」の1言だ。

  GKに関してついでに述べておくと、今回はPK戦はGKの能力差が露骨に出る。レギュラーカードとレアでも明らかに差がつけられており、PKが得意なGKは文字どおり“現実離れ”したレベルでシュートを弾いてみせる。あからさまなミドルやロングシュート狙いに萎えている人はもちろん、PKの件も含め、GKの人選は「趣味レベルではどうにもならない部分が多々ある」ことを念頭に置いておこう。




■ まだ稼働したばかり ~色々な可能性を探ってみよう~

  稼働から約1カ月が経過したが、本来コアユーザーが多いはずのオンライン対戦、特に「Premier Division」以上でさえ、選手カードをまったく動かさずにプレイする人を少なからず見かける。また、カードを動かすにしても、トップクラスの万能型FW2人を中央→サイドと変える程度で、守備はこれまたトップクラスの人選でただスペースを埋めるだけ、という人も多い。

  筆者は別に、それが悪いと言いたいのではない。それが1番楽しく遊べるなら、何もいうことはない。ただ「もっと前向きに、楽しく遊べる方法があるじゃないのかなぁ」と、ついつい余計なことを考えてしまうのだ。好きな選手カードを選んで、好きなように並べて、好きなように操作して遊ぶ。楽しむ。それで十分なのだが、もしかしたら“気づいていない”だけかもしれない。だとしたら、ただただ「もったいない」と思う。

  オンライン対戦は、回線の向こう側に他のプレーヤーがいる。それが、まるでPCプログラムの授業で最初に習う例文のような動きしかされないのでは、なんともいえない気分になる。やっと(本当にやっと!)オンライン対戦が実現したのだから、色々なことを試して、可能性の幅を広げて欲しいと思う。たかがゲーム、されどゲーム。何かと不景気なこのご時世、決して安い遊びではないのだから、とことん探って、あちこち見回して、それこそ余地がなくなるまで、ガッツリ遊んで欲しい。今後の記事が、そうした人たちのヒントや一助になればいいなぁと願いつつ、微力ながら頑張ってみる所存だ。




(C)SEGA
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The game is made by Sega in association with Panini.

(2009年 12月 18日)

[Reported by 北村孝和]