★ピックアップ アーケード★

「ワールドクラブ チャンピオンフットボール インターコンチネンタルクラブス 2008-2009」【SIDE-B】連載第1回

  • ジャンル:スポーツ(サッカーゲーム)
  • 開発・発売元:株式会社セガ
  • 操作デバイス:カード移動、戦術ボタン×5、データ表示ボタン、キープレーヤーボタン、シュートボタン、キーパーボタン
  • 構成:サテライト席8席(4サテライト版は4席)+メインモニター、ALLNet対応
  • 料金:1プレイ300円、2プレイ500円、スターターパック1,000円
  • 稼動日:稼動中
【ゲームの内容】

 欧州および南米のトップチームと所属選手が実名で登場するサッカーゲーム。ジョイスティックなどで選手を直接操作するのではなく、フィールド上に“実在する選手のカード”を配置して、それを動かしたり、戦術ボタンなどで指示を与えながらプレイする。練習と試合を繰り返しながらチーム経験を積み重ねていき、チームを強化してカップ戦での勝利を狙う。試合後には選手カードが1枚排出される。



 【SIDE-B】では、バージョン変更にともなうAIや戦術、選手の特徴の変化を扱っていく。ワールドトロフィーにより、本格的な全国オンライン対戦が可能になった本作だが、最初から無理やりにでも“全国の頂点”を目指す必要はない。しかし、あまり勝てないのでは楽しめないことも事実。対CPU戦、対人戦ともに、基本的な戦い方をマスターすれば、ある程度の勝率は得られるはずだ。今後の連載が、その助けになれば幸いである。


※注 …… 本記事の内容は、あくまでも筆者自身がプレイして感じたことに基づいて記述しているものです。状況やカードなどさまざまな要因により、記事どおりにすべてが機能するわけではないことを、あらかじめお断りしておきます。


■ 前バージョンからの変更点 ~サイド攻撃が難しくなり、大量得点が困難に

 前バージョン(WCCF IC 07-08)からの目立つ変更といえば、サイド攻撃が機能しにくくなったことがあげられる。サイド突破は前バージョンと同じように可能なのだが、クロスを上げてもディフェンダーにはじき返されることが多くなってしまった。クロスを上げるのが無意味かといえばそうでもなく、ダイレクトシュートが決まるときもある。しかしその不確実さはリスクが高く、よほど習熟しないとメインの戦法としては使えない。

 では中央を抜けるかというと、ドリブルで抜くのはサイド以上に難しい。しかし中央にある程度選手を配しておけば、パス交換でペナルティエリア近くまで持っていくことができる。実際に得点を取るのは難しいが、このような理由から中央突破を中心とする戦法が増えてきていると思われる。

フォーメーションはさまざまなバリエーションが考えられるが、現状では4-3-1-2のフォーメーションが多く見られるようだ。4バックに3人の守備的MFを配し、トップ下と2人のFWで点を取るというスタイルである。相手の戦術やカード配置によりいくらでも調整の余地があるが、この4-3-1-2フォーメーションは現バージョンの基本になるスタイルといえるだろう。


典型的な4-3-1-2のフォーメーション。ガッチリ守って、中央から仕掛けていく。トップ下選手の能力さえ高ければ、安定した勝率を得やすい5バックの5-2-1-2も守りが堅い。十分に機能するのだが、サイド攻撃をしてくる相手が少ないのであえてこのスタイルにする必要性は低い
片方のサイドを利用した4-4-2スタイル。低い位置のサイドに選手を置き、ポゼッションを高める効果がある。ここからアーリークロスを狙うのがいやらしい中央を3人のFWの連携で崩そうとするスタイル。中盤のダブルボランチの守備範囲がとても広くなる。スタミナを消費するのでそのフォローが難しい


■ 強化されたミドルシュートの決定力

 現バージョンはサイド攻撃、中央突破のどちらも、相手守備陣を崩すのが難しくなっている。しかしそのぶん、ミドルシュートの決定力が上がっているのに注意したい。DFに止められそうな場合は、ペナルティエリアに入る前にミドルシュートを打ってもかまわないのだ。ペナルティエリア外からも、キーパーが触れずに決まってしまうことがある。またキーパーが弾いた場合、コーナーキックからの得点が狙える。このため、遠目からコーナーキック狙いでひたすらミドルシュートを狙うプレーヤーが出てくるくらいだ。

 現バージョンにおけるミドルシュートは、キーパーが不自然なキャッチミスをするという類のものではない。これはゲーム的に計算されているプレイスタイルであり、筆者は特にその戦法についてその是非を論じるつもりもない。ただここで言えるのは、シュートを打つタイミング、FWの選択、GKの選択で状況は大きく変わるということだ。ちゃんと相手のペナルティエリアまで入れるなら、そこからシュートを打ったほうが決まりやすいのは当然。どうしても入れない人は、カード配置や戦術を見直したほうがいいだろう。

 決定力の高いFWを使えば、ミドルシュートは決まりやすくなる。そのいっぽうで、レアカードクラスのGKを使われた場合、ペナルティエリア内からのシュートも弾かれることが多い。もしU-5カテゴリでチームを組むなら、得点を決めるFWとGKにはレアカードを使ったほうがいいだろう。とくに前バージョンに比べ、はるかにGKの重要度は上がっているので注意したい。単純にカードを選ぶだけのことだが、それだけで勝率が変化するレベルだということを肝に銘じておこう。


その強烈なシュートで存在感を示すクリンスマン。得点王に輝いた選手は、シュートの決定力が高い選手がほとんどだ鉄壁の守備を見せるBEカシージャス。ペナルティエリア内からのシュートもよくはじき出す。相手にするとなんともやっかいな選手レギュラーのゴールキーパーは、ミドルシュートに対して厳しい。08-09バージョンにおいては苦戦が予想される


■ パワー型センターバックの復活とスピード値について考える

 スピードがすべてに大きく反映した前バージョンに比べ、現バ-ジョンはスピード値の重要性がやや下がっている。その影響をもっとも受けているのがDF、それもセンターバックだ。

 現バージョンでは、スピード値が10程度でも生き生きと動き、正面からがっちりとFWを受け止めてくれる。BEファーディナンドはスピード値が12だが、まったく問題なく中央を封じ込めることが可能だ。キャンベル、スタムといった巨人DFの価値が、現バージョンでは復活したといえる。

 そのいっぽうで4バックにおけるサイドバック、中盤のサイドハーフについてはスピード値が重要。サイドバックにディフェンス値の高いセンターバックタイプを置くのではなく、スピード値が高い本職のサイドバックを置くと守りやすい。中盤のサイドハーフに、サイドバックが本職の選手を配置するのも有効だ。中盤のボールの奪い合いにおいて、その選手が持つスピードは大きな武器となる。


BEファーディナンドはスピード値が低めだが、センターバックで使えば中央をがっちりシャットアウトする01-02のBEダヴィッツは圧倒的なスピードで中盤を蹂躙する。パワーとスピードが突出していれば、ディフェンス値は低目でも活躍できるスピード対応に優れたサイドバックといえばエブラ。サイドハーフでもサイドバックでも活躍できる。08-09ではテクニック値が上がっているのが地味に役立つ


■ トップ下の重要性 ~戦術のカギを握るキーマン

 現バージョンにおいて、非常に重要になったポジションがトップ下である。ここを経由してボールはFWに運ばれることになるが、今回はパスを出せばいい、というだけではない。ここでのボールの奪い合いが攻守のポイントになるからだ。

 現バージョンでは、中盤のかなり高い位置からボールを奪うことが可能だ。守備的MFだけがボールを奪うわけではなく、FWへのチャンスメイクを担うトップ下の位置でもボールを奪える。実際にトップ下で“ボールを取ったり取られたり”といった状況は、以前よりはるかに多く見られるようになっている。つまりトップ下のポジションは「決定的なチャンスを作る」、「ボールを奪われない」、「ボールを奪う」の3つの要素が求められるのである。

 前バージョンにおいてU-5チームを作る際、筆者はトップ下ポジションにレギュラーカードを使用していた。しかし最近は、レアカードをトップ下に入れるようにしている。トップ下において、ボール奪取とチャンスメイクのどちらをメインに考えるかで戦術は大きく変わってくる。今後勝率を上げていきたいと考えるならば、トップ下の人選を熟慮してみてもいいのではないだろうか。


前線でもボールを奪えるようになったのが大きな特徴。ボールの奪取合戦を制すれば有利に試合を運ぶことができるボールを奪うのがそれほどうまくなくても、パワー値とテクニック値が高ければボールを奪われにくい。取られなければ前線への攻めがつながるトップ下からは、1発のスルーパスで勝負を決められる。できるだけテクニック値の高い選手を選んでおきたい


■ 現バージョンの特徴を把握し、自分なりの戦法を組み立てよう

 今回は08-09バージョンをプレイしていて気がついたことを、ポイント別に抜き出して説明してみた。とりとめのない内容になってしまったかもしれないが、参考になる部分を自分の戦法に応用してもらえれば、と思っている。次回以降は、戦術の理論にもう少し踏み込んで紹介していく予定だ。


※次回【SIDE-A】第2回目は2010年1月18日に掲載予定です。


(C)SEGA
(C) Panini S.p.A. All Rights Reserved
The game is made by Sega in association with Panini.

(2009年 12月 25日)

[Reported by 石井ぜんじ ]