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「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2007-2008」
【SIDE-A】連載第1回


  • ジャンル:スポーツ(サッカーゲーム)
  • 開発・発売元:株式会社セガ
  • 操作デバイス:カード移動、戦術ボタン×5、データ表示ボタン、キープレーヤーボタン、シュートボタン、キーパーボタン
  • 構成:サテライト席8席(4サテライト版は4席)+メインモニター、ALLNet対応
  • 料金:1プレイ300円、2プレイ500円、スターターパック1,000円
  • 稼動日:稼動中
【ゲームの内容】

 欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。



 2月上旬より、「ワールドクラブ チャンピオンフットボール(WCCF)」シリーズ最新作「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2007-2008(以下:WCCF IC 2007-2008)」が全国で稼動を開始した。毎度おなじみの攻略連載ではあるが、今回も趣味チーム向けの【SIDE-A】を筆者が、ガチンコ攻略スタイル【SIDE-B】を石井ぜんじ氏がそれぞれ担当する。

 本作は、新年度のメジャーバージョンアップとはいえ、新カードや筐体デザインをのぞけば一部新要素の追加やバランス調整などマイナーチェンジ的な色合いが強い。ゲームシステムなど大きな変更点はないため、ゲームの基本操作や手順などは前作の【SIDE-A】連載第1回を参照していただきたい。今回は、新要素、バランス調整の特徴、趣味チーム的攻撃布陣の基礎を、それぞれ簡単に解説していく。


※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。


■ 「WCCF IC 2007-2008」新要素

● 全国クラブチームランキング

 全国を8つのエリアに分けて、毎週全国1位(ジャパン チャンピオンシップ)とエリア1位(エリア チャンピオンシップ)を決定。順位はクラブチームの獲得賞金によって決められ、1位になったクラブチームには「レアアイテム」や「レア称号」が授与される。1位になったクラブチームは“殿堂入り”となり、再度チャンピオンを獲得することはできない。



● 称号

 ICカード更新時、以前の戦績によっては称号が付与されることがある。称号には「刺客」、「闘将」、「天才」、「策士」、「魔術師」、「奇跡」、「至宝」、「名手」、「覚醒工場」、「理解者」、「革命児」、「生え抜き」、「浮気者」、「皇帝」、「キング」、「デューク」、「サー」、「カリスマ」などがあり、当然ながら付与条件はそれぞれ異なる。

 「理解者」や「覚醒工場」など、「あれ、もしかしてアレをこうしていれば……」などと条件について何となく察しがつく称号もあるが、公式に明らかにされていないこともあり、興味がある人は色々とチャレンジしてみてはいかがだろうか。


● イベントの追加

 従来も「不満が鬱積した選手が練習中に詰め寄ってくる」などのイベントが発生したが、今回は「次の試合に勝利するとスポンサーから特別ボーナス」、「控え選手の発奮」など、新たなイベントがいくつか追加されている。新規イベントは、条件を満たせばプラス、失敗すれば現状のまま(もしくは若干のマイナス)といったものが多いのが、なかには一定条件を満たすごとにクラブの施設がグレードアップされるという同社「サカつく」シリーズを髣髴とさせるものまである。

 頻発する目立った変更点では、選手の成長度合い(☆)がMAXのときの呼び出し選択肢がある。練習やミーティングで呼び出すと5つの選択肢が表示されるが、前回は何を選んでもコンディションがアップした。ところが今作は「プライベートを邪魔されて……」といったメッセージとともに、コンディションがダウンするケースがある。ある程度の緊張感を持たせようとして失敗する可能性を足したのかもしれないが、正直ちょっと蛇足的なやりすぎ感は否めない。


● 新カード ~ATLEが復活~

 毎回大きな注目が集るレアカードのカテゴリだが、今回は「Legends(LE)」と入れ替わるように「All Time Legends(ATLE)」が復活している。ATLEは、現役を引退した有名選手をカード化したもので、シリーズ初出は「WCCF 2002-2003」にさかのぼる。全10種類があり、排出率は他のレアカードに比べると若干低めに設定されているようだ。

  • World-Class GK:世界トップレベルのゴールキーパー
  • World-Class DF:世界トップレベルのディフェンダー
  • World-Class MF:世界トップレベルのミッドフィルダー
  • World-Class WF:世界トップレベルのサイドアタッカー
  • World-Class FW:世界トップレベルのフォワード
  • Crack:ずば抜けたテクニックを持つサッカーの名手
  • Young Star:若手のスター選手
  • Bandiera:チームの旗頭となる象徴的な選手
  • European MVP:ヨーロッパ最優秀選手
  • World MVP:世界最優秀選手
  • All Time Legends:既に現役を引退している伝説的選手
  • King of Legends:サッカー界の頂点に君臨する伝説的選手

 


World-Class GKWorld-Class DFWorld-Class MFWorld-Class WF
World-Class FWCrackYoung StarBandiera
European MVPWorld MVPAll Time LegendsKing of Legends


■ バランス調整の特徴

● 全体的なゲームスピードがアップ

 1クレジットあたりの総プレイ時間に変化はないが、試合のテンポや操作性の改善などで全体にスピードアップが図られている。チームマネージメントでは、カード認識のレスポンスが向上。前作では練習などでやるべきことが増えたにも関わらず、カードをこすっても認識されるまでに時間がかかり「ああっ、もう間に合わない!!」といったケースが少なくなかった。だが今作は、こすったカードがさくさく認識されるため、そうしたイライラ感は皆無。とても遊びやすくなっている。

 試合については、全体の動きがテンポアップ。トータルの試合時間(約5分)は前作と同じだが、プレイ中のやりとりが増えたため実質的には“試合時間が延長された”と捉えることができる。ただし、その弊害(?)として、ファール、フリーキック、オフサイドなどでゲームが中断するシーンがほとんど見られなくなった。これらは頻発するとゲーム展開が滞る要因になりがちで、意図的に発生しにくくされたと推察される。オフサイドは戦術ボタンの指示や選手カードの配置などで稀に発生するが、ファール、フリーキックはICカード1枚の任期を通して皆無ということも珍しくない。


● シュートボタンのレスポンスが向上

 前作は、シュートボタンを押すタイミングが少しでも遅れると、アタッカーがドリブルしたまま相手ディフェンダー(DF)もしくはゴールキーパー(GK)に突っ込んでしまうことが珍しくなかったが、今回は以前のタイミングでシュートボタンを押すとミドル~ロングシュートになってしまうくらい違う(逆説的には、前作はそれくらい早めに押さないと適切な距離でシュートが放たれなかった)。ミドルシュートの精度と威力が全体にかなり控えめになったこともあり、対人戦で相手GKが早めに飛び出してくるのでもなければ、シュートは引き付けてから打つことをおすすめする。


● コーナーキックの得点率がアップ

 コーナーキック(CK)の得点率は、単純にICカード1枚を通してプレイしただけでもハッキリ違いがわかるほど高まっている。以前のバージョンなら飛び出しで安定キャッチといった状況でも、競り合いでGKがこぼすこともしばしば。セットプレイに強いセンターバック(CB)や高さのあるアタッカーがいれば、CKからの得点率はより高くなる。とはいえ、CKを取ったからといって必ず得失点が生じるといったゲームバランスではない。現状でもCK狙いのミドルシュート(一部選手に限られる)は一定の効果があるが、ぞんざいなミドルシュートの乱発が有効といったレベルには至っておらず(単に点を取りたいなら、後述する超人FWにお任せのほうが手っ取り早い)諸条件による確率のゆらぎと成否のランダム性については結構いい塩梅のように感じられる。


● GKの能力格差が若干緩和

 「一定レベル以下は誰を使っても一緒」という前作に比べると、今回は多少能力値が劣るGKでもそれなりに活躍できるようになった。ただし、それは“若干”といったレベルで、こと対人戦においては、超人FWに並のGKが対抗できる術もない。並のGKでは止められないシュートをトップクラスのGKが止めることはあっても、その逆はほぼありえず、後述する難易度が下がったCPU戦で無用のストレスを貯めないくらいにはマシになったという程度。SIDE-Bの視点で表現するなら、ガチ勝負で計算できるレギュラーカードGKは、あいかわらずデ・サンクティスなど極一部に限定される。

 なお、ディフェンスとパワーが17前後といった「似通った能力値」の持ち主が多いGKでも、記載された能力値を上回るパフォーマンスを発揮するGKが一部に見受けられる。「WCCF」シリーズの選手カードに記載された能力値は数百におよぶ設定パラメータを総合的に表現したもので、あくまでも目安。とはいえ、本シリーズ初体験の人は「ほとんど数値が同じなのに、こっちのほうがパフォーマンスがいいって意味がわかんない……」などと、不思議に思われるかもしれない。そうした人がもし居たなら、最初から「これは数値が高いから絶対に凄いはず」などと杓子定規に考えず(おおむね間違ってはいないのだが)、監督たる己の感覚を信じて、揺らぎのないチーム作りを進めていただければと思う。


● KPのバランス ~一部をのぞきマイルド調整に~

 ダイジェスト形式のゲームシステムゆえ、局面の演出が“点”に偏るのは仕方のないところだが、今回はKPの効果が(一部をのぞき)控えめになったことで、より選手カードの“個の強さ”が強調される結果となった。ちなみにこれは、「WCCF EC 2005-2006」で「6バック」や「7バック」と揶揄されたガッチガチの引きこもりand超人FWにお任せサッカーの大流行を改善しようとした開発チームの前作アプローチと決して無縁ではない。

 現代のサッカー戦術では、自陣内に引きこもる相手に対しては、サイド攻撃を始めとする“崩しのセオリー”があり、一般に入手可能な戦術解説本でも、さまざまな事例を知ることができる。ただし、本作は「選手の個の動き」をマジメかつ簡潔に処理しようとしすぎるのか、前述のそういった攻防を合理的に表現するのが、ぶっちゃけあまり上手ではない。KPは本来、そうした部分を補うべき新システム……だったのかもしれないが、世に出たものは「点の表現」の延長線上にとどまった。

 これが良いか悪いかは別の話として、そうした流れもあり、前作で多数のプレーヤーが頼りにした「降臨」、「アーリークロス」、「ファンタジーア」など「これは強すぎたかもしれない」と判断されたKPは「出る杭を打つ」かの如くマイルドな調整が施されている。ただ、ここで問題なのは、その一方で「これは弱すぎたかもしれない」といったKPのフォローがほとんどなされていないこと。さらにいえば「調整の結果として目立つKPになっているものもあるけど、これはわざと残したの?」といった代物も極一部目に付く。

 悪い物言いになってしまうが、KP全体のディレクションがあやふやなため、結果として圧倒的多数のプレーヤーは「どれが1番強いのか」といった“最強KP探し”をしているのが現状ではないかと推察する。今のKP仕様で理想をいえば「どれを使ってもそれなりに戦える、遊べる。配置、戦術などの合理性と、サッカーならではの不確定要素のブレンド(整合性)」となるが、案の定そのようにはなっていない。

 やや話がそれたが、今作のKPについては、後述するドリブラーやスピードスターをはじめとする「個の能力」と相乗効果を発揮するものの使い勝手がいい。個の能力に頼りきれないケースが多い趣味チームとして、現状のKPをどう有効に活用していくかは、今後の連載で少しずつ取り上げていきたい。


● ドリブラー、スピードスターが活躍する攻撃偏重型に

 カカ、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシといった希代のドリブラーやアタッカーが世界中を震撼させたシーズンを反映してか、「WCCF IC 2007-2008」はドリブラーやスピードスター天国といっても過言ではないバランスに調整されている。ドリブラーやスピードスターだけでなく、スペースを縦に抜けていくのが得意な選手についても同様のことがいえる。

 前述のように、局面の攻防が「点」に集約される「WCCF」シリーズでは、基本的に1対1の繰り返しで展開が形作られていく。逆説的には、1対1で他を寄せ付けない強さがを持ったカードは、それだけで圧倒的な存在感を放つ。たとえば、いかにカバーリングが上手なDFでも、カバーに回った先で1対1に負け続けるようなら「WCCF」シリーズではあまり頼りにならない。逆に、カバーリングが下手でも一定範囲内のアタッカーを高確率で止められるDFがいたなら、もう何もいうことはないわけだ。

 おおまかな目安としては、スピードが17以上ある選手は、1対1で相手を振り切る十分な力があると判断できる。16以下でも、ドリブルが得意な選手であれば相応の突破力があると考えていい。逆に、ドリブラーとはいえないスピード16以下の選手は要所でDFにとらえられるケースが増えてくる。こうした特徴から、本作はウィンガー(WG)がセンターフォワード(CF)として本職(?)をしのぐ大活躍を見せる。そこそこのスピードの典型的なCFよりも、快速WGをCFに起用したほうが得点機会が圧倒的に増えるというのは少々アレだが、ゲーム中で実際そのように機能してしまうのだから、なんともいえない。

 今回、一定以上の能力を備えたドリブラーとスピードスター型の選手は、1対1や1対多の局面にことのほか強い。攻撃偏重型と表現したのは、トップクラスのアタッカーとディフェンダーを対峙させた場合、アタッカー側にかなりの分があるからだ。高確率で1対1の局面を制していくのは、トップクラスのなかでもドリブラーとスピードスター型に多く、状況によっては4~5人抜きも珍しくない。トラップの瞬間チェックにきたDFをひらりとかわし、そのまま凄まじいスピードでサードアタッキングエリアの守備網を切り裂いていく。

 アタッカーに分があるからこそ、DFを最精鋭・多人数でガッチリ固めるという“ひとつの形”は、必然的な流れでもある。「WCCF EC 2005-2006」と異なるのは“守備”ではなく“攻撃”からそこに収斂されていったであろうこと。実際、筆者の地元ロケーションなどは、稼働1カ月頃から「WCCF EC 2005-2006」を彷彿とさせる超守備的フォーメーションが蔓延し始めた。超人ドリブラーやスピードスターは、たったひとりで4~5人を余裕で抜き去る。見方を変えれば、攻撃は1~2人の超人FWがいれば十分。「WCCF」シリーズ特有のパラドックスは、今回も健在。さらには、最初からカードパワーに頼るがゆえに、パラドックスについて一切考えることなく黙々と同じことを繰り返す人が多いのもまた「WCCF」シリーズらしい。

 ここで“ひとつの形”と表したのは、攻撃2人+守備8人といったスタイルにも、また“裏の裏”ともいうべき視点が成り立つからだが、それは先々の連載で少しずつ説明していきたいと思う。いずれせよ、趣味チーム的な遊び方をする人には、相変らずしんどいバージョンであることに変わりはない。


● CPUクラブチームの強さがランク相応に

 スターターから始めたばかりのビギナーを軒並み蹴落としていたCPUクラブチームの難易度が、AIの再調整と相まってかなり弱体化した。ただし、逆風時のSランクのカップ戦(チャンピオンズトロフィー、ジャパントロフィー、インターナショナルチャンピオンシップ)は相当な強さで、特にアタッカーの質を著しく欠くときは、勝利の女神に見放された……というよりは最初から相手にもされてもいない気分が味わえる。


 


■ 鈍足FWに未来はないのか? ~快速FWに頼らない趣味チーム的FW配置例~

 ちまたのロケーションで得点ランキングを見ると、そこには「おなじみの選手」がズラリと名を連ねる。前述のとおり、超人FWは「ボクにお任せ」状態で、よほど馬鹿げた配置でもしない限り大活躍が保証されているに等しいゲームバランスだから、これは当然といえる。

 その一方で、さほど脚力がない普遍的なFWは、シュート、パワー、テクニックなど、他の能力がよほど突出していないと存在さえ許されないといった有様だ。クロスターゲットとして活躍させようにも、結局はピッチ両端を切り裂くWGやサイドアタッカーの突破力や優秀なクロッサーが不可欠。酷い話だが、同じ突破をするならサイドよりもセンターを直接ぶち抜いたほうが手っ取り早いという考え方さえ、このバージョンでは成り立つ。そうなると、ますますもって脚力がないFWの立つ瀬がなくなってしまう。

 「飛びぬけて凄いわけじゃないけど、あのFWが大好きだ。ぜひ『WCCF』でも活躍させたい」という人が、はたして今の「WCCF」プレーヤーにどれくらい含まれているのか、正直筆者には諮りかねる。もしかしたら、そういった人たちは「WCCF」シリーズを見限ってしまったのかもしれない。だが、もし存在しているのなら、次に紹介する選手カードの配置方法をぜひ一度お試しいただきたい。傑出したドリブラーやスピードスターじゃなくても、プレイング次第で相応の結果を残せるはずだ。

● FWを2枚くっつけて並べる

 超人FWに頼らない方法とは、FWの選手カードを2枚ピッタリ横にくっつけた配置だ。一見するとポジションが被ってまともに機能しないように思えるが、実際にゲーム画面で確認すると、2TOPの関係で最終ラインを崩すのに最適な距離感が保たれていることがわかる。視野が極端に狭いFWでも、これならパートナーの位置を認識できる。

 高さは、両者にスピードがないときは2枚とも上端ギリギリがおすすめ。スピードがないぶん、ゴールには1mmでも近いほうがいい。役割を決めたい人は、受け手の側をカード半分くらい下げてもいい。相手がCB2枚をピッタリ重ねてきて、どちらも正対して奇麗にチェックされる場合は、2枚をくっつけたまま左右どちらかにカード1~2枚ぶんずらすと、崩しに適したギャップを作りやすい。

 ただし、こうした2TOPは一定の間隔を維持した普遍的な3バックに苦戦を強いられることが多い。次回以降の連載で触れることになると思うが、これは適切な間合いで3対2の数的優位が作られやすいためだ。これらに対しては、FW2枚をくっつけず、左右CBの背後を目安に、両FWを“離して”配置する。DFの間隔にもよるが、斜め後方の外または内寄りでも構わない。さもなくば、FW2枚を「相手CB3枚のうち、並んだ2枚の背後を取る」ように配置してもいい。大切なのは、FWがボールを受けた時点で“他DFのチェック体制が不十分な状態”を作り出すこと。3対2で考えず、FWがボールを受けた瞬間に相手のチェックを「ふたり」と「ひとり」にしてしまい、一瞬でも“実質的な数的優位”を覆す(というかごまかす)のがポイントだ。

 戦術ボタンの指示は、フォーメーションを崩さず攻撃を安定させる意味でも「無点灯」が基本。これは、FW2枚をくっつける配置でも同様。ボールが味方選手を渡り歩くとき、その一歩手前で先の展開(というか攻撃スペース)を見て瞬時に「望む方向」の戦術ボタンを点灯させていく。普遍的な3バックはCB両サイドのスペースがあきやすいので、FWにボールがわたる瞬間「サイドに流れたほうがリスクが少なそうだな」と判断したら、すぐに戦術ボタン左or右を点灯させること。2枚くっつけた状態で「ここぞ!」という場面で中央突破をはかるなら、ボールが出された瞬間に前方またはカウンターを(一方または同時に)点灯させるといい。

 最終ラインとの兼ね合いもあるが、中盤は最低ふたり以上のミッドフィルダー(MF)をセンターラインより少し上に配置しておきたい。試合表現がダイジェスト形式ということもあり、本作は縦方向のピッチの距離感がかなり短め。よほどパスが苦手な選手でもなければ、センターハーフ(CH)のポジションから最前線のFWにきちんと攻撃を展開させられる。

 FWにボールを安定供給させたいなら、CHは3枚がおすすめ。DFがボールを奪取して中盤にボールを渡す際、選択肢が2枚だと後の展開もやや窮屈なものになりやすい。もしCHからFWへのパスが頻繁にカットされるようなら、相手のフォーメーションを確認しつつCHの位置を微調整するといい。ぴったり重ねられたとしても、カード半分~1枚くらい前後左右にずらせば、それだけで展開がガラリと変わるものだ。


ポジションが被って使い物にならなそうだが、実際には2TOPの関係で崩すのに最適な距離感が得られる。ただし、相手の守備陣系やプレスボタン操作などで一概に有効とは限らないため、以下のように状況にあわせて臨機応変にカード位置を微調整したほうがいい
サンプルチームは「WCCF 2002-2003」モデナ(現モデナの状況が知りたい人は『公式サイト』をチェック)を使いたかったが、スクッリ、カマラ、ファッブリーニなどアタッカンテが優秀なので「これではあまり説得力がないな」と思い、「WCCF 2002-2003」レッジーナに変更。当然、Ver.2.0で追加された3選手(ボナッツォーリ、ファルシーニ、トリージ)は加入させない。一見すると中村俊輔がキーマンに思えるが、実は攻撃陣を中心に連携の相性が悪く、フレンドリーマッチとラウンジの呼び出しを何度も重ねて、やっとサヴォルディと薄線がつくといった有様。司令塔やパサーとしての能力が生かされないことが多いが、それをなんとかしようと試行錯誤するのも「WCCF」シリーズの楽しさのひとつだ

● ペナルティエリア内を固められても“つけいる隙間”はある

 いまだに対人戦でさえカード移動など知ったこっちゃないというプレーヤーが多い「WCCF」シリーズだが、これだけ作を重ねると、そろそろ普遍的にカード移動を駆使する人もチラホラ出てくる。そうした人は、中央に集中した2枚のFWに対して、DFを4~6枚とギッチギチに重ねてくるかもしれない。

 FWをマークするようにDF選手カードを重ねるというアプローチは、基本的に正しい。「そんなふうに守られたら、平凡なFWじゃ点なんて絶対に取れないよ」と思われそうだが、上でも触れている「WCCF EC 2005-2006」で流行したペナルティエリアとバイタルエリアをディフェンシブハーフ(DH)とDF7~8枚で固める超守備的配置は、実はFW2枚を並べるアプローチに対して一定の効果しかない。短期的に上手く守れることもあるかもしれないが、ICカード1枚を通して検証したなら、「WCCF IC 2007-2008」において、ただやみくもに人数をかける守備にあまり意味がないことは数値にも表れてくる。

 質を落としても数で補えるなら「その考え方は正しい」といえるが、少なくとも筆者の経験則にもとづいた見解は異なる。ただし、増やした数を“効果的に配置”できるなら、話は変わってくる。このあたりは、以降の連載で実例とともに紹介したい。


上は石井氏の某チーム。とても手強いが、このようにPA内を固められてもギャップを突いた攻撃布陣は可能。次回以降で触れるが、相手のカード移動に対応することも大切。また、前述のように相手がプレスボタンを押すであろうタイミングには十分注意。配置とは、それも含めて常に微調整していかなければならない



■ 自分なりに一工夫くわえて楽しいプレイを

 今回ご紹介したFW2枚を使った配置は、あくまでも一例。そのまま使うのではなく、自分なりの好みや工夫をくわえて、さらにプレイの質を高めて、より一層「WCCF」を楽しんでいただければと思う。次回は、趣味チーム的な守備陣形の考え方の一例をご紹介する予定だ。



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(2009年 4月 10日)

[Reported by 北村孝和]