GAME Watch認定ゲーミングPC「MEK MINI」レビュー

MEK MINI

コンパクトでも「SEKIRO」が4Kで快適に動く! あなどれないパワフルゲーミングPC

ジャンル:
  • ゲーミングPC
発売元:
  • ZOTAC
開発元:
  • ZOTAC
プラットフォーム:
  • Windows PC
価格:
248,000円(税別)
発売日:
2019年4月19日

 ZOTACから2019年4月19日に発売された「MEK MINI」は、コンパクトにまとめられた小型の筐体に、ゲーミングPCとしては必要十分な機能をぎゅっと詰め込んだマシンだ。価格は248,000円(税別)。CPUには第8世代のCore i7、GPUもGeForce RTX 2070を採用するなど、ゲーム用途としては申し分のない仕様。高性能のゲーミングPCを求めるとどうしても大きな筐体となってしまうのがネックだが、MEK MINIはコンパクトな筐体を採用しており、それほど置き場所にも困らず活用できるに違いない。そんなMEK MINIで「SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE」(以下、SEKIRO)をプレイしてみたので、そのインプレッションをお届けしよう。

 なおGAME Watchの読者の方であればご存じだと思うが、「SEKIRO」はフロム・ソフトウェアが得意とするダークファンタジーのテイストが詰め込まれたタイトルだ。プレーヤーは“狼”と呼ばれる忍となり、国の将に奪われた御子を取り戻すため、絡繰りの腕と、ひと振りの刀を手に戦いに挑んでいくことになる。ゲーム内容については別途レビュー(参考記事)を掲載しているので、そちらを参考にしていただきたいが、微細な3Dグラフィック表現が多用されているタイトルだ。このためPCの性能を測るには十分なタイトルでもある。

【SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE Gameplay Trailer】

コンパクトな筐体にゲーミングPCとしての性能を詰める

 まずはスペックから見ていこう。

MEK MINI正面

【MEK MINI】
CPU:インテル Core i7-8700 (3.20GHz/8コア/12MBキャッシュ)
チップセット:インテル B360
GPU:NVIDIA GeForce RTX2070 8GB
メインメモリ:16GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/8GBx2/2チャンネル)
ストレージ:240GB NVMe SSD(M.2)、2TB HDD
光学ドライブ:なし
電源:2×19.5V/230W
OS:Windows 10 Home 64ビット
サイズ:136×260.8×258.8mm(幅×奥行き×高さ)
価格:248,000円(税別)
https://zotac.co.jp/product/zotac-gaming-mek-mini/

 ざっと見てもわかるように、ミドルクラスちょい上のスペックとなっている。CPUはCore i7-8700。すでに第9世代が登場しているものの、まだまだ現役で活躍しているCPUだ。Coffee Lake世代のCPUとしては、最上位にオーバークロックが可能なCore i7-8700Kが存在するものの、Core i7-8700は位置的にはそのすぐ下のCPU。オーバークロックができないだけで最上位モデルと言ってかまわないだろう。

CPU-Zでの測定結果

 ビデオカードに使われているGPUはGeForce RTX 2070。RTXプラットフォームとしてはGeForce RTX 2080Ti、GeForce RTX 2080に続く3番目に位置する。最新のTuringアーキテクチャとなっており、リアルタイムレイトレーシングにも対応しているのが特徴だ。

 ビデオカード回りの出力には、HDMIポートが1、DisplayPortが2、DVI出力コネクタが1と、USB Type-Cポートが1つ用意されている。ちなみにビデオカードは市販品ではなく、MEK MINIに搭載するために作られた特別なカードとなっている。

GPU-Zでの測定結果
ビデオカードのコネクタ類。HDMIポート×1、DisplayPort×2、DVI出力コネクタ×1のほかUSB Type-Cポートも用意されている

 マザーボードだが、HWiNFOで調べるとモデルタイプは「MEK MINI」と表示される。筐体サイズから考えてもMEK MINI専用に設計されたボードだろう。チップセットはインテルB360で、第8世代Coreプロセッサーに対応するインテル300シリーズチップセットの1つだ。中でもB360はオーバークロックをサポートせず、USBも12ポートまで、RAID構成ができないなどといった機能制限があり、コストパフォーマンスを優先したチップセットとなる。

 メインメモリは8GBのDDR4 SDRAMを2枚差して計16GB。PC4-21300規格のものが採用されているので、理論値の最大転送速度は21.3GB/sと高速な動作が可能だ。

 ストレージは240GBのM.2 NVMeに加えて2GBのHDDを搭載する。HDDだが、テストしたマシンにはSeagate「ST2000LM015」が搭載されていた。これは2.5インチのHDDなので、小さい筐体に搭載するよう、3.5インチではなく2.5インチとなっていることがうかがえる。

 その筐体サイズだが、136×260.8×258.8mm(幅×奥行き×高さ)。また重量が4.05kgとなっており、このコンパクトさがMEK MINIの最大の特徴だ。ただしその代わりに大きなサイズのACアダプター(230W)を2個使う必要がある。だがACアダプターから筐体に差すプラグまでのケーブル長は実測でおおよそ180mmとかなりの長さがあるので、コンセントからの取り回しも十分考慮されており、置き場所に困ることはないだろう。

 本体背面にはUSB3.1ポート×4とGigabit Ethernet×2のほか、Wi-Fiアンテナ用のコネクタが2つ用意されている。小型で取り回しの効きやすい筐体なので、場所を選ばないWi-Fiアンテナが用意されているのはうれしいところだ。Wi-Fiはキラー ワイヤレスAC1550が採用されており、IEEE802.11acにまで対応。理論速度は886Mbpsとなっている。ちなみに「BNRスピードテスト」により筆者の家の環境(NURO光)で測定したところ、平均で206.1Mbpsが出ていたので十分だろう。ちなみにGigabit Ethernet側は793.5Mbpsだった。

 小さい筐体であれば熱対策が気になるところだが、底面とサイドパネルには吸気口が設けられているほか、天板に8cmの排気ファンが2個用意されているうえ、背面に1つの排気ファン、底面にも1つの吸気ファンが取り付けられている。重いゲームをプレイする際には勢いよくファンが回って熱を逃がしてくれるので、特に問題になることはないだろう。ただしそのトレードオフとして大きな筐体のデスクトップPCと比べるとファンの音が気になるのは致し方ないところか。

本体上部には左からヘッドフォンジャック、マイクジャック、USB TypeCポート、USB3.0ポート、SDカードスロットを用意。その下には電源ボタンがあり、右には電源とWi-Fi、HDD回りのインジケーターがある。また大きな排気口が開いている
背面上部。上からWi-Fiアンテナ端子、USB3.1対応ポート×4
背面下部にはGigabit Ethernet×2とWi-Fiアンテナ端子がある
Nintendo Switchとのサイズ比較。MEK MINIがどのくらい小さいのかお分かりいただけただろうか

 なお、MEK MINIのCPU/GPUについては、筐体のふたを開けてしまうと保証外となるので注意しよう(ストレージとメモリについては交換可能)。このため今回は内部写真を撮影していないので、ゾタック日本から提供を受けた分解写真を掲載する。

MEK MINIの分解写真(ゾタック日本提供)

前面LEDとネットワークコントロール用の専用のアプリケーションも用意

 ところでMEK MINIには本体回りのアプリケーションが2種類用意されている。1つは本体前面に使われているLEDの光り方を調整する「SPECTRA」で、もう1つはネットワークを最適化する「Killer Cotrol Center」だ。

 SPECTRAには一定の色で光り続ける「STATIC」や、まさに虹のように色が変化する「RAINBOW」など13種類のパターンが用意されており、好みの色に光らせることができる。もちろん光らせないオフ設定も可能だ。

 Killer Cotrol Centerは有線LANと無線LANのポートを組み合わせることで通信を最適化できるアプリ。オンライゲームやビデオストリーミングを利用しているときにはアプリケーションを自動的に検出して優先的に通信を割り当て、中断回数を低減してくれる。なおこれを利用するためには、本体背面に用意されている下側の有線LANコネクタにケーブルを接続している必要があるので注意しよう。

前面のLEDをコントロールできる「SPECTRA」
ネットワークを最適化する「Killer Cotrol Center」

「SEKIRO」にMODを適用してフレームレートのリミッターを解除する

 ではここからは実際にゲームをプレイして計測した結果について述べていこう。なお「SEKIRO」だが、通常の設定では60fps以上の描画ができないようになっている。そこでMODを使ってフレームレートのリミットを解除することにした。解除に使ったMODは「Sekiro Fps Unlock And More」というもので、海外のNexus ModsというWebサイトで公開されている。

 なおこのMODが動作するためには、64ビットOSであることと、.NET Framework 4.5以上がインストールされている必要があるほか、サイトへのユーザー登録が必要だ。またMODの使用はメーカーでも推奨していないので、あくまでも個人の責任で行なっていただきたい。

 MODだが、ゲーム本体のバージョンアップに合わせて、随時更新されている。バージョンが合わずにリミッター解除ができない場合もあったので、最新のMODを利用するようにしよう。

「Sekiro Fps Unlock And More」。「Frame rate lock」に利用するディスプレイの最高フレームレートを入力してチェックを入れ、「SEKIRO」を起動したあと「Patch game」をクリックすればパッチが当たるようになる

フルHD環境では最高画質で平均112fps

 ではゲームをプレイした結果について述べていこう。今回使用した液晶ディスプレイはBenQの「XL2546」と、アイ・オー・データ機器の「LCD-M4K282」だ。XL2546はフルHD対応のみで4K非対応だが、リフレッシュレートの最高値が240Hzとなっているので、なめらかな表示が可能だ。4K環境で利用したのはLCD-M4K282だ。

 テストプレイだが、「葦名城 本城」にいる敵を倒す周回ルートで行い、デフォルトで用意されている「最高画質」、「高画質」、「中画質」、「低画質」の4パターンで、10分間プレイした記録を比較した。このシーンは高低差のある城郭が多数配置されているほか、敵の数も多い。このためオブジェクトの数も多いので、描画的にもかなり重くなるので、性能を測るにはよいだろう。フレームレートの測定には「Fraps」を用いている。

葦名城に向かって駆け上がる
門の回りには敵がいる
敵をひと突きにして殺していく

 測定結果は以下の通りだが、HDの最高画質では平均112fpsで、平均120fpsを越えているのは中画質以下のみ。4Kに至っては最高画質だと39fpsとなり、最高画質レベルの描写だと処理がかなり重くなる。HD環境なら、中画質でGAME Watch認定PCの基準となる120fpsを越えているが、4Kでは55fpsと60fpsには届かない。低画質であればHD、4Kともにクリアしているが、それではプレイ的に物足りない画面となってしまうだろう。

【フルHD環境下でのフレームレート測定結果】
フルHD環境下での画質設定によるフレームレートの違い。各測定値のうち、最大値と最小値を除いた結果をグラフにしている
【4K環境下でのフレームレート測定結果】
こちらは4K環境下での画質設定によるフレームレートの違いを表している
【4Kでの最高画質と高画質の違い】
4K最高画質での描写。城壁や瓦の質感など、テクスチャや影がしっかりと書き込まれているのがわかる
4K高画質の描写。さほど最高画質との差を感じられない
4K最高画質をピクセル等倍で拡大したところ。石垣に光が当たっている様子がわかる
4K高画質をピクセル等倍で拡大したところ。最高画質と比べると、影の表現が若干薄い気がするが、プレイする際には特に気にならないだろう
【4Kでの中画質と低画質の違い】
4K中画質での描写。瓦を比較するとわかるのだが、若干コントラストが高く、陰影に差が見えるようだ
4K低画質の描写。全体的に壁が白っぽくて屋根の陰影がなくなってしまっている
4K中画質の画像をピクセル等倍で拡大したところ。壁にも陰影が付けられて立体感を醸し出している
4K低画質の画像をピクセル等倍で拡大したところ。影の表現がざっくりと削られているため、平たい印象を受ける。画面全体も白っぽくなる
【4K最高画質とHD最高画質の違い】
こちらは4K環境最高画質。城壁や石垣の表現が緻密だ
こちらはHD環境最高画質。4Kの最高画質と比べて若干粗い気もするが、印象としてはほとんど変わらないレベルだ
4K環境最高画質をピクセル等倍に拡大したところ。城壁に落ちている屋根の影がきれいに描かれている
こちらはHD環境最高画質。壁にはめ込まれている家紋などのシャープさが若干落ちる印象だが、ゲームプレイにはさほど影響がないレベルだろう
【HD環境でのフレームレート推移】
HD環境における低画質から最高画質までのフレームレート測定結果を合わせたグラフ
【4K環境でのフレームレート推移】
4K環境でのフレームレート測定グラフ
【HDiNFOでのビデオメモリの使用量測定結果】
HDiNFOにより、フルHD最高画質でビデオメモリの使用量変化を測定した結果

フルHDで120fps、4Kで60fpsをクリアするにはどこをいじればいいか?

 これまで見てきたように、デフォルトの設定だとGAME Watch認定PCの基準にはちょっと及ばない。ではどのあたりを設定すればフルHD/120fps、4K/60fpsをクリアして快適なプレイができるのだろうか。HD画質については中画質で基準はクリアしており、この設定であればよさそうだが、もう少し画質を高くしてプレイしてみたい気もする。

 高画質と中画質における設定の違いだが、「SSAO」、「被写界深度」、「モーションブラー」、「影の品質」、「ライティングの品質」、「エフェクトの品質」、「ボリューメトリックフォグの品質」の項目について、「高」から「中」へと下がっている。この中でも「SEKIRO」の雰囲気、陰影のある画面作りに効いてきそうなのは、全体の印象を決める影の品質と、光の差し込んだ感じを演出するボリューメトリックフォグあたりだろうか。あとは部屋の隅などに落とし込む影を軟らかく表現するSSAO(スクリーンスペース・アンビエント・オクルージョン)も、できれば高めに設定したい。被写体ブレを起こすモーションブラーについては高くしておくと敵の動きがきれいに見えそうだ。そこでこれらを「高」設定にしてプレイしてみると、平均フレームレートで120fpsとなったのでまずまずといったところか。城全体や内部の表現、門の見え方、敵とのやり取りなど、高い画質でプレイできているようにも思える。

「中」での設定。反射表現の品質と水面の品質だけが「高」
SSAOとモーションブラー、影の品質、ボリューメトリックフォグの品質を「高」に上げてみた
先ほど掲載した中画質と同じく影の表現などが省略された感じだ
陰影が深まり、ダークファンタジーの世界を堪能できるイメージになってきた
中画質をピクセル等倍で拡大した。屋根と講師の表現に注目してほしい
設定した項目での画質をピクセル等倍で拡大した。屋根に奥行きが出ている

 続いて4K環境について見ていこう。4K画質では低画質の設定のみが基準をクリアしている状態だ。つまりここからどの項目の設定を高く上げてみるとよいのかを考えることにする。

 低画質の設定で一番問題となるのが、「アンチエイリアスの適用」、「SSAO」、「被写界深度」、「モーションブラー」がすべてオフになってしまうことだ。アンチエイリアスが適用されないことで、背景がかっちりと描かれてしまうほか、SSAOも加わっていないので、城全体が明るく、平面な印象を受ける。被写界深度も加えられないため、奥行きが感じられないのだ。

 ほかにも「影の品質」、「ライティングの品質」、「エフェクトの品質」、「ボリューメトリックフォグの品質」、「反射表現の品質」、「水面の品質」、「シェーダーの品質」がすべて「低」となる。「SEKIRO」の世界を表現するのは光と影だと思うのだが、影の品質はもちろんのこと、ライティングが浅くなり、反射表現も低レベルのため、その世界を堪能できない気がする。

 そこでここからは画質を少しでも上げて、「SEKIRO」の世界観に合わせた画面にしていきたい。そこでアンチエイリアスをオンにしたほか、SSAOと影の品質、ライティングの品質を「中」に、被写界深度、モーションブラーを「低」にしてもう一度フレームレートを測定したところ、ギリギリで60fpsを確保することができた。画質の違いを下に掲載するが、これであれば「SEKIRO」の世界観を崩さずに快適なプレイができそうだ。

「低」での設定はこのような感じ。重い処理はすべてオフになっている
アンチエイリアスをオンにしたほか、SSAO、影の品質。ライティングの品質を中に。被写界深度とモーションブラーを低にした
「低」の設定での描写。先ほどと同じように陰影が薄い
屋根瓦による陰影が加わったほか、柱の描写が変わっている
低品質での描画をピクセル等倍で拡大したもの。光の当たり方が均一で立体感をあまり感じない
設定した画像をピクセル等倍で拡大したもの。影がしっかりと描かれることで奥行き感が出ている

省スペースでパワフルなゲーミングPCがほしいならコレに決まり!

 「MEK MINI」はその特徴である「省スペース」を生かしつつ、ゲーミングPCとしても必要十分なスペックを持つマシンだ。多少画質を落としてのプレイとなるが、フルHD環境であれば平均120fps以上のフレームレートでプレイできるうえ、4K環境でも設定を考えれば平均60fps以上で楽しめる。もともと「SEKIRO」は60fpsをターゲットに設計されているゲームなので、HD環境である分にはまったく問題のないプレイが楽しめるだろう。

 以上の内容をもって「MEK MINI」をGAME Watch編集部による「SEKIRO」動作認定のPCとしたい。

GAME Watchは「MEK MINI」について以下の項目を認定します

・「SEKIRO」が最高設定/フルHD環境下で平均120fps以上で動作する
・「SEKIRO」が4K環境下でも設定を考慮すれば平均60fps以上で動作する
・パワフルなゲーミングPCでありながら省スペースを実現

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