【連載第37回】あなたとわたしのPCゲーミングライフ!!


佐藤カフジの「PCゲーミング道場」


やるなら今だ! 2010年の傑作PCゲーム特集
年末年始の休暇にじっくり遊びたい、珠玉のゲームタイトル1ダース


色々な意味で業界の「最先端」を走る、PCゲーミングの世界。当連載では、「PCゲームをもっと楽しく!」をコンセプ トに、古今東西のPCゲームシーンを盛り上げてくれるデバイスや各種ソフトウェアに注目。単なる製品の紹介にとどまらず、競合製品との比較や、新たな活用法、果ては改造まで、 様々なアプローチでゲーマーの皆さんに有益な情報をご提供していきたい。



■ 年末年始にやっておきたい、2010年のベストPCゲーム

 いよいよ年の瀬、今年1年の総決算。PCゲームの世界にもあんなタイトル、こんなタイトルあったねと記憶が走馬灯のように蘇りそうな時期だ。

 今年最後の連載では、2010年最後のPCゲーム道場として今年のPCゲームタイトルを振り返ってみたい。発売日に速攻で購入してさんざん遊び倒したタイトル、気にはなっていたけど見逃してしまったタイトル、あるいは運悪く気づきもしなかった傑作ゲーム。みなさんにも色々とおありだろう。

 というわけで本稿では、2010年に発売された、あるいは話題になった傑作PCゲームタイトル12本をピックアップ。「総合部門」、「アクション/FPS部門」、「ストラテジー/箱庭部門」、「レース/シミュレーター部門」、「インディーズ部門」と5ジャンルにわたってチョイスしてみたので、ぜひ年末年始のゲーム選びの参考にしてみてもらいたい。

 今回1ダースの傑作タイトルをピックアップするにあたり、筆者の独断では心もとないので、海外ゲーム/PCゲーム販売をメインビジネスとする秋葉原のショップ2店舗にご協力を頂いた。インディーズゲームを含めて渋いチョイスを示してくれた「メッセサンオーカオス館」と、売れ線のタイトルを外さず教えてくれたパソコンショップ「アーク」の両店の2店舗である。

 さすが両店ともPCゲームのプロフェッショナルで、かなりの部分で同じタイトルの名が挙がってきた。そこに筆者のチョイスも含めて、3者の意見が一致しそうなところで12タイトルに絞り込んだ次第だ。では早速、2010年を彩った1ダースの傑作タイトルをジャンルごとに紹介していこう。Steamで購入可能なゲームは、セール中の今が狙い目かも?!



■ これ1本で満腹まちがいなし! 総合部門

【Fallout: New Vegas】

デベロッパー:Bethesda Softworks
パブリッシャー:日本未発売
ジャンル:アクションRPG
価格:49.99ドル(北米版)

 ノンジャンルの総合部門でまず取り上げたいのは、カオス館とアーク双方で名前の挙がったアクションRPG「Fallout: New Vegas」。プレイステーション 3/Xbox 360向けにゼニマックス・アジアから日本語版がリリースされているので、ゲーム内容については、ここで改めてご紹介するよりも弊誌レビュー記事をご覧いただくほうが良いだろう。

 「Fallout: New Vegas」はPS3/Xbox 360版ですでにプレイしたという方も多そうだが、PC版は、「The Elder Scrolls IV: Oblivion」、「Fallout 3」と続くBethesda SoftworksによるアクションRPG作品の例にもれずMODをサポートしている。特に本作は「Fallout 3」と同じゲームエンジンを採用しているため共通性が高く、早速多数のMODが「Fallout 3」から移植されているようだ。人気なのはちょっとしたグラフィックスの変更・追加や、ゲームプレイの利便性を向上させるものなど。コンシューマー版の経験者でも、気分を変えてプレイできる。

 なお、ご存じのようにPC版には日本語版は存在しないが、大物PCゲームではお約束のPCゲームファン有志による日本語化パッチが存在するため、英語が苦手でもプレイできるようになっている。もちろんアンオフィシャルな存在なので、日本語化モジュールの入手・導入は自己責任で! まあ、それがPC版ならではの遊び方でもあるわけだが。





【Mount&Blade: Warband】

デベロッパー:Tale Worlds
パブリッシャー:サイバーフロント
ジャンル:アクションRPG
価格:8,190円(国内版)

 総合部門として次に取り上げるのは、カオス館からインディーズ部門で名前が上がり、筆者もイチオシなアクションRPG「Mount&Blade: Warband」。8月末にサイバーフロントより完全日本語版がリリースされており、弊誌でレビューを行なっているので是非一読してみてほしい。グラフィックスはイマドキのタイトルと比較するとちょっとショボいかもしれないが、このゲーム性はホンモノであり、圧倒的なおもしろさだ。

 本作は歴史そのものは非常に長く、インディーズゲームとして2002年ごろから細々と成長を続けてきたゲームだ。そのためちょっと前までは「知る人ぞ知る」という、少々手を出しにくい作品であったが、昨年Paradox Interactiveの手でパブリッシングされたことを契機に、PCならではの傑作アクションRPGとしてかなり有名な存在になっている。

 PCならではというのは、本作のアクションがマウスを前提としたアナログチックな物になっていること、開発元がユーザーフィードバックを受けてしょっちゅうゲームにアップデートをかけていること、そしてMODを公式にサポートしていることの3点による。

 特にMODサポートは充実しており、少し前までマイナーなインディーズゲームだったということが信じられないくらい、大規模なMODが多数発表されている。筆者は今年、本作を軽く100時間以上プレイしているが、暇さえあればまた起動したくなってしまう……。それから、大きな声では言いづらいけれども、安価なSteam版を購入して有志版日本語化パッチで遊ぶこともできるので、お好きなほうでどうぞ。





■ スカっと爽快! 3Dアクション/FPS部門

【Call of Duty: Black Ops】

デベロッパー:Treyarch
パブリッシャー:スクウェア・エニックス
ジャンル:FPS
価格:オープンプライス

 メッセサンオーカオス館がFPS部門のトップに挙げ、そしてアークが総合トップに挙げたのが本作、ご存知「Call of Duty」シリーズの最新作。PC版は日本語字幕版としてスクウェア・エニックスからパッケージ販売されている。11月18日に発売されたばかりのまだホットな作品で、PCゲームショップ店頭での反応もすこぶる良好なようだ。本作の弊誌インプレッション記事はこちら

 どちらかというとコンシューマー版がメイン市場となる本作だが、PC用FPSとしてもやはり秀逸な作品であることは間違いない。FPSはやはりマウスでプレイしたい、というこだわりのあるプレーヤーならPC版でプレイすることでより楽しい時間を過ごせることだろう。

 本作は重厚なシングルプレーヤーキャンペーンと多彩なマルチプレーヤーゲームが共に高い評価を得ており、当分はPC上でも熱いマルチプレイバトルが繰り広げられそう。筆者はまだほとんどプレイできていないので、本作を年末年始の時間を使ってプレイするゲームの筆頭と考えている。





【Battlefield: Bad Company 2】

デベロッパー:EA DICE
パブリッシャー:エレクトロニック・アーツ
ジャンル:FPS
価格:オープンプライス

 FPS部門で各ショップから名前が挙げられたのが本作「BFBC2」。PC、PS3、Xbox 360のマルチプラットフォームで今年春にリリースされて以降、じわじわとアップデートやDLCの追加が行なわれてきており、気がつけばすっかりPCの対戦型FPSとしても定番中の定番という1本になっている。コンシューマー版のレビューはこちら。PC版の内容もほぼおなじだ。

 充実したシングルプレーヤーモードが存在することはもちろんとして、対戦ゲームとしても非常にバランスの良い作りとなっている本作。エレクトロニック・アーツからは最近同系統のタイトルとして「Medal of Honor」がリリースされているが、どうも評判を見る限り「BFBC2」の人気がまだ根強いようだ。

 発売当初は国内サーバーが不足していたり、ゲーム内のサーバーブラウザの動作が微妙だったりでプレイを止めていた人もいるかもしれないが、その後マッチング関連の問題はあらかた解決されて現在は理想的な状況で遊べる。恐らくBFBCシリーズの次のナンバリングタイトルが出るまでは、当分定番の対戦タイトルであり続けそうだ。





【Aliance of Variant Arms (A.V.A)】


デベロッパー:Redduck/Neowiz
パブリッシャー:ゲームオン
ジャンル:オンラインFPS
価格:アイテム課金制

 避けて・狙って・撃ってと、テンポ良く遊べるFPS部門で欠かせないのが本作「AVA」。オンラインゲームであるためPCショップの方からは名前が挙がらなかったが、筆者が見るに本作は国内のPC向けFPSシーンでいま1番勢いのあるタイトルだ。

 開発を韓国のRedduckが担当する本作はゲームエンジンにEPIC Gamesの「Unreal Engine 3」を採用、技術的に最新のパッケージゲームとほぼ同等の水準にある。グラフィックスの良さはもちろん、個々のPCに合わせたセッティングの柔軟性もしっかりしており、欧米のFPSをよく知るユーザーも納得のデキだ。

 その上で本作は、オンラインFPSとしても非常にバランスの良い、秀逸なつくりになっている。オーソドックスなものから個性的なものまで5種類のゲームモードを備え、長期にわたる成長要素が習慣的なプレイをより楽しく刺激する。収益源である有料アイテムはたしかに魅力的だが、利用せずとも対戦上、大きな不公平感を感じることはない。

 少し前まではオンラインFPS界のダークホース的な立ち位置にあった本作だが、近頃はユーザー数を急激に伸ばし大規模なオフラインイベントも催されるようになった。ポスト「サドンアタック」候補の筆頭格になりつつあると筆者は見ている。パッケージ系のFPSとは違ってユーザー数が圧倒的に多く、正月三が日にプレイしても対戦相手に困ることは決してあるまい。





■ じっくり楽しい! ストラテジー/箱庭ゲーム部門

【Starcraft II: Wings of the Liberty】

デベロッパー:Blizzard Entertainment
パブリッシャー:日本未発売
ジャンル:RTS
価格:59.99ドル(北米版)

 出すタイトルが全部メガヒットになることで有名なかのBlizzard Entertainmentにて、「Diablo」、「Warcraft」と共に3本柱を形成する「Starcraft」シリーズ。その後継作である本作は、非常に高い前評判に違わず素晴らしいゲームに仕上がっている。弊誌レビュー記事はこちら

 洗練に洗練を重ねる開発スタイルのBlizzardが13年という長期をかけたこともあって期待は高まり、発売初日にパッケージ・DL販売を合わせて軽く200万本以上を売り上げたというから凄い。発売後の勢いも凄まじく、「Starcraft II」最大のマーケットと言われている韓国では、プロリーグイベントのネット中継に視聴者数十万人が殺到して放送サービスがパンクしたとも伝えられている。

 というわけで世界的には大流行の本作だが、ここ日本ではいまひとつ盛り上がらないでいる。というのも日本語版が存在しないこと、日本国内の販売代理店すら存在しないことなどから、本当に好きな人だけが買っていくような形になっているからだ。とはいえ、今回ご協力いただいた2店舗ともにベストストラテジーゲームに本作を挙げているので、並行輸入品の売り上げは上々の模様。

 筆者自身のプレイ経験はまだ浅いが、カオス館、アーク共に、いの1番にその名を挙げた本作はやり込むだけの価値があるだろう。上記の「CoD:BO」と並び、年末年始の時間を利用してじっくりプレイしてみるつもりだ。





【Sid Meier's Civilization V】

デベロッパー:Firaxis Games
パブリッシャー:イーフロンティア
ジャンル:ターン制ストラテジー
価格:9,240円(国内版)

 ターン制ストラテジーゲームの最高峰として鳴物入りで今年10月にリリースされた本作は、カオス館とアークの両店舗ともベストストラテジーゲームの2番手に挙げた。筆者もまた本作を、やっておくべき2010年のゲームのひとつとして是非ご紹介したいと考える。ゆるやかな時間を、まったりと頭脳を刺激するのにぴったりなゲームだ。弊誌レビュー記事はこちら

 さて、PCゲーマーがなぜPCでゲームをプレイするのか? という理由の一端を担うほどPCゲーム界隈では重要なシリーズである「Civilization」。最新作である本作は、少々期待充分とは言えない完成度でリリースされてしまった。外交・内政関連の戦略オプションに従来作ほどの柔軟性が確保されていないのがその主要な理由だが、それでもまあ筆者はこの2カ月で100時間近くプレイしてしまった。それで不満が出てしまうのは、前作「Civilization IV: Beyond the Sword」が凄すぎたせいだ!

 と、シリーズのヘビープレーヤーならブーたれてしまうところもあるのも事実だが、やはり本作も「次のターン」が気になって延々プレイしてしまう魅力的なゲームであることにはかわりない。開発元のFiraxis Gamesではさらにゲーム性を改善するために積極的にアップデートを行なっており、これからプレイする人はより良い状態の「Civ V」を見ることになるだろう。





【Tropico 3】

デベロッパー:Haemimont Games
パブリッシャー:ズー
ジャンル:箱庭シミュレーション
価格:8,190円(国内版)

 ゴキゲンな箱庭ゲームで常夏気分の正月を過ごすなら、南の島の独裁者になる箱庭シム「Tropico 3」がオススメだ。本体のゲーム自体は2009年末に発売されたものだが、今年5月に拡張パック「Absolute Power」がリリースされ、ゲームコンテンツがおよそ倍に膨れ上がって、改めてプレイするに値するパッケージに仕上がっている。Xbox 360版のレビューはこちら

 Xbox 360版と同様、PC版にも日本語版がリリースされているので、英語が苦手な人は利用したいところ。価格は「Tropico 3」本体が8,190円で、拡張パック「Tropico 3 Absolute Power」は3,990円となっている。英語に抵抗感がない人は英語版という手もある。英語版のみとなるSteam版は、通常価格で本体が14.99ドル、拡張パックが4.99ドルと、円高傾向を考えなくてもビックリ価格。本体と拡張パックを合わせた「Gold Edition」が19.99ドルで、さらに本稿執筆時の年末セールで50%オフの9.99ドルと、一般サラリーマンのお昼ごはん代くらいになっている。この傾向は本作に限った話ではないが、はてさて……。





■ とことん攻めるなら! レース/シミュレーター部門

【F1 2010】

デベロッパー:Codemasters
パブリッシャー:イーフロンティア
ジャンル:F1シミュレーション
価格:8,000円(国内版)

 今年10月に登場したばかりの本作は、おそらく筆者が今年いちばんプレイしたレースゲームであり、「あと0.1秒」を削るために同じコースを何百周も走りこむ楽しさを堪能することができたゲームだ。PS3とXbox 360版は開発元の日本法人であるコードマスターズから発売されているが、PC版はイーフロンティアからパッケージ販売されている。弊誌レビュー記事はこちら

 取材協力を頂いた2店舗ともにレースゲームのベストに挙げた本作は、2010年シーズンのF1シーンが終わってしまった今でも面白く遊べる。PCでは幅広いチョイスのハンドルコントローラーが使えるほか、強力なPCであればコンシューマー版以上のフレームレートでプレイできるなど、本格的にプレイするならメリットも多い。各種の非公式MODで車体やヘルメットのデザインを変更するといった遊び方もある。

 ただジャンル柄、オンラインマルチプレイは欧州ユーザーが圧倒的に多いので、国内のお友達を見つけないとなかなか日本人同士でレースという形にはならないのがある意味では難点。筆者はむしろ、タイムアタックランキングで世界上位を目指すという遊び方を好んでいる。さあ、YAS MARINAでセッティングを詰めてあと0.05秒削ってみようか……。

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【Need for Speed: Hot Pursuit】

デベロッパー:Electronic Arts
パブリッシャー:エレクトロニック・アーツ
ジャンル:カーアクション
価格:オープンプライス

 カオス館、アークともにベストレースゲームとして挙げたのが本作、「Need for Speed: Hot Pursuit」。PS3/Xbox 360/PCのマルチプラットフォームタイトルであり、筆者としてはどちらかというとコンシューマー機向きの作品に思えるのだが、逆に言うとPCで遊べるゲームとしては珍しいほど痛快・爽快方向にシフトしたゲーム性が良いとも言える。弊誌レビュー記事はこちら

 PCゲームを商う両店舗が本作をベストのひとつに挙げたのは、やはり本作がPCで生まれた「Need for Speed」シリーズの系譜を継ぐ作品であるからだろう。シリーズを通じてカーシミュレーション寄り/カーアクション寄りといったブレを繰り返しながら進化してきた結果としての本作は、全力でぶっちぎりのカーアクションゲームとなった。

 ガチガチのハードコアシムを好むPCレーサーはともかく、純粋にゲーム好きのユーザーなら誰でも楽しめてしまう包容力が本作にはある。PS3かXbox 360を所有していればそちらのバージョンを筆者はオススメするが、ゲーム環境がPCのみなら、ぜひPC版でチャレンジしてみよう。





■ 安いぞ面白いぞ! インディーズ部門

【Torchlight】

デベロッパー:Runic Games
パブリッシャー:Perfect World
ジャンル:アクションRPG
価格:19.99ドル(Steam)

 大作志向が続くアクションRPGジャンルにあって、インディーズ系開発会社であるRunic Gamesがリリースした本作「Torchlight」は、発売半年ほどで世界50万本以上のセールスという快挙を成し遂げた。本作は「Diablo」タイプの見下ろし型アクションRPGで、レベルを上げながらダンジョン深く探検し、無数のアイテムを漁り、クエストをクリアしていくという、今となっては珍しいほどオーソドックスなRPGなのだ。その面白さを素直にまとめあげたことが、本作のまさに良いところ。

 発売は2009年の末頃なので正確には2010年のゲームとは言えない本作だが、今年5月に中国のオンラインゲーム企業Perfect World(北京完美時空網絡技術有限公司)が独占販売権を獲得したことで、ヒットゲームとしての立ち位置を新たにしている。現在「Torchlight 2」の開発が進行中であり、またMMOバージョンの登場も噂されているという、まさに2010年における話題のゲームと言えよう。

 アクションRPGとしての完成度は非常に高く、「Diablo」ライクな探索・トレジャーハンティング系のRPGが好きな人なら確実に気に入るはずだ。テキストについては有志による日本語化MODがある。マルチプレイモードがないのは残念なところだが、そのあたりは次回作で「完美」してくることだろう。是非いまのうちにプレイして欲しいPCゲームの1本だ。価格も安いので、Steamデビューの1本としてもオススメ。





【The Ball】

デベロッパー:Teotl Studios
パブリッシャー:Tripwire Interactive
ジャンル:パズルアクション
価格:19.99ドル(Steam)

 インディーズ系開発会社も「Unreal Engine 3」を使ってゲームを作る時代だ。本作「The Ball」は、重々しい巨大な球体を操り、アステカの遺跡に散りばめられたパズルを解きながら突き進んでいくFPSスタイルのパズルアクション。2009年末に公開が始まった「Unreal Engine 3」のインディーズ向けバージョン「UDK」を使用しており、グラフィックスのレベルは非常に高い。

 ゲーム内容はひときわユニークだ。プレーヤーに与えられた武器は、球体を引き寄せたり弾き飛ばすだけの特殊な装置のみ。ほぼ「Half-Life 2」のグラヴィティガンだ。そしてプレーヤーは、その武器を使い、唯一自在に操ることのできる巨大な球体「The Ball」を転がし、引きずり、ダンジョンに隠された様々なパズルを解いていく。レベルデザインの妙技だけで構成されたパズルの数々は手応えアリ。ボールを使っての巨大モンスターとの戦闘もあり、退屈させない展開が楽しめる。唯一の難点は、ボールをごろごろ転がしていくゲーム性のためか、やや3D酔いしやすいこと……。

 本作は元々「Unreal Tournament 3(UT3)」のMODとして非常に高い評価を得ていた作品で、もし「UT3」を既に持っているならMOD版で同様のゲームを無料で遊ぶこともできる。製品版はグラフィックスの向上や、新たに作成されたレベルデザインなどで差別化が図られているので、Steamのセールで安くなったタイミングなどに狙ってみるといいかもしれない。





(2010年 12月 28日)

[Reported by 佐藤カフジ ]