レビュー

「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」レビュー

ゼルダ姫がシリーズ初の主人公に! “知恵”を活かした「カリモノ」アクションの戦略性の高さにハマる

【ゼルダの伝説 知恵のかりもの】

9月26日 発売予定

価格:
7,678円(パッケージ版)
7,600円(ダウンロード版)

 任天堂はNintendo Switch用アクションアドベンチャーゲーム「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」を9月26日に発売する。1986年から続く「ゼルダの伝説」シリーズの歴史の中で初めて主人公がリンクではなく、ゼルダ姫となった異色の最新作だ。

 「ゼルダの伝説 知恵のかりもの」では、2019年に発売されたSwitch版「ゼルダの伝説 夢をみる島」の見下ろし型の愛らしい3Dグラフィックスを採用。マップ構造などの一部を継承しつつ、ゼルダ姫を主人公に据えたことで、これまでのシリーズとは一線を画したゲームデザインが施されている。

【ゼルダの伝説 夢をみる島】

 シリーズ新機軸のプレイフィールを追求しつつ、これまで通りの面白さも備えた本作のレビューをお届けしよう。なお、本レビューでは物語中盤までのシーンを含んでいるため注意してほしい。

「プリンセスピーチ Showtime!」に続き、シリーズのヒロイン的なキャラクターを主人公に据えた最新作だ
【ゼルダの伝説 知恵のかりもの 紹介映像】

謎の裂け目に呑まれたリンクが神隠しに!? 彼のフードを受け継いだゼルダ姫がハイラルに旅立つ

 物語はガノンに囚われたゼルダ姫のもとに剣士リンクがやってくる、いきなりのクライマックスシーンから始まる。激闘のすえにガノンを倒すリンクだったが、ガノンが残した槍の先から発生した謎の裂け目に呑み込まれてしまう。彼が最後の力で放った矢によって脱出したゼルダ姫は、リンクの無事を祈りながらハイラル城へと戻っていく。

ガノンと対峙する剣士リンク。ここの戦いもプレイヤーの操作で進めることになる。リンクの強さを実感できるシーンだ
裂け目に呑まれるリンクの矢がゼルダ姫を閉じ込めている結界を破った
大きく広がっていく裂け目。ゼルダ姫は謎の光に導かれ、辛うじて脱出に成功する

 兵士達とともにハイラル城に戻ったゼルダ姫だったが、城の中にも発生した裂け目に父である王様と大臣達が呑み込まれ、そこから現われたニセモノの王様によって牢獄に閉じ込められてしまう。どこからか現われた妖精「トリィ」から、世界にあるモノを借りて作り出す「カリモノ」の力と杖を授かったゼルダ姫は牢獄を脱出し、ハイラル全土に広がる裂け目と、人々が裂け目に呑まれて消える「神隠し」の謎に迫っていく。

ハイラル城に戻ったゼルダ姫だったが、ニセモノの王様によって投獄されてしまう
ゼルダ姫にカリモノの力が使えるトリィロッドを授ける妖精トリィ。以降は道中の相棒となる

 全体的に可愛い見た目ながら、これまでのシリーズ同様に実にドラマチックなプロローグで始まる本作。その途中でハイラルを俯瞰で見せるタイトル画面が入る演出も巧みで、ゼルダ姫が紡ぐ新しい物語の盛り上がりを期待させてくれる。

広大なハイラルに発生した「裂け目」を閉じていくゼルダ姫とトリィの旅路

 ゼルダ姫とトリィが旅するハイラルにはいくつかの地域があり、謎の裂け目はその全土に広がっている。ハイラル城を中心に「ハイリア湖」や「ゲルド砂漠」、「ジャブール水域」、「フィローネ湿原」、「カカリコ村」、「オルディン火山」、「へブラ山」などシリーズでも馴染み深い地域が登場し、ゼルダ姫らハイリア人以外にもゾーラやゲルド、ゴロン、デクナッツなど住んでいる種族も多彩だ。

プロローグとタイトル画面で見られるハイラルの情景。そこに黒い裂け目が広がっていく……
シリーズおなじみの種族も登場。彼らもまた裂け目に悩まされている
久しぶりの登場となるデクナッツ。本人達よりもゼルダ姫のほうが悩まされるかも!?

 フィールドはオープンワールドの作りではないがかなり広く、“カリモノ”を使いこなすことで、序盤からかなり広範囲を自由に行き来できるようになっている。

 詳しくは後述するが、カリモノとはさまざまなモノの力を覚えて、それを作り出すことができる能力のこと。家具や食べ物、魔物などをその場に作り出すことで、ゼルダ姫の旅の助けになってくれる力だ。

 「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」などと同じ「冒険手帳」とマップに現在進行中の「メインチャレンジ」(重要なストーリーイベント)と「ミニチャレンジ」(ストーリーに直接絡まないサブイベント)が表示されるので、それを頼りに進むのが基本となるが、先にあちこち歩き回ってカリモノを増やす進め方もあるだろう。

マップには概要が描かれていて、その場所を訪れると詳細が表示されていく。目的地などにピンを打てる便利機能もある
マップの各所には「しるべ」という物体があり、これを調べておくとどこからでもワープして戻ってこられる。ダンジョン内にも存在する

 裂け目は本作におけるダンジョンのようなもので、その中は呑まれてしまった風景がバラバラになって存在する「無」の世界だ。呑み込まれた世界の破片がそのままダンジョンになっていて妙な感覚だが、カリモノの力もあり、足を踏み外して落ちてもダメージは受けないので、意外にストレスなく進められる。この中にはトリィの仲間達が封じ込められていて、彼らを見つけることで裂け目を塞ぐことができる。

トリィの力を借りて入っていく裂け目の中の無の世界。バラバラになった風景が迷路のように重なっている
小さな裂け目はトリィの仲間達を見つけることで塞ぐことができる

 メインチャレンジに絡む巨大な裂け目には、ハイラルに元から存在した遺跡や洞窟などのダンジョンがまるごと呑み込まれていることもあり、このときは内部が複雑になり、最深部にはボスが登場する。ボスを倒して裂け目を塞ぐことができれば、その区域と呑み込まれていた人々が復活し、そこを起点とした新たなストーリーが展開していく仕組みだ。

複雑な構造と手強い仕掛けがゼルダ姫の行く手を阻む
「夢をみる島」から継承した横視点の場所もある
最深部にはボスが登場。そのダンジョンで培った知恵とカリモノ使って倒すのだ

お借りしたモノを自在に作り出して、進む道を切り開こう!

 本作で主人公となったゼルダ姫は、敵を攻撃する力を持っていない。そこで役立つのがここまで何度か出ている「カリモノ」の力だ。トリィから「トリィロッド」なる杖をお借りした彼女は、旅の途中で見つけられる特定のモノに対して杖を振るとそのモノの力を覚え(=力をお借りする)、任意に作り出せるようになるのだ。

覚えられるモノは光っているので一目でわかる。これに対してロッドを振ろう

 覚えられるモノは街やフィールドに無数に存在し、一度覚えたモノはいつでも作り出せるようになる。ゲージ消費などのリスクはないが、それぞれには「コスト」が設定されていて、その上限を超えて作り出すと、先に作ったものから順に消えてしまうというルールがある。

 コストは旅を進めてトリィのレベルが上がるとその上限が増えたり、カリモノ自体のコストが下がったりしていくので、先に進むほど一度にたくさんのカリモノを作れるようになるのだ。

覚えたカリモノはメニューの「図鑑」に登録される。アイコンの上に見える三角形がコストだ
方向ボタン右もしくはLボタンを押すとゲームが一時的に止まり、カリモノのショートカットが表示される。ソートもできるので素早く選べる
コストの上限はトリィの後ろにある▼の数が表している。トリィのレベルが上がるとこれが増えていく

 カリモノにはとにかくたくさんの種類があって、本作発表時の動画ではプロデューサーの青沼英二氏も「正直私も何種類あるのか数えきれていません」と発言しているほど。フィールドやダンジョンにはカリモノの数だけそれを使う場所やシチュエーションがあると考えていいだろう。

 「ゼルダ」シリーズというと、ダンジョンやボスなどをクリアして手に入るアイテムを使うと新たな道が切り開けるゲームデザインの作品が多かったが、本作は序盤から複数のカリモノを覚えることができるので、旅の自由度は比較的高い。その使い方によっては進行ルートがまったく変わるなんてこともあるかもしれない。

ゼルダ姫は泳ぎが得意で、水のある場所もスイスイ泳いでいく。潜水時の息継ぎゲージ以外、気にするものはない。カリモノは水中でも作り出せる

魔物の力もお借りしよう! 魔物を呼び出して敵と戦わせる感覚はごく簡単なRTSのよう

 カリモノは物体のみならず、倒した魔物の力も覚えることができる。カリモノとして呼び出した魔物はその特徴に準じて行動し、ゼルダ姫の攻撃手段のひとつとして役立ってくれるほか、移動手段となるものや周囲の環境に影響を及ぼすものなども存在する。最初に出会ったときは必ず倒して力を覚えるようにしたい。

カリモノを覚えていない魔物を倒すと、光る魔物のミニチュアのようなものをドロップする。これにロッドを振ればOK
覚えたら早速使ってみよう。この「トッピュー」は風をまとって突進し敵を吹き飛ばしてくれる
呼び出している魔物は頭の上に見える▼が目印。コストも一目でわかる

 強力な魔物ほど頼りになるが、強さに準じてコストも上がるので、並行して別のカリモノを使っているときにはそちらが消えてしまう可能性もあるので注意が必要だ。コストの高い魔物を少数精鋭で戦わせるか、コストの低い魔物をたくさん呼び出して戦わせるかはプレイヤーの自由。種類の違う複数の魔物を召喚し、戦わせる感触は簡易的なRTS(リアルタイムストラテジー)のようでもあった。

魔物には呼び出せる場所が決まっていて、陸の魔物は水中ではその多くが溺れてしまう。魚の魔物を呼び出そう
カリモノはコストの上限だけ呼び出せる。やられる前でも新しいものを呼び出せるので、強敵相手には次々と呼び出していくといい

ハイラルの旅に役立つカリモノをいくつか紹介。その組み合わせは無限大!?

 ここでは今回のゲームプレイで使用頻度の高かった便利なカリモノをいくつかを紹介していこう。それぞれにはコストの他、耐久力やサイズ、重量などが設定されていて、それが使うシチュエーションに影響する。

テーブル、木箱

 シンプルな木製のテーブルと箱だ。本作のゼルダ姫はジャンプができるのだが、その高さは(初期段階では)このテーブルと同じ自身の身長の半分ほど。つまり身長と同じ高さに上がるには、足場となるこのテーブルを使うのが最も基本的な手段となる。木箱は高さがテーブルの倍でこれも足場や障害物として使える。水に浮き、火で燃えてしまうことも頭に入れておきたい。

ストーリー序盤の足場として役立つカリモノ

石、重い岩

 上記のテーブルと木箱と同じサイズの2種の岩石。石は持ち上げて魔物に投げつけることで手っ取り早い攻撃手段となる。重い岩は、押して動かすことしかできないほどの重量があり、めったなことでは壊れないので、防壁として大いに役立つ。

石は目の前に作り出して、持ち上げて敵に投げつけるだけ。単体の敵に有効

古びたベッド、ふかふかベッド、ゼルダのベッド

 「なぜベッド!?」と思うなかれ、テーブル2つぶんの長さがあり、階段状に積むことで橋のように渡ることができる、ほかのカリモノにはない特徴を持っている。ベッドとしての役目ももちろんあり、その場で一定時間寝ることでハートを回復できる付加価値もある。回復には一定の時間が必要で、コストが高いものほど回復量が大きい。

ベッドは片側が接地していれば落ちることはない。階段状に積んで渡ろう
ベッドがあればどこでも寝られるゼルダ姫。時間はかかるが、任意に回復できるのは大きい

トランポリン

 上に乗ると跳ね上がってゼルダ姫の身長と同じ高さまで跳び上がれる。このカリモノ本体がゼルダ姫のジャンプと同じ高さがあるので、使うことで通常のジャンプの3倍の高さまで跳び上がれるというわけである。素早く高所に上がるのに便利なカリモノ。

テーブルや石よりも高いところに上がれる。ポイン!と跳ね上がるのが気持ちいい

水のかたまり

 立方体の水のかたまりを作り出す。同じ場所に連続して作ると上に積み上がっていく性質があり、その中を泳ぐことができる。上だけでなく横に作ることもでき、さらにどこからでも出入りできるので、足場よりも使いやすい移動手段として重宝する。かたまりは必ず地面や壁、または同じ水のかたまりに接触していなくてはならず、何もない空中に作り出すことはできない。火だるまになっているときの消火手段にもなる。

今回のプレイで最も使用頻度が高かったカリモノ。縦方向と横方向どちらにも伸ばすことができ、中を泳いでいるときに別のカリモノも作り出せる
使い勝手にちょっとクセがあるが、覚えると行動範囲が一気に広がる

モリブリン、ブタブリン

 シリーズおなじみの2足歩行のブタのような魔物で、亜種のブタブリンも登場。好戦的で動きが速く、近くにいる敵を攻撃する忠実な兵隊として活躍してくれる。剣や棍棒、槍、盾、ブーメランなど装備のバラエティに富んでいるので、対象の魔物ごとに使い分けたい。

敵の目の前に呼び出すとその場で攻撃を始める。コストの低いものを大勢呼んで集中攻撃させても強い
槍やブーメランを持っているものは遠距離攻撃を行うタイプ。空中の敵も攻撃できる

タートナック

 鎧に身を包み斧を携えた魔物。動きは遅いが防御力に優れ、弱い敵の攻撃はほぼ通用しない。攻撃してくれる壁という印象で、動きが遅い欠点は、ゼルダ姫自身が動いて攻撃対象の目の前に呼び出すことでカバーできる。

力をためたあとの回転攻撃も強力。コストが高めなのでたくさんは呼び出せない

バクダン魚

 本作におけるバクダンの役割を持つ魚。呼び出して衝撃を与えると数秒後に爆発する。ヒビの入った岩を壊したり、まとまった敵を爆風に巻き込んでダメージを与えたりと使い勝手がいい。コストは高めだが何度でも呼び出せるので、バクダン不足の心配はない。

口が赤くなったあと数秒で爆発する。特定の敵に食わせてダメージを与える戦術もある

キース、アルバトリー

 コウモリや鳥など翼を持った魔物達で、同じ飛行する魔物や反撃ができない地上の魔物に対しての攻撃を得意とする。また高所で呼び出して持ち上げて降りれば、空中を滑空して移動することもできる。周りにコッコがいなくても安心だ。

掴まって滑空する。距離はそれほど長くなく、一定距離を飛ぶと高度が一気に落ちてしまう

キャンゾル

 スライム状の魔物「ゾル」の白色の亜種で、頭に小さな火がともっている。火起こしには欠かせない存在で、燭台への着火や障害物を燃やすのに重宝する。また魔物を火だるまにして体力を徐々に奪ってくれる。

草やクモの巣など燃えるものの上に呼び出すと燃やしてくれる。暗いところの光源にもなる

バズブロブ

 強い電気を帯びた足のあるスライムのような魔物。敵から直接攻撃をされると電気でしびれさせてダメージを与えるので、攻撃的な魔物ほど勝手にダメージをくらってくれる。シリーズ屈指の嫌な魔物も、カリモノとして呼び出すと心強い味方となるのだ。

向かってくる敵の前に置いてやると、しびれさせて足を止められる。飛び道具を持った敵には弱い

 道中にはここに挙げた以外にも大量のカリモノが登場する。覚えることでゼルダ姫の行動や戦闘時の選択肢が増えていくのが大きな魅力で、コスト内であれば組み合わせによってさらに多彩な効果が期待できる。この感触は「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」のスクラビルドに近いようにも感じられ、発売後のプレイヤーによる面白いコンビネーションが発見されることも楽しみとなった。

ゼルダ姫は魔物の数だけ攻撃手段を持っていると考えていい。魔物の特徴を理解して使いこなせるようになるとゲームが一気に面白くなる

ゼルダ姫の力はカリモノだけではない。ときには剣を持って戦うことも!

 ゼルダ姫はとある裂け目の中で、リンクと名前が書かれた「ふしぎな剣」を見つける。これを手に入れるとゼルダ姫が「剣士モード」となり、リンクと同じように剣と盾を使って自ら戦えるようになる。

 見下ろし型「ゼルダ」の真骨頂と言えるアクションが味わえるわけだが、剣士モードになるには「エネル」という特別なエネルギーが必要で、あまり長時間は戦っていられない。カリモノで対処できない強敵を相手にしたときや、ボスが弱ったときなど、ここぞというときのアクションとして使うこととなるだろう。

ニセモノと思われるリンクが剣を持ってゼルダ姫の前に現われる。強敵だがカリモノの力を上手く使えば突破口は見つかるはず
リンクが残した剣がゼルダ姫の手に。なんとなく「ティアキン」のストーリーを思い出してしまった
画面左上のエネルゲージがある状態で方向ボタン上を入力すると、ゼルダ姫が青く輝く剣士モードに。強力な剣による攻撃が行なえる
剣士モードはボス戦で特に有効。エネルは薬やスムージーで回復させるのが確実だ

 そのエネルや体力の回復手段のひとつとして用意されているのが「スムージー」だ。道中で拾った素材をスムージー屋の「アキンドナッツ」に渡すことで、それを調合したスムージーを作ることができる。組み合わせのレシピによって回復以外の付加効果も期待できるスムージーは「ブレワイ」や「ティアキン」の料理にも近い要素で、アキンドナッツを見かけたら色々試してみることをオススメする。

素材を組み合わせて作るスムージーは、素材を直接食べるより効果が高い
見た目もカラフルで美味しそうなスムージー。回復だけでなく、寒さや炎から身を守ったり、泳ぎが早くなったりする効果をもたらすものもある

想像以上に自由度が高い、「ゼルダの伝説」の新しい可能性を体感できる最新作

 グラフィックス表現がSwitch版「夢をみる島」のそれなので、コンパクトでサクッと遊べる作品だろうと個人的に予想していたのだが、実際に遊んでみるとそれは大きな間違いで、とんでもないボリュームと手応えを感じられた作品であった。

ストーリーの途中でゼルダ姫は顔を隠していたフードを脱ぎ、王家伝来の衣装に着替える。もちろんフードの服に戻ることもできる、いわゆる着せ替え衣装だ
「ゼルダの伝説」シリーズのamiiboを使うと素材や衣装が手に入る

 リンクがいない世界でゼルダ姫が活躍するストーリーもしっかりと作り込まれていて説得力があり、その展開には緩急があり実にドラマチックだ。無数に存在するカリモノを使ったアクションも斬新かつ選択肢が多く、「ブレワイ」や「ティアキン」などに続く「ゼルダ」シリーズの新しい可能性を体感することができた。

見た目は「夢をみる島」だが、システムやキャラクター、各種設定には「ブレワイ」や「ティアキン」を意識したものが見られる

 プレイヤーの直感やひらめきが重要なシリーズ恒例のゲームデザインはもちろん継承していて、本作はゼルダ姫の行動全てににそれが直結しているような手応えも感じられた。過去作のダンジョンなどで味わえた「これをこうするとこうなるのでは?」というプレイヤーのひらめきによる快感はカリモノのシステムによって、ハイラル全土で味わえるのである。

トリィを飛ばしてモノを動かす「シンク」の力も使いこなそう。カリモノや魔物も動かすことができ、これを使った謎解きも存在する
カラクリ職人のダンペイが作ってくれる「カラクリ」。ゼンマイを巻いて使う魔物型ロボットで、カリモノとはまた違う機械ならではの行動を起こす

 剣と盾による爽快なアクションの要素は減ったが、それとは手応えが異なるプレイヤーの“知恵”を駆使した戦略性の高い攻防は、新たなファンも取り込んで大きな話題になるような予感がする。ゼルダ姫本人が紡いでいくこととなった新しい「ゼルダの伝説」をこの機会にじっくり味わっていただきたい。