★Wiiゲームレビュー★
Wiiリモコンをラケットに、君も錦織圭になれる!? 誰でも直感的に楽しめる本格テニスゲーム 「EA SPORTS グランドスラム テニス」 |
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エレクトロニック・アーツは7月2日、Wii用テニスゲーム「EA SPORTSグランドスラム テニス」(以下、「グランドスラム テニス」)を発売した。本作はWiiモーションプラスにも対応した本格的なテニスゲームだ。プレーヤーは現役の、そして伝説のテニスプレーヤー達とコートを舞台に勝負を繰り広げることができる。
Wiiのリモコンをラケットに見立て、スイングしながらボールを打ち返す感触は爽快で、楽しい。初心者でもプロテニスプレーヤー顔負けのラリーができ、ゲームを覚えていけば自分の意のままにボールを操ることができる。リモコンを持ち寄ってのプレイはもちろん、オンラインでの対戦も楽しめる、間口が広く、本格的なテニスゲームである。
■ リモコンをラケットに見立ててスイング! ライト層から本格派までカバーする操作性
高速で飛来するボールに追いつき方向を定めて打つ。最初は難しく感じるが、当たり判定が広く、実際のラケットを振るような感覚で操作できるため、従来のテニスゲーム以上にハードルが低い作品となっている |
Wiiリモコンをラケットに見立てた操作。直感的にプレイできる |
ラケットを叩きつけるマッケンロー。テニスファンならおなじみの彼の行動を再現している |
「グランドスラム テニス」はWiiリモコンをラケットに見立て、スイングすることでボールを打つ。実際のテニスの感覚を再現したスポーツゲームである。ボールを追い、リモコンを振ることで相手にボールを打ち返す。ボールを打つとリモコンからも音がして、リターンを決めて相手から点を取ったとき強い爽快感を感じる。試合を終えたときは心地よい疲労感もあって、まるで実際にテニスで試合をしたかのような感覚を味わえるゲームだ。
本作では、実際のラケットを振る感覚でリモコンを振りボールを打つ。Wiiリモコンを水平に振ればフラットショット、下から上へ斜めにスイングするとトップスピン、上から下へスイングするとスライスがかかる。サービスの場合は、リモコンを垂直に振り上げるとトス、そこから振り下ろすことでサービスを打つ。リモコンを直感的に振るだけでテニスが楽しめるのだ。
本作はWiiリモコンのみで操作できる。この場合は、キャラクターが自動的にボールを追い、タイミングよくスイングするだけで相手にボールを返すことができる。本作は最大4人が参加できる、ダブルスで楽しむことができる。家族全員で気軽に楽しむにはリモコンだけのプレイもいい。
本作はWiiモーションプラスに対応しており、さらにヌンチャクを使うことでゲームのポテンシャルを100%活かすことができる。Wiiモーションプラスをつけると、実際のラケットを握っているような感触でプレイできる。望んだ方向にリモコンを振るフォロースルーを行なえば、そちらの方向にボールが飛ぶようになるのだ。このショットの打ち分けは勝負をする上で必須のテクニックだ。ゲームを本格的に楽しみたいならば、Wiiモーションプラスは必須といえるだろう。
一方、ヌンチャクでは、スティック操作でキャラクターを動かすことができる。コントローラーをつけていなければキャラクターは自動的にボールを追ってくれるが、逆サイドの攻撃に対して弱くなったり、ある程度のハイレベルなゲームを実現しようとするとヌンチャクによる手動操作が必須になってくる。ヌンチャクで操作することによってボールを打てる有効範囲はかなり広くなり、初心者でもボールを追うことはそれほど苦労しないだろう。上級者はさらにベストな位置取りを考えられるというわけだ。
Aボタンを押しながらスイングすると高く球を打ち上げるロブになり、Bボタンを押しながらだとネット際にボールを落とすドロップショットになる。このふたつのショットと、ボールの方向の打ち分けで相手の逆サイドを狙っていく。テクニックは試合を重ねていくことで徐々に学んでいける。試行錯誤も本作の大きな楽しさだ。初心者でも練習を積むことで迫真のラリーを展開することができるようになっていくだろう。
これまでのテニスゲームはスポーツゲームとしては比較的難しいものが多かったと思う。高速で動くボールを追い、フォアハンドとバックハンドで打ち分け、さらに打つ方向、ボールの強弱まで一瞬で判断しなくてはならない。こういったハードルの高い部分を「グランドスラム テニス」では大きめの有効範囲でボールを拾うことでハードルを下げ、さらにWiiリモコンによる直感的なスイングでテニスの感触を再現している。初心者用にキャラクターの動きもオートにできるモードがあるなどこれまでの作品以上間口の広いデザインとなっている。誰でも楽しくラリーを楽しむことができるだろう。
それに加え、「グランドスラム テニス」にはシャラポアやロジャー・フェデラーなど現役選手だけでなく、マッケンローをはじめとした往年のスタープレーヤーが合計で23名登場。日本人としては錦織圭選手が登場する。マッケンローは点を取られると怒りにまかせてラケットを地面に叩きつけ、シャラポアは打つときに大きな声を上げるなど、各選手の特徴をうまく再現している。
すぐにプレイできる「プレイナウ」モードでは、シングルスはもちろん、1人プレイでも相棒をCPUにしてダブルスも遊べる。世界中のテニスプレーヤーが憧れるウインブルドンでの対戦も可能だ。時代を超えて集まった選手達と戦うことができるのはテニスファンにはたまらないだろう。
リモコンを振るだけの初級操作から、より高度なテクニックを習得していく。Wiiモーションプラスを取り付ければ、フォロースルーで球の打ち分けが容易になる | ||
選手とコートを選ぶだけで戦うことができるプレイナウ。名選手達の仕草も楽しい |
■ 世界を巡り、一流プレーヤーと戦いを繰り広げるグランドスラムモード
グランドスラムモードでは世界中を回る。世界の強豪がプレーヤーを待ち受けている |
トーナメント優勝。イージーモードならば初心者でも到達できるが、試合は長めになることが多い。圧倒的な実力でねじ伏せられるまで頑張りたい |
「グランドスラム テニス」には様々なゲームモードがある。その中でもメインとなるのが「グランドスラム」モードだ。このモードではプレーヤーは自分の分身のキャラクターを作り、世界の強豪と戦いながら成長していく。
プレーヤーキャラクターは外見からプレイスタイルまで細かく設定が可能で、勝利報酬として得られるスポンサーアイテムを身につけることで、ドレスアップも可能だ。アイテムの中にはプレーヤーの能力を増加させるものもある。
さらにキャラクターには「アビリティ」という特殊能力があり、各地域で登場するレジェンドプレーヤーに勝つことができればその能力を自分のものにすることができる。キャラクターは勝負を重ねることでより多くのアビリティーを使用できるようになる。スタープレーヤーの技を身につけた自分の分身が、世界の強豪と渡り合うというのは、心躍るシチュエーションである。
プレーヤーキャラクターは「全豪オープン」、「全仏オープン」、「ウィンブルドン(全英オープン)」そして「全米オープン」の4つの世界大会に挑戦していく。トーナメントの前にはスタープレーヤーと戦う「エキシビジョンマッチ」、レジェンドプレーヤーと戦いスキルを獲得する「レジェンドマッチ」、様々な特殊ルールで戦う「スキルチャレンジ」そしてこの3戦をすべて勝利した場合はさらにもう1つアビリティを獲得できる「ボーナスマッチ」に挑戦することができる。
これらの戦いが終わればいよいよトーナメント開始だ。各世界大会は64名のプレーヤーが腕を競う。5回勝てば優勝することができる。優勝カップをどれだけその手にすることができるか、プレーヤーはラケットを手に挑戦することになる。ちなみにトーナメントは男女それぞれ別々で、1度負けたら次のシーズンまでその世界大会には挑戦できない。どこまで勝ち進むことができるか、そのプレッシャーが楽しい。
試合形式も変えることができるが、基本ルールではサービス側と守備側をそれぞれ取らなくては勝つことができない。サービス側は少し練習すれば勝つことができるが、防御側で勝つことはなかなか難しい。サービス側でポイントしても守備側で落としてしまえば勝利まで延々と試合が繰り返されることになる。時には20分以上も戦うことになる。こうなると試されるのはプレーヤーの気力である。このため、1戦が終わるとへとへとになってしまう場合もある。
このモードももちろん難易度設定が可能だ。イージーで挑戦すれば初心者でもトーナメントで優勝できる。しかし、4つの世界大会を終え、2年目辺りになると難易度が上がってくる。相手が的確にボールを返してきて、こちらのコースが甘いとすかさず拾ってくるのだ。彼らに勝つには自分のプレイスタイルに合わせたキャラクターの成長が必須だ。どのアビリティーを得るか、ブーストアイテムでどの面を伸ばすか、試行錯誤しながらキャラクターを育てていくのが面白い。
もちろん、キャラクターを育てていくだけではダメだ。サービスに対応するにはどうするか。ロブとドロップショットはどこで使っていくか。試合を重ねていきながらプレーヤー自身も成長していく。ラリーを征したときの爽快感はより強くなる。自分の成長も実感できるモードである。
キャラクター作成画面と、服装のカスタマイズ。ゲームを進めていくことで能力をブーストするアイテムもゲットできる | ||
アビリティを得るためにレジェンドプレーヤーと対戦。勝てば彼らの技を身につけることができる | ||
スキルチャレンジでは様々なミニゲームで遊べる。これらの項目は「テニスパーティー」で遊べるものだ | ||
トーナメントに挑戦。5勝すれば優勝することができる。1度も負けられない緊張した戦いだ |
■ 狙え逆サイド! 相手を左右に、前後に翻弄。勝つための基本テクニック
反対方向のネット際にボールを落とす。成功すればどんな選手も拾うことができない |
ロブで相手を後ろに下がらせ、ドロップショットでネット際を攻める |
Wiiリモコンを振るだけでラリーが楽しめる「グランドスラム テニス」だが、CPUに“勝つ”ためには、ただリモコンを振り回すだけではダメだ。筆者も始めたばかりの時はなかなか対戦相手を抜くことができなかった。勝つためには本作ならではの戦略を覚えなくてはいけないのだ。
何度かの敗戦を続けながら、相手の動きを見ていくことで戦い方がわかってきた。最も点を取りやすいのはサービスからの戦略だ。サービスを決めると相手はコートの奥からボールを打ち返してくる。この時相手の打ち返したボールの方向に合わせて前に出て、すかさず反対方向に打つのだ。フォロースルーをきちんと打ちたい方向に合わせておけば、相手が追いつけないボールを打つことができる。この時、Bボタンを押してドロップショットにしておけば更に成功率が上がる。
初心者のうちは、相手のサービスを返す場合にはロブで返すのが良い。サービスを打って攻め込もうとする相手をロブを打つことで後ろに下げるのだ。相手が下がったらそれに合わせるようにこちらは踏み込む。相手のボールを逆サイドにボレーできれば点は決められる。相手もロブを打ってくるようだったら、素早く下がり、打ち返すときはドロップショットにすれば相手を前後に揺さぶることができる。
CPU戦に関しては難易度を選択することができる。イージーにしておけば相手はアウトになってしまいそうなボールを拾ってくれたり、こちらが打ちやすいボールを返してくれる。まずはイージーの敵を相手にして自分なりの戦い方を組み立てるのが良いだろう。
筆者の現在の課題は、ラリーで勝つための球の打ち分けだ。そのためにはもっと的確にボールの落下点にキャラクターを動かし、フォロースルーに気をつけてきちんと方向性を定めて打ち返さなくてはならない。世界大会を回っていく「グランドスラム」モードでは中盤以降はショットの正確さが求められる。振り遅れるとボールはアウトになってしまう。イージーモードでも勝つためには練習が必要だと感じた。
オンラインでの対戦では、他のプレーヤーのうまさに驚かされた。筆者はまだ接近してドロップショットで切り込むという作戦だけを頼りにしているが、オンラインでのうまいプレーヤーはサービスに的確に反応し、逆サイドを容赦なく突いてくる。そのためには場数を踏むことが大切だと実感した。素早く決める方法のみを突き詰めるのではなく、CPUにもラリー勝負を挑み、自分の思う方向にボールが打てるようになりたい。
「グランドスラム テニス」は実際にテニスをやっているかのような体験ができるゲームである。相手の逆を取ったときや、ラリーに打ち勝ったとき、キャラクターと同じようにガッツポーズを取ってしまう爽快感がある。力を込めてリモコンを振ってしまうし、1試合ごとに心地良い疲労感を感じる。Wiiの特性を活かしたスポーツ感覚を持ったゲームだと感じた。もっともっとうまくなるために練習したくなる作品だ。
■ オンラインではCPUとはひと味違う戦いが。パーティーゲームやフィットネス機能も搭載
オンラインモードは本作の目ボールとなるモードだ。ダブルスで挑戦できるのも楽しい |
フィットネスは「カロリー消費」を記録できるモード。このゲームではラケットを振る利き腕だけが太くなりそうだが…… |
「グランドスラム テニス」には、「グランドスラム」や、手軽にプレイできる「プレイナウ」の他にも様々なモードがある。「オンライン」では世界中のプレーヤーと対戦が可能だ。アカウントはそのとき限りのゲストアカウントと、ランキングマッチに参加できるユーザーアカウントのどちらでもプレイすることができる。オンラインにはダブルスで参加することも可能だ。
オンラインではグランドスラムで育てたキャラクターを使うこともできる。今回はゲストアカウントでノンランキングマッチを数戦やってみたが、かなり強力に育て上げているプレーヤーもいた。高いテクニックを感じさせるプレーヤーもいて、いいところまで粘ることはできたのだが、負けてしまうことも多かった。もっと強くなるためには攻め方を工夫しなくてはと実感した。
ちょっと気になったのは、海外(と思われる)プレーヤーと対戦した場合、多少ラグを感じたことだ。相手を抜いたかと思ったら、瞬間移動して返球してくるなど、お互いにラグにとまどっている感じだった。多少の問題はあるが、オンラインでの戦いはCPU戦とはひと味違った緊張感がある。もっとキャラクターを鍛え、自分のテクニックを磨いてランキングマッチにも挑戦してみたい。
様々なルールで戦える「テニスパーティー」は多彩な特別ルールで試合を行なう。テニスパーティーではロブやドロップショットを決めると2ポイント取れる「ドロップ&ロブ」や、勝ち抜きのシングルス「キングオブザコート」、2対1の変則ルールで戦う「オージーダブルス」など色々なモードが入っている。
「フィットネス」はゲームで消費したカロリーを確認できるモード。カレンダーに目標カロリーを設定し、日々こなしていくことが可能だ。フィットネスという項目が入っているのがいかにもWiiのゲームらしい。
6月25日には、任天堂から初のWiiモーションプラス対応タイトルである「Wii Sports Resort」が発売されている。こちらは12種類のゲームが入っているが、その感触はあくまでカジュアル。1ゲーム1ゲームやりこみ要素もあるが、手軽に遊ぶというのが基本的なスタンスだ。遊び比べるとよくわかるが、それに比べると「グランドスラム テニス」は非常にディープで本格的なテニスゲームである。ひたすらやり混み、本作に特化したテクニックを磨く楽しさを持っている。
Wiiリモコンを持ち込んでみんなで楽しく、という遊び方もできるが、CPUに勝つには、オンラインで世界中のプレーヤーと腕を競うには、ヌンチャクコントローラーとWiiモーションプラスによる上級者向け操作と、それ以上のテクニックの研鑽が必要である。
しかし、今回筆者が声を大にして伝えたいメッセージとしては、「グランドスラム テニス」はこれまで難しかったテニスゲームのハードルを下げた画期的な作品だということだ。初心者でもラリーを続けることができ、スポーツのテニスが持つ楽しさをきちんと再現している。従来のテニスゲームが物足りなかった人、テニスクラブを横目で見ながら参加できなかった人や、体力的な不安でテニスに憧れを持ちながらその難しさに敬遠していた人など様々な人にオススメである。テニスのエッセンスをきちんと体験できるこの作品は、多くの人にプレイしてもらいたいと思う。
オンラインではCPU戦とは違う感触がある。相手のうまさに驚かされることも | ||
「テニスパーティー」は様々な種目があるが、基本的には全部テニスである。的を撃ち抜くなどの広がりも欲しかったところだが、初歩の操作は打ち返すだけしかできないと言うこともあり、こちらの幅は持たせられなかったのかもしれない |
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(2009年 7月 10日)