レビュー

ゲーミングキーボード「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」レビュー

ゲームも仕事もこれ一つで。弱点を解消した国産ゲーミングキーボードをチェック

【ZENAIM KEYBOARD2 TKL】
10月14日 発売予定
価格:39,600円

 東海理化は、ゲーミングキーボード「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を10月14日に発売する。価格は39,600円。

 本製品は、2023年に発売された初代「ZENAIM KEYBOARD」の後継モデル。初代ユーザーからのフィードバックを反映し、打鍵感や耐久性をアップデートした「ZENAIM KEYBOARD」の完成形だ。一足早く60%サイズの「ZENAIM KEYBOARD2 mini」が9月に発売されているが、本製品は初代と同じテンキーレスサイズ。ラインナップはJIS配列とUS配列の2種類となっている。

 今回、東海理化より発売前に2週間ほど試用する機会をいただいたので、本稿では「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」のレビューをお届け。初代「ZENAIM KEYBOARD」ユーザーである筆者が、外観や使用感、初代モデルからのアップデートポイントを検証していく。なお、60%サイズの「ZENAIM KEYBOARD2 mini」のレビューも別途掲載されているので、こちらも併せてご覧いただきたい。

【ZENAIM 新製品発表会】

見た目は初代と変わらず。「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の外観をチェック

 まずは「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の外観をチェックしていこう。筐体は初代「ZENAIM KEYBOARD」と全く同じで、グレーの金属製トッププレートに、ブラックのキーキャップが整然と並んだシンプルなデザインとなっている。見た目だけで初代モデルと「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を見分けるのは不可能に近い。

 デザイン自体は初代モデルの時点で評価を得ており、筆者もいい意味でゲーミングキーボードらしくない「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」が好きだ。一方で、トッププレートの左右の余白はそのままとなっており、少し間延びしている感も否めない。「ZENAIM KEYBOARD2 mini」のように左右の余白も詰められると、よりスッキリとしたデザインになるだろう。

こちらが「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」。ゲーミングキーボードらしくない、シンプルなデザインが特徴的
全高は約24.5mm。ロープロファイルらしい、パームレストいらずの薄さとなっている
画像上が筆者所有の初代モデル、画像下が「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」だが、外観は全く同じだ
トッププレートの余白も14.9mmと同じ
「ZENAIM KEYBOARD2 mini」と比較。キーの数は全く違うが、どちらも一目でZENAIMとわかるシンプルなデザインだ
だが「ZENAIM KEYBOARD2 mini」の余白は6.1mm。miniの方が少しスッキリとした見た目になっている
ロジクールG「PRO X TKL RAPID」とも比較。同じテンキーレスサイズで、ラピッドトリガーに対応しているが……
ロープロファイルとフルハイトというのが大きな違いだ
「PRO X TKL RAPID」も左右の余白はかなり詰められている。今後の「ZENAIM KEYBOARD」のデザイン刷新にも期待したい
メディアコントロールがない分、「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の方が奥行きは短い

 上側面にはUSB Type-C端子を右側に配置。先に発売された「ZENAIM KEYBOARD2 mini」ではUSB端子が左側に移設されていたが、「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」では初代モデルと同じ右側に配置されることとなった。

 FPSゲーマーは、ゲームプレイ中にキーボードを右斜め下に傾けるユーザーが多く、USB端子が右側に搭載されていると、USBケーブルがマウス操作の邪魔になることがある。昨今のFPSゲーマーの間では60%サイズのキーボードが主流となっているため、本製品では据え置かれたのかもしれないが、次のモデルではTKLモデルもUSB端子を左側に配置してほしい。

USB端子は上側面の右側に搭載されており、初代モデル(画像上)と同じ
「ZENAIM KEYBOARD2 mini」(画像上)はUSB端子を左側に移設
「PRO X TKL RAPID」もUSB端子は左側に搭載。次のTKLモデルはUSB端子を左側に搭載してほしい

 キーキャップは初代モデルに引き続きABS製で、見た目に変わりはないが、塗装保護層に用いる塗料の構成を変更。「ZENAIM KEYBOARD」らしい指に吸い付くような触感を維持しつつ、摩耗しにくくなり、より長く使えるキーキャップへと進化させた。今回、ゲームに加えて仕事でも「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」をフルに活用してきたが、キーキャップに傷は見られなかった。

「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」のキーキャップ(画像左)。初代モデル(画像右)と見た目に変化はないが、耐久性がアップしている

 また、底面に貼り付けられている滑り止めの素材も変更。従来のウレタン系素材から、よりグリップ力の高いシリコン系素材を新たに採用し、より滑りにくくなった。実際「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」のグリップ力はかなり高く、指で軽く押してもびくともしない。ゲームプレイ中、不意に動いてしまうようなことはほとんどないだろう。

 もちろん、シリコン系素材の滑り止めはチルトスタンドにも用いられている。なお、傾斜は0度、4度、8度の3種類で変わっていない。

底面の滑り止めはシリコン系素材へ変更。傾斜は0度、4度、8度の3種類
初代モデルではウレタン系素材が用いられていた。この滑り止めの素材が、初代モデルと「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を外観だけで見分ける唯一の違いだ
滑り止めの素材を変更したことで、グリップ力はかなりアップ。ゲームプレイ中に不意に動くことはほぼないだろう

テンキーレスの安心感。「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の使い心地をチェック

 ここからは「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の使用感を紹介していく。まず、最大のアップデートポイントはやはり打鍵音の違いだ。

 初代「ZENAIM KEYBOARD」は、吸音材として日東電工の「エプトシーラー」が用いられていたが、筐体内の反響音が大きく「カタンカタン」という軽めの打鍵音となっていた。筆者は、この打鍵音が初代「ZENAIM KEYBOARD」の最大の弱点であると考えており「もう少し重めの打鍵音で、音も小さくなってくれたらな……」と感じていた。

 実際、打鍵音に関する要望は多く届いたようで「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」では、新たにイノアックコーポレーションの吸音・制振材料「カームフレックス」をトッププレートとPCBの間に内蔵。従来の「エプトシーラー」との合わせ技で、筐体内の反響音を封じ込めた。

 その結果「カタカタ」と落ち着いた打鍵音となり、音も静かになった。それだけでなく、打ち比べてみると「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」は指先に伝わってくるバネの振動が少なくなっていることがわかった。これによって、長時間使ってもストレスフリーなゲーミングキーボードへと進化している。

こちらは初代「ZENAIM KEYBOARD」。トッププレートとPCB基板の間は空洞となっている
一方の「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」は、トッププレートとPCB基板の間にスポンジのようなものが見える。これが「カームフレックス」だ
これによって落ち着いた打鍵音となり、指先に伝わってくるバネの振動も少なくなった

 キースイッチは、独自の「ZENAIM KEY SWITCH」を採用。0.05mm単位でアクチュエーションポイントを調整できるほか、ラピッドトリガーに相当する「MOTION HACK」、同時押し時の挙動を変更できる「SOCDクリーナー」、周囲の温度に応じてマグネットの磁気の強さを補正する「温度補正機能」といったハイエンドに相応しい機能を備えている。

 これらの機能は初代モデルと差異はないが、あくまで「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」は主にハードウェア周りのアップデートが施されたモデルだ。一方で、先述の通り打鍵音が静かになったため、よりゲームに集中できるようになったと筆者は感じている。

キースイッチは初代モデルと同じ「ZENAIM KEY SWITCH」を採用
「ZENAIM SOFTWARE」からラピッドトリガーの設定ができるほか……
移動キーが同時に押された際の挙動を変更できる「SOCDクリーナー」
個体差や設置場所など、様々な条件下でも最適な状態に調整できる「ユーザーキャリブレーション」
LEDライティングの変更も可能となっている

 また、今回は60%サイズの「ZENAIM KEYBOARD2 mini」とテンキーレスサイズの「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を同時にお借りしたのだが、使用時間は「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」の方が長かった。

 というのもテレワーク中心の筆者は、仕事とプライベートでのゲームを同じデスクでこなしており、仕事中はFNキーやカーソルキーのある「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を使用していたためだ。「ZENAIM KEYBOARD2 mini」のコンパクトなサイズ感も魅力なのだが、やはりキー数が少なく、FNやカーソル操作には同時押しが必要となるため、基本的にはFPSゲームをプレイする際に使用していた。

 この原稿も「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を用いているが、タイプミスも少なく、快適に執筆ができている。打鍵音も静かになったため、オフィスワークにも向いているだろう。それでいて、ゲームに必要な機能も一通り揃えている。仕事とゲーム両方を快適にこなせる二刀流のゲーミングキーボードなのだ。

レビューの執筆にも「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」を使用。仕事とゲームの両方を快適にこなせるゲーミングキーボードだ

最大のネックだった“価格”も改善。あなたは「ZENAIM KEYBOARD2」miniとTKL、どっちを選ぶ?

 ここまで「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」のレビューをお届けしてきた。本製品は、初代モデルの弱点だったキーキャップや滑り止めの耐久性、そして打鍵感を改善したことで、約2年越しに「ZENAIM KEYBOARD」を完成させた。もちろん、トッププレートの余白やUSB端子の位置など、まだ改善できる余地はあるが、この辺りは今後のフルモデルチェンジに期待したい。

 また、初代モデルの最大の弱点だった価格(発売当時:48,180円)も改善。量産に関わる全てのコストを見直したことで「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」は39,600円と、他社のフラッグシップゲーミングキーボードの価格帯にまで抑えることに成功した。初代モデルの価格がネックで購入を躊躇していた方には朗報だ。

 本格的にFPSゲームをプレイする人に向けた「ZENAIM KEYBOARD2 mini」、仕事とゲームを両立できる「ZENAIM KEYBOARD2 TKL」、ぜひ自分の用途に合った「ZENAIM KEYBOARD2」を検討してみてほしい。