PS3/Xbox 360ゲームレビュー

マルチロールFPSの元祖が色鮮やかに復活
太平洋を舞台に日米両軍が激戦を展開する!!

「バトルフィールド 1943」

  • ジャンル:チーム戦FPS
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 開発元:EA DICE
  • 価格:1,500円(プレイステーション3) / 1,200MSP(Xbox 360)
  • プラットフォーム:プレイステーション 3 / Xbox 360
  • 発売日:7月8日(Xbox 360)、7月9日(プレイステーション 3)
  • プレイ人数:1~24人(オンライン専用)
  • レーティング:CERO:C(15歳以上)

2002年の元祖「BF1942」から7年。最新テクノロジーで新たな戦いが始まる

 エレクトロニック・アーツは、7月8日と9日の両日にかけて、EA DICEが開発したチーム戦FPS「バトルフィールド 1943」を、Xbox 360とプレイステーション 3向けに相次いでリリースした。ゲームの流通形態はパッケージ販売ではなくオンライン配信のみ。価格は、Xbox 360では1,200マイクロソフトポイント、プレイステーション 3では1,500円で発売され、開発元・EA DICEの予想を超えた勢いで全世界でセールスを伸ばしつつある。

 本作「バトルフィールド 1943(以下『BF1943』)」は、FPSファンなら誰もが知っているであろう、2002年にリリースされたPCゲーム「バトルフィールド 1942(『BF1942』)」を、DICEの最新テクノロジーでリメイクした作品だ。オリジナルの「BF1942」は歩兵、戦車、飛行機など多種多様な役割で戦うことのできるマルチロールFPSの開祖であり、世界中のゲームファンを虜にした対戦専用FPSの傑作である。本作ではそのスタイルを引き継ぎ、1人用のゲームモードは簡単なチュートリアル以外存在せず、事実上オンライン対戦プレイ専用のタイトルとなっている。

 本作はダウンロード配信専用タイトルということで、パッケージタイトルほどのボリュームはないものの、オリジナル「BF1942」のテイストをしっかり引き継ぎながら、ついつい夢中でプレイし続けてしまう居心地の良い作品に仕上がっている。世界的な人気も上々で、Xbox 360ではリリース初日に8万本を販売したと伝えられている。だが、この人気に伴って顕在化したのが、オンライン対戦専用タイトルにはつきものの「接続性」の問題だ。本稿では現在プレーヤーを悩ませているこの種の問題についてもご紹介しておきたい。



■ 元祖「バトルフィールド」のテイストを引継ぎつつ、最新Frostbiteエンジンがド派手に演出
 小粒ながら手ごたえのあるゲーム性と高い熱中度

戦場は第二次世界大戦。歩兵はボルトアクションのライフルで渡り合う
戦車、戦闘機といった兵器類も登場。戦場を彩る

 本作「バトルフィールド 1943」は対戦プレイ専用のチーム戦FPSだ。プレーヤーは日米いずれかの陣営に属し、ウェーク島、ガダルカナル島、硫黄島といった、第二次世界大戦の太平洋戦線を舞台とする戦場で激しい陣取り合戦を繰り広げる。1ゲームセッションの同時参加人数は最大24人。広く開放的なフィールドを歩兵として、あるときは戦車として、またあるときは戦闘機として駆け巡る。

 ゲームルールは「バトルフィールド」シリーズ伝統の「コンクエスト」方式だ。戦場に配置された拠点をめぐり、日米両軍が支配権を巡って対決。拠点には旗が配置されており、いずれかの陣営のプレーヤーが旗の近くで一定時間待機することで所有権が移動する仕組みだ。そして、支配拠点が少ない方の陣営の「復活チケット」が自動的に減少していく。「復活チケット」は各陣営のプレーヤーが戦場に再出撃するために必要なリソースで、これが枯渇した陣営は自動的に敗北となるのだ。

 オリジナルの「バトルフィールド 1942」が既に7年前のゲームであり、また今世代のゲーム機からFPSをプレイし始めた方も多いと思われるため補足しておくと、上記で説明した本作のルールは昨年リリースされた「BattleField: Bad Company」の対戦ルールとは異なり、ゲームフィールド全体が常に争奪の対象となる。「Bad Company」では、金塊を巡って「次第に戦線が前進していく」という構造だったのに比較して、本作ではどこの拠点も常時奪取可能となる。

 このため、本作ではプレーヤー各自がチームの勝利を目指し、どの拠点を攻めるか、あるいは守るか、といった戦略的な判断を行なうことが非常に重要だ。単に敵を倒すのが上手なだけのプレーヤーが集まってもチームの勝利はおぼつかない。相手陣営よりも常に多くの拠点を確保できるよう、戦場全体に目を光らせるプレーヤー達が勝利するというゲームなのである。

敵を撃破するだけではなく、拠点を奪うことがチーム勝利の鍵だ。各戦場には5つの拠点が存在し、3つ以上の拠点を確保した陣営がより勝利に近づくことができる



ほとんど全ての構造物が破壊の対象。戦場の風景が見る間に変わっていく
爆発の迫力や音響効果は「Bad Company」譲りだ

 現在のところ本作に収録されているマップは3種類。その内訳は「ウェーク島」、「ガダルカナル島」、「硫黄島」となっており、いずれもオリジナル「BF1942」にもあったマップの構造を踏襲したものだ。

 構造は似ていても、ゲームの展開には大きな違いがある。本作ではゲームエンジンに「Bad Company」にも使用された最新の「Frostbite」エンジンを使用しており、建物や木々など、様々なものが派手に壊れていくというダイナミック性が加わっているため、それに伴って戦術にも変化があるからだ。

 例えば各拠点の周囲に配置されている様々な建物や監視塔の類。ほとんど全ての構造物が、戦車の砲撃で、飛行機の爆撃で、ド派手に破壊されていく。これは「Bad Company」で実現した破壊表現をさらに1歩進めたもので、平屋の建物なら床だけを残して完全に無くなってしまうまで壊すことができる。木々が生い茂るジャングルも、激しい戦闘でどんどん見晴らしが良くなっていく。地面もクレーターでボコボコだ。

 ゲーム開始直後は隠れる場所が沢山あるような拠点でも、ゲーム終盤はすっかり開けてしまい、戦いも激化すると言う寸法だ。このため、例えば敵が強固に守っていてなかなか攻め落とせない拠点があれば、まずは砲撃や爆撃で障害物を取り除いてしまうという戦術も可能になっている。これが最新ゲームエンジンによる劇的なゲーム性の変化だ。

 本作はマップ数が少ないことやオリジナル版に比べてプレーヤークラス・兵器の種類が少ないなど、単純なコンテンツボリュームとしては小粒感が漂うのも確かだ。しかしながら、しっかりと練りこまれたゲーム性、広がりのある戦術、そして前述したダイナミックに変化する戦場という要素により、単純なコンテンツ量では計り知ることのできないほど繰り返し遊べるゲームに仕上がっている。

【ウェーク島】
「ウェーク島」は元祖「BF1942」でも高い人気を誇った定番のマップだ。コの字型をした島の中央にある飛行場を支配するかどうかがチームの有利不利に大きく関係し、これを巡って両軍の激しい攻防が展開する。ただ、ひとつの拠点にこだわりすぎるチームは結局負けてしまうので、各プレーヤーに臨機応変さが求められる

【ガダルカナル島】
「ガダルカナル島」は山あり谷ありの地形で、上手なスナイパーが1人いるだけでチームバランスが変わってしまうような側面がある。島中央部の2つの高台に配置された拠点間で熾烈な攻防が繰り広げられるほか、スナイパーが好む高台のポイントを巡り、拠点外の戦いも激しく展開する

【硫黄島】
「硫黄島」は、戦術的な立ち回りが強く要求されるマップだ。島の端にある高台、擂鉢山は、トーチカで守られ固定機関銃もあるため防衛線を展開しやすい。しかし擂鉢山にこだわることで他の拠点がおざなりになることも多いため、あえて敵に渡しておいて他の拠点を重点的に確保するというのも良い方法だ。チームメンバーの動きを良く見て役割を果たしたい



■ 戦い方は3つのプレーヤークラスと兵器類で幅広く変化
 どのような戦い方を目指すかはまさにプレーヤー次第

ライフル兵は対歩兵戦闘の専門クラス。まずはライフルの扱いに慣れよう
工兵はサブマシンガンを装備し近距離戦闘に強い。戦車を撃破するのも仕事のひとつだ
狙撃兵は高いスキルが求められ、地形状況によっては誰よりも活躍できる

 本作のゲーム性を語る上で避けて通れないのが、プレーヤーの役割を強調してくれる3種のプレーヤークラスと、各個人の個性を最大限に生かすことのできる戦車、飛行機などの兵器類の存在だ。マップ中に散在する拠点を奪い合うだけの単純なゲームでありながら、ついつい何度も遊んでしまう魅力の秘密が、これらの要素に凝縮されているのだ。

 まず3種のプレーヤークラスは、日米両軍で呼称が異なるため、ここでは便宜上「ライフル兵」、「工兵」、「狙撃兵」という表記で統一させていただく。

 「ライフル兵」は主武装としてボルトアクションのライフル銃を持ち、中・遠距離の戦いに優れる。副武装として装備するライフルグレネードはとても強力で、正確に命中させれば敵兵や小型車両を一撃で粉砕する威力がある。

 「工兵」はサブマシンガンを装備し近距離戦に優れ、副武装のロケットランチャーで戦車など重装甲ターゲットを効率的に破壊できる。近接武器のスパナで車両の修理も可能なので、兵器を使った戦いを中心にするならうってつけのクラスだ。

 「狙撃兵」はその名の通りスナイパーライフルを装備し、遠距離から敵を仕留める力がある。スナイパーライフルの威力はヘッドショットなら一撃、他の部位なら2発の命中弾が必要で、動くターゲットに当てるのは非常に難しくもあるため玄人向きだ。副武装の爆薬を使えば戦車を破壊したり、拠点を防衛することもできるが、まずは敵に見つからないよう行動するのが基本というクラスである。

 「BF1942」では5種のプレーヤークラスがあったので、数的には削減されていることになるものの、ゲーム性が縮小したわけではない。例えばオリジナルに存在した「衛生兵」は、プレーヤーの体力が自動回復するモダンなシステムになったため不要となり、「対戦車兵」は「工兵」がその役割を兼ねることになったという感じで、ゲームシステムの再構築にあたってうまく整理された感じである。

 また、敵に倒されて再出撃する際にはいつでも別のプレーヤークラスに変更することができるし、どのクラスを選択しても全種類の乗り物に搭乗して戦うことができるので、プレーヤーは臨機応変に、状況に合わせた戦術を選択できるというのがポイントだ。

状況の変化に対応し、役割を果たすために最適なプレーヤークラスを選択したい



ライフルグレネードで敵を吹き飛ばせ!

 筆者お気に入りのクラスは「ライフル兵」。プレイする前は地味な感じを受けるが、戦い方をマスターするにつれ印象が最も変わるクラスだ。ライフルによる射撃も結構だが、実はこのクラスの最大の魅力は爆発物による攻撃力なのである。

 特にライフルグレネードは使い勝手がよく派手に戦える。的中すれば敵兵を一撃で葬り、敵が建物に篭っている状況でも、壁ごと吹き飛ばすという爽快感あふれるプレーが可能だ。さらに慣れてくると、相当な遠距離でも榴弾砲の要領で敵兵を「狙撃」することができ、うまく命中すれば敵は何をされたかわからないまま再出撃画面を見ることになる。これは楽しい。

 2個連続で投げることができる手榴弾もバカにできない威力だ。中距離で撃ちあう状況になったら、とりあえず敵が居る方向に手榴弾を投げておくと、意外に強力な爆発で、遮蔽物にこもる敵兵を1撃で倒せることがある。拠点を守る状況では、敵が向かってくる経路にタイミングよく転がしておくといい。こういった小技が敵を撃退する可能性を大幅に上げてくれる。

 ちなみに、ライフルグレネードと手榴弾の所持弾数は、それぞれ撃ち切った後、一定時間後(およそ10秒ほど)にまた復活するので、爆発に次ぐ爆発でダイナミックに立ち回れる。避けられたらライフルで狙撃するまでだ。対歩兵では間違いなく最強。これが現在、筆者が病みつきになってライフル兵をプレイする理由である。

主武装と副武装の両方を的確に活用することで、戦いの幅は大きく広がる。ライフル兵は特に対歩兵戦闘に特化したクラスで派手に立ち回れるのが魅力。工兵や狙撃兵も副武装を使った意外な戦い方があるので、色々と試してみよう



ジープは拠点を素早く取りたいプレーヤーの友。ヤワだが速い
戦車を生かすには正確な照準スキルが必要。視野が狭いため立ち回りにも才能が求められそうだ
戦闘機は腕前の差が如実に表れる乗り物だ。上手なプレーヤーなら敵軍の戦力を着実に減殺できる

 搭乗兵器にも触れておこう。本作に登場する乗り物はジープ、戦車、戦闘機の3種類。戦車は日本軍であれば97式中戦車チハ、米軍であればM4シャーマンの外観をしており、戦闘機はそれぞれゼロ戦とF4Uコルセアの外観だ。兵器類は陣営で外観が異なるものの操縦性や性能は同じで、プレーヤーにとっての関心はそれを使ってどう戦うか、という部分に集約されている。

 戦車は大砲とマシンガンを装備。主砲弾は強力だが爆発の範囲が非常に狭いため、歩兵を倒すにはほとんど直撃させる必要があるのが難点だ。また主砲弾は山なりの軌道を描いて飛んでいくので遠距離で命中させるのが難しいが、慣れてくれば遠距離の基地を狙撃して荒稼ぎすることも可能と、高いプレーヤースキルを要求するバランスに仕上がっている。

 戦闘機はさらに高いスキルを要求する乗り物だ。飛行の挙動そのものはごくアーケードゲーム的なものだが、戦場全体を10秒弱で横断してしまうほどのスピードで飛びながら人物大のターゲットに機関銃を命中させるのは、訓練無しには不可能なほどの難しさ。爆弾投下で戦車を破壊することもできるが、やはり正確に命中させるためには練習に次ぐ練習が必要だ。非常にうまいプレーヤーが乗れば獅子奮迅の活躍を見せる乗り物でもある。

 各乗り物は特定の拠点に自動的に出現し、誰でも乗ることができる。ただ、オリジナル版「BF1942」では乗り物の復活地点で「順番待ち」のプレーヤーがたむろし、チームプレーが崩壊することがあったものだが、本作ではその風景があまり見られない。

 その理由は、射撃を当てる難しさ、操縦のコツといった部分で、それぞれの乗り物の能力を引き出すために高いスキルが必要であるためだ。得意でないプレーヤーは、すぐに破壊されてしまう戦車に乗るよりも、むしろ歩兵として戦うほうを好んで選択する。このバランスは本作において特に秀逸な部分といえるだろう。参加プレーヤー全員が適材適所で戦う動機が強化されているのである。

 このように、どのクラスで戦うか、あるいはどの兵器を使って戦うか、それは本作では完全にプレーヤー次第。拠点や敵味方の状況をよく判断し臨機応変に振舞うか、それとも自分が得意とする戦い方に執着するか。経験を積むごとによりよい判断ができるようになっていくことだろう。そして、チームの勝利に貢献しようとする限り、どのようなスタイルも等しく受容してくれるのが「BF1943」の魅力である。


上手な戦車による拠点の制圧力はかなりのもの。しかし隠れた場所から歩兵に撃破されるのも日常茶飯事だ。単独行動は控えて、できるだけ他の兵士とともに行動したい

戦闘機で地上目標を破壊するのは本当に難しく、地面に激突して自爆してしまうことも。あまり上手くないプレーヤーが乗ると戦いに参加していないのと同じになってしまうため、もし得意でない場合は上手なプレーヤーに機体を譲りたいところだ

本文では触れなかったが、本作で新たに加えられた要素、「爆撃機」によるじゅうたん爆撃も面白い。マップ中に1つだけ配置されている施設「信号所」を使うことで、爆撃機編隊を戦場に呼び、任意の地点に猛爆を加えることができるのだ。うまく激戦地に投下できれば、一気に5、6人を吹き飛ばすこともできる



■ 非常に高い完成度と熱中度。プレーヤーに価格を大きく上回る価値をもたらす
  しかし、人気のあまりゲームをプレイできない人が続出……

獲得した勲章はメインメニューから確認できる。全てをコンプリートするためには多種多様な形で活躍する必要がありそうだ

 オンライン配信タイトルとしてお手ごろな価格でリリースされた本作は、世界中のFPSプレーヤーを大いに楽しませてくれた元祖「BF1942」のDNAを受け継ぎ、最新のテクノロジーによる表現力でそれをさらに高めることで、価格以上の楽しみをプレーヤーに提供してくれる。PlayStation NetworkやXbox LIVE上でプレイされる「定番FPS」のひとつとして、多くのプレーヤーに長く愛される存在になるに違いない。

 ゲームを長く続けるための仕掛けとしては、戦績によって「階級」が高まっていくシステムや、特定の兵器や特定の戦闘内容についての達成を表彰してくれる数々の「勲章」が用意されている。これらは獲得することによってゲーム上の恩恵を一切与えるものではないが、プレーヤーが自分の成長を測る上でそれなりに便利なツールとなりそうだ。

 また、オンライン配信タイトルということで、追加コンテンツのリリースも期待できそうだ。まず最初の予定としては、プレイステーション 3およびXbox 360上で、全プレーヤー数の総KILL数が4,300万に達した時点で、空中戦が楽しめる新マップ「珊瑚海(Coral Sea)」がリリースされる予定である。気になるところとしては「BF1942」に存在したヨーロッパ戦線が今後追加されるかどうかであるが、本作を末長く楽しめるものにするためにも、有料DLCとしてであっても是非実現して欲しいところだ。

リリース直後の数日間、うんざりするほど見せられたメッセージ
プライベートマッチでは16人のプレーヤーを集める必要があるが、集めたところでサーバーは空いていない。早急に改善してほしい

 しかし本作には、追加コンテンツを云々する前に早急に改善すべき問題がある。リリース初日から大変な人気のため、おそらくは北米に設置されているゲームサーバーが人数過多でパンク状態となり、多くのプレーヤーがゲームをプレイできない状況が続いたのだ。

 技術的詳細は不明だが、筆者の観察では、本作は最大24人が参加するゲームセッションを、EAが用意したサーバーで動かす仕組みになっているようだ。他のFPSにはユーザー間でゲームセッションを構成する方式もあるが、本作は戦場のあらゆる構造物が破壊できるなど情報量が多く、計算負荷や通信帯域が大きなものになるため、クオリティを保証できる中央サーバー方式にしたのだろう。

 これが裏目に出たのがリリース直後からの接続状況だ。中央サーバー方式は、立てたサーバーの数しかプレイできないため、ゲームセッションの数も当然ながら有限で、現在のところ全てのプレーヤーを収容できない。世界中のどこかにいる誰かがプレイをやめたら、変わりに誰か1人がゲームに参加できるという按配で、不運なプレーヤーはタイトル画面でひたすら「ゲームを検索しています」というメッセージを見続けることになった。

 こんな状況なので、ロビーに16人のプレーヤーを集めて開始する「プライベートマッチ」や、数人のフレンドを集めてプレイする「部隊マッチ」は絶望的な状況だ。1人でゲームに入るのがやっとだという状況では、複数人がまとめて入れるような空きのあるゲームセッションは皆無だからだ。おかげで、夜間にフレンドと一緒にプレイしようとした筆者は、数時間をロビー画面で空費することになってしまった。皆が最新世代のゲーム機に求めた風景は、決してこのようなものではなかったはずだ。

 もちろん米Electronic Artsではこの問題を認識しており、リリース初日のうちに公式フォーラムなどで「早急にサーバーを増強する」旨のコメントを残した。リリースから2日を経過した土曜・日曜においては、1人でゲームに入る分には、多くとも数度の試行で済むようになっている。ただ、やはり複数人でゲームに入る「部隊マッチ」は、プレーヤー数が多くなる時間帯ではほとんど望めない状況だ。

 筆者の観点で現状を見る限り、タイトルを購入したユーザーがそのゲームをプレイできない、あるいはメニューに示されているマッチング方式のうち2種類がほぼ機能しないという問題に対して、EAの対応はまだまだ生ぬるい。多くのユーザーが不満を抱えているのだから、サーバーの増強だけに終わらず、マッチング方式の改善など多面的な対策を早急に取って欲しいと思う。この点についてはオンラインゲームを専門とする企業の姿勢に習って欲しいと感じた次第だ。

 近日中にサーバーがさらに増強されるか、マッチングの方式が改善されるかで、全てのプレーヤーがフレンドと共に戦場を駆け巡ることができるようになることをことを期待したい。なお、9月にはPC版の発売も予定されており、PC版はPCゲームの習いにしたがってユーザーがサーバーを立てられる方式になると思われるため、より確実にプレイできるようになるはずだが、それでは本質的な解決にはならない。FPSファンのPC版待ちという状況を作らないためにも、PS3/Xbox 360のサーバー周りのアップデートが求められるところだ。


【スクリーンショット】

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(2009年 7月 14日)

[Reported by 佐藤カフジ ]